拡大教科書標準規格ワーキンググループ(第4回) 議事要旨

1.日時

平成20年7月23日(水曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(金融庁)9階 共用会議室3

3.議題

  1. 拡大教科書の標準規格について
  2. その他

4.出席者

委員

千田主査、市川委員、宇野委員、遠藤委員、金子委員、小宮委員、齋藤(肇)委員、齊藤(美)委員、澤田委員、鈴木委員、高柳委員、武内委員、手塚委員、細谷委員、山田委員、渡辺(能)委員

大旗委員、花香委員

文部科学省

伯井教科書課長、矢崎教科書課課長補佐、松木教科書課課長補佐

5.議事要旨

主な意見は次のとおり。

  • (1)拡大教科書の標準規格等について

     これまでの意見等の整理及び教科書発行者からの意見について説明の後、意見交換が行われた。

    <自由討議>

    【委員】

     ボランティアからは、22ポイントでは現在拡大教科書を作っている子どもたちのニーズに合っていないという意見を多く聞く。また、データからも26ポイントから30ポイントを使用している児童生徒がかなり多いという現状がある。

    【委員】

     標準的な検定教科書の判がA4、22ポイントである場合、26ポイントを作るためにはB4やA3に拡大することになり、実際には使いにくいものになってしまう。そのため、B5で作れば、現実的に持ち運びしやすいサイズで18ポイントから26ポイントを確保することができる。

    【委員】

     判の大きさをB5に限定しようとしているのではなく、あくまでも教科書発行者が発行している教科書と同じ判にしようというもの。これまでのアンケート調査等において、通常の小中学校に在籍している弱視児童生徒の多くは、同じ判の大きさの教科書が欲しいというニーズがかなりある。

    【委員】

     A4判やAB判など、多様な大きさの教科書があり、それを標準規格として全部B5判にというのは難しい面があるのではないかと思う。例えば、A4判で作っている教科書の場合、A4判でおさまるようなレイアウトをしているため、それをB5判にするのはかなり厳しいのではないかと思う。

    【委員】

     判の大きさを他の児童生徒と同じようするということも1つのニーズだが、一方で、22ポイントから30ポイントに大きなニーズがあるので、教科書発行者において、その範囲の中での複数対応を可能にするということを考える必要があると思う。その際、22ポイントと26ポイントの2種類の判を作成するのは、教科書発行者にとって負担が大きくなる。

    【委員】

     実際にボランティアが作っている拡大教科書の文字サイズは、22ポイント以上26ポイント未満と、26ポイント以上30ポイント未満とが大半を占めており、22ポイント以上26ポイント未満だけを対象にしてしまうと、それ以外はボランティアが作成するということになる。現在、拡大教科書の8割をボランティアが作成しているが、これでは現在の状況と大きく変わらないことになるので、22ポイントではなくて、何種類かを作るということにする必要があるのではないかと思う。

    【委員】

     「対象となる生徒」として、例えば22ポイントもしくは26ポイント程度が使用できる弱視児童生徒を対象とするという表記にした方がよいのではないか。

    【委員】

     1,700人の児童生徒がどのような見え方をしているのかという調査が必要だと思う。今までもっと大きい文字を使用していたが、もう少し小さい文字でも読めるし、ページが変わらない方がよいという児童生徒も何人かいる。そのようなことをきちんと調べた上で、供給できるようにする必要があると思う。

    【委員】

     教科書発行者の負担軽減という意味もあり、A5判で18ポイントの縮小を利用するか、もしくは検定教科書を判を大きくしたものを利用できるよう参考仕様として記載する方がよいのではないか。

    【委員】

     ルビは、漢字が読める児童生徒であれば、それほど読む必要がない情報だが、数学の指数、対数、化学記号の下付き文字、漢文のレ点、一、二点等は、きちんと読めなければならない情報であり、本文の2分の1以上の大きさが必要だと思う。

    【委員】

     写真の説明など、原本にはない情報で脚注を入れる場合には、拡大教科書としての脚注であることがわかるような工夫が必要ではないかと思う。

    【委員】

     原本の検定教科書で更新をしているものは、拡大教科書でも当然更新は必要であるが、オンデマンド印刷であれば少ない数の拡大教科書の作成に対応しやすいので、うまくいくのではないかと思う。

