資料1 関係団体からのヒアリングについて(意見概要)

今後の就学指導の在り方等に関する関係団体からのヒアリングについて(意見概要)                                 

                                  

【ヒアリング団体】

○11月10日(月曜日)

  • 全国特別支援教育推進連盟
  • 日本発達障害ネットワーク(JDDネット)
  • 日本障害フォーラム(JDF)

 

○11月18日(火曜日)

  • 全国都道府県教育長協議会(書面)
  • 全国都市教育長協議会
  • 全国町村教育長会
  • 全国国公立幼稚園長会
  • 全日本私立幼稚園連合会
  • 全国連合小学校長会
  • 全日本中学校長会
  • 全国特別支援学校長会(書面)
  • 全国特別支援学級設置学校長協会(書面)

 

1.早期からの教育相談や支援を充実するための方策について

・早期からの教育相談や支援に関わる関係機関の協力による「就学支援計画」の設定とネットワークの確立が必要。

・早期からの教育相談や情報提供など子育て支援・家族支援が重要であり、総合的な窓口となる発達支援センター等を整備し、教育と福祉が密接に連携・協力するシステムが必要。

・乳幼児期からの支援プログラム情報(個別の支援計画等)を各関係機関で共有化するため、発達支援センター等で管理し、より適切な支援ができるような体制づくりをすべき。

・地域の情報や就学先の教育活動等に関する具体的な紹介を積極的に行うことが必要。また、居住地の小・中学校や特別支援学校の行事、体験授業への参加等を通しての理解啓発を含めた支援が必要。

・障害が発見された時に良いアドバイザーがいれば保護者の不安が解消される。就学前において、保護者に対して子どもの社会的な自立に向けて客観的判断ができるような専門家による助言・支援体制を整えることが重要。

・保護者支援が早期対応の手がかりとなる。子どもの気付きや変化に関する相談は、大多数が「母親」であるため、母親が相談しやすい窓口を設定し提供すべき。

・何らかの障害が発見された時点で、居住地の行政機関に連絡が届くシステムをつくるべき。その子どもについて、市区町村は、保護者と共に就学先を含む当面の個別の支援計画を作成し、在籍する幼稚園及び小・中学校等は、保護者や本人の意向も尊重しながら個別の教育支援計画を作成することが必要。

・長期見通しを持った個別の教育支援計画については、幼児期に将来までを見通すことは難しく、保護者の作成への同意・共通理解は難しい現状であり、幼稚園においては個別の指導計画の作成を充実させ、個別の教育支援計画については必要に応じて作成することとするなど、柔軟な仕組みが必要。

・早期からの支援を行うためには幼稚園教諭・保育士等の特別支援教育に関する理解と指導技術向上が必要であり、指導する際にPT・OT・ST等専門家による助言が得られる協力体制が必要。

・幼稚園や保育所での障害のある子どもの受け入れ促進はもちろんのこと、それらに対する障害児専門機関(児童相談所、特別支援学校幼稚部、障害児通園施設、児童デイサービス等)からの支援と連携の強化が必要。

・保護者・所属機関の支援者が子どもの障害や発達の状態を的確に理解することが必要であり、そのための外部専門家の協力(行動観察、療育相談等)を得て、客観的な捉え方をするべき。

・地域の保健師など他機関の職員と連携することにより、幼稚園や療育機関等が関わっていない障害のある幼児に対する支援が必要。

・乳幼児検診に関わる保健師の特別支援教育に関する理解向上を図るとともに、就学時健康診断における教育関係者や専門家の配置、育成を行うべき。

・早期の教育相談について、文部科学省での予算化と人員配置が必要。

・新生児聴覚スクリーニングの普及による聴覚障害の早期発見の増加を踏まえ、最早期からの教育相談を含めた相談体制の充実と人員の予算化。

・幼稚部就学以前の相談体制について文部科学省の管轄に一本化し、人員の予算化。

・発達障害等のある幼児への早期からの支援を行うため、幼稚園・保育所等への専門家による巡回相談や5歳児検診の実施が必要。

・乳幼児・2歳児・3歳児・4歳児・5歳児検診・就学前検診を義務化すべき。法令を改正し、就学時健康診断の時期を早めるべき。

 

