第八十一条 (略)
○2 小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
一 知的障害者
二 肢体不自由者
三 身体虚弱者
四 弱視者
五 難聴者
六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの
○3 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。
第百三十七条
特別支援学級は、特別の事情のある場合を除いては、学校教育法第八十一条第二項各号に掲げる区分に従つて置くものとする。
第百三十八条
小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程における特別支援学級に係る教育課程については、特に必要がある場合は、第五十条第一項、第五十一条及び第五十二条の規定並びに第七十二条から第七十四条までの規定にかかわらず、特別の教育課程によることができる。
第1 障害のある児童生徒の就学すべき学校の決定及び障害の判断に当たっての留意事項
2 小学校又は中学校への就学
a 特殊学級
学校教育法第75条第1項(注:現第81条第2項)及び学校教育法施行規則第73条の18(注:現第137条)の規定に基づき特殊学級を置く場合には、以下の各号に掲げる障害の種類及び程度の児童生徒を対象として適切な教育が行われることが適当であること。(略)
(1) 障害の種類及び程度
ア 知的障害者(略)
イ 肢体不自由者
ウ 病弱者及び身体虚弱者
エ 弱視者
オ 難聴者
カ 言語障害者
キ 自閉症・情緒障害者
第百四十条
小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、次の各号のいずれかに該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部科学大臣が別に定めるところにより、第五十条第一項、第五十一条及び第五十二条の規定並びに第七十二条から第七十四条までの規定にかかわらず、特別の教育課程によることができる。
一 言語障害者
二 自閉症者
三 情緒障害者
四 弱視者
五 難聴者
六 学習障害者
七 注意欠陥多動性障害者
八 その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの
第百四十一条
前条の規定により特別の教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、当該小学校、中学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において受けた当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができる。
小学校又は中学校において、学校教育法施行規則(以下「規則」という。)第百四十条各号のいずれかに該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。以下同じ。)に対し、同項の規定による特別の教育課程を編成するに当たっては、次に定めるところにより、当該児童又は生徒の障害に応じた特別の指導(以下「障害に応じた特別の指導」という。)を、小学校又は中学校の教育課程に加え、又はその一部に替えることができるものとする。
1 障害に応じた特別の指導は、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導とする。ただし、特に必要があるときは、心身の故障の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導を含むものとする。
2 障害に応じた特別の指導に係る授業時数は、規則第百四十条第一号から第五号まで及び第八号に該当する児童又は生徒については年間三十五単位時間から二百八十単位時間までを標準とし、同条第六号及び第七号に該当する児童又は生徒については年間十単位時間から二百八十単位時間までを標準とする。
第3章第5節 教育課程実施上の配慮事項
7 障害のある児童の指導(第1章第4の2(7))
平成18年に学校教育法が改正され,従来の盲・聾(ろう)・養護学校は,障害の重複化等に対応した適切な教育を行うため,平成19年度から,複数の障害種別を教育の対象とすることのできる「特別支援学校」に転換された。特別支援学校は,障害のある児童生徒等に対して,小学校等に準ずる教育を行うとともに,障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける教育を行う(同法第72条)ほか,小学校等の要請に応じて,小学校等に在籍する障害のある児童等の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努める(同法第74条)ものと規定された。
また,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等において,障害のある児童生徒等に対し,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うこと(同法第81条第1項)が規定された。このように,特別支援教育については,大きな制度改正がなされたところである。
小学校には,特別支援学級や通級による指導を受ける障害のある児童とともに,通常の学級にもLD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害),自閉症などの障害のある児童が在籍していることがあり,これらの児童については,障害の状態等に即した適切な指導を行わなければならない。
