第4章 初等中等教育における情報モラル教育

第1節 児童生徒の実態や発達段階に応じた情報モラル教育

1.情報モラル教育とは

  情報教育の内容からみた情報モラルの考え方、現時点での情報モラル教育の目的、情報社会の特性を理解したうえでの指導の必要性、地域と学校の連携の重要性など、情報モラル教育についての概要を記述する。

  (1)情報社会の特性の理解(情報モラル教育に関する部分)

  PC・携帯電話端末を使った情報社会の現状を解説。身近になった環境についてどのような特徴があるのかを解説。情報モラル教育がないことから生まれる可能性を解説。

  (2)社会の変化と情報モラル教育の必要性

  情報化の流れは後戻りできない状況にあり、利便性や有効性は誰もが認めるものである。一つの道具として、便利なツールにもなれば危険なツールにもなり得る。これから新たにネットに触れる児童生徒には、初期段階でのルール作りや、決め事を明確に理解させる必要がある。既にネットに触れている児童生徒には、現在起こっている危険性の理解と改めてルール作りを行い、社会、学校、家庭のすべてが発信していく仕組が必要である。危険性の認められる具体的な事例を取り上げながら解説する。

  (3)地域や学校の実態の把握(継続的に行うこと)

  まずは、学校、社会、家庭のすべての大人たちが、児童生徒のネット上で起こっている状況を知る事が必要である。ネットの課題は日々変化、進展している。そういう意味で、実態の把握は、社会単位、学校単位、家庭単位のそれぞれの単位で継続的に行うべきである。これにより児童生徒のネットの新しい課題に臨機応変に対応できる力を養う。

  (4)不易の部分の指導(学校)と変化への対応

  ネット上の問題は、児童生徒への影響はこれまでに無い程の大きさである。学校としても家庭における活動や行動は、触れにくい側面があったかもしれない。しかし、ネットの課題については、学校側が現状を十分に把握し、学校・家庭で全ての子ども達に積極的に関わり、結果として児童生徒を守っていくという認識が必要である。

  (5)児童生徒のコミュニケーション能力(方法)の変化と実態

  子ども達のコミュニケーション力は外部環境を受けて、養成し辛い状況にある。対外関係が苦手な児童生徒がその隙間を埋める場所として、ネットに傾倒しているという背景がある。ネット上と社会生活上でのコミュニケーションとは、全く違うという事と、これまで以上に対人関係能力を養成する仕組が必要である。

2.発達段階に応じた指導

  (1)児童生徒に身につけさせたい情報モラル

  情報モラル教育の5つの柱(情報社会の倫理、法の理解と遵守、安全への知恵、情報セキュリティ、公共的なネットワーク社会の構築)と、それぞれにおける発達段階に応じた指導目標について説明し、学校で指導すべき情報モラルが広範に及んでいることを把握する。

  (2)モデルカリキュラムの活用

  情報モラル指導ガイドブックに示されたモデルカリキュラムの内容と、その使い方について概説。各地域や学校の実態に応じてカリキュラムを作成することの必要性や、学校全体での系統的なカリキュラムの作成、教員がそれらを共通理解して指導することの必要性などについて解説する。

  (3)発達段階に応じた指導

  小中学校で適切に表現する能力や物事を正確に理解する能力が求められる。このことは、情報活用能力においても初期段階、発展段階における実践力を養う上で基本となる。各教科の指導内容とリンクさせながら、目的別に取捨選択できるような工夫をする必要性について解説する。

第2節 学習指導要領における情報モラル教育(第2章との関連)

1.道徳における指導

  道徳の改善の具体的な項目の10項目の中の一つに上げられており、社会における情報化が急速に進展する中、インターネット上の「掲示板」への書き込みによる誹謗中傷やいじめといった情報化の影の部分に対応するため、発達の段階に応じて情報モラルを取り扱うことになったことについても説明する。
 道徳教育は、小・中・高等学校の全ての学校段階において一貫して取り組むべきものであること。小学校においては生きる上で基盤となる道徳的価値観の形成を図り、自己の生き方についての指導を充実すること、中学校では、思春期の特質を考慮し、社会とのかかわりを踏まえ人間としての生き方を見つめさせる指導を充実すること、高等学校においては社会の一員としての自己の生き方を探求するなど人間としての在り方生き方についての自覚を一層深める指導を充実するなどについて概説し、これらに応じた情報モラル指導を以下に説明する。

  (1)小学校における指導

  小学校においては生きる上で基盤となる道徳的価値観の形成を図る指導を徹底するとともに自己の生き方についての指導を充実することが必要であり、そのための情報モラル教育の内容について概説する。その場合、児童の発達の段階や特性等を考慮し、道徳の内容との関連を踏まえ、情報モラルに関する指導に留意することについて解説する。

  (2)中学校における指導

  中学校においては思春期の特質を考慮し、社会とのかかわりを踏まえ、人間としての生き方を見つめさせる指導を充実することが必要であり、そのための情報モラル教育の内容について概説する。その場合、生徒の発達の段階や特性等を考慮し、道徳の内容との関連を踏まえ、情報モラルに関する指導に留意することについて解説する。

2.各教科における指導

  『各教科等の指導に当たっては、児童生徒がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け、適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに、これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。』という教育課程の実施上の配慮事項に従って、各教科での情報モラル指導の必要性について記述する。