2.就学指導の在り方について

・不安や悩みの解消に向けた就学上の相談支援を強化すべき。

・市町村教育委員会や都道府県教育委員会に教育相談のための常設窓口の設置、電話相談、インターネット相談など、障害のある子どもの保護者との情報交換など。)。

・教育、福祉、療育的な場にない子どもの保護者への巡回訪問など。

・保護者のニーズに対応した相談時間帯の設定や相談内容への信頼性を高めるとともに、母子手帳の利用等、保護者に抵抗感の少ないアセスメントの導入に心がけるべき。

・教育センターや特別支援学校等が、保護者に対し教育相談を実施するとともに、さまざまな支援についての情報提供を行うことが必要であり、そのためには、保健・医療・福祉機関等と教育関係者が連携し、就学前の他機関等の保有する情報が、切れ目なく就学時につながるような仕組みの構築が重要。

・就学にあたっては、保護者があらかじめ十分に判断できるよう、早期からの特別支援教育に関する情報提供や教育相談を行う体制づくりが重要。

・幼稚園においては、特別支援教育コーディネーターの指名や校内委員会の設置等による校内支援教育体制を整備するとともに、保育所等においても同様の役割を果たす支援体制を整備する必要がある。

・教育センターや特別支援学校・地域の専門家等からの支援により個別の教育支援計画を作成することが必要であり、その際、教育センターや特別支援学校等は、私立の幼稚園等から要請があった場合にはできるだけ支援を行えるよう教育相談体制を整備することが必要。

・市町村及び都道府県の就学指導委員会を一層実効性のあるものとするため、市町村教育委員会が障害のある幼児の個別の教育支援計画を作成することを通して保護者との教育相談を行うとともに、個別の教育支援計画を就学指導の資料とすること等も必要。

・就学先の決定については、早期から保護者と連携して教育的ニーズをきめ細かく把握することに努めて適切に対応すること等により、市町村教育委員会が総合的に判断し、「認定就学」の枠組みにこだわることなく本人の教育的ニーズに最も適切に対応できる学校を就学先学校として決定することがよりふさわしい。

・乳幼児から就学まで、しっかり連続した形で「個別の支援計画」を策定し、単なる教育の場の選択ではなく、一人一人が持つニーズを明確にし、1.移行支援プログラムの提示、2.子どもの課題を明確にする、3.その課題を達成するためにはどこの教育機関が適切か、という手順で就学先を決定することが重要。

・市町村教育委員会が個別の教育支援計画を作成し就学先を総合的に判断する際、小学校入学段階及び以前での客観的な状況把握のため、幼稚園・保育園等の教諭・保育士による客観的な観察記録が専門家との協力体制の下に行われていること、保護者が子どもの将来のために客観的に考えられるような支援体制があることが重要。

・「個別の教育支援計画」に基づき、適切な就学先が選定されるべき。その際、教育機関と保護者の相互理解は当然であり、本人や保護者の意向に基づいたものであるべき。就学先決定会議に保護者も参加するシステムにするべき。

・市町村に医師等専門家も常駐する療育センター等を設置し、そこでの専門家によるアセスメントと保護者の意向を考慮し、就学先の学校長の判断によって就学できる等、手続きの簡素化を目指すべき。

・本来あるべき就学制度は、障害の有無にかかわらず同じ手続きのもとで就学通知を出し、本人や保護者が望む際に特別支援学校への就学を認めること。一方的に決定する方式を改めるべき。

・学区の受け入れ体制の状況や特別支援学校の状況を、ありのまま保護者に伝えて判断の材料を公開し、保護者・児童に就学先の選択を委ねるべき。

・近年、就学先の決定において保護者の意見を尊重することから、結果として不適切な就学になり、不登校児や学習に参加できない児童生徒が増えている。就学相談機能の充実や家庭の協力が必要。

・就学時健康診断について、教育関係者の立ち会いが少ないとの意見もあり、この点に配慮した扱い方の工夫があってよい。

・就学基準について、より明確化することも含め、教員・保護者への啓発が必要。

・就学支援シートについて、境界線の子どもについては現場として迷うところが多く、事務量も大変多くなる。また、自治体によっては対象を障害のある子どもと明示しない例もあり、対象者等を明確にしてほしい。

・特別支援学校・特別支援学級を中心として、居住地の小・中学校の通常学級での地域の関係機関との連携も含め、「個別の教育支援計画」に基づいて、就学先決定手続きに位置づけるべき。