今回の改訂では,障害のある児童の指導に当たっては,特別支援学校等の助言や援助を活用すること,個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うことなどが新たに加わった。
障害のある児童を指導するに当たっては,まず,児童の障害の種類や程度を的確に把握する必要がある。児童の障害には,視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱,言語障害,情緒障害,自閉症,LD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害)などがある。
次に,個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容・指導方法の工夫を検討し,適切な指導を計画的,組織的に行わなければならない。例えば,弱視の児童についての体育科におけるボール運動の指導や理科等における観察・実験の指導,難聴や言語障害の児童についての国語科における音読の指導や音楽科における歌唱の指導,肢体不自由の児童についての体育科における実技の指導や家庭科における実習の指導など,それぞれに個別的に特別な配慮が必要である。また,読み書きや計算などに困難があるLD(学習障害)の児童についての国語科における書き取りや算数科における筆算や暗算の指導など,教師の適切な配慮により対応することが必要である。さらに,ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症の児童に対して,話して伝えるだけでなく,メモや絵などを付加する指導などの配慮も必要である。
このため,特別支援学校や医療・福祉などの関係機関と連携を図り,障害のある児童の教育についての専門的な助言や援助を活用しながら,適切な指導を行うことが大切である。指導に当たっては,例えば,障害のある児童一人一人について,指導の目標や内容,配慮事項などを示した計画(個別の指導計画)を作成し,教職員の共通理解の下にきめ細かな指導を行うことが考えられる。
また,障害のある児童については,学校生活だけでなく家庭生活や地域での生活も含め,長期的な視点に立って幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うことが重要である。このため,例えば,家庭や医療機関,福祉施設などの関係機関と連携し,様々な側面からの取組を示した計画(個別の教育支援計画)を作成することなどが考えられる。
このような指導は,特別支援学校や特別支援学級で行われてきており,それらを参考とするなどして,それぞれの学校や児童の実態に応じた指導方法を工夫することが効果的と考えられる。
さらに,担任教師だけが指導に当たるのではなく,校内委員会を設置し,特別支援教育コーディネーターを指名するなど学校全体の支援体制を整備するとともに,特別支援学校等に対し助言又は援助を要請するなどして,計画的,組織的に取り組むことが重要である。
特に,本章第2節3にあるように,特別支援学級は,障害があるために通常の学級における指導では十分に指導の効果を上げることが困難な児童のために編制された少人数の学級であり,児童の障害の状態等に応じて,適切な配慮の下に指導が行われている。特別支援学級は,小学校の学級の一つであり,特別支援学級も通常の学級と同様,これを適切に運営していくためには,すべての教師の理解と協力が必要である。学校運営上の位置付けがあいまいになり,学校組織の中で孤立することのないよう留意する必要がある。このため,学校全体の協力体制づくりを進めたり,すべての教師が障害について正しい理解と認識を深めたりして,教師間の連携に努める必要がある。
また,通級による指導は,特別支援学級とは別に,小学校の通常の学級に在籍している障害のある児童に対して,特別の指導の場(通級指導教室)において,障害に応じた特別の指導を行うものである。対象となる児童に対する通常の学級における指導と通級による指導とが共に効果的に行われるためには,それぞれの担当教師同士が児童の様子や変化について定期的に情報交換を行い,特別の指導の場における指導の成果が,通常の学級においても生かされるようにするなどして連携に努め,指導の充実を図ることが重要と言える。さらに,他校において指導を受ける場合には,学校間及び担当教師間の連携の在り方を工夫し,情報交換等が円滑に行われるよう配慮する必要がある。
障害のある児童の指導に当たっては,特に教職員の理解の在り方や指導の姿勢が,児童に大きく影響することに十分留意し,学校や学級内における温かい人間関係づくりに努めることが大切である。
なお,学習上の配慮を要する児童については,児童の実態に応じたきめ細かな指導をするよう配慮する必要がある。
第3章第5節 教育課程実施上の配慮事項
8 障害のある生徒の指導(第1章第4の2(8))
平成18年に学校教育法が改正され,従来の盲・聾(ろう)・養護学校は,障害の重複化等に対応した適切な教育を行うため,平成19年度から,複数の障害種別を教育の対象とすることのできる「特別支援学校」に転換された。特別支援学校は,障害のある児童生徒等に対して,中学校等に準ずる教育を行うとともに,障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける教育を行う(同法第72条)ほか,中学校等の要請に応じて,中学校等に在籍する障害のある生徒等の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努める(同法第74条)ものと規定された。
