特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第8回) 議事要旨

1.日時

平成20年11月18日(火曜日)13時30分~16時

2.場所

中央合同庁舎第7号館 西館 金融庁9階 共用会議室1(903)

3.議題

  1. 関係団体からのヒアリング 1.全国都市教育長協議会 2.全日本中学校長会 3.全国国公立幼稚園長会 4.全日本私立幼稚園連合会 5.全国町村教育長会 6.全国連合小学校長会 7.全国都道府県教育長協議会(書面のみ) 8.全国特別支援学校長会(書面のみ) 9.全国特別支援学級設置学校長協会(書面のみ)
  2. その他

4.議事要旨

ヒアリング発表者

全国都市教育長協議会 鈴木 秀昭 会長

全日本中学校長会    佐藤 真人 生徒指導部長
               川名 葉子 生徒指導副部長

全国国公立幼稚園長会 岡上 直子 会長

全日本私立幼稚園連合会 安家 周一 副会長

全国町村教育長会   髙橋 健彦 会長
              川﨑 松男 東海村立東海南中学校長

全国連合小学校長会 向山 行雄 調査研究部長
              田中  誠 特別支援教育委員会委員長

 

(1)髙倉座長より挨拶が行われた。
(2)事務局より配付資料の確認が行われた。
(3)各団体より資料に基づき意見発表された後、質疑応答。

   その概要は以下のとおり

〔概要〕

○:委員
◎:ヒアリング団体

 

(全国都市教育長協議会)

○ 資料1の1において、適切な就学につなげるための早期からの教育相談や支援の充実について、「特別支援学校に幼稚部を設置し、地域の発達支援センターとしての機能を持たせることも1つの方法である。」という意見があるが、センター的機能を持たせるために、幼稚部にどのような幼児を在籍させることを想定しているか。

 また、就学先決定の手続について、資料1の2の1つ目の点で「専門家の意見を聞きながら保護者に就学先を決定してもらう仕組みがよい」ということが書かれているが、3つ目の点では「専門家や保護者の意見を聞いて市町村教育委員会が判断をする仕組みがよい」ということが記されている。都市教育長協議会としてどちらが良いと考えているか。

◎ 1点目の質問については、市で1歳児、3歳児、5歳児と健診していくので、幼稚部ではまだ障害の種別が分かれていないが、そのような段階から、総合的に実際に障害のある子どもを見て、その資料を得て、小学校への就学につなげていくという趣旨。

 2点目の就学校の決定については、保護者の考え方を最大限に尊重するということを1つ目の点で述べている。1つ目の点と3つ目の点は両論併記ということではなく、保護者の考えを最初に聞き、最終的には市町村教育委員会が総合的に判断して決めるというプロセスを書いている。

○ 幼稚園は、私立と公立が混在しており、私立幼稚園が圧倒的な多数を占めている。また、5歳児でいえば3割程度が保育所に在籍しているが、従来保育所は教育委員会と接点がなく、設置者が非常に多様。それらの点についてどのような考えを持っているか。

◎ 公立では、幼稚園や保育園に障害のある子どもがいる場合に比較的支援体制が組みやすいが、保育園は別にして、私立幼稚園では、巡回相談等に行ってもなかなかその手当てをしにくいと体験的に感じている。教育委員会としては、小学校へ上がったときに幼稚園や保育所での情報を持っているのと持っていないのとでは随分違うので、できるだけ早い時期からデータを積み上げていくことが重要。今、個人情報の扱いが非常に難しく、例えば、巡回相談で集めた資料をどのように保管していくか、あるいは引き継いでいくかということは問題点だと思う。

○ 資料1の3に「認定就学を行う上で必要な専門性の高い教員による指導体制、施設・設備等の環境条件整備に係る国の財政支援が必要不可欠である。」とあるが、これは認定就学に限っての意見ではなく、全般的なことも踏まえた上で、特に認定就学について、という趣旨の意見か。

◎ 資料では人的な面とハード面の両方をまとめているが、特に人的な面で、障害が多様化している中、近隣にエキスパートの医師や職員を得にくく、例えば、県内のどこに常駐しているのかを明らかにするようなシステムができればよいと思う。特に発達障害等の場合に専門家が得にくい。また、診断のできる専門家が少なかったり、医療的ケアの可能なスタッフや看護師を学校に配置することが困難であるなどの切実な問題がある。

 

(全日本中学校長会)

○ 私が巡回相談で行っている中学校では、養護教諭の先生が特別支援教育コーディネーターとして活躍している。養護教諭の場合、持ち時間を減らすというわけにはいかないが、養護教諭は全校の生徒のことを知っており、その利点を生かしながらうまく中学校で特別支援教育コーディネーターとして機能させる方法について、何か案があれば教えてほしい。