・障害のある児童生徒が、地域の小・中学校に在籍しながら、特別支援学校において必要な指導を受けることができる学校教育制度の検討が望まれる。

・特別支援学校の分校や交流及び共同学習での対応にとどまらず、入り口を分けることのないインクルーシブ教育の方向性の明確化が重要。

・就学先決定手続きの中に合理的配慮の提供を含む「個別の教育支援計画」を明確に位置づけ、機能させる必要がある。また、同計画は、保護者や教員、本人等が加わり策定すべき。

・すべての小・中学校において「個別の教育支援計画」の策定を義務化すべき。

・「個別の教育支援計画」に基づき、地域における普通学校への就学を原則として、どの就学先においても合理的配慮が得られるようにすべき。

・幼稚園から小学校への接続においては教員同士の交流が不可欠だが、物理的に困難。幼稚園等に通う障害児について、地域の小学校が事前に当該障害児の支援に関する情報を共有し、受け入れ態勢の整備を図れるような施策を講じるべき。

・通常学校への就学の際、学区外でも希望があれば必要な施設・設備のあるところに通学できるようにしてほしい。保護者の付き添いを条件にされることがないようにしてほしい。

・就学指導における判断力向上のため、専門医・保健師・専門性の高い教員・居住地校の教職員等の人材の確保による指導体制の確保や、施設・設備等の環境条件整備に係る国の財政支援が必要。

・今後は、子どもの発達やニーズに合わせて、必要な教育的支援を選択できる特別支援教室構想の実現等、「連続性」のある仕組みの構築が必要。

・境界線の状況の子どもに対応するような学級の設置や適切な就学先への通学支援について考慮する必要がある。

・適切な就学のため、ある期間をもって体験入学(学習や生活)を実施し、集団の中における生活適応能力や会話能力を確認したり、就学先の見学を十分に行うことが必要。

・就学指導の本来の希望は就学後も継続されるもの。期限付の決定もあるべき。校内委員会を中心とする特別支援教育体制の実施と評価の中に積極的に統合・包含されるべき。

・就学指導は、1.具体的で効果的な支援を保護者と共に相談する場であり、2.必要な支援を選択し、3.実施の成果を継続的に評価する場でなければならない。

・就学猶予・免除について今後も例外的措置として行うのか検討すべき。

 

3.継続的な就学相談・指導の実施について(就学校の柔軟な変更)

・個別の教育支援計画の定期的な見直し等により継続的な就学相談・指導を進めるべき。就学後においても校内(校内委員会)や教育委員会の就学指導委員会が必要に応じて就学指導のフォローアップを行うことが極めて大切。

・市町村及び都道府県の教育委員会は、児童生徒の障害の状態に応じ、特別支援学校と小・中学校間の転学、特別支援学級と通常学級間の転籍等が円滑に行えるよう、その手続き等の簡素合理化を図っていくことが必要。

・児童生徒の教育的ニーズを継続的に把握するための体制整備が必要(校内委員会により、又は就学指導委員会に巡回による継続的な把握のための機関を設けることにより、定期的に子どもの変容を把握しその状況による対応など)。

・就学時に振り分けてしまうのではなく、「個別の教育支援計画」に基づき、長期的な展望に立ち、入学後も節目節目で見直しができる、双方向で行き来ができる、柔軟性や納得感のある仕組みの構築が必要。

・就学後も、中期的視点で本人の状態を把握し、その時に必要な支援の提供が、スムーズな学校変更を含めて可能になるような仕組みを実現すべき。

・就学先の決定については、篩を止めて現状を基にしていくらでも変更できるような制度にすべき。

・学校卒業後、円滑に社会人として生活し、一般就労できるよう、在学中から就労移行支援事業、委託訓練等、福祉や労働機関との連携を強化するとともに、進路指導担当教員の加配等、進路指導の充実・強化を図る必要がある。

・継続的な就学相談等のため、学校では校内体制の整備、関係機関との連携を適切に進めるべき。適切な専門教諭の増配置が必要。専門性を持つ人材の確保も大切。

・教員の短期間の必異動に懸念がある。校長の具申を踏まえた専門性ある教師の確保も必要。

・一度決めた就学先の変更を認め、児童生徒・保護者への相談体制は堅持し、児童生徒・保護者との系統的かつ継続的な意思疎通を図りながら、障害を理由として教科内容を学校側で一方的に決めてしまうことは避けなければならない。

