特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議高等学校WG(第7回) 議事要旨

1.日時

平成21年8月10日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館5階 5F7会議室

3.議題

  1. WG報告(案)について
  2. その他

4.議事要旨

(1)   事務局より配付資料の確認が行われた。

(2)   WG報告(案)について、第6回WGからの変更点を中心に事務局より説明された後、案の構成に沿って質疑応答・討議が行われた。その概要は以下のとおり。

〔概要〕
○:委員
△:事務局 

 (WG報告(案)中「はじめに」及び「1.高等学校における特別支援教育の必要性」について)

○ 「はじめに」の3番目の段落の6行目、「特別支援教育の体制整備状況を見ると」の文章は意味がわかりにくい。特別支援教育の体制整備の状況を見ると、リソース面や制度面などに着手の遅れ等があり、現時点では不十分ということか。文章の趣旨は賛成だがつながり悪いので、修正した方がよいのではないか。

△ 5行目の「特別支援教育の体制整備状況を見ると」を削除するということではどうか。

○ それでよいのではないかと思うが、やはり「リソース面・制度面からの支援」の意味がよくわからない。

△ この修正の趣旨は、前回の議論において、高校も制約がいろいろある中で一生懸命がんばっており、「体制整備が遅れている」と一方的に言うのはあんまりではないかといった意見があり、「体制整備の着手が遅れた」など、遅れの要因を記述したもの。遅れた要因が文章の間に挟まっているため、読みにくくなっているのだと思う。

○ 趣旨については賛成である。文章の修正についてはお任せする。

○ 3ページの発達障害者支援法の説明のところで「高等学校に在学」となっているが、他では例えば「はじめに」の3番目の段落の3行目や3ページの(2)の下から5行目、4ページの上から4行目は「在籍」となっており、表記をそろえる必要があるのではないか。

△ 「在籍」に統一する。

○ 23ページの進路分析結果の概要の対象生徒は約1万7,000人となっているが、これは全体の何%ぐらいなのか。おそらく、今後聞かれることが多くなると思うので知っておきたい。

△ 先週公表された平成21年度学校基本調査速報版によると、平成21年3月の中学校卒業者総数は118万8,000人、前年より1万人強減少しているが、 およそ120万人と考えていただければよいと思う。これを念頭に考えれば、全体のどれくらいをサンプルとしているか分かると思う。

○ 進路分析調査の結果だが、4ページの本文では定時制課程は14.2%となっているが、23ページの参考資料では14.1%になっている。どちらが正しいのか。

△ 23ページの参考資料の14.1%が正しい数字であるので本文を修正したい。

○ 4ページの総合学科に高比率で発達障害等困難のある生徒が在籍している説明は「生徒自身が科目を選択履修することにより個性を活かした学習を行うことができる総合学科にやや高比率で在籍している状況が見てとれる」となっているが、これは正しい表現か。高校の先生方が正しいというのであれば構わないが。

○ 何とも言えない。他の学科でも選択は色々あることはある。

○ 総合学科に若干多い比率で在籍しているという事実はあるが、その理由が「生徒自身が科目を選択履修することにより個性を活かした学習を行うことができる」からとは言えないのではないか。

△ この点については、総合学科に発達障害等困難のある生徒が在籍している比率が高い理由として書き加えたものではなく、総合学科とはこういうものだという説明として記述したもの。そういう意味では誤解される可能性があり、削除した方が良いかと思う。

○ それでは「総合学科が3.6%となっている」とし、その後の文章は削除するということでよいか。

○ それでよいのではないか。

 

(「2.高等学校における特別支援教育体制の充実強化」について)

○ 6ページの下から2番目の○で、「一部の教員による取組にならないよう」という記述があり、そのための方法の1つとして「校務分掌への位置づけ」が挙げられているが「学校組織全体へ明確に位置づける」のほうがよいのではないか。学校によっては、分掌に位置付けるのではなく、独立した形でやってうまくいっているところもあり、この表現では「分掌でどこかに位置づけなければならない」という形が強すぎると思う。

○ 「学校組織・校務分掌への位置づけの明確化」というような形で両方併記するということではどうか。今までコーディネーターは校務分掌に位置づけなさいというのをずっと言い続けており、それとの関連性が少し問題になるように思う。

○ 校務分掌が既定の校務分掌に位置づけるのか、新たに校務分掌を起こすのかが明確にならないのではないか。

○ 学校組織全体、それから校務分掌と言っておけば、二重に意味が取れるのではないか。そのような形で事務局に検討をお願いしたい。

○ 9ページから10ページにかけて、私立高校における取組について記述されているが、そこに私立高校には全体の生徒数の約30%が在籍していることを記述し、だから私立高校でも取組が必要なのだという表現にしたほうがよいのではないか。そうすれば、10ページの2番目の○の「そのための私立高等学校モデル校を増やすこと」と同時に、同じモデル校間の関係強化や情報交換が必要であることを書き加えれば、より具体的になるのではないか。

