資料1 平成21年度全国学力・学習状況調査について
1.基本的考え方
全国学力・学習状況調査の趣旨がより生きるという観点から、2年間の調査の実施状況も踏まえ、「結果の早期提供の継続」、「より高度で専門的な分析・活用による有用な情報の発信」、「学校や教育委員会における調査結果の一層の活用促進」等について改善を検討することに加え、調査の実施方法等について、専門家等の意見を伺いつつ、よりよいものとなるよう検討し、平成21年度の全国学力・学習状況調査に反映させることとする。
2.具体的な改善方向
(1)結果の早期提供の継続
- 平成21年度においても、本年度に引き続き調査結果の早期提供に取り組む。(早期提供の観点から、当初に提供する調査結果や掲載する分析の精選も検討する。)
- 調査実施日の早期
- 平成21年度調査実施日は、平成21年4月21日(火)に設定。
- 平成22年度以降は、4月20日に最も近い火曜日とする。
(2)より高度で専門的な分析による有用な情報の発信
- 「分析統括専門委員会」の下で、全国学力・学習状況調査の結果の分析を統括し多面的な分析を体系的に推進し、教育施策の改善に反映させるとともに、学校や教育委員会に向けて逐次発信する。
- 「全国学力・学習状況調査結果の推進に関する専門家検討会議」における分析等
- 大学等の研究機関の専門的な知見を活用した分析事業
・平成20年度は試行的に実施(2機関)、平成21年度委託研究事業(5機関)を概算要求中
- 国立教育政策研究所と連携した分析等
- 児童生徒質問紙調査・学校質問紙調査における質問項目について、専門家検討会議での意見等を伺いながら、必要な見直しを行う。
(3)学校や教育委員会における調査結果の一層の活用促進
- 各学校や教育委員会において、調査結果を活用し、児童生徒の学力・学習状況等に関する分析を進めるとともに、自らの課題を把握し教育指導等の改善に向けて計画的に取り組むことにより、継続的な検証改善サイクルを確立する。
- 各学校が自らの学力・学習状況の特徴を視覚的に把握し、教育指導等の改善への取り組むことができるよう「全国学力・学習状況調査結果チャート」を発展させ、提供する。
- 各学校や教育委員会における多面的な分析に資するよう、追加分析や大学等への委託研究を推進しその成果を逐次発信していく。
- 調査結果を活用した優れた取組事例を収集し、その普及を図る。
- 全国的な課題の解決に資するため、調査結果を活用した「アクションプラン」に基づき、教育施策等を推進し、地域として改善に取り組む実践研究を実施し、その成果から地域における改善のモデルの普及を図る。(平成21年度概算要求)
(4)平成21年度調査における実施方法等の改善
(別紙参照)
別紙
平成21年度全国学力・学習状況調査の実施方法等に係る主な検討事項(案)
【検討の趣旨】
全国学力・学習状況調査の目的・ねらいの趣旨がより生 きるという観点から、2年間の調査の実施状況等を踏まえ、
調査結果の取扱い等を含む調査の実施方法等の改善に向けて 検討し、平成21年度実施要領等に適宜反映させる。
【主な検討事項】
- 市町村教育委員会が行う、域内の公立学校の結果の公表等の在り方について
- 都道府県教育委員会が行う、域内の市町村ごとの結果の公表等の在り方について
- その他(文部科学省の公表の在り方や文部科学省が教育委員会に提供する資料等について)
【検討の進め方】
- 以下のように関係者の意向等を踏まえつつ、検討を進める。(10月~12月)
(1)専門家検討会議において、関係者団体からのヒアリングによる意見聴取を行う。
〔11月10日(月)〕
- 全国連合小学校長会
- 全日本中学校長会
- 日本PTA全国協議会
- 全国指定都市教育委員・教育長協議会
〔11月26日(水)〕
- 全国市町村教育委員会連合会
