拡大教科書標準規格ワーキンググループ(第5回) 議事要旨

1.日時

平成20年8月29日(金曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館3階 2特別会議室

3.議題

  1. 拡大教科書の標準規格について
  2. その他

4.出席者

委員

 千田主査、市川委員、宇野委員、遠藤委員、金子委員、小宮委員、齋藤(肇)委員、澤田委員、鈴木委員、高柳委員、武内委員、手塚委員、山田委員、渡辺(能)委員、香川座長、大旗委員

文部科学省

 伯井教科書課長、矢崎教科書課課長補佐、松木教科書課課長補佐、三輪教科書課課長補佐、水野特別支援教育課専門官

5.議事録

 主な意見は次のとおり。
 これまでの意見の整理について説明の後、意見交換が行われた。

(1)拡大教科書の標準規格のあり方について

【委員】
 教科書の本文には手を入れないという表現は、「改編しない」又は「変更しない」等に改めた方がよいと思う。

【委員】
 技術・家庭は、「理科、社会と同じ配慮が必要」としているが、図、表、グラフについては算数・数学が参考にできるところも多いため、「算数・数学、理科、社会と同じ配慮が必要」とする方がよいのではないか。

【委員】
 判の大きさを3種類することは非常によいことだと思う。

【委員】
 原本教科書の判型を標準とすると、A4の原版を1.2倍すればB4の大きさになる。逆に、原本がA5の場合、0.8倍にすればB6の文庫本ほどの大きさになるが、それが適当かどうか疑問に思う。AB変形判を1.2倍や0.8倍にする場合、紙の大きさや技術的に可能なのかどうかについては検討が必要だが、原本の大きさを標準とした場合は、様々な点で不都合が出かねないと思う。

【委員】
 字の大きさは、小学校低学年では26ポイントを標準として22ポイントから30ポイントを作成し、小学校高学年以上は22ポイントを標準として18ポイントから26ポイントを作成すると示しているが、現時点でポイント数の明確な根拠がないのであれば、何年後かに見直す可能性があるということを前提に、このポイントで試行をしてみることでよいのではないか。

【委員】
 ルビの大きさは、本文の0.8倍とした場合、大き過ぎてバランスを欠くことから、本文の半分又は3分の2程度の大きさとする必要があると思う。

【委員】
 ページの位置は、できる限りページを探しやすくするため、右のページは右の端下、左のページは左の端下とするというルール決めておく必要があると思う。

【委員】
 文字が主体の教科と、美術や図工などの図版・写真が主体の教科とでは、文字と写真のバランスが異なるため、教科の特性を考慮するというまとめであれば、教科書発行者としては助かる。

【委員】
 教科や教科書の種類によってはB5判22ポイントが基準とならない場合があり、拡大・縮小による3種類の拡大教科書の作成が困難な場合がある。標準規格は教科書の検定基準とは異なり、現時点での試行的なものであるということを共通認識としていただきたい。

【委員】
 基準の判を拡大・縮小して3種類作っている拡大教科書が、1種類の拡大教科書とみなされるか、3種類の別々の拡大教科書とみなされるかにより、支払う著作権補償金の額が異なるため、その取扱いについてはできるだけ早く明確にしてもらいたい。

【委員】
 弱視児童生徒の見え方は様々であるので、全教科の拡大教科書のサンプルを各教育委員会に置いておき、そのサンプルを見ながら自分が使う拡大教科書を選ぶということにすれば効率的であると思う。

【委員】
 拡大教科書を作成する者としては、基本的な事項のみを定める方が、非常に作りやすいという話をしてきたが、今回のまとめは、やや細かいところが規定されているところが目につく。例えば、理科では実験やコラムについて、学習順序を前提として掲載をしていくという原則があれば十分であり、ここまで細かく規定する必要はないのではないか。