○ 6ページの一番目の○に、「特に、私立高等学校については遅れが顕著である」とあるが問題はないか。

○ 書いたほうがよいと思う。

○ 報告書に国公私立別や課程別の生徒数とその割合についての資料を添付してはどうか。

○ 7ページの(3)の一番下の○に「高等学校では発達障害に起因する困難以外にも様々な困難を抱えている生徒が多い。」という表現がある。趣旨は理解できるが、「多い」という表現には違和感がある。文章を読むと、「高等学校では」は「には」とし、「生徒が多い」は「発達障害のある生徒が在籍をしている」に、「相談体制の充実」については、「発達障害以外のその他の生徒も含めて、相談支援体制を整備することが必要である」としたほうがよいのではないか。「つながるものである」で終わってしまうと、何が言いたいのかわからなくってしまうのではないか。

○ 特別支援学校のセンター機能の記述の場所は、ここでよいのだろうか。先に定時制や私立学校を入れて、その後に特別支援学校のセンター機能があったほうが位置付けとしては落ちつく。

○ 私立学校を担当している県の知事部局との連携を入れることも必要。その一方で特別支援学校にも私立高校もセンター的機能の対象としてあることを意識させるような記述があったほうがよい。どうしても特別支援学校が意識する相手は公立高校という意識になる傾向があるように思う。

○ 7ページの(3)の見出し「支援が必要な生徒の周囲の生徒・保護者の理解・認識の向上支援」は、用語の意味はわかるが少し分かりにくい。「理解・認識の向上支援」という言葉もあまり聞きなれないと思う。

○ 周囲の生徒・保護者が理解・認識を、ということであれば、最初の「支援が必要な生徒の」を削除したほうがよいのではないか。

○ 「の」を「に対する」にして「周囲の生徒・保護者に対する理解・認識の向上支援」としてはどうか。

○ この(3)には、はクラスメートとその保護者に対する支援ということだと思うが、3番目の○は本人に対する支援の内容が入っている。4番目の○は、「教員の中には生徒の支援を本人・保護者にどう伝えたらいいか」という内容が入っており、これは教員を念頭にした記述がされている。この2つについては、別のパラグラフに移動した方がよいのではないか。

○ よく読んで見ると(3)は周囲の生徒・保護者に関する記述だけではない。2番目の○は周囲の生徒や保護者、3番目の○は本人とその保護者、4番目の○は教員、5番目は体制整備の内容。つまり(3)は障害に関する理解や認識に関する問題について全般的に記述している。

△ 順番としては、まず3番目の○の当該生徒とその保護者の方の理解、次に4番目の○の教員が本人・保護者にどう伝えるかを先に記述し、「他方」として「発達障害の生徒等に適切な対応を行うためには、支援が必要な生徒の周囲の生徒やその保護者の理解を図る必要がある」とする。つまり、当初の1番目、2番目の○はそれぞれ3番目、4番目とし、(3)のタイトルは「周囲の」を削除し「生徒・保護者の理解・認識の向上策」や「理解・認識への支援」としてはどうか。

○ 1番目と2番目の○は1つにまとめたほうがよいのではないか。

 

(「3.発達障害のある生徒への指導・支援の充実」について)

○ 11ページの一番上の○の文章の下から3行目で「認知スタイルや集中力に配慮し」「講義主体の授業に加え」の後に「作業的な内容はグループでの共同学習等の要素」とあるが「作業的な内容やグループでの共同学習等の要素を」のように並列の形に改めたほうがよいと思う。

○ 質問になるが11ページの1番目の○に「プリント」という単語についてだが、印刷物のことをプリントと言うのは教育界では一般的なのか。一般的な意味からするとプリントと印刷物は違うと思うのだが。

△ 教育現場では使われている表現だが、学習指導要領上に使われている表現ではない。自分でつくった宿題、教員が作成する印刷物のようなもの。

○ 「印刷物」といっても市販の教材ではない。

○ (3)に「ICT機器等を活用した支援の推進」を項目として立てたことはよいと思うが、12ページでは「活用すべきである」という表現にとどまっており、積極的な導入についてはあまり記述されていない。積極的な導入をした上で、デジタルカメラやパソコンといった機器を活用するとしなくてはならないのではないか。小・中学校は非常に進んでいるが、高校はまだあまり進んでいない。

