学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会(第3回)議事概要

1.日時

平成19年12月10日(月曜日)14時〜16時

2.場所

三田共用会議所3階 D・E大会議室

3.議題

  1. 外部有識者からの意見発表
    • 日野市教育委員会教育部ICT活用教育推進室長 五十嵐 俊子氏
    • 横須賀市企画調整部長 廣川 聡美氏
  2. 学校のICT化のサポート体制の在り方について
    • 学校、教育委員会における情報化の推進体制の在り方について
    • サポート体制の強化のための人材確保・育成について
  3. その他

4.配付資料

資料1
 検討会における論点(討議用資料)
資料2−1
 日野市のICT活用教育(五十嵐俊子氏説明資料)
資料2−2
 教育情報化推進のための体制等について(廣川聡美氏説明資料)
参考資料1
 学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会(第2回)議事概要
参考資料2
 第1回検討会・第2回検討会における意見発表の内容の整理

5.出席者

(委員等)

山西座長、南部副座長、井上委員、梶本委員、齋藤委員、下田委員、中川委員、野中委員、平山委員、藤村委員、宮田委員、森田オブザーバー

(文部科学省)

安藤初等中等教育局参事官、中沢情報教育調整官その他

6.議事概要

(1)外部有識者からの意見発表

  • 日野市教育委員会五十嵐ICT活用教育推進室長から資料に基づき説明があった。その後、質疑応答等があった。

    【山西座長】

     メディアコーディネータは正規の職員か。

    【五十嵐室長】

     正規の職員ではなく、委託形式で雇用している。

    【山西座長】

     単年度での雇用か、もしくは継続して雇用しているのか。

    【五十嵐室長】

     基本的には単年度での委託だが、自分としては3、4年は続けてほしいと考えている。

    【野中委員】

     メディアコーディネータの採用条件は設けているのか。

    【五十嵐室長】

     委託契約時にメディアコーディネータの具体的な業務内容を示し、求められる能力などについて事前に分かるようにしている。また、任用前研修において、詳しく説明している。
     学校現場に入り、ICTを活用した授業の設計を教員とともに行ったり、ティーム・ティーチングとして子ども達を指導することもあるので、できれば教員免許を取得している者が良い。

    【平山委員】

     学校現場、行政、企業、専門家の4者が連携している体制は理想的だと感じた。
     予約サイトを通してメディアコーディネータを学校に派遣するのは年に何日か。また、学校に行かない日は教育委員会では何をしているのか。

    【五十嵐室長】

     ほぼ毎日、4人のうち誰かは学校に出ている。できるだけ多く学校現場に出るように調整しているが、学校支援の準備や自分たちの研修も重要。

    【藤村委員】

     ICT活用教育推進室と首長部局との連携はどのように図ったのか。

    【五十嵐室長】

     庁内のセキュリティやシステム対応などで、首長部局と連携している。他課(情報システム課など)に学校現場のセキュリティについて見てもらっていく中で、除々に首長部局に学校現場の理解者が増えていった。

    【山西座長】

     メディアコーディネータは若い人であることが予想されるが、教育力という観点で十分ではないかと思う。学校現場の先生方との関わり方はどうか。

    【五十嵐室長】

     若い人であるからこそ、熱意があって先生方に向き合うことができる。むしろ、教員は若い相手だからこそ気軽に心を開いて相談したり、頼んだりすることができる。メディアコーディネータも先生方に寄り添いながら、多くのことを学んでいる。

    【山西座長】

     継続的な予算措置は厳しいと思うが、日野市がメディアコーディネータを雇用できるのはICT活用教育推進室を設置したことによる効果か。

    【五十嵐室長】

     予算は厳しい状況だが、ICTを導入することの必要性を市の職員が共有していることが大きい。また、保護者や一般市民、市議会議員など多くの人に、授業参観などICT活用の効果について理解してもらう機会を設けている。予算の確保のためには説明責任が重要であると考えている。

    【南部副座長】

     ICT活用の効果については、実践を見せるだけではなく、学力の向上など客観的な効果を示さないと理解されないのではないか。

    【五十嵐室長】

     学力向上の効果については、まだこれからである。ただ、素晴らしいICT活用の実践を見せることで、イメージが全く変わる。学力の向上など目に見える効果を示したいと考えている。

  • 横須賀市廣川企画調整部長から資料に基づき説明があった。その後、質疑応答等があった。

    【藤村委員】

     首長部局の側から支援を求めるのは良い方法である。プロジェクトマネージャーは、常設か、それとも臨時に置いているのか。

    【廣川部長】

     常設である。

    【梶本委員】

     教育委員会で情報化を進める場合、どのような問題が生じるか。

    【廣川部長】

     教育委員会は財政当局に対し、情報関係予算要求の説明をうまくできない面があるようだ。この点で首長部局が支援できるのではないかと考えている。

    【野中委員】

     首長部局からは、学校現場のICT活用の状況についてどのように評価しているのか。

    【廣川部長】

     学校によって温度差があると考えている。教員が生徒指導などに時間を取られてICT活用に手が回らない状況にある。整備したものが活用されるような工夫をしていくことが今後の課題であると考えている。

