「社会(その国、その時代)が理想とする人間像を目指して行われる人格形成」の営みである徳育は、どの時代、どの社会においても行われてきた普遍性あるものであり、社会集団の中で生活する人間において不可欠である、共通のルールを守ることや他人を思いやるといった道徳性の継承を担っているものである。
現在の新しいメディア技術の発達や体験活動の減少等の社会構造の変化による、子どもの生育環境の変化といった状況を十分に見据え、社会全体で子どもの徳育を推進することが必要である。
子どもの徳育の充実に向けては、発達段階ごとの特徴を踏まえることが重要であり、1.乳幼児期からの基本的な生活習慣の形成 2.幼児期からの多様な体験を通じた社会性の涵養、人間関係能力の学習、言語能力の育成 3.幼児期から学童前期における「してよいこと、しなければならないこと、してはならないこと」についての充実した指導、「心に響く指導」の継続的な実施による、基本的な道徳心の醸成 4.学童前期からの社会や集団のマナー・ルールに関する継続的な指導、法や決まりの意義の理解など、規範意識の確立、市民性の涵養 5.学童前期からの自己肯定感と自らの成長によって得られる自己達成感の育成 6.青年期以降における人間としての生き方、在り方を踏まえ、自らの生き方をよく考え、人生を切り拓く力の育成 7.各発達段階における豊かな情操の涵養と、未来の主権者・社会形成に参加する一員という、自立した大人を目指す教育といった観点を踏まえた重点的な取組が期待される。
今日的な課題や発達段階ごとの特徴を踏まえ、社会総がかりでの徳育の充実に向けて、発達段階に応じた徳育の充実への理解と実践が必要であり、10の方策を以下の通り提言する。
初等中等教育局児童生徒課