・療育から教育、就労までの関係機関の支援が継続できるよう「個別の支援計画」を作成し、「相談支援ファイル」等の活用と引継ぎシステムの構築が必要。

・個別の教育支援計画については、学校卒業後も見据えた長い期間での計画作成が必要であるため、保健・医療・福祉・労働等関係機関が連携し、切れ目のない支援ができるよう、「就学支援シート」や「相談支援ファイル」「手帳化」等の検討も必要。

・教育委員会は、福祉・教育・医療の何れを優先すべきなのかを、その子どもの状況や成長段階を踏まえ把握する必要がある。

・市町村教育委員会ごとに、同じ子どもについて継続して関われるような専門家チームが設置できるシステム作りが必要。

・保護者に寄り添いながら、誕生から小・中学校卒業まで継続的に見守り、支援できるシステムの構築が必要。そのため、発達支援センターの設置や、特別支援学校による保護者・教師への支援体制の整備等が必要。

・就学指導委員会の判断と異なる就学をした場合においても、定期的・継続的に児童生徒に対する就学指導や教育相談を行う仕組みを構築していくことが重要。

 

4.居住地の小・中学校との関わりについて

・特別支援学校に就学した場合の居住地の小・中学校との関わりを高めるべき。

・居住地校交流や副籍・支援籍等の取組を推進すべき。

・居住地交流は地域差が大きく、どのように進めていくか課題として重要(目的、対象、付き添い方、教育課程上の位置づけ等)。

・今後、副籍を進めるには区市町村での対応格差をなくし何より相互理解が必要。

・居住地校交流について、学校と本人の間にコーディネーターが必要。

・居住地校交流について、当日の指導は各地域の学校が中心に行い、特別支援学校の指導教諭は巡回しながらいくつかの学校を回り指導する形をとれば、交流の回数も増え、双方の学校での教育効果が高まるのではないか。

・居住地校交流の実施の際には、交流を希望する保護者との連絡を十分に行い、出来ることと出来ないことを理解することが必要。しかし、教育活動の中において、出来ないと判断することは皆無。

 

5.市町村教育委員会の体制整備について

・就学先の決定・支援並びに教育内容の決定等、子どもの就学状況を整えることは、市区町村教育委員会の義務事業であることを確認したい。

・保護者に、できるだけ早期から的確に新しい情報と資源の提供を図るために、教育委員会に子ども支援センター等の常設の窓口を設置し、保護者の不安や悩みの解消に向けた支援を行うべき。

・就学指導委員の専門性や人員配置が必要であり、就学指導や就学相談担当者の資格認定や専門職としての位置づけの検討が必要。

・「個別の支援計画」の作成責任者として、就学先の決定と連絡等の役割を有することを考えれば市町村教育委員会の責任は重い。乳幼児期から「個別の支援計画」が作成され、支援が実施できる体制を市区町村の中に位置づけ、機能させることが重要。

・円滑な就学指導を行うに当たっては、国、都道府県教育委員会との連携・支援が必要。

・就学移行期も連携・協力による就学上の支援も重要であり、市町村教育委員会において担当や窓口の強化充足が問われる。

・障害の有無の判断や、望ましい教育的対応についての意見の各学校への提示等を行える専門家チームを教育委員会に設置し、巡回相談を実施することが必要。

・支援体制チーム(医療担当者、教育担当者、心理担当、福祉担当等)の管轄するエリアを福祉圏域単位で構成する等、できるだけ細やかにすべき。

・早期から区市町村教育委員会で個別の教育支援計画を作成するのはよいが、それを担当する人的な整備を諮るとともに、就学先の決定については専門的な見解がより反映されるような仕組みを整備する必要がある。

・身近な地域で教育が受けられるよう教育環境の整備を推進し、地域格差が是正されるようにすべき。

 

6.その他

・担当指導主事の配置を拡大すべき。      

・学校及び教職員の専門性の確保・充実が重要であり、教職員に対して研修の機会等を設けてほしい。

・普通学校における、多様な障害に対応することが可能な教員の養成及び教員の増員が急務。

・各障害種ごとの専門教員を必要に応じて配置し、担当者を1名しか配置できないような場合には、各障害種についての専門性を持った教員を配置してほしい。

・教育者の資質が重要であるが、人事異動が多く、専門性の高い教員が特別支援学校に少なくなってきた。

・特別支援教育コーディネーターや特別支援教育支援員の更なる専門性の確保と、配置のための財政措置の充実を図るべき。

・小・中学校において、特別支援教育コーディネーターは通常業務との兼任になっており十分な支援ができていない状況なので、特別支援教育コーディネーターの定数外の加配が必要。

