参考資料1

学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会(第4回)議事概要

1.日時

平成20年3月10日(月曜日)10時〜12時

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎2階第1会議室

3.議題

  1. ワーキンググループからの報告について
  2. 学校のICT化のサポート体制の在り方について
  3. その他

4.配付資料

資料1
 検討会における論点(討議用資料)
資料2
 教育CIO及びICT支援員の役割、資質・能力等について(案)
資料3
 教育CIO及びICT支援員の確保・育成のための具体策について-研修プログラム(案)-
参考資料1
 学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会(第1回〜第3回)議事概要
参考資料2
 学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会普及方策検討ワーキンググループについて
参考資料3
 教育CIOに関する事例の整理表
参考資料4
 ICT支援員に関する事例の整理表

5.出席者

(委員等)

山西座長、南部副座長、井上委員、岩原委員、大塚委員、梶本委員、齋藤委員、下田委員、中川委員、野中委員、平山委員、藤村委員、宮田委員、森田オブザーバー(文部科学省)安藤初等中等教育局参事官、中沢情報教育調整官その他

6.議事概要

(1)ワーキンググループからの報告について

  • 南部副座長より、ワーキンググループの活動経過について報告があった。
  • 藤村委員より、資料2に基づき説明があった。
  • 宮田委員より、資料3に基づき説明があった。
  • その後、質疑応答等があった。

<教育CIO及びICT支援員の役割、資質・能力等について>

【南部副座長】

 ワーキンググループにおいて教育CIOについて議論してきたが、教育委員会や学校に情報化の推進役が存在するところは進んでいると思う。学校の情報化を進めるため、誰にどのような役割を担わせるか議論する必要がある。

【山西座長】

 先進地域では教育CIOを設置しているのか。大学では、規則により設置が規定されている。

【藤村委員】

 教育CIOという正式な役職等はなく、担当部課長や教育センター長が事実上教育CIOの役割を担っている事例がほとんどである。法令を改正して教育CIOという新たな役職等を設置している例はない。

【中沢調整官】

 自治体CIOの設置についても国による法的な義務付けはなく、総務省が指針を示して自治体の設置を推進している。都道府県では7割程度設置されており、市町村では都道府県よりも割合がやや高くなっている。

【山西座長】

 先進地域ではICT支援員は直接雇用(非常勤)となっているのか。

【藤村委員】

 教育委員会が直接雇用している例が多い。民間企業やNPOに委託し、そこが派遣している例もある。このほか、ICT関係企業の退職者や地元大学の学生にボランティアとして活躍してもらうことも考えられる。

【野中委員】

 資料2の「学校のICT化のサポート体制の全体イメージ」と「人材配置による教育CIO機能の実現」の図について、コーディネーターと教育CIO補佐官との関係が分かりにくい。教育CIO補佐官がコーディネーターの役を担うのではないか。また、学校の情報主任がコーディネーターを担うことも考えられる。
 「教育CIO機能の実現」の2つの図にICT支援員も記載されていたが、何か理由があって削除されのか。また、「教育CIOの形態」の図で、都道府県・政令指定都市・特別区の枠から「人材配置による教育CIO機能の実現」の枠に矢印は伸びないのか。
 資料2の「学校のICT化のサポート体制の全体イメージ」に、学校内部のことも書かれる必要があるのではないか。

【宮田委員】

 コーディネーターの配置の考え方としては、ICT支援員の運用を円滑に行うためのICT支援員リーダーを配置することにあった。自治体の規模によっては、教育CIO補佐官がコーディネーターを兼務することも考えられる。

【藤村委員】

 先進地域では、コーディネーターを民間委託により配置する例が多い。コーディネーターは機能として必要性が出てきたものなので、教育CIOの組織とは分けて議論する必要がある。
 ワーキンググループでは、学校の中に教育委員会とICT支援員との調整役を置く必要があるのではないかという議論があった。