○ 12ページの(5)の最初の○の文末が「規定されていない」で終わっているが、次の○の「一方」と続いていており、これで1つとなる内容。長くなるがまとめてしまってよいのではないか。

△ あくまで現行は規定されてないが、新しい学習指導要領でいろいろできるということをパラグラフとして切り分けて書いたものであるが、今の指摘を踏まえ、最初のパラグラフに続けて、「一方、高等学校においては、前述のとおり、学習指導要領により弾力的な教育課程編成が可能となっている。」とし、そこで1回パラグラフを切って、次のパラグラフを「このため、通級による指導については」とすることは可能だと思う。

○ 13ページの(6)のタイトルが「優良実践事例情報の集積・提供等」とあるが、「優良」という表現には違和感がある。

△ 確かに優良事例だけではなく、先進的事例もある。また、成果だけではなく、いろいろな課題、悩み、それから教訓も得られて、「こういうところはやらないほうがいい」や「こういう点は改善したほうがいい」ということも含めた情報提供が大事であり、「優良」を削除し「実践事例に係る情報の集積・提供等」でもよいと思う。

○ 他の箇所は、「このため」の表現がある場合は、別の○としているが、13ページの(6)で1つにまとめられているが、基準がないのであれば、表現をそろえて別の○とした方がよいのではないか。

○ 12ページの(5)のタイトルについてだが、「特別の教育課程の編成」とした方が、当面は弾力的な運用でやっていくけれども、将来的には通級についても検討していくというところを分かってもらえるのではないか。

○ 11ページの上から4番目の○で、「発達障害等のある生徒に対して、社会生活上必要とされるスキルを身に付ける」というところで、「学校の教育活動の中に位置づけて実施することを検討すべきである」とあるが、この文面にあるものは、これまで学校ではなされて来なかったことだと思うので、これを学校の活動の中に位置づけると言われると、学校の先生方に負担があるのではないかと思う。例えば「外部専門家による巡回相談を活用して」という文言を加えてはどうか。

○ 13ページの(6)で「モデル事業指定校等を中心とした地域ネットワークの構築促進を図る一方」という記述があるが主語がない。私の県では、特別支援学校と公立高校と私立高校も全部一緒になっての研修会を地域単位ですでに実施しているが、そのようなものをイメージすればよいのか。

△ 学校中心のほうがやりやすい場合もあれば、教育委員会主体の場合もあると思う。その結果として、その下の行にあるように各地域の教育委員会や高等学校が直接、事例情報にアクセスできるようにすることが目的。

 

(「4.高等学校の入学試験における配慮や支援等」について)

○ 中学校で作成をしている個別の教育支援計画や個別の指導計画の活用について、積極的に入学試験の参考資料として使ってもらうように踏み込むことは難しいか。

○ 入学試験では難しいと思う。

○ 個別の教育支援計画を作っているような生徒であれば、もう既に配慮がされており問題ない。しかし、障害があることを高校に伝えずに入学したい生徒もいるため、一概に言えないところがあると思う。

△ 入学試験の段階でどこまで出すかという点については、いろいろ議論があろうかと受けとめている。もちろん入学が決まった際には、作っている場合には、きちんと引き継ぎをしていくことが必要だと思う。

○ 15ページの(2)の1番目の○で「中学校・高等学校の合同または共催による高等学校入試に向けたガイダンス」とあるが、このイメージは、生徒、保護者は当然だと思うが、教員に対するものも含まれているのか。つまり、生徒一人一人の潜在能力を引き出す、あるいは高めるような進路指導の充実といったときに、生徒、保護者だけでもよいのだろうかというところがある。

○ 保護者、本人、それから中学校の教員と高校側がいろいろな場で話し合って情報を伝えていくと言うことが必要であり、保護者や本人だけに限定する話ではないと思う。

○ 逆に、あまり対象を絞って書かないほうがいい。表現としては、このままでよいのではないか。

 

(「5.キャリア教育・就労支援等」について)

○ 20ページに「4月の新規採用の時期において未内定」という表現があるが、「未内定」という言葉は使われているのか。「未内定」というのは雇い入れる側ではあまり使わない言葉。

○ 未決定者ではないか。

△ 修正案としては、「就労先が決定していない者」ということでよいか。

○ そのほうがわかりやすいと思う。

○ 通年で採用が行われている現状を踏まえれば、6月や8月であっても就職が決まってない者に対する支援は必要であり、「4月の新規採用の時期において」という表現は必要ないのではないか。