・特別支援教育コーディネーターについては、省令主任とすべき。また、研修制度を充実させる必要がある。

・特別支援学校のセンター的機能の充実に向け、人的配置を行うとともに、日常的に地域の学校で教師や保護者への支援が行えるような体制整備が必要。まずは地域を育てる努力と、障害のある児童生徒に日常的にかかわりながらの研修機会が必要。

・普通学校のバリアフリー化や特別支援教育支援員の配置等が遅れており、自治体への指導を強化してほしい。

・特別支援教育支援員について、専門性の養成や教員・介護等の有資格者の人材確保が難しく、財政措置の増額が必要。

・心臓病やてんかんのある子どもに特別支援教育支援員が配置されることは少なく、保護者が対応しているのが現状。常時の支援ではなくとも、必要なときに支援を受けれるよう、特別支援教育支援員の弾力的活用が必要。

・幼稚園から中学校までの特別支援教育支援員を充実すべき。

・全ての普通学校に専門性を持った介助職員を配置してほしい。

・医療的ケアの実施体制を充実するとともに、地域間格差を是正してほしい。

・小・中学校においても常時医療行為を必要とする児童生徒のための看護師等専門性を有する外部人材を配置すべき。

・特に医療的ケアが必要な子どもの場合には医療・福祉との連携が欠かせないので、文部科学省と厚生労働省が関係を密にして体制づくりを強化してほしい。

・障害部門別制を実施してほしい。特に医療的ケアの必要な重度・重複障害のある子どもに配慮し、個々のニーズに合わせた教育を行ってほしい。

・PT、OT、ST、看護師等の外部専門家による指導・支援を拡充してほしい。

・幼稚園の現場に専門家を迎え入れることが、財政面や省庁の縦割りもあり困難。

・年度途中で転入生を受け入れる場合も多く、学級が設置できずに非常勤職員等で対応しているが限界。柔軟な対応を考えてほしい。

・特別支援学級について、通級の対象児童だけでも開設できるようにするなど、人数・障害種等の弾力化を図ってほしい。

・特別支援教育就学奨励費の支給方式の現状堅持。

・学校のバリアフリー化については地域差が大きく、一層の進展を望む。特に教室移動の多い中学校については、エレベーターと障害者用トイレを設置してほしい。

・特別支援学校において知的障害の生徒数増加による教室不足・学校不足は深刻。施設設備を充実すべき。

・特別支援学校について、教室不足、トイレ不足等の実態や統廃合により空き教室でろう児が他の障害をもつ子どもと一緒に教育されることもある状況を早急に改善すべき。

・特別支援学級でも対応できる子どもが保護者の意向により特別支援学校に入学する。また、通常学校では障害のある子どもを十分指導できる先生が不足しているほか、受け入れ態勢が整っていない。このため就学相談で特別支援学校を勧められ、特別支援学校も受け入れる。これらにより特別支援学校の定員超、教室不足を招く。

・地方では、通級の設置校や教員が少なかったり、設置校が遠距離にあったり、家庭の事情により校外通級のための付添者が得られない等の理由から通級による指導を受けられない場合が少なくない。交通網が不十分な地方では、小さな教室を散在させて巡回指導を実施する等の方策が必要。

・地方において、言語障害通級指導教室が発達障害児を抱え込んでいる状況が増えている。

・通常学級に在籍する発達障害のある児童生徒の指導を行うための「通級指導教室」や「特別支援教室」等の全校配置と、その指導にあたる教員の配置が必要。

・特別支援学校の分校や交流及び共同学習というような対応にとどまらず、特別支援学校から特別支援学級の施策転換や「特別支援教室」の制度化など、インクルーシブ教育への方向性を明確化することが重要。

・普通学級における集団での学習を推進するにあたって、学級集団の規模と支援を必要とする子どもの人数や障害の状況との関連や、学級のグループダイナミックス・活力・学習推進力等に配慮した学級編制ができるような仕組みを考える必要がある。

