資料1 平成21年度全国学力・学習状況調査の実施方法等の改善について(案)

                                             平成20年12月15日
全国学力・学習状況調査の分析・活用
の推進に関する専門家検討会議

 1.検討の経緯等

    •   「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議」は、2年間の全国学力・学習状況調査の実施状況等を踏まえ、調査の目的・ねらいがより生きるという観点から、調査結果の取扱いを含む調査の実施方法等についてより良いものとなるよう検討を行った。
    •  検討に際しては、都道府県・指定都市教育委員会に対して、平成20年度調査の具体的な実施状況や調査結果の取扱い等に関する調査を行った。また、市区町村教育委員会に対して、調査結果の取扱いの状況や意向等に関する調査を行った。さらに、関係団体等からのヒアリングを行った。これらを通じて得られた集計結果や意見等については、本専門家検討会議における検討の参考資料とした。
    •  本専門家検討会議においては、平成21年度調査の実施に適切に反映できるよう、特に速やかに取り組む必要があると考えられる事項や、平成21年度調査の実施要領に関係する事項等を中心に、調査の実施方法等の改善に関する考え方を取りまとめた。      

2.具体的な改善方向

(1)調査結果の早期提供の継続

    •  各教育委員会、学校等が、できる限り早期に、調査結果を教育活動及び教育施策等の改善に役立てるとともに、児童生徒一人一人の全般的な学習状況の改善等につなげることができるように、本年度調査に引き続き、平成21年度調査においても調査結果の早期提供に取り組むこと。
    •  なお、調査結果の早期提供の観点からは、当初に提供・公表する調査結果を一部に限定することなども考えられること。

(2)より高度で専門的な分析等による有用な情報の発信

    •  文部科学省初等中等教育局に設置された「分析統括専門委員会」の下で、次のような専門家等の知見を活用した高度で専門的な分析を含め、多面的な分析を推進し、その成果を教育活動及び教育施策等の改善に役立てるために、教育委員会や学校等、さらには広く国民に向けて逐次発信すること。
      •  「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議」における専門的な分析
      •  大学等の研究機関の専門的な知見を活用した分析
      •  国立教育政策研究所と連携した分析
    •     児童生徒質問紙調査及び学校質問紙調査については、児童生徒や学校の状況をより的確に把握する観点から、調査の継続性等にも配慮しつつ、質問項目の工夫や見直しを行うなど、内容を精査し改善を図ること。

(3)各教育委員会、学校等における調査結果の一層の活用促進

    •  調査の目的をより良く達成するため、各教育委員会、学校等において、調査結果を多面的に分析し、保護者や地域住民の理解と協力のもと、自らの教育活動及び教育施策の改善、児童生徒一人一人の全般的な学習状況の改善等につなげるなど、調査結果の一層の活用に取り組むよう促すこと。また、本調査の目的・ねらいや調査結果を活用した取組の重要性等について、関係者等に対して周知に努めること。
    •  各学校の学力や学習状況等の全体的な特徴を視覚的に示す「全国学力・学習状況調査結果チャート」や、市町村や学校の全体的な状況の把握に役立つ資料等を提供するなど、各教育委員会、学校等の改善に向けた取組に参考となる情報の提供・公表について一層の充実を図ること。
    •  各教育委員会、学校等における教育活動及び教育施策等の改善に向けた取組を支援するため、教員の加配措置や非常勤講師の配置への支援、調査結果を活用した優れた学校改善の取組事例の収集・普及、学力調査官等の派遣による助言などに引き続き取り組むとともに、意欲的な学校改善の取組に関する実践研究、学校の課題改善に活用できる各種施策の推進などにより、更なる全国的な取組を進めること。

(4)平成21年度調査の実施要領に関係する改善事項等

    •  本調査の目的を達成するためには、調査結果の一層の活用を図ることが重要であることから、各教育委員会、学校等が、多面的な分析を行い、保護者や地域住民の理解と協力のもと、自らの教育活動及び教育施策等の改善、各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることや、これらの取組を進めるための体制を整備することなど、各教育委員会、学校等における調査結果の活用について位置づけること。
    •  同様な観点から、文部科学省において、調査結果の分析の成果を発信したり、各教育委員会、学校等における改善に向けた取組に資する調査結果を提供することや、全国的な改善の取組を進めるために必要な支援等を行うことなどを位置づけること。
    •  調査結果の取扱いについては、序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮することや、国や都道府県教育委員会が市町村名や学校名を明らかにした公表を行わないこと、市町村教育委員会が学校名を明らかにした公表を行わないこと、各市町村や学校の結果の公表についてはそれぞれの判断に委ねることなどの基本的な考え方を維持すること。
    •  各教育委員会、学校等への調査結果の提供にあたっては、本調査の目的の達成に留意しつつ、弾力的な対応を可能とすること。
    •  調査結果については、平均正答率等に拘るのではなく、本調査の目的を達成するため、各教育委員会、学校等が、自らの教育活動及び教育施策の改善、各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげるという視点から、適切に取り扱うことが重要であること。
    •  本調査の適正な実施・活用に支障が生じないように、各教育委員会、学校等においては、関係機関に提供する場合も含め本実施要領に基づいた調査結果の適切な利用及び管理を徹底すること。

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初等中等教育局学力調査室