資料4 全国学力・学習状況調査に関する見解

  平成20年10月29日
全日本中学校長会会長
壷 内  明

 

 平成17年10月26日に中央教育審議会は「新しい時代の義務教育を創造する」を答申し、その中で、「学習指導要領の見直し」と「学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施」を提言した。全国学力・学習状況調査の実施の根拠となっているこの答申には、調査の実施について次のような記述がある。

 各教科の到達目標を明確にし、その確実な修得のための指導を充実していく上で、子どもたちの学習の到達度・理解度を把握し指導方法の改善に向けた手がかりを得ることが可能となり、子どもたちの学習に還元できる。このような観点から、子どもたちの学習到達度・理解度についての全国的な学力調査を実施することが適当であり、実施に当たっては、子どもたちに学習意欲の向上に向けた動機付けを与える観点も考慮しながら、学校間の序列化や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要である。

 学習指導要領に示された目標に従い、各学校が生徒の実態等に応じて教育課程を編成するなど、国民としての統一性や水準の維持並びに多様な変化の時代に生きていく子どもたち一人一人の個性や特性の基礎づくりを目標とする義務教育の特性を踏まえ、全日本中学校長会としては、全国学力・学習状況調査並びに調査結果の取扱いについて次のように考える。

    1 各学校のそれぞれの活動の成果について検証し、改善を図るとともに、学校の設置者である区市町村の教育委員会による、学校への支援策についても検討することを目的とした本調査の役割には意義があると考える。

    2 昨年度の調査結果を受けて各区市町村教育委員会とともに、全国の多くの中学校が授業改善に取り組み成果を上げてきたところである。しかし、各学校が授業改善実施計画等を公表し、授業改善等に取り組んでいる最中に、文部科学省が示した「全国学力・学習状況調査の取扱いについて」にある、調査の趣旨に反する公表を行おうとする自治体が現れてきたことは極めて遺憾である。

    3 区市町村教育委員会や学校が説明責任を果たすために行う公表は、序列化を招く可能性のある個々の学校名を明らかにした公表ではなく、調査結果の原因と今後の授業改善の方策並びに区市町村教育委員会の学校への支援策を公表すべきと考える。

    4 全日本中学校長会としては、今後も文部科学省が平成19年8月23日に示した「全国学力・学習状況調査の調査結果の取扱いについて(通知)」、並びに「平成19年度全国学力・学習状況調査に関する実施要項」が遵守されることを前提に、全国学力・学習状況調査に協力する。特に、調査結果の公表については、地域・学校間格差の表面化や過度な学校間競争を起こさないようにするために、同通知の「3 情報公開における調査結果の取扱いについて」の留意事項を厳守することを強く求めるものである。

 

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