3.技術家庭(中学校)との関連

  中学校の技術家庭科における指導の中での情報モラルの取り扱いついて記述。上記の各教科での指導との違いとして、情報の科学的な理解との関連や、情報社会の構築に向けた態度の育成などについて解説する。

4.特別活動を含めた学校教育全体での指導

  各教科や技術家庭、教科「情報」、総合的な学習の時間などでの指導だけでなく、学級指導や郊外学習などを含めた特別活動などで、情報モラルに関する内容をスポット的に指導することや、児童生徒の生活体験に基づいた実態や問題点を取り上げ、それらに対する迅速な指導が必要であることなどについて説明する。

第3節 具体的な指導内容

1.道徳における指導事例

  小中学校における2つの事例を紹介しながら、モデルカリキュラムの指導事項との関連、指導内容の決め方、教材の選択方法、コンピュータやネットワークなどの活用方法などについて解説する。また、指導上の留意点や、児童生徒への前向きなメディア活用に向けた留意点などについても記述する。

2.各教科における指導事例

  学習指導要領解説の内容を踏まえながら記述する。

  (1)国語における指導

  コミュニケーション能力の育成を中心とした指導例を取り上げ、小学校や中学校における言語指導が情報モラルの態度の根幹にあること、それらを教師が意識的に指導することの重要性などについて、小学校の事例を中心に紹介する。(以下各教科で10行程度で解説)

  (2)社会における指導

  資料や情報を活用する学習活動の機会を通して、著作権等に関する法律に関する指導を中心に、倫理的な指導の必要性について中学校の事例を中心に紹介する。また、理科等でデータを扱うような学習活動で、情報を正しく取り扱うことや責任を持って発信することの指導を通して、情報モラルの指導ができることを記述。(以下各教科で10行程度で解説)

  (3)算数における指導事例
  (4)理科における指導事例
  (5)音楽における指導事例
  (6)図画工作における指導
  (7)家庭における指導事例
  (8)体育における指導事例

3.外国語活動における指導事例

4.総合的な学習の時間における指導事例

  情報活用の実践力の育成を伴うような実践事例を中心煮紹介する。情報モラルに関する内容を広く捕らえ、課題解決的な活動の中で著作権に関する課題から情報発信時に留意することなど、情報モラル教育の範疇を広く確実に定着させるための指導の方法を紹介する。

5.特別活動における指導事例

  教科の指導では難しい、安全・安心に関する分野の指導をスポット的に取り扱っている事例を紹介し、短時間でも効果的な指導ができることや、教員が安全・安心に関する一般的な考え方や情報を日常的に把握しておくことの必要性、それらを教材として構築して指導することの必要性について解説する。

第4節 家庭や地域の連携と学校の役割

1.児童生徒が安心して生活できる環境の確保

  地域と学校が連携しながら、児童生徒が安心して生活できる環境を充実させることの必要性について解説する。特に、学校運営協議会などを通して、地域の実態や児童生徒の実態把握を行い、それらの中に潜んでいる課題などを自ら発見し、協力して解決していくことで児童生徒が安心して生活できる地域環境や学校環境ができること(の事例)について紹介する。(第一段階は、校内での体制作り強化支援)

2.携帯電話の普及、新たな情報端末への対応と情報モラル教育

  携帯電話は日々進化し、迅速な対応がされなったことによる事例や、子どもたちがそれらに柔軟に対応し使いこなすことを紹介。どの様な対応で防ぐことができたのかを解説する。日々の新たな情報収集方法も併せて解説する。

3.学校教育の情報社会の変化への対応の必要性

  家庭や地域の大人が携帯電話の機能の共有化をはかり、トラブルを未然に防ぐことが出来るよう指導力を養う。また、家庭内でのルール作りの推進をはかる。定期的に専門指導員からの最新情報の提供を可能にする仕組み作りを解説する。家庭・学校・地域が一体となった取り組みのモデルケースの提示をする。

4.教員の指導力の向上

  安全な使い方や危険回避の方法の理解専門家による子供たちの使用状況の解説とその対応策を学ぶ必要、専門用語や様々な事例を紹介し、その対応方法を交えたカリキュラムの提供をする。生徒・児童とのコミュニケーションツールとしても活用できる内容とする。
  インターネットの普及に伴い、その利用者の低年齢化も同時に進んでいる。携帯電話でのネット接続が容易になった現在、中高生から携帯電話を持つようになった子どもたちは、ネットの世界を簡単に信用し事件に巻き込まれる。具体的な事例をもとにネット上の危険な情報について解説する。

5.学校全体で取り組むことの必要性

  携帯電話やパソコン・最新の情報端末を得意とする教員や生徒指導担当教員といった限られた範囲に留まらず、児童生徒の情報を共有することの大切さや自らが知ることの大切さを解説する。学校全体が同じベクトルに向かい取組むことが、家庭や地域との連携を可能にすることを説く。

  ==イラストの例==

  • 情報モラル教育推進のための地域と学校の連携モデル図
  • 危険なサイトの画面例
  • 児童生徒がネット上でのコミュニケーションを活発に行っている図
  • 学校裏サイトの増加グラフ

  ==児童生徒の情報モラルチェックリスト==

  • 自分自身でチェック
  • お友だちと相互チェック
  • 学校の生活でチェック
  • お家の人と一緒にチェック
      

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初等中等教育局参事官付