◎ 普通の教諭の場合には、授業の持ち方の関係でうまくいかないこともあるだろうが、持ち時数を軽減することが望ましい。養護教諭の場合には、検査等の際の補助員等の措置があればやりやすくなると思う。また通級指導の教諭が特別支援教育コーディネーターになっているケースも多く、通常学級の教諭と同様、持ち時数の軽減が望ましいし、できれば、定数外の配置が望まれる。

○ 資料2に「保護者が目先のことにとらわれることなく子どもの将来のために客観的に考えられるような支援体制があることが重要」とあるが、具体的にはどのような支援体制を考えているか。

また、東京は副籍事業をやっており、全国的にも交流及び共同学習の推進が大きな柱になっているが、両校の連携なくしては進まない。具体的に副籍をやっている中で、今後の課題やアイデアがあれば教えてほしい。

◎ 1つ目の質問については、小学校入学の際の就学指導について十分に知っているわけではないが、専門家も入り、客観的データが得られるようなネットワークづくりを行い、それに基づいて、保護者が客観的な判断ができたり、保護者の将来的不安をなくせるようなシステムを構築してほしい。

  2つ目の副籍に関する質問については、特別支援学校での学習内容・本人の状況・受け入れる側の状況の3つの兼ね合いの中で、具体的にどの程度通常学級に通うのが良いかを決めていくので、教員同士の交流のためにも、お互いに知り合うことが大切。副籍は大変重要なものだと思うので、進めていくべき。

◎ 副籍を活用している学校では、学校便りや行事の案内等を、指定された学校から特別支援学校へ送付することが多いが、逆に、特別支援学校からも地域指定の学校に発信していくことにより、相互の理解が進み、特別支援学校の子どもが来たときに違和感なく一緒に給食なども食べられるようになったという事例があるので、直接的な交流はなかなか進まなくても、まず、文書や作品による間接的な交流から、教員同士、子どもたち同士が相互に理解し合っていくということが土台にあると、随分円滑に進むのではないか。

○ 小学校6年から中学1年にかけての、中学校における就学相談・入学相談について、その難しさや課題等を教えてほしい。

◎ 保護者が早期に相談を受けて、心の準備をし、子どもに対するケアを行っている場合と、そのような相談を受けずに小学校6年間を過ごした場合では、中学校段階で、学力・集団適応・対人関係等、いろいろな面で開きが出てくる。早期から相談を受けている方は、中学校に入ると、中学卒業後のことも視野に入れながら、担任や特別支援教育コーディネーター等と中学校3年間の過ごし方について準備を始める。子どもの障害に気づいていない、あるいは認めたくないという場合には、保護者の気持ちにこちらが共感してあげる中で、少しずつ、今何ができて何をこれから身につけさせることが必要かということを、きめ細かく相談に乗っていくことが大切。

 

(全国国公立幼稚園長会)

○ 校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名について、公立幼稚園の実態はどのような状況にあるか。

◎ 全部の実態を把握しているわけではないが、例えば当園では、特別支援教育コーディネーターは、特別支援教育の経験が豊かで、かつリーダー的な役割も果たせることから、学級担任4人の内、経験でいうと2番目の教諭を指名している。委員会に関しては、巡回指導員に来てもらった折やその前後に、副園長が中心になり、特別支援教育コーディネーターと参加者を決めて実施している。

○ 幼稚園と小学校との連絡会等は、どのように持っているか。

◎ 市町村によって違い、連絡会を正式な形で持っているところもあるが、当園では進学先から就学前に問い合わせがあり、そこで確認をし、幼稚園に来てもらって連絡をするという形が多い。市町村によっては、幼稚園・小学校・保育所の連絡会を持っているところもある。

○ しっかりと支援がされ、集団の中に子どもがきちんと位置づいている幼稚園をよく見るが、その支援内容等を小学校へ引き継いだり、参観や話し合い等を通して学校に行った場合の課題について保護者に伝えたりすることはできるのか。また、資料3に「境界線の状況の子どもに対応するような学級の設置や適切な就学先への通学支援についても考慮する必要がある。」とあり、これは特別支援学校や特別支援学級に就学するのは難しくても通常学級にそのような仕組みができればよいのではないかという趣旨だと思うが、その仕組みについて具体像を教えてほしい。