【中沢調整官】

 図中の矢印については適切に修正したい。ICT支援員と学校の内部の調整役については、資料のバランスの関係から事務局の判断で記載していないが、どのようにすべきか本日ご議論いただきたい。学校の情報化を進めていくにあたって、学校内部にも教育CIOのような人材、いわば学校CIOを置く必要があるのではないかという観点でご議論いただきたい。

【藤村委員】

 学校CIOを設置することには賛同できる。この場合も、学校CIOのもとに実働部隊が存在するのだろう。

【井上委員】

 以前、教育委員会から学校にSEを派遣し、地区ごとにICT化のコーディネーターを配置していた。このような人材と学校CIOとの関係について考慮する必要がある。その時の経験から考えると、地区や学校によって担当する業務にバラツキがあったので、業務を明確にした方がよい。
 学校CIOを設置する場合、情報担当教諭との違いを明確にする必要がある。

【山西座長】

 学校CIOが実際に機能するためには公的な仕組みを作る必要がある。

【野中委員】

 学校CIOは管理職が務めなければ機能しないと考える。

【藤村委員】

 資料2の「学校のICT化のサポート体制の全体イメージ」におけるコーディネーターは、ICT化のコーディネーターではなく、ICT支援員の運用を円滑に行うために必要であるという観点からのもの。理科支援員の仕組みを参考とした。

【堀田参与】

 ワーキンググループで、コーディネーターをICT支援員リーダーと呼んでしまうと、必ず配置しなければいけないと誤解されてしまう懸念があるという議論があった。

【野中委員】

 教育CIO補佐官とコーディネーターを分けて考えることは、人的配置の問題から教育委員会にとって非現実的である。教育CIO補佐官にコーディネーターを含めて考える必要があるのではないか。
 教育委員会に人的負担がかかるイメージを与えないようにするために、全体イメージや教育CIOの機能の図をスリム化する必要がある。

【藤村委員】

 教育CIO補佐官やコーディネーターは、必要に応じて配置することが現実的であり、資料の中では点線にしている。本検討会の検討結果について、教育委員会や学校で実現可能なものにする必要があるというのはそのとおり。

【大塚委員】

 教育CIOの補佐も含めて、教育CIO補佐官の役割が重要であると考える。

【中川委員】

 資料2の「学校のICT化のサポート体制の全体イメージ」は、形としてはわかりやすいが教育CIOの機能も記載する必要があるのではないか。
 コーディネーターはICT支援員に含まれるのではないか。

【山西座長】

 教育CIOに新たな人材を充てることは現実的ではない。教育長や教育次長が位置づけられるのではないか。

  • 資料2について、コーディネーターとICT支援員の位置づけや教育委員会と学校との関係をわかりやすく修正することとなった。

<教育CIO及びICT支援員の確保・育成のための具体策について-研修プログラム(案)-について>

【宮田委員】

 資料3の研修プログラム(案)は、研修を短期間で実施することをイメージして項目を整理している。

【山西座長】

 研修を受講したことにより、本当に任務に当たることができるのか。

【大塚委員】

 ICT支援員については、講義形式の研修だけではうまく育たない。教育現場を経験させないと必要な資質が身に付かない。教育現場でのOJTが重要である。OJTを行う場合には指導主事の役割が大きくなる。

【山西座長】

 研修プログラム(案)の内容はどうか。

【平山委員】

 ICT支援員として最低限必要なのはワープロと表計算、教育的な資質であり、自己研鑽でコーディネーターや教育CIO補佐官を目指す人は、その他の内容にも取り組んでいく。最低限必要な内容を広げてしまうとICT支援員になる人が不足してしまうが、上を目指す人のための研修プログラムも必要である。
 コーディネーターなどの名前がわかりにくいので、学校現場に理解される名前にする必要がある。また、コーディネーターの定義を明確にする必要がある。明確にならないと理解が浸透しない。

