資料8

義務教育段階を中心とする特別支援教育の推進体制の充実に関するこれまでの主な意見について

1.校内体制について

○ 特別支援教育はかなり進んだがまだ完成地点ではない。形や枠ができたところでありこれから実効性あるものにする必要がある。

○ 小中学校では形の上での体制整備はほぼ完了。個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成・活用など中身の充実が課題。コーディネーターや校内委員会も質を精査すべき時期。

○ 特別支援教育推進の基盤として特別支援学校は必要であり、今後専門性を高めていくことが課題。

○ 現在の制度や仕組みの中で通常学級の教員に特別支援教育で要求されていることをすべてやらせようとしても無理。通常学級では、教員の資質向上だけでなく外部のPT、ST、OT、心理士等の活用など教員を支えるシステム作りが必要。学校単位の専門性の担保、地域単位での支援体制を如何に整備するかを考えるべき。

○ 教員はゆとりがなく特別なニーズのある子どもへの対応が困難。若手教員の 育成とともに1学級の児童数も考えて欲しい。

○ 特別支援教育コーディネーターを専任化すべき。

○ 特別支援教育支援員は不交付団体にも工夫すべき。

○ 特別支援教育のための教員の配置も考えるべき。

○ 周囲の子どもや保護者、社会全体の理解不足が、地域の支援体制を進める上でのネック。

○ 校内委員会やコーディネーターについて保護者の認知度が低い。

○ 発達障害のある児童生徒数は義務教育段階において約68万人と推計されており、今後も通級指導のための定数改善が必要。

○ 校内委員会や特別支援教育コーディネーターは設置・配置するだけでなく、実質的に機能していることが重要。

○ 特別支援教育コーディネーターを複数配置することにより専門性をカバーし合い、学校として組織的・機能的に対応できるようにすることが必要。

2.指導の充実について

○ LD、ADHD、高機能自閉症の子どもについて通常学級の支援方策が課題。

○ 障害のある子どもは、必要に応じて個別又は少人数での特別指導が必要。

○ 学習指導要領の解説書に、特別支援教育の視点も入れつつ具体的な対応方法や展開例等を盛り込めば教員は取りかかりやすい。

○ 学習指導要領の大きな課題は自立活動の部分。これを基に個別の指導計画を作成するが、通常学級の障害のある子どもに使用しようとしてもわかりにくくて使えない。内容を見直すべき。

○ 自立活動を主とする教育課程の子どもの授業づくりについて、経験ある教員を育成すべき。教員の異動システムや年数的なものから保護者は不安。

○ 子どもの能力に応じた適切な指導方針の立て方について現場では不十分。体制整備の中で教員がどのような知識、能力、技能が必要かを考えることが重要。

○ 交流及び共同学習をどのようにするか検討すべき。

○ 学校の専門性について、認知の特性に沿った教育をもう一度見直すべき。またそのためには、例えば学習指導要領で発達障害の子どもの指導に関する事項を記載する等指導書の充実が課題。また、様々な学び方に対応した教科書の在り方について考える必要がある。発達障害の子どもも含めて自ら学べるような教科書であることが望ましい。

○ すべての教科等の基盤となる特別支援教育という視点で考えれば、学習指導要領について、幼小中よりも特別支援学校が先行しても良い位の時代。教科等で特別支援教育の視点を含めた教科の専門性を打ち出すことも検討して良い。

○ 特別支援教育の両輪として、障害のある子どもへの指導・支援の充実だけでなく、障害者理解に向けた人権教育、道徳教育、生活指導等を充実していくことが重要。

3.専門性の向上について

○ 「専門性」という言葉の中身についても検討すべき。

○ 特別支援学校における専門性と通常学校における専門性を分けて議論すべき。

○ 障害種別の枠を超えた特別支援学校の設置という観点で統合化を行う際、障害種ごとの専門性を担保することが必要。

○ 特別支援学校障害種別に対応した専門性は小中学校でも必要であり、専門性を担保できる仕組みをつくるべき。なし崩し的に一緒に学べる場があるということでは難しい。

○ 教員養成時に特別支援教育や障害児教育に関するものを必須にすべき。

○ 全校で特別支援教育に取り組む上で教員誰もが持つべき最低の資質、知識、技能に加え、特別支援教育に携わる教員として何が必要か踏まえる必要がある。

○ 特別支援学校教諭免許状取得率向上のための仕組みや特別支援学級、特別支援教室という広がりを持つ中での免許状の在り方について検討する必要がある。

○ 課題は教員養成、採用、異動に関する問題。通常学校との間で異動の多いところでは、専門性を本当に身に付けるにはかなり時間がかかる。研修の充実として国立特別支援教育総合研究所との連携も必要。