また,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等において,障害のある児童生徒等に対し,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うこと(同法第81条第1項)が規定された。このように,特別支援教育については,大きな制度改正がなされたところである。
中学校には,特別支援学級や通級による指導を受ける障害のある生徒とともに,通常の学級にもLD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害),自閉症などの障害のある生徒が在籍していることがあり,これらの生徒については,障害の状態等に即した適切な指導を行わなければならない。
今回の改訂では,障害のある生徒の指導に当たっては,特別支援学校等の助言や援助を活用すること,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うことなどが新たに加わった。
障害のある生徒を指導するに当たっては,まず,生徒の障害の種類や程度を的確に把握する必要がある。生徒の障害には,視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱,言語障害,情緒障害,自閉症,LD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害)などがある。
次に,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容・指導方法の工夫を検討し,適切な指導を計画的,組織的に行わなければならない。例えば,弱視の生徒についての保健体育科における球技の指導や理科等における観察・実験の指導,難聴や言語障害の生徒についての国語科における音読の指導や音楽科における歌唱の指導,肢体不自由の生徒についての保健体育科における実技の指導や技術・家庭科における実習の指導など,それぞれに個別的に特別な配慮が必要である。また,読み書きや計算などに困難があるLD(学習障害)の生徒についての国語科における書き取りや数学科における計算の指導,外国語科における読み書きの指導など,教師の適切な配慮により対応することが必要である。さらに,ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症の生徒に対して,話して伝えるだけでなく,メモや絵などを付加する指導などの配慮も必要である。
このため,特別支援学校や医療・福祉などの関係機関と連携を図り,障害のある生徒の教育についての専門的な助言や援助を活用しながら,適切な指導を行うことが大切である。指導に当たっては,例えば,障害のある生徒一人一人について,指導の目標や内容,配慮事項などを示した計画(個別の指導計画)を作成し,教職員の共通理解の下にきめ細かな指導を行うことが考えられる。
また,障害のある生徒については,学校生活だけでなく家庭生活や地域での生活も含め,長期的な視点に立って幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うことが重要である。このため,例えば,家庭や医療機関,福祉施設などの関係機関と連携し,様々な側面からの取組を示した計画(個別の教育支援計画)を作成することなどが考えられる。
このような指導は,特別支援学校や特別支援学級で行われてきており,それらを参考とするなどして,それぞれの学校や生徒の実態に応じた指導方法を工夫することが効果的と考えられる。
さらに,担任教師だけが指導に当たるのではなく,校内委員会を設置し,特別支援教育コーディネーターを指名するなど学校全体の支援体制を整備するとともに,特別支援学校等に対し助言又は援助を要請するなどして,計画的,組織的に取り組むことが重要である。
特に,本章第2節3にあるように,特別支援学級は,障害があるために通常の学級における指導では十分に指導の効果を上げることが困難な生徒のために編制された少人数の学級であり,生徒の障害の状態等に応じて,適切な配慮の下に指導が行われている。特別支援学級は,中学校の学級の一つであり,特別支援学級も通常の学級と同様,これを適切に運営していくためには,すべての教師の理解と協力が必要である。学校運営上の位置付けがあいまいになり,学校組織の中で孤立することのないよう留意する必要がある。このため,学校全体の協力体制づくりを進めたり,すべての教師が障害について正しい理解と認識を深めたりして,教師間の連携に努める必要がある。
また,通級による指導は,特別支援学級とは別に,中学校の通常の学級に在籍している障害のある生徒に対して,特別の指導の場(通級指導教室)において,障害に応じた特別の指導を行うものである。対象となる生徒に対する通常の学級における指導と通級による指導とが共に効果的に行われるためには,それぞれの担当教師同士が生徒の様子や変化について定期的に情報交換を行い,特別の指導の場における指導の成果が,通常の学級においても生かされるようにするなどして連携に努め,指導の充実を図ることが重要と言える。さらに,他校において指導を受ける場合には,学校間及び担当教師間の連携の在り方を工夫し,情報交換等が円滑に行われるよう配慮する必要がある。
障害のある生徒の指導に当たっては,特に教職員の理解の在り方や指導の姿勢が,生徒に大きく影響することに十分留意し,学校や学級内における温かい人間関係づくりに努めることが大切である。
なお,学習上の配慮を要する生徒については,生徒の実態に応じたきめ細かな指導をするよう配慮する必要がある。
初等中等教育局特別支援教育課