全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成20年4月8日(火曜日) 16時30分~18時30分

2.場所

学術総合センター 中会議場

3.出席者

委員

梶田座長、耳塚委員、市川(伸)委員、神山委員、清水(静)委員、清水(美)委員、田中委員、土屋委員、野嶋委員、牧原委員、八島委員、山﨑委員

文部科学省

金森初等中等教育局長、布村審議官(初等中等教育担当)、藤野教育水準向上PTリーダー、高口学力調査室長、原学力調査室室長補佐、田中主任視学官、宮崎視学官、大槻教育課程研究センター長、藤田研究開発部長、篠田学力調査課長、山森研究官 他

4.議事要旨

(1)事務局から検証改善委員会の成果報告の概要について説明があった後、牧原委員から広島県検証改善委員会の取組に関する説明が行われ、その後、質疑応答が行われた。主な意見は以下のとおり。(○:委員、△:牧原委員、●:事務局)

    ○ A問題とB問題は相関が高いので、Bグループ(A問題は平均未満、B問題は平均以上)とDグループ(A問題は平均以上、B問題は平均未満)の割合は少ないと思う。割合が少なくても相当の統計量となるところが悉皆調査のよいところである。BグループやDグループの子どもたちの特性等を調査したのであれば伺いたい。
    △ AグループとCグループについては、分析を行ったがBグループとDグループの特性については分析していない。全国調査におけるB問題ができているグループの中で広島県調査ができているグループとできていないグループごとの分析は行った。
    ○ グラフを見ると、AグループとCグループ(A問題、B問題両方平均未満)の子どもの特徴がくっきり出ている。ただ、全国学力・学習状況調査でも広島県の調査でもAグループというのは優等生的な子どもたちだと思う。一方、Cグループは知識と活用のどちらも悪いということで、課題を有する子どもたちだと思うが、A問題ができてB問題ができていないという子どもたちはそれぞれどんな特徴があるかというのもおもしろい分析だと思う。例えば読書時間や、予習や復習、家庭学習、反復練習についてはどうかといった特徴がBとDにもあらわれているのかもしれないと思ったが分析しているか。
    △ そのような分析は行っていない。
    ○ グラフの分布形状は、線形が非常に近いが、AグループとCグループがほとんどか。
    △ 例えば小学校だと約2万5,000人の内、Aグループが1万人程度、Cグループが8,700人程度、Bグループが2,000人程度、Dグループが4,000人程度という分布になっている。
    ○ 広島の場合には検証改善サイクル事業の重点配分を受けて事業実施したのか。
    △ 文科省の予算で実施した。
    ○ 全国学力・学習状況調査の教科は国語と算数・数学であるが、出題の意図から見るとここで明らかになった問題は他教科にも関連する部分は多い。例えば広島県の場合だと、社会科との関係を情報という視点から入れているし、山梨県では理科、社会や他の教科の方もメンバーに入っている。ほかの教科等への波及という視点で、改善のための方策をどのように検討しているのか。
    △ 検証改善委員会の専門部会には他の教科のメンバーもいるが、それを他の教科と反映させるところまで至っていない。ただ、本県の場合は、他の教科でも言葉の教育をやらなくてはならないので、言語技術を通した授業展開というDVDでは、理科や社会の授業も紹介している。
    ○ 今後これはどのようにつながっていくのか。
    △ 広島大学の先生方が、指導主事と本県独自の基礎学力の定着状況調査について、作問から分析まで一緒に研究を行ってきているので、そこと併せて今後も分析を進めていきたいと考えている。

 

(2) 平成19年度調査の結果の分析状況について、分析ワーキンググループの委員から現在行っている分析について説明があり、その後、委員による意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。(○:委員、●:事務局)

    ○ 科学的な分析というのはこういうものだなということは、とてもよくわかった。
    ○ 前半の検証改善委員会の取組とも関係するが、いろいろな取組について、いわゆる表現力や説明する力、無回答率はもちろん、記述式問題ができているかどうかということとほかの要因との関連などの分析は非常に興味深いと思うが、どうか。
    ○ 今回は記述式問題の無回答率だけを例として書いていたが、そのほかにいろいろな指標のとり方、例えば記述式だけに限った正答状況の分布を指標とした分析とか、幾つかの点について分析ワーキンググループで意見が出た。ただ、まだ実際の分析の段階までは進んでいない。確かにそのような分析を行う方向はあると思う。
    ○ 実際に行ったことをどう分析し、それを学校で実際の改善に生かしていくのかということで、改めて多くのご指導をいただいたが、学校では、データを得てもそれをどう実際の授業や教師の意識改革につなげるかということが難しいのが現状である。そういう意味で、学校でどう分析するのか、校長が自校の教職員の年齢構成、経験、技量、資質等を判断して、自分の学校改善、授業改善に直接生かしていけるのかについては、学校としては、どうしても日々の教育活動に追われて、各学校の強み、また弱みということを具体的に分析していくということにやや欠けるのが現状だと思う。チャートを教育委員会を通して各学校に提供していただくと、自校の実態に合わせた改善を授業の中で生かせると思う。
    ○ 各学校にとっては、授業改善・指導改善に生かさないと意味がないので、大いに参考になる指標を見せていただいたと思う。特に、児童生徒に学力があるのに先生方があまり取り組んでいないのはどういうことなのかと、興味深く聞かせてもらった。我々も一応領域別の、4角形とか5角形のものは各学校に提出してもらい分析するようなことはやっているが、今回のチャートのような詳細な分析も参考にさせていただきたい。
    ○ 教育には人、物、金が必要で、提供したデータを見ながら教育委員会が各学校をバックアップするとか、あるいは校長が学校改善に活用するとか、そのあたりを行政と学校現場が本データをもとに連携できるといいという感想を持った。
    ○ 今日出された意見も踏まえて、引き続き分析ワーキンググループで分析を進めていきたい。なお、調査結果を教育委員会等や各学校に対して、どういう形で提示したらよいのかという問題とか、国や都道府県市町村のレベルで分析の組織や体制をどのように整えることが必要か、問題のタイプとか質というのは現在のままが一番いいのかといった点についても、ワーキンググループの中では議論の過程で出てきた。いずれ専門家検討会議の中でもこのようなことを取り上げなければいけないのではないかと感じた。

 

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