- 都道府県教育委員会関係者
(2) 都道府県・指定都市教育委員会に対して、1 調査の実施、2 配送・回収、3
調査結果の提供、4 調査結果の取扱い、相談体制に関して改善すべき点や意見等についてアンケート調査を行う。
(3)市町村教育委員会に対して、調査結果の取扱い等に関する調査を行う。
平成21年度全国学力・学習状況調査における実施方法等の改善に係る検討スケジュール(案)
10月~11月
都道府県・指定都市向けアンケート調査
市町村教委の結果の取扱いに関する調査
11月10日(月)
11月26日(水)
12月中
平成21年度実施要領策定(各市町村教委へ発出)
20.11.10
追加分析項目(案)
1.教育施策の効果の改善や効果の検証に関する分析
2.効果的な指導方法等に関する分析
1.特徴的な調査結果を示した学校を抽出し、その取組を事例集としてとりまとめる。
- 特定教科の正答率が高かった学校、今年度調査に正答率が著しく向上した学校など、特徴的な調査結果を示した学校の特徴、背景等を分析し優れた取組等を抽出し、事例集としてまとめる。
2.学力層に着目し、昨年度と比べ効果をあげている学校の指導方法その他の特性に関する分析
- 昨年度と比べ上位層に属する児童生徒の割合が著しく増加した学校等の指導方法や学校運営上の特性を解明する。
3.質問し項目により学校を類型化し教育効果との関連を分析し、学校に有用な情報を提供する。
- 学校質問紙の項目について質問群ごとに数量化した得点を従属変数として類型化を行い、教育方法との関連の解明に重点をおいて分析する。
4.各学校が自らの学力・学習状況を視覚的に把握できる手法(全国学力・学習状況調査結果チャート)の発展
- 教科に関する調査及び質問紙調査の結果から算出したスコアを、チャートを用いて表現する「結果チャート」による分析手法を発展させる。
5.地域の特性に応じた効果的な指導方法等に関する分析等
- 国勢調査、企業統計調査、土地利用用途等のデータと連結して学校や地域の周辺状況と効果的な指導方法等との関係を分析する。さらに典型的な地域・都市を抽出し学力層の変化などを調査分析する。
6.生徒の生活・学習習慣などに関し、19年度追加分析を掘り下げた分析
- 質問紙調査から得られたデータを用いて、正答数を基準変数とする重回帰分析を行い、児童生徒の正答数と質問紙調査項目との関係を分析する。
3.都道府県・地域の特性などに関する分析
1.各教科の平均正答率や無回答率等について、特徴が見られる都道府県等を対象として、追加的な分析や実地調査を行い、これらの地域等の教育施策等の特性や課題を探求
- 上位県・下位県などを各教科の平均正答率や無回答率等について、特徴が見られる都道府県を対象として、実地調査を行い特性や課題を探求する。
2.就学援助を受ける児童生徒が在籍する率が高い学校で成果をあげている学校の特性に関する分析
- 各教科の平均正答率が高い学校や低位層の底上げについて成果をあげている学校のデータベースを作成し、それらの学校の取組等の特性を解明する。
4.効果的なサンプリング手法の開発及び追加調査データや都道府県等が保有するデータを補完的に用いる調査分析手法の開発等
1.都道府県等が独自に行う学力調査結果等を効果的に接合する手法の開発等
- 都道府県が独自に実施している学力調査等を補完データとして、児童生徒の学習状況や学習指導との関連を多面的に分析する手法の開発を行う。
2.個人情報を保護しつつデータを収集する手法の開発及び補完的調査と全国学力・学習状況調査の結果を結合した分析、及び学力格差の発生メカニズムやその是正方策に関する調査研究
- 保護者等に対する補完的な追加調査を設計実施し、個人情報を保護しつつデータを収集する手法等を開発するとともに、得られたデータを用いて学力差の測定、発生メカニズムと是正方策の検討・提言を行う。