特別支援教室構想に関する研究開発学校の取組

※これまでの研究活動(小学校2校、中学校1校)から読み取れること。

【特別支援教室対象者】

○ 学校として特別支援教室対象者を改めて認定していた。

○ 対象者は、おおむね現行の特別支援学級及び通級による指導の対象者であったが、通常の学級における学習状況により、通級による指導の対象者よりも障害の程度が軽い者にも対応した場合があった。

○ 特別支援学級対象と判断できるが、特別支援学級に在籍していない児童生徒を対象とする場合もあった。

○ 特別な支援が必要と判断された児童生徒の状況は、概ね以下のとおりであるが、特別支援教室の対象としては、主として以下の○2~○4に該当する児童生徒であった。

・A小学校:

    ○1 通常の学級における特別な支援が必要とされた割合:15%
    ○2 ○1のうち特別な指導内容が必要である児童の割合:5%
    ○3 通級による指導対象者:0.3%
    ○4 特別支援学級在籍者:2.8%

・B小学校:

    ○1 通常の学級における特別な支援が必要とされた割合:10%
    ○2 ○1のうち特別な指導内容が必要である児童の割合:2%
    ○3 特別支援学級在籍者:1.6%

・C中学校:

    ○1 通常の学級における特別な支援が必要とされた割合:3%
    ○2 特別支援学級在籍者:2.5%

(※下線部:特別支援教室対象者)

【教育課程】

○ 学校が認定した特別支援教室対象者に対して、それぞれに応じた通常の指導内容と特別の指導内容を履修できるように、通常の教育課程と特別の教育課程が提供されていた。

○ 通常の指導内容と特別の指導内容の両方について、個別の指導計画により、それぞれの指導内容や指導時間などを、可能な限り教育的ニーズに応じられるよう工夫して設定していた。

○ 特別の指導内容が特に必要であり、通常の指導内容の授業にはほとんど参加しない児童生徒も見られた。

【評価】

○ 特別の指導内容については、ほぼ個人内評価であり、その妥当性の追究が課題とされている。

○ 通常の指導内容については、通常学級の児童生徒とほぼ同様に履修できる場合には到達目標に準拠した評価が行われた。

○ 教科により異なるものの、通常の授業に参加しているが理解の程度が十分ではない児童生徒については、ねらいや指導内容を替えるなどしつつ、個人内評価を採用している場合もあったが、これは特別の指導内容の履修とみなされることから、その際の妥当性の追究が課題とされている。

【指導方法】

○ 通常の学級担当者が、他の教師(例えば、特別支援教育コーディネーター)が当該学級の授業を担当している間に、何人かの学級の児童(基本的には特別支援教室対象)を取り出して特別の指導を行うなど、弾力的で協働的な体制が見られた。

○ 現行制度で言えば、特別支援学級担当者は、在籍の児童生徒が通常の学級において適切な授業(交流及び共同学習)を受ける時数が増えると、在籍の児童生徒に十分な指導を確保しつつ、他の特別なニーズのある児童生徒に対応がしやすかった。

○ 中学校において、各学年ごとに特別支援教室を設け、教科担任が特別支援教育の研修を受けて、特別支援教室担当者とともにその指導に当たりつつ、対象生徒が学年縦割りの授業にも取り組む例があった。

【その他】

○ 学校全体として一人一人の児童生徒への理解が深まったこと等によって、児童生徒の問題行動が減少したり、学力が全体的に向上した学校があった。

○ 「交流及び共同学習」の充実が図られた。

○ 最初は特別支援学級担当者の位置付けが曖昧になってしまうのではないかとの戸惑いが見られることがあったが、通常学級に在籍する児童生徒への支援等の役割をこなしていく過程で、特別支援学級担当者が自らの職務について広がりや深まりを感じられるようになる様子も見られた。

 

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)