・障害のある子どもが普通学級に在籍する場合、障害のない子どもにとって大きな教育的意味があるが、障害のある子どもにとっては個別の支援のほうが効果的な場合もあり、適切な教育ができない場合もあるのではないか。

・高等学校について、教職員の理解促進と校内支援体制の整備、特別支援教育支援員の配置のための財政措置の充実等、発達障害等のある生徒を支援するシステムを構築すべき。

・高等部に軽度発達障害の生徒が年々増加。高等学校への受け入れや指導要領の見直しをすべき。

・高等部3年間では就労に結びつく技術は身につかない。子どもの可能性を広げるためにも専攻科など高等部卒業後の進路機関の設置を検討してほしい。

・特別支援学校を卒業後、一般就労等ができるように、在学中から就労移行支援事業、委託訓練事業等、福祉や労働との連携を強化すべき。また、就労移行支援事業の拡大のため、行政・企業・福祉・教育の連携を強化し、働く意欲のある障害者の職域を拡大してほしい。

・障害者自立支援法における就労移行支援等に連動する基礎的な訓練に特別支援学校・普通学校でも取り組むことができるよう、厚生労働省と連携した新制度を創設してほしい。

・特別支援教育の研究機関の充実(独立行政法人国立特別支援教育相応総合研究所をはじめ都道府県毎に特別支援教育研究所の設置)を図るべき。

・障害者権利条約の批准に向けて教育全般に関する検討の場を設けるべき。

・障害者の権利条約について教育関係者との検討の場を設けるべき。

・権利条約において手話を言語として位置づけたろう教育の場として、ろう学校を存続させるべきであり、ろう教育に携わる教員の資質の維持及び向上を図るべき。

・障害の重度・重複化に伴い、どの障害を主障害とするかの判断については、オーディオロジスト等の専門家や、経験のある聴覚特別支援学校教員の意見を尊重すべき。

・聴覚障害児への教育については集団の確保が特に必要であり、特に単独の聴覚障害特別支援学校のない人口密度の低い地域において、集団をいかに確保するかについて十分な配慮をしてほしい。

・聴覚障害者教育に親が最も望むことは、最終的に自立した社会人になれるようにしてほしいということであり、そのためには障害者自立支援法と密接に結び合わなくてはならない。

・盲聾を独自の障害区分として位置づけるべき。

・教材の充実が必要。また、知的障害の児童生徒の教科書がないので、各学部・各学年の教育に相応する内容が記載された教科書の作成を望む。

・知的障害の特性にあった指導ができる先生の育成や障害の重度・重複・多様化に対応できる先生の育成とともに、受け入れ体制を整えた上で、小学校低学年までは全員が地域の小学校に入学できることを検討してほしい。

・心臓病やてんかんのある子どもが特別支援教育の対象であることを周知徹底してほしい。

・モデル事業の成果を全障害児支援モデルに応用する体制が必要。「地域が一障害を見ていく」という視点から考えると、地域で見守っているNPOを行政が育てていく形が必要。

・障害児の「放課後子ども教室」等の積極的な利用促進を図り、余暇活動の保証を行うべき。

・新しい仕組みを構築する際には、「個別の支援計画」「個別の教育支援計画」「就学支援シート」等の言葉について用語の定義をわかりやすく明示してほしい。

・幼稚園・小学校・中学校における特別支援教育の推進体制を構築するために一番重要な点は、校長の特別支援教育に関する理解とリーダーシップ。

・特別支援教育制度は障害者を一括りにしているため、重度・重複障害のある人々にとっては厳しい状況。

・特別支援教育が単なる学校教育に留まらず、生涯教育として機能するよう、制度の更なる向上を望む。

・疾患・障害別の対応の前に、人間教育を最重要視してほしい。

・教育は学校だけで行われるものではない。学校では基礎知識を学び、家庭では社会人としての教養や社会的ルールを教える必要がある。

・障害のない児童生徒・家族・地域住民等、多くの人たちが特別支援教育の推進に参画できるシステムを構築してほしい。

・障害者に関する理解・啓発のため、国を挙げて、普通学校や会社に出向き一定の時間を割いて研修等を行うことが大切。

・社会一般に対して、障害のある子どもの理解をより一層進めることが大切。障害者との触れ合いを通し、共生社会を目指した取組を進めてほしい。

 

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)