◎ どの子どもについても育ちの様子は伝える必要があるが、早期から支援の必要な子どもついては常に幼稚園で十分な支援をしていきたいし、これは保護者と共にでなければできない問題であり、常に保護者に情報を伝えたり、話し合いを持ったりしている。また、就学の見通しの決定をするのはあくまでも就学指導委員会であるということを確認しつつ、常に子どもの障害や必要な支援に関して、担任と特別支援教育コーディネーター、あるいは巡回相談員と連携しながら保護者に必ず伝え、保護者も課題意識は持っている。ただ、境界線の状況の子どもの保護者が特別支援学級を見に行くと、自分の子の状況とあまりにも違うことに驚き、これならば普通学級に就学させたいという思いになることが多い。保護者の中には、1、2年は普通学級の中でやってみて3年生ぐらいになったときにまた考えたいという方もいるので、そのような個別の対応ができるような柔軟な仕組みが必要かと思う。

○ 資料3に、「特別な配慮や支援によって幼稚園の学級集団の中に位置づいている」という話があり、その後、「小学校では、時間の区切りや学習のスタイルが異なり、学級経営に大きく影響される場合も考えられる」という内容の記載があるが、幼稚園での支援内容や効果、補助の先生の役割等を小学校に説明しているか。幼稚園で手をかけ過ぎていることで小学校において同様の支援が受けられないという見通しがあるのであれば、移行支援等、幼稚園としてできることを考えているか。

◎ 幼稚園だけで終わっていいとは決して思っていない。将来につなげるために、コミュニケーションに力を入れて、常に様々な支援をしている。小学校に行くと難しくなるのは、学習スタイルの違いの大きさと、時間割で区切られること。幼稚園というオープンな集団では可能だった柔軟な対応が、小・中学校では区切りの違いがあり困難。幼稚園段階では、特に5歳児学年の年度の後半頃は、そのような小学校の学習スタイルにも合うように教育課程・指導計画を作成している。それでも、小学校では、その中での適応や、学習についていくこと等が難しくなるという趣旨の記載。

 

(全日本私立幼稚園連合会)

○ 保育所の場合には巡回の相談支援システム等があるが幼稚園の場合にはそれがなかなか難しいということだが、特別支援学校のセンター的機能による支援等の現状を教えてほしい。

◎ 私立幼稚園の所轄は都道府県の知事部局の中にある私学担当部局。そのような意味で、市町村教育委員会との関わりは薄く、就園奨励費に関する窓口がある以外には、教育内容的な指導やサポートは現実にはあまり受けられておらず、そのような支援を受けられるということを多くの幼稚園が知らないまま孤軍奮闘しているのが現実。

○ 特別支援教育に関する関係機関からの支援について、療育センターによる支援・福祉等の実情は、全国的にどのような状況にあるか。

◎ 保育所の場合は、療育センターの支援との関係性が深く、市の保育所の担当部局が道づけをしてくれているということは現実にあるが、私立幼稚園の場合は、そのような支援が受けられるというイメージをもともとあまり持っていないこともあり、支援が必要な子どもの入園を回避しようとする例もある。そのようなサポートの大分手前のところで、まだ戸惑いが多くあるのが現状だろうと思う。

○ 資料4に「一般学級における特別支援児にとって、普通学級にいることが意味ある環境となりうるか」との記載があるが、具体的にどのように考えるか。

  また、早期に生まれた子どもについて、1年早く小学校に就学しなくてはならないことが子どもにとって困難であるという説明があったが、就学猶予はそれほどハードルが高いと考えるか。

◎ 1点目の質問については、子どもたちを集団の中に入れることを喜ぶ保護者は多いが、その子どもにとって、その集団の中に入ることに意味があるかどうかは、子どもによって様々違っているということについての認識がまだ欠けているのではないかと考える。集団教育が効果のある子どもも確かにいるが、逆に、個別に2、3人の小集団のほうがいい子どももいる。

  2点目の質問については、地域によっては障害のある人たちや子どもたちが差別に遭わないようにという運動が昔から強く、大きな運動としてある。その中で、就学を免除されてきたという過去からの学びとして、学齢に達したらぜひ学校に、という力が強く働く。就学猶予制度については知っているが、現実には就学猶予しにくい環境にある。

○ 「一般学級における特別支援児にとって、普通学級にいることが意味ある環境となりうるか」という記載は、「適切な教育ができないのではないか」という趣旨だと思うが、「意味があるか」という表現は排除するような意味に誤解されかねない。

  また、文部科学省で行っている特別支援教育体制整備状況調査の19年9月1日現在の数字を見ると、私立幼稚園は、校内委員会は18.3%、実態把握は59.6%、特別支援教育コーディネーターは24.1%。担当部局の問題もあるとのことだが、特別支援教育体制はどのようになっているか。

