教科書デジタルデータ提供促進ワーキンググループ(第5回) 議事要旨

1.日時

平成20年9月1日(月曜日) 15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(金融庁)12階 共用第2特別会議室

3.議題

  1. 教科書デジタルデータの種類・方法、管理する組織のあり方及びボランティア団体等へのデータ提供方法等について
  2. その他

4.出席者

委員

 田中主査、五十嵐委員、伊藤委員、今井委員、氏間委員、大旗委員、川戸委員、小林委員、柴崎委員、嶋本委員、末吉委員、成松委員、花香委員、渡辺(哲)委員、香川座長、千田座長代理、宇野委員、渡辺(能)委員

文部科学省

 伯井教科書課長、矢崎教科書課課長補佐、三輪教科書課課長補佐、水野特別支援教育課専門官、黒沼文化庁長官官房著作権課課長補佐

5.議事要旨

 主な意見は次のとおり。

(1)これまでの意見の整理(案)について

 説明の後、意見交換が行われた。

【委員】
 テキスト形式による教科書デジタルデータの提供については、国語や英語はテキストデータが多いため適しているが、教科書発行者の負担もあることから、理科や社会のテキストデータの提供については今後の課題とし、当面、提供することが望ましいという表現でスタートした方がよいと思う。最初から百点満点を望むのではなく、現時点でできることから始める必要がある。

【委員】
 現行教育課程教科書のPDFデータでテキストが取り出せない形式になっているものについては、暫定的にテキストデータも別途用意することも考えられる。

【委員】
 今までの議論では、使い勝手のよい形のデータに教科書発行者側がするという流れであったと思う。教科書発行者としては、例えば会社内部で作業を行うのか、外注をするのかといったことを具体的に検討する必要があるため、国から何か支援があるのかということは、大きな関心事。そのあたりを示すか、是非検討してもらいたい。

【委員】
 提供されるデータが小中学校となっているが、高校については、「高校における弱視生徒への教育方法・教材のあり方ワーキンググループ」の結論を待つということか。

【事務局】
 高校に関しては、高校ワーキングの結論を並行して見る必要があると考えている。

【委員】
 データ提供先として「ボランティア等」と示されているが、盲学校(視覚障害特別支援学校)の教員への提供についても、今後の課題として検討する必要があるのではないか。

【委員】
 盲学校の教員にデジタルデータを提供できるようするということは、よい話だと思うが、著作権法上の問題については、副教材を作ることも含め、データを提供する教科書発行者としても非常に気になるところだと思うので、文化庁著作権課に指針を出してもらうとありがたい。

【事務局】
 文部科学省からデジタルデータを提供する対象として、学校の教員を含むことができるかという点については、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」第5条の「教科用特定図書等の発行をする者」に当該教員が該当するか否かという解釈の問題になるが、現時点で明確にすることは難しい。

【委員】
 常識的に考えれば、教員は教科用特定図書の発行者とはみなせないのではないかと思うが、現状では、盲学校でさえ、十分な環境が整っていないことから、全国的に様々な努力をしているのが実態であり、盲学校教員へのデータ提供についても、今後検討していただきたい。

【委員】
 インターネットでデータをやりとりするのではなく、CD-ROM等を用いてやりとりをすることについては、それほどの手間を必要とせず、十分対応できる。

【委員】
 データの流出防止策については、どのような防止策がとられていれば著作権者側が安心して同意できるかという問題になると思う。さまざまなレベルの防護策について、著作権者側がどこまで求めているか、また予算的にどこまで可能かということについて、すり合わせをして妥当なところを決めるしかないと思う。

【委員】
 個人と契約することは非常に手間がかかり、そこまでやる必要があるのか疑問があるので、ユーザーの認定はボランティア団体単位で行い、団体の代表者が責任を持ってデータの提供を受けるということでよいのではないか。

【委員】
 誓約書だけでは著作権者側から不安の声が上がることが予想されることから、電子透かしにかかる必要な経費と手間を検証し、可能であればすみやかに実施した方がよいと思う。

【委員】
 ボランティアは、文部科学省との契約手続きだけでも書類に悲鳴を上げているような状況が続いているという声も聞くので、あまり過重な負担を強いるようなシステムとしない方がよいと思う。例えば、ボランティアの代表を契約代表者とし、そのグループのメンバーの一覧、もしくは、作業担当者の氏名連記をすることにより、どの人がどのデータを扱うのかということをはっきりすればよいと思う。

【委員】
 責任の所在が明確になっていなければ、データ管理組織としての機能が果たせないのではないか。個人で登録しなくても、ボランティア団体がその責任を負うというものであれば、ボランティア団体で登録すればよいと思う。

【委員】
 電子透かしについては、様々なレベルのものがあると思うので、まずできる処置から行う必要があるのではないか。もしデータの流出という問題が起こったときに、追跡できる体制を確保しておかなければ、データ管理組織としての責任が問われることになると思う。

【委員】
 ボランティア団体が教科書協会などと交わしている書類について、委員全員が共通理解できているわけではないので、事前に各委員にメール添付等で資料を配付し、次回、最終回の議論を行う必要がある。また、電子透かしに要する手間、経費、時間の資料が提供されると、議論がより深まるので、そのような対応ができればと思う。

【委員】
 ワンソース・マルチユースという視点や、将来において様々な方が使える真の教科書バリアフリーを実現できるデジタル教科書というものを、できれば強く打ち出す必要があるのではないか。

【委員】
 利用の手引きをつくる際には、どのような根拠があるからそのようなレイアウトをするのかという、評価に根ざしたアウトプットのあり方などが組み込まれることを希望する。

【委員】
 弱視児童生徒のニーズをカバーするという際のニーズというものは、単に弱視の子どもに見せて見やすいからこれにしたということだけではなく、客観評価と主観評価を総合的に行った上で、ある程度きちんと説明できることが重要である。

【委員】
 拡大教科書が必要な児童生徒たちの実態について、どういう状態であるので拡大教科書が必要なのか、出版されている拡大教科書では対応できないという場合、その児童生徒に係わっている教師やボランティア団体等がどのように評価した上でそのような判断をしているのかを今後明らかにすることも必要である。

【委員】
 弱視児童生徒の見え方を保証する道具として、拡大教科書、弱視レンズ、又は拡大読書鏡のいずれが必要であるのかということを含め、総合的な視点から拡大教科書が作られ、提供される必要がある。

【委員】
 教科書の原版データの提供が円滑に進むよう、著作権者等に対しても、今回成立した法律の趣旨等について周知徹底を図ることが望ましい契約慣行の見直しやセキュリティーの問題にも密接に係わってくると思う。これについては、脚注レベルではなく、ぜひ前面に出して取り組んでいただきたい。

【委員】
 ボランティアは、拡大教科書を使用するユーザーと相談しながら拡大教科書を作っているが、その拡大教科書を使用して授業を行っている教育現場から、ボランティアに対して問題提起をして、フィードバックすることも必要ではないか。

(2)事務局より今後の日程について

 説明があり、閉会となった。

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初等中等教育局教科書課