△ この記述の趣旨は、卒業生には2つカテゴリーがあり、就労を目指しているが4月の時点で決定していない生徒、就労は決定しているがいろいろな不安があり、このまま継続して定着できるかどうか、悩みや困難がある生徒に分けている。その前者を表現するためにこのような表現をしたところ。指摘を踏まえ「4月の新規採用の時期において」は削除し、「就労先が決定してない者や就労の継続・定着に相応の困難を抱える者」とすることでよいか。

○ 17ページの上から2番目の○に「普通科及び専門学科の高等学校を通じ」とあり、その次の○では「職業教育についても、普通科、職業教育を主とする専門学科それぞれについて配慮すべき事項を定めているところである」となっており、普通科と専門学科についてのみ例示されているが、総合学科については触れなくてよいか。また、新しい学習指導要領では、キャリア教育について総合学科についてはどのように配慮事項を定めているのか。そのあたりを少し精査してほしい。

△ 報告(案)では「普通科、職業教育を主とする専門学科」と記述しているが、高校の学習指導要領においては普通教科、その後に職業に関する専門教科にものみついて記述してあり、特に総合学科についての記述はない。

  キャリア教育について申し上げると、総合学科においては、キャリア教育に絞った科目として産業社会と人間という科目を立てており、それを必ず取り扱うことになっており、あえてここで総合学科についてコメントを加えるほどの内容ではないかと思う。

○ 19ページの(2)の2番目の○の1行目に「産業現場等における実習や校内学習」という表現があるが、意味合いとしてはおおよそ分かるが「校内学習」という言葉はあまり使わない。「校内学習」を削除して、「産業現場等における実習や職場開拓などの実践的プログラムを拡充・強化」でも通じるのではないか。

△ この趣旨は、高校全体で障害のある生徒の就労支援や職業教育を強化するために、その1つのモデルになっている専門高校における、いわゆる産業教育の実践的プログラムにおいて、産業現場である程度まとまった期間の実施をすると同時に、それをいきなりやるのではなくて、その準備段階として学校内において必要な事前の学習をする。これは座学もあるし、ちょっとした校内実習もあると思う。そういった準備をした上で、できれば教員のほうも、しっかりとスキルを高めた上で現場実習に入っていき、今度はそれをベースにして職場開拓につなげていく。これは既に特別支援学校は実施されていることであるが、今度は特別支援学校での実績を踏まえ、センター機能として活用しながら、高等学校に在籍する生徒に対しても、それを生かしていくということ。もちろん作業学習に限定しているわけではなく、作業現場の実習のための必要な準備学習というものも入るかと思う。あえて書かなくても意味としては通るので、削除しても構わないと思う。

○ これは、特別支援学校の高等部のノウハウを高等学校が活用するという趣旨で書いてあるが、これは特別支援学校高等部の実態に合っているかどうか。

○ いわゆる「産業現場等における実習」という指導レベルの問題と「職場開拓などの実践的プログラム」というのを一緒に書いて、それを拡充していくということになると、少し意味が通じにくいところがある。企業との関係において、どのように職場開拓をしながら就労に向けて進んでいるのかをもう少し書き分けたほうが分かりやすいのではないか。ここに書かれていることは特別支援学校では当然取り組んでいることであり、高校側から要請があれば、ノウハウとして提供できると思う。

○ この「職場開拓」は、就職先という意味だけではなく、産業現場で実習するところも含めて職場開拓となるのか。

○ その通り。企業側に対して、発達障害の方の理解をしていただくことも含めての職場開拓。ただし、ここにそこまで書く必要があるかどうか。

○ ここで書こうとしている趣旨は職場開拓などの実践的プログラムを拡充・強化するということではない。

△ それではまず「高等部での産業現場等における実習などの実践的プログラム」と書き、「これらを通じて獲得・蓄積されたノウハウや就労支援」の後に「・」として「職場開拓に関する取り組み情報」を加えるということでどうか。

○ 17ページで「障害者雇用促進法」が出てくるが、正式名称ではないので正式名称にした方がよいのではないか。

また、レイアウトについて、これから修正して最終的に文字数なども決まると思うが、タイトルだけが一番下の行にあり、文章が次のページからになっているところが何カ所かあるので最終的には調整してほしい。

○ 各委員の意見で共通理解が図られてきたのではないかと思う。今後、本日いただいた意見やニュアンスの修正をする作業をすることになるが、主査の私に修文を含めて取り扱いを一任させていただきたいと思うがよろしいか。

(「異議なし」の声あり)

○ 今後、事務局と最終的な文言の調整等を行い、8月27日木曜日の親会議に報告をするということにしたいと思う。

 

(3)   斎藤特別支援教育課長より、今後日程及び委員に対する挨拶があり、閉会した。

 

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(初等中等教育局特別支援教育課)