○ 特別支援学校の教員の専門性は向上しているが、特別支援学級の教員の専門性はまだ不十分。専門的な研修の場が少ないことが心配。教員免許の部分でこの問題を取り込むべき。

○ 特別支援学級は特別支援学校並みの専門性を持つ場と考えるが、教員の専門性や校内での特別支援学級についての理解等の問題もあり現実的にはなかなか厳しく今後の課題。

○ 特別支援学級増加の中、若い教員は指導教官もおらず誰に聞けば良いか、誰をモデルにすべきかという現実的な厳しい状況にある。

○ 現在の制度や仕組みの中で通常学級の教員に特別支援教育で要求されていることすべてやらせようとしても無理。通常学級では、教員の資質向上だけでなく外部のPT、ST、OT、心理士等の活用など教員を支えるシステム作りが必要。学校単位の専門性の担保、地域単位での支援体制を如何に整備するかを考えるべき。(再掲)

○ 通級指導の教員の専門性の保証が必要。

○ 通常学級の教員は、発達障害等の理解度や知識、経験が不足している場合が多い。多忙も問題。

○ 特別支援教育の視点だけでは特別支援教育の推進は困難。学級経営力、授業力、特別支援教育、教員としての基本的資質の総合力が求めらる。特に学級経営力が大事。研修もより具体的で実践的な内容にすべき。現場では対応力が求められる。

○ 気になる生徒をピックアップし、教員と精神科医が交流しながらケーススタディする例があるが、教員の理解を高めるためには効果的。

○ 教科教育は下手なカウンセリングよりずっと子どもの成長と進歩を支えるもの。スクールカウンセラーを雇うよりも特別支援教育の専門性のある教員を雇う方がよほど子ども達の心のケアになる。

○ 小学校にもスクールカウンセラーを置くべき。

○ 巡回指導は、子どもの変容を見取り教員との関係を構築するためにも年1、2回ではなく、月1回とするなど定期的に行うべき。

○ 一般教員を対象とした特別支援教育に関する校内研修や免許更新講習を充実するとともに、教員養成課程において個別のプログラムを設けるなど、特別支援教育のスペシャリストを養成していくことが必要。

4.その他

○ 特別支援教室構想について議論すべき。

○ わかりにくい困難さを持つ子どもが多く、巡回相談で最初に上がってくる子どもは自閉症や学習障害の子どもではない。学習が遅れて先生が気付くのが実態。保護者の理解の問題もあり、特別支援学級や通級に結びつきにくいところもあり、移行の場としての特別支援教室は必要。

○ 特別支援教室について、それがあるという理由で障害のある子どもが直結する恐れがあるが、それは特別支援教育の考え方ではない。

○ 定数上の扱いがクリアできるのであれば、すべての小中学校に特別支援教室を設置すれば様々な障害のある子どもへの対応が可能になるのではないか。

○ 特別支援学校の分教室と特別支援学級との兼ね合いをどう考えるかが課題。

○ 自閉症の子どもは増加傾向にあり、現場の指導上、学級経営上の大きな課題。

○ 知的障害学級に発達障害の子どもが多く、教員の意見でも情緒障害学級の設置要望が高い。

○ 最近の学級崩壊は特別支援教育の子どもが要因となるものもある。

○ 学校の校内研究に特別支援教育の視点を入れることが大事。教科と特別支援教育の融合を取り入れることが課題。

○ 学校そのもの、教育そのものが理念として特別支援教育を打ち立てていくということをきちんと伝えるべき。

○ 特別支援教育の質、量を高めるためには、最終的には教職員の意識の高揚と保護者が支援者の一人であることが大事。PTA活動等様々な活動の中で掘り下げるべき。学校教育、地域教育、家庭教育の3者があってこそ教育は成り立つものであり、親の教育に対する自覚は最重要課題。

○ 通常の学校に障害のある子どもがどの程度入るか、又は当然いることを前提にして学校経営・学校教育を行うということは確認すべき。

○ 放課後や夏休み等の居場所確保は大変重要。

○ 島嶼地区など少人数地域での対処方法や支援の仕組みを国全体としてどのように考えるかを検討すべき。

○ 特別支援学級について1人学級~3人学級等。小学校入学時から1人の教員が3年間1人の子どもを指導することが教育活動と言えるか、社会性が身につくか疑問。今後特別支援学級の運営方法が課題。

○ 障害の極めて重い子どもにどう対応するかは大事な問題。訪問教育の実態や望ましい姿を考える必要がある。

○ 医療的ケアが必要な子どもが増加。保護者は、子どもが授業中席を外さずに医療的ケアを受け、皆と一緒に教育を受けることができる体制を望んでいる。

○ 学校支援、就労支援だけでなく、家庭支援、地域生活への支援を一本化して機能していくような支援チームを立ち上げていくことが必要。

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初等中等教育局特別支援教育課

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