◎ 熱心に体制整備に取り組んでいる園と、そうではない園とが混在しているのが現状。原因として、財政面や意識面等の問題があると思う。

  また、「意味があるか」という記載については、ご指摘のとおり、個々に適した様々な計画や教育が与えられるような制度に持っていく必要性があり、とにかく集団に入れればよいというイメージは誤りであるという趣旨。

 

(全国町村教育長会)

○ 説明にあった「発達支援センター」の所管はどこか。

◎ 教育委員会が中心となり立ち上げた。就学前は福祉部門が所管だが、子どもたちの将来の自立も視野に入れて考えると、養育支援計画を立てていくときに、つなぎの役割も含め、教育委員会が中心になっていたほうが、体制づくりができると考えた。

○ 発達支援センターについて、発達障害者支援法に基づく発達障害支援センターが幾つかの圏域でできているが、そことの連携等は特に考えておらず、幼児期・学齢期を中心に考えているということか。

◎ 総合的に0歳から将来まで見取っていくような地域包括支援センターを立ち上げており、その中に発達支援センターが入っているので、教育委員会がその部分を独自でやっていくというわけではなく、その中で福祉課と一緒になって、養育支援計画等に一緒に取り組むなど、体制づくりをしている。

○ 資料5に、「②特別支援学校を中核とした支援体制の整備 日常的に保護者や地域の学校の教師への支援が行える体制整備が必要である。現状は日常的ではない。」とあるが、特別支援学校はかなり日常業務として支援を位置づけようと努力しているが、現状は厳しいということか。

◎ 県には特別支援教育のプログラムはできており、その中には、センター的機能も有すると書いてある。ただ、人の支援・配置等がまだ十分ではない。事前にある程度予約をとるなどしないとなかなか相談ができないということがあり、必要なときに支援を行えるよう、県としてももう少し人を増やしてほしい。

◎ また、通常学校の現場の先生や特別支援教育コーディネーターが求めているのは、例えば特別支援学校の先生が発達障害の疑いがある子どもたちの生活の現状を見ながら具体的なノウハウを教えてくれるなど、実際の現場の中での研修。物理的に難しいだろうが、現場の期待はそのようなこと。

○ 資料5に、特別支援学級について「人数等、障害の内容等での弾力化を図ってほしい。通級児童生徒だけでも開設できるなど弾力化を願いたい。」とあるが、これはおそらく通常学級に在籍する子どもだけで、他に担任として配置できないかという話かと思うが、その場合のカリキュラムは具体的にどのようなことを想定しているか。

◎ どの県にも、情緒障害3名以上や知的障害5名以上等の設置の基準があると思うが、その中で、運用面でもう少し柔軟性がほしい。1名でも設置の存続はできるが、立ち上げるときは1名ではできない。また、保護者は、特別支援学級在籍適と判断されても、なかなか承諾しない。そのような意味で、校内に余裕のある先生を配置し、取り出し指導等がきるような、法律で言う特別支援学級でなくても構わないが、特別な支援を要する子どものための学級があると助かる。

◎ 我々は就学前や中学校に上がるときなどの就学指導を、行政とかかわりながら一生懸命やってきているが、大事なのは途中での就学指導。駆け込み寺のような、特別支援教室のようなものが各小・中学校に設置できれば就学指導も楽になるし、その子にとって適切なホームベースというものができるのではないか。その意味での弾力化という趣旨でもある。

○ 広域的な支援システムの構築について、情報・提案・課題等があれば教えてほしい。

◎ 例えば東海村は発達支援センターを立ち上げることができたが、これを全国どの町村にも設置するのは不可能に近い。そこで、今考えられるものの1つとして、例えば教科書の採択地区。ある2つの市町村を一緒にして、そこで教科書を協議して採択する。それが大きい組織になり、そういうところにしっかりとした発達支援センターができれば、先生も保護者も相談がしやすいのではないか。

 

(全国連合小学校長会)

 

○ 資料6にある全国連合小学校長会による平成19年度調査の「指導方法、内容がわからない」と回答した人が32.8%というデータについて、先生たちの研修等が進んできている印象。ぜひこれを0%に限りなく近づくようにしたい。

  また、「区市町村教育委員会で個別の教育支援計画を作成するのはよいが、・・・」とあるが、この「よいが、」というのは、本当に区市町村教育委員会で個別の教育支援計画を作成することでよいのか、それとも、本当はもっと学校が主体的にやりたいなどといった意見が含まれているのか。