【委員】
 音楽の1段の1小節は原本教科書と同数とすると示されているが、横長にした場合、子どもは非常に頭を動かさなければならないため、使い勝手が悪いのではないか。また、譜面台に置いて使う場合に非常に不便であるということがある。そのため、使い勝手を考えてという趣旨の表現を加えておく必要があると思う。

【委員】
 理科や算数・数学は、原寸で表現しているページがある。この場合、拡大した場合もその箇所だけは修正する必要があると思うが、そのような場合も含め、著作権補償金の計算の仕方について、明確にしていただきたい。

【委員】
 今後は、教科書体にするか、ゴシック体にするか、国語はどうするのかという議論よりも、ゴシック体、教科書体どちらのデメリットもないフォントを開発する必要があるのではないか。そのようなフォントができれば、各教科書発行者も迷わず編集作業を行うことができるとともに、全国学力学習状況調査等の不特定多数の弱視児童生徒が使用するものにも応用できる。

【委員】
 音楽については、必ずしも小節ありきということを規定するのではなく、見やすいものを各教科書発行者が創意工夫して作成し、使用状況を踏まえて修正するという方向性の方がよいと思う。

【委員】
 著作権法の解釈を決めるのは行政官庁ではなく裁判所であり、教科書発行者としては、どのような判断が下されるのかということについて、常に不安が残る。拡大教科書の作成という趣旨であるため、ほとんどの著作権者の理解は得られると思うが、そのためには事前の周知や要請が必要になるため、国としてもぜひ周知に取り組んでいただきたい。

【委員】
 発音記号のフォントは線の太いものを用いることとした場合、各教科書発行者は新たに全部の発音記号を作字し直さなければならなくなる。可能であれば、拡大教科書に使用する発音記号のフォントも作ってもらいたい。

【委員】
 当面は、現行の発音記号フォントの中で最も太いものを使うことでよいのではないかと思う。

【委員】
 拡大教科書の用紙は、まぶしさのある弱視児童生徒に配慮することが基本になると思うが、明度を落とすということが具体的に何を示すのかを明確にする必要がある。

(2)標準規格や拡大教科書の作成ノウハウ等の普及啓発方法について

【委員】
 視覚障害特別支援学校には、少なくとも拡大教科書の見本が各教科1種ずつあった方がよいと思う。その他の教科書センターについては、各教科を用意することが望ましいが、予算も関係するため、場合によっては、教科書センターごとに置く教科を振り分けるなどすることも必要ではないかと思う。

【委員】
 学習指導要領の改訂時においては、拡大教科書の展示は1年遅れになってもやむを得ないが、改訂以外の年は、自分たちが本当に使いたいものを何らかの形で見ることができることが望ましい。

【委員】
 拡大教科書の発行状況を教科書目録へ記載することについては、採択結果を踏まえて拡大教科書の発行について判断する場合があるため、初年度、次年度以降のことについて具体的に想定しにくいところがあるのではないか。

【委員】
 本ワーキンググループの議論では取り上げられていないが、実際には教科書発行者に対する需要数に基づく発行指示などの手続きが大きな問題になる。どこかの場面で、具体的な手続きを決めておく必要があるのではないかと思う。

【委員】
 弱視児が希望する拡大教科書を前年度の10月、11月頃までに把握し、各教科書発行者に需要数を通知をする仕組みが必要だと思う。

【委員】
 拡大教科書を使っている児童生徒は、該当箇所を探すこと、読むこと、ノートに写すことなどそれぞれに時間がかかる。しかし、担任は見えにくさがイメージできないため、その忙しさや大変さに気づいていないことが非常に多い。基本的な内容だけでもわかれば指導には大きな違いが出てくると思うので、指導の手引きの作成は有効だと思う。

【委員】
 拡大教科書の見本は、特別支援教育の相談に係る場所にも置いてあれば、保護者・本人にとっても入学後の安心につながり、期待感を持って入学の準備ができると思う。

(3)事務局より今後の日程について

 説明があり、閉会となった。

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初等中等教育局教科書課