    【委員】

     図や表のようにそこから何かを読み取って学習を行わなければならないものは、書きかえ等の配慮が必要だが、国語の挿絵のように、直接学習に必要なものでない場合は、基本的には原本を生かすことでよいのではないか。

    【委員】

     図画工作においては、説明文は22ポイントにして、その絵の説明だということがわかるようにしておけば、レイアウトを組みかえることは、学習上の妨げになるとは思わない。また、図や絵は、図画工作の性質上、原本そのものを大きくする程度の変更しかできないと思う。

    【委員】

     オンデマンド印刷によって色あいが変わると教科書発行者が考えるのであれば、小部数ではあるが、オフセット印刷により色あいを変えない形で発行すればよいのではないか。ただ、オンデマンド印刷は、かなり精度も高まってきているので、十分に使用に耐え得ると思う。

    【委員】

     視覚障害教育に携わる教員や研究者は、最低限、監修として関わる必要があるのではないか。具体的な方法については、各教科書発行者と専門家とで決めればよいのではないかと思う。

    【委員】

     全ての教科書発行者で拡大教科書を作成することになれば、小中学校においては四百数十点になるが、それらを短期間で限られた専門家に見てもらうということは難しいのではないか。

    【委員】

     全国の視覚障害特別支援学校や、視覚障害教育を担当している大学などのリソースを活用することが原則だろうと思う。

    【委員】

     標準規格に基づいて作成すれば、一定の質を確保できるはずなので、必ず専門家の目を経なければならないというような表現は、避けた方がよいのではないか。

    【委員】

     標準規格により、専門家の関与もなく作るということであれば、かなり詳細な部分まで標準規格に盛り込むべきだと思うが、現実的には、そこまで細かいことを全部標準規格に書き込むことは難しいと思う。

    【委員】

     標準規格では最低限守るべきことを書き、参考仕様やモデル仕様ではさらに品質を良くするためのことを書く。さらに実際に編集作業を行う際には、疑問点をアドバイザー的に聞ける方が、教科書発行者にとってもやりやすいと思う。

    【委員】

     図画工作、美術、生活科は、基本的に文字ではなく、イラストや写真が中心で構成されている教科であり、見開きの中で構成している場合が非常に多いが、それを分割して2ページ、3ページ、4ページに分けることが非常に困難である。また、大きくなれば逆に全体が把握しにくくなるだろうと考えると、基本的には、図版は拡大する必要はないのではないかということも考えられる。1つの方法として、教科書はそのままにしておき、テキスト部分だけを大きくして、別冊の別資料にする仕様もあり得るのではないか。

    【委員】

     社会の資料集のような位置づけとは違うため、美術、図画工作、生活科については別冊にしない方がよいと思う。図版の大きさについては、弱視の児童生徒の視野の大きさにもよるのであり、一概に言い切れないが、極端に小さいものについては、単純拡大して認識しやすい程度のものにし、もともと大きく表示されているものについては、基本的にはそのままでよいと思う。

    【委員】

     見開き情報をどのように考えるかということについては、例えば世界地図のように左右に開いてしまって、右にアメリカ、左にヨーロッパのような示し方がされていれば非常に悩ましいが、美術のようにきちんと情報が左右に分かれているものであれば、基本的にどの順番で見ていくか分かるようにする必要があると思う。

    【委員】

     B5判22ポイントを基準としてA4にしたり、A5にしたりということ、オンデマンド印刷で簡単に印刷でき、判型が変わっても大丈夫ということはよいと思うが、簡単に作れることと、簡単に発行できることとは違うことではないかと思う。

    【委員】

     社会の教科書などでは、見開きのレイアウトが多用されているが、このような場合レイアウトが難しいので折り込みを用いたりしているが、その際は、折り込みは見やすいが、逆に使いづらいという生徒の意見しかいただかなかった。また、印刷上、折り込みの紙が入っただけでトータルコストがはね上がってしまう。

    【委員】

     確かに子どもによっては張り出しをしてほしくない子どももいるが、弱視の障害の状態によっては、頁をめくる作業がとても大変という子どももいるので、両サイドの張り出しは大いに行い、1枚の中に説明を全部入れてほしいと言っている先生もいる。

    【委員】

     教科書発行者が拡大教科書を作るに当たっては、これまで拡大教科書を作成してきたボランティアのノウハウを参考にする必要がある。

  • (2)事務局より今後の日程について説明があり、閉会となった。

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初等中等教育局教科書課