◎ 幼児期から適切な就学指導を行っていくために市町村の教育委員会が子どものいろいろな情報を集めて個別の教育支援計画を作るのはよいとしても、人的整備の面で難しいのではないか。そのような意味で「よいが、」と記載している。

○ 資料6の「就学先の決定については専門的な見解がより反映されるようなしくみを整備する必要がある。」という記載に込められている気持ちを教えてほしい。

◎ 就学指導において、例えば保護者に強い希望があっても通常の学級でやっていくのが難しいなど、全国的に困っている現状がある。すぐに人的な整備があればよいが、整備されるまでの間に苦労するのは校長であるとか、障害のある子どもが複数いて担任がそれらを同時にみることが困難であるとか、いろいろな厳しい事例があるので、そのような専門的な意見を保護者にも伝え、判断が下されるようにすべきという意味。

○ 資料6にある全国連合小学校長会による平成19年度調査の「指導できる人材がいない 50.6%」、「学級担任が個別的な配慮を行っている 90.1%」などのデータは、まさに小学校の学級担任の抱える大きな課題かと思うが、全国連合小学校長会としては具体的に今後どうしていくのか。例えば教育委員会と連携した研修の充実等はやっていると思うが、校内委員会の大きな役目である学校としての組織的な取組等については、行っているものはあるか。

また、就学基準が曖昧というような記載があるが、例えば今の就学基準について、少し見直しをする必要があるというようなことも含めての意見か、あるいはもっと啓発をしていく必要があるという趣旨か。

◎ 1つ目の質問について、全国連合小学校長会としては調査研究・各担当者からの意見聴取等を行い、まとめたものを全会員に配って校内のいろいろな指導に役立ててもらうという活動をしている。それをさらに調査項目なども変えながら、喫緊の課題に対応した中でやっていきたい。また、文部科学省や国会議員の先生方に、人的な条件整備について働きかけていきたい。教員の質を高めていくということと人的な整備の両面から充実を図っていきたい。

◎ 2つ目の就学基準に関する質問について、基準を明確にするということも含めて、教員・保護者に対するその啓発が一番大事かと思う。就学についてはロングスパンで考えなくてはならないという啓発が必要。全国連合小学校長会の今年の調査で、入学しても継続的に就学相談が必要な児童はどのぐらい在籍しているかについて調査をかけたところ、約853校中593校、65.9%で、2,294名の子どもが引き続き就学相談が必要という実態が上がっている。保護者の通常学級に皆と一緒に上げたいという気持ちを受けて、いろいろな条件が十分でない状況で通常の学級に入学することで、学校がかなり課題を抱えるという状況が大きい。

○ 交流及び共同学習について、現実的に学校現場でどのような対応がされているのか。

また、東京では就学支援シートの取組がされていたり、学習指導要領の総則にも関係機関と連携をして支援していくという記述がされたりしている中で、このような個別の指導計画や個別の教育支援計画を作成・活用しながら就学指導を行っていくことについて、現場ではどのように考えているか。

◎ 1つ目の質問について、全国連合小学校長会の今年の全国調査によると、853校中752校、88.1%が交流及び共同学習を実施している。その内容としては、通常学級と特別支援学級との学校内の交流及び共同学習が多く、特別支援学校との交流及び共同学習は853校中243校。全国的に特別支援学校が地域に多くあるわけではないので、学級との交流を主に進めているというのが実態。また、エリアが広く、地域に住んでいる子どもが特別支援学校にスクールバスで行っているという実態もある。地域の学校として、間接交流、あるいは直接交流を含めて推進していくことが大事。

  2つ目の個別の教育支援計画に関する質問については、非常に温度差がある。校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名は確実に進んでいるが、個別の教育支援計画がその子どもの実態に応じて各学校で細かく立てられるかということは教員の資質の問題に大きく影響する。様々な研修等は行われているが、現場の教員は、発達障害の実態把握であったり、この子にとっては何が必要なのか、明日の授業で何を使えばよいのか、などについてのサポートを一番望んでいる。

○ 本日提出いただいた資料6では「就学指導」という言葉を使っているし、平成17年に中央教育審議会答申でも「就学指導」という言葉を使っているが、「就学支援」という言葉のほうがより適切ではないかという意見もある。全国連合小学校長会では、「就学指導」のかわりに「就学支援」という言葉はどうかという議論はあるか。

◎ そのような議論はしていないが、十数年前、現場で「指導」をやめて、「支援」がいい、ということが流行った時代があった。ようやく、「指導」とは、ただ上から教え込むのではなくて、指を示して導くということなのだということが現場で定着してきて、最近では「指導」という言葉が復活している。「就学指導」で正しいと思う。

 

(4) 事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

 

 

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)