拡大教科書標準規格ワーキンググループ(第6回) 議事要旨

1.日時

平成20年9月29日(月曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館(金融庁)9階 共用会議室3

3.議題

  1. 拡大教科書の標準規格について
  2. その他

4.出席者

委員

 千田主査、石津委員、市川委員、宇野委員、金子委員、小宮委員、齋藤(肇)委員、齊藤(美)委員、澤田委員、高柳委員、武内委員、手塚委員、細谷委員、山田委員、渡辺(能)委員、香川座長、大旗委員、土屋委員

文部科学省

 伯井教科書課長、矢崎教科書課課長補佐、三輪教科書課課長補佐、水野特別支援教育課専門官

5.議事要旨

 主な意見は次のとおり。
 これまでの意見の整理について説明の後、意見交換が行われた。

(1)拡大教科書の標準規格のあり方について

【委員】
 ボランティアとしては、あまり細かい基準を作ってしまうと利用範囲が狭くなってしまうため、ボランティアの負担が軽減されないのではないかと思う。来年変えなければならなくなるようなものは基準に入れず、できるだけ自由に制作者が途中で変えながら、よいものを作っていくことができる要素を残した規格づくりが必要だと思う。

【委員】
 今まで拡大教科書を作成していない教科書発行者が作ることになるので、今後試行錯誤をしながら、また基準を変えていけばよいと思う。

【委員】
 印刷方式については、オンデマンド印刷を前提に議論が進んできた。教科によっては、少部数印刷方式が必要であるため、配慮が必要だと思う。

【委員】
 地図帳や美術の教科書等については、子どもたちにボランティアが拡大教科書を作成する際には、切り貼りしてコピーしたりスキャナーで読み取ってデータ化する等しているが、どうしても鮮明さは失われていく。それよりも、データを利用してオンデマンドで4色印刷をすれば、5色のオフセット印刷より見劣りはするかもしれないが、使用に耐えうるに十分な品質を確保することができると思う。

【委員】
 1部、2部のためにオフセット印刷すれば大変なことになるため、ある程度現実的なところで対応する方がよいのではないか。

【委員】
 教科書発行者はオンデマンドで多数作るという経験がないため、実際には試行錯誤を重ねなければ、どのような結果になるのか分からない面がある。これは努力目標としての規定であるということでなければ、なかなか規定どおりにならない場合があるかもしれない。

【委員】
 編集責任は当該教科書発行者にあるが、奥付には編集者や編集担当者として会社内の方の名前が入るのだと思うが、特別支援学校の教員等が関与する場合、そこに協力者又は監修者として入ることになるのではないか。また、全面的にレイアウトを変える場合などは、編集責任者として明記してもよいのではないかと思う。

【委員】
 特別支援学校の教員等が編集に関与するということは、弱視者の視点に立った、弱視児童生徒への指導の視点に立った編集を行うということが趣旨である。

【委員】
 慣れていない教科書発行者が自社出版する場合は、せめて最初のうちは弱視教育の専門家が一緒になって作ることも大切だと思う。

【委員】
 教科によって記載している内容に差があるのはやむを得ないと思う。形式的なことだが、教科の順番については意味はないし、今の段階で意味を持たせるべきでもないと思うので、教科書目録の掲載順がよいのではないかと思う。

【委員】
 国語の書写は国語科の種別の書写を指しており、社会の地図は、地図帳のことではなく、社会科に多い資料としての地図を指しているのだと思うが、混同が起きないような表記にした方がよいと思う。

【委員】
 ボランティアとしては、地図帳と教科書に出てくる地図は、できるだけ同じ形式にするとともに、原本と同じようにすることを重点に編集してきた。

【委員】
 図の中に埋め込まれた文字が大変見えにくい弱視児童生徒は多い。ボランティアとしては、デジタルデータをもらう段階で、文字と絵のデータを別々に切り離したデータが本当は欲しいと思っている。図の中から文字を追い出して横に引き出した形で説明できるような教科書を作ることができれば、非常に見やすくなるのではと考えているので、そのようなデータが提供されるとありがたいと思う。

【委員】
 法律に検定教科書が障害の有無に関わらず使いやすいものになるようにということが定められているが、拡大する際の工夫でできる部分はよいが、最終的には、原図の段階から配慮しなければならない部分もあると思う。

【委員】
 標準規格の内容が細かすぎるのではないかという意見もあるが、最低限、拡大教科書として子どもたちが使いやすくなるものを担保しなくてはいけないという意味では、今回のまとめは、十分と言えると思う。70点から80点、90点に上げていくためには、今後、参考仕様やモデル集での研究は必要だと思う。

【委員】
 ボランティアが作った算数の拡大教科書について、教科書に直接答を書くため、数字と数字の間は開けてほしいということ、グラフ等はもう少し線をはっきりしてほしいということ、カップやメジャーの目盛りを見づらいということ、絵等を余白のスペースに係らず同じ縮尺で示すこと等に留意する必要があること等について、教員と弱視児童生徒から意見が出されたことがある。

【委員】
 手間がかかるが、折り込み等の手段で対応するものについても、配慮が必要ではないか。

【委員】
 高校における拡大教科書のあり方については、会議の性質上、高校ワーキングで話し合うべきだと思うが、単純拡大の拡大教科書でも、弱視生徒全員のニーズをカバーできるものではないが、ないよりはあった方が救われる弱視生徒はいると思う。

【委員】
 高校の弱視生徒については、高校卒業後、社会に出て行くため、すべてを拡大するのではなく、必要なものを拡大するという考え方で、何とか視覚補助具で見ることができるという教育をさらに進めていくという方向もあるのではないか。

(2)標準規格や拡大教科書の作成ノウハウ等の普及啓発方法について

【委員】
 子どもたちの学習については1年1年かけがえのないものであるので、待ったなしの状態が続いている。平成23年度からでよいということではなく、教科書発行者においては、来年度から努力義務を果たすよう取り組んでもらいたい。

【委員】
 ボランティアは既に来年度の拡大教科書の作成に取りかかっている場合があり、教科書発行者が作成するものと重なってはいけない。また、子どもたちに出される教科書の情報が行き渡らずにすれ違ってしまうことも悲劇だと思う。文部科学省において早めに情報を収集して、一括集約した情報は、子どもたちにきちんと行き渡るためにあらゆる手段をとらなければならないと思う。同時に関係機関への情報提供もお願いしたい。

(3)事務局より今後の日程について

 説明があり、閉会となった。

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初等中等教育局教科書課