【中川委員】

 教育CIOとICT支援員では、教育CIOが先に配置される必要がある。組織としてCIOを設置する場合も、CIOという役割の人材を置く必要があると考える。

【梶本委員】

 資質や能力は、研修プログラムとして示した方がわかりやすい。この中で自分に足りない部分について研修を受けることができる。

【山西座長】

 研修プログラムはユニットにした方がいいのではないか。

【岩原委員】

 その考え方に賛同する。

【宮田委員】

 当初のプログラム案はユニットにして研修の構成は各教育委員会に任せる形を考えていたが、ワーキンググループでわかりにくいという意見があり、時間割表にまとめた。教育委員会の参考とするために、ユニットを組み合わせたいくつかのモデル案を示すとよいのではないか。

【山西座長】

 研修プログラム(案)について、必要な項目をユニットとして整理し、教育委員会が必要なものを選んで研修を実施してもらう形はどうか。これを制度として体系化し、研修を受けた後の成果を評価する仕掛けをつくり、進捗のレベルに合わせて教育委員会がユニットを選択するようにすればよいと思う。

(2)学校のICT化のサポート体制の在り方について

【山西座長】

 ICT支援員の確保の方策としてボランティアを活用することは適当か。

【岩原委員】

 ICT支援員を機能させるためには予算措置をすることが必要。ICT支援員の仕事として求められるレベルが高くなったらボランティアでは厳しい。ICT支援員を正規の職業として成立させる必要がある。

【平山委員】

 ICT支援員としてやる気のある人を継続させるためには公的な予算措置が必要。年間を通じて任務に当たり、自分でレベルアップしていくモチベーションを与えるためには、ICT支援員の初期段階から対価を支払う必要がある。

【野中委員】

 ICT支援員は長続きする必要はないのではないか。ICT支援員で生計を立てることは難しい。ICT支援員の活用の目的は、教員が自立的にICT活用できるようにするという議論だったと理解している。研修に時間をかけずに、例えばOJTのみでICT支援員を活用できるようにする仕組みが必要である。

【下田委員】

 教育CIOが担う業務の範囲と学校CIOが担う業務の範囲は定まっているのか。
 また、本検討会は、学校のICT化(情報システム)について、新たに開発する局面の議論をしているのか、開発されたものを活用・運用管理する局面の議論をしているのか。
 さらに、研修プログラム(案)の内容はICT(技術)が主流になっているが、教員がICTを意識しないで本来の狙いである授業の効果を上げられるようなICT支援員育成の研修プログラムの内容が良いのではないか。
 ところで、教員は、電子メール、ワード、エクセル、パワーポイントについては常識的に使えるようになっているのか。

【山西座長】

 学校CIOは学校内の情報化を推進し、教育CIOは地域全体の情報化を推進する役割分担が必要。
 これからの教員はリテラシーとして、電子メールやワード等の活用は勿論のこと、ICT活用指導力が求められている。
 ICT支援員の研修内容にネットワーク管理のことも含まれているが、教員がサーバーの管理などは行わず授業に集中するために支援する人材ということであれば、教員とICT支援員の役割分担は明確でわかりやすい。過去のアンケート調査でも、ICT支援員には技術的な支援を担ってもらうことが必要であるという結果が出ている。

【野中委員】

 ネットワークやシステム管理は保守管理契約の中で行い、ICT支援員は授業支援に限るという方向で議論していたと理解している。研修プログラム(案)の中で、技術的なものは全て削除してよいのではないか。

【宮田委員】

 ICT支援員の機能として授業支援が中心ではあるが、ネットワークやシステム管理に関する知識がある程度なければ、ヘルプデスクへの連絡など、授業中に発生した問題への対応ができない。こうなると、結局教員が対応することになってしまう。

【齋藤委員】

 ICT支援員に対する認識に市町村の間で温度差が大きい。そこで、情報モラルの問題が最近大きな話題となっているので、こうした問題に関する教材などをICT支援員が紹介できれば、行政としてニーズが出てくるのではないか。
資料2の「学校のICT化のサポート体制の全体イメージ」で、教育CIOの「人的配置、組織設置」というのがわかりずらい。端的に、教育長、教育次長などと記載すれば教育委員会がイメージを持てるのではないか。

【山西座長】

 本日の議論について、報告書にわかりやすく盛り込んでいく努力をしたい。

(以上)