    【宮田委員】

     首長部局が熱心なときは良いと思うが、人が変わると方針も変わることがある。恒常的に教育の情報化を進めていく方法を模索しているが、ICT活用が実践されているという状況証拠ではなく、具体的なデータで効果を示す必要があると考える。

    【廣川部長】

     恒常的に進めていくためには、学校現場がネットワークを組んで、首長が誰であっても教育の情報化を進めていくのだという強い考えを持つことが必要だと考える。

(2)学校のICT化のサポート体制の在り方について

  • 事務局より、資料1及び参考資料2について説明があった後、以下のような意見があった。

    【山西座長】

     日野市の事例について、校長や教頭などの管理職の意識を高めていくためのポイントは何か。また管理職を対象とした研修は誰がやるのか。

    【五十嵐室長】

     首長がポリシーを持ち、何のために情報化を進めるのかを管理職に伝えれば学校現場は変わってくる。

    【井上委員】

     ICT環境整備などはトップダウンで進めることが必要だと思う。例えば、校務の情報化については、校務の情報化により教員にゆとりを作り子どもたちと向き合う時間を増加させるという方針を国がしっかりと立てれば、全国に広がるのではないか。
     ICTを活用した教育を進めるには、教員の1人1台の校務用パソコンを整備し活用してもらうことが、突破口になる。

    【藤村委員】

     確かに、ICT活用が進んでいるところは、教員1人に1台のパソコンがある地域が多い。セキュリティ面でも安心して進められるようだ。校務の情報化がICT活用の促進の裏の仕掛けになるのではないか。
     推進体制については、首長部局と教育委員会に横断的な組織を設置し、人事交流するなどの連携を図ったり、外部のNPO法人などが入って両者の連携を図っている自治体もある。

    【中川委員】

     トップダウンでICT化を進めてしまい、現場でうまくいかない例もある。理由としては、首長部局に教育CIOや教育CIO補佐官がいないことで、首長部局と教育委員会に横断的な組織を作り、教育CIOやCIO補佐官を置く必要がある。

    【藤村委員】

     行政部局がトップダウンで主導するとともに、学校現場もボトムアップで要望を上げていくなど連携して進める必要がある。

    【野中委員】

     組織も大事だが、むしろキーパーソンとなる人材の育成が重要である。横断的な組織の中で的確に情報化を進める人材を育成することが課題だと考える。
     環境整備についてトップダウンで進めることは賛成できるが、行政が体制を整えるとともに、学校現場における人材の配置、管理職と情報担当教員の意識の変革など、人材を育成することも重要。

    【平山委員】

     日野市教育委員会のメディアコーディネータについて、学校側が求めている用務を予約サイトで事前に把握でき、どのような人材を配置するべきか判断できる仕組みは良いと思う。

    【五十嵐室長】

     メディアコーディネータを派遣する際には、学校側がどのようなことを要望しているかを把握し、意識して人材を選び派遣している。
     ICT活用研究委員会の委員には、ICTが得意な教員ではなく、授業に前向きな教員を集めるようにしている。

    【梶本委員】

     三木市においては、校長先生と情報担当教員はICT活用を広める立場なので、意識合わせをして学校内に考えが浸透しやすいようにしている。

    【下田委員】

     全国に格差なく展開していくにはどうしたらよいかが大切で、いくつか先進事例が紹介されてきているので、これらを整理してまとめていく必要がある。

    【宮田委員】

     学校からのニーズがあれば予算も付く。ICT化により学校の先生が楽になるという打ち出し方では駄目で、教育の質を向上させると打ち出していけば、学校現場の同意を得やすいと考える。

    【南部委員】

     教員養成大学としては、学生にICTスキルなどの力量を身に付けさせて卒業させるのが使命であると考えている。
     域内の教職員の指導力を向上させるという強い意識を持った人を教育CIOとして配置するという考え方が必要。

    【山西座長】

     地域の大学が地域貢献の観点で人材育成に取り組んでいる。学生や地域のシニアの方々を学校の支援人材として育成することができるのではないか。
     また、教員免許更新制の中で、ICT活用が取り上げられるのであれば、教員に対して大きな印象を与えることができるのではないか。
     人材確保の芽は出てきていると思う。良い事例を束ねて情報発信していく必要があるのではないか。

  • 検討会の今後の進め方と体制については、日程も含めて事務局にて調整の上座長と相談し決定することとなった。

(以上)

(初等中等教育局参事官付)