学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会(第2回)議事概要

1.日時

平成19年11月30日(金曜日)10時〜12時

2.場所

東京国際フォーラム4階 G405会議室

3.議題

  1. ICT支援員について
  2. 委員等からの意見発表
    • 徳島県三好教育研究所研究員 中川斉史委員
    • 熊本県教育庁教育政策課指導主事 宮田敏郎委員
    • 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会専務理事 下田邦典委員
  3. その他

4.配付資料

資料1
 検討会における論点(討議用資料)
資料2−1
 三好教育ネットワークセンターの活動と成果(中川委員提出資料)
資料2−2
 熊本県教育委員会の取り組み(宮田委員提出資料)
資料2−3
 ITコーディネータ制度について(下田委員提出資料)
参考資料1
 学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会(第1回)議事概要
参考資料2
 ICT支援員に関する意見発表の内容の整理

5.出席者

(委員等)

山西座長、南部副座長、井上委員、岩原委員、大塚委員、梶本委員、齋藤委員、下田委員、中川委員、野中委員、平山委員、宮田委員、森田オブザーバー

(文部科学省)

安藤初等中等教育局参事官、中沢情報教育調整官その他

6.議事概要

(1)ICT支援員について

  • 事務局より、資料1及び参考資料2について説明があった後、以下のような意見があった。

【井上委員】

 現状として学校の情報担当教員がICT支援を担うとした場合、附属学校や大規模学校ならば可能である。これは定数加配があるためで、定数加配のない小規模な学校では、教科担任やクラス担任とを並行して情報担当としての業務を行うことは不可能だと思う。

【山西座長】

 井上委員の意見は、標準的な学校規模では人的余裕からできないとの意見であるが、前回説明のあった目黒区では非常勤という形で人を入れている。目黒区の意見を聞きたい。

【大塚委員】

 各学校へのICT支援員の派遣回数等については、ニーズの高い学校であれば期待に応えきれていない部分もあると思う。
 ICT支援員は人的保障ではなく、あくまでICTを効果的に使った授業を実施するための支援をする役割だという理解をしてもらうよう、教育委員会で努力している。

【野中委員】

 現実には、情報担当教員が教科担任などを兼務しながら学校内のICTの支援を行うことになるのだと思うが、こうした状況が続けば、情報担当教員にも負荷がかかるため外部等からの支援が必要となる、という考えではないか。
 大学からの学生ボランティアを入れても、これをコントロールする人材がいなければ有効には機能しない。情報担当教員にはこうしたICT支援員をコントロールする役割が必要なのではないか。

【山西座長】

 昨年文科省が実施した「校務情報化の現状と今後の在り方に関する研究」「地域・学校の特色等を生かしたICT環境活用先進事例に関する調査研究」で実施したアンケートでは、教員がトラブル対応に要する時間が多いとの結果が出ていた。そうするとICT支援員に求められるものは、技術的能力を持った人物ということも考えられるのではないか。

【岩原委員】

 トラブル対応だけでは、ICTを活用した教育は進まない。柏市においては、ハード面のトラブルはメンテナンス会社で、ネットワーク管理はNPOの協力で行っている。ICT支援員は教育支援アドバイザーとして、機器の使い方、教材作成の補助、校内研修の実施など学校教育を支援している。
 課題として、教育支援アドバイザーがアルバイトなので長続きしないという点がある。域内の中学校区に1名置ければ、1市内程度の規模なら十分対応できる理想形だと思う。
 また、重要なのは支援員(教育支援アドバイザー)にも、ある程度教科に関わり内容に携わらせておく必要があると思うが、教育のプロ(教員)とICTのプロ(支援員)は役割を分けて整理する必要がある。

【中川委員】

 ネットワーク管理を外部にやらせてしまうと、契約の仕方によっては、対応まで時間がかかることがある。結局初期のうちは学校内の者が対応しなければならない。
 支援員を配置するには、まず教員のICT活用能力の向上を図り、その上で支援員を充当することが望ましいと思う。

(2)教育CIOについて

  • 中川委員から資料に基づき説明があった。
  • 宮田委員から資料に基づき説明があった。
  • 下田委員から資料に基づき説明があった。

【野中委員】

 熊本県のケースは、熊本県であったから可能だったものなのか。それとも、他の地域でも採用できるものなのか。

【宮田委員】

 教育委員会全体の政策や予算をまとめる部署に情報政策を担当する部署をおいたことで可能になったと思う。

【野中委員】

 教育CIOは、教育委員会において、予算権限を与えられる位置に配置することが重要である。課題としては、こういう任務を遂行できる人材がどのくらいいるのかであろう。
 ICT支援員は、ICTを使って教員が授業を工夫できるよう導くことができる程度の能力がある人物と捉えないと、対象となる人材がいなくなってしまう。

【梶本委員】

 情報戦略の策定や校内研修の立案等はCIOの役割。CIO補佐官が各学校のコーディネータ役、教員は教育者としてカリキュラムをきちんと理解し、ICT支援員と連携することが重要である。

【平山委員】

 CIOを予算権限のある位置に配置することに賛成である。ただ、アドバイザーだけがいてもそれを教員側がコントロールできないのが現状であり、コーディネータの役割が重要であると思う。課題として、コーディネータは季節的に業務が発生することがあり、仕事が安定的でないため、折角、コーディネータとしての能力が身に付いても短期で辞めてしまう人が多いことである。きちんと予算措置をし、コーディネータは常時2名が常駐するような体制が必要だと思う。

【井上委員】

 教育委員会には予算権限がない。知事部局の方に予算権限がある。CIOを教育委員会に配置しても、予算権限のある知事部局と連携できる仕組みにしなければならない。
 パソコン教室を図書館と兼用でメディアセンター等とし、少ない人材を効果的に配置する工夫も必要ではないか。

【山西座長】

 本日の審議では、CIOの資質としては、経営者としての能力がある人材という感じを受けた。今後も、引き続きこの件は議論していきたい。

【南部副座長】

 予算も含め、将来的に学校のICTをどのような形にしていくのか先の見通しができる人材を予算権限がある位置に教育CIOとして配置することが重要ではないかと感じた。また、教育CIOは首長を支援できる人材である必要があり、市町村教育委員会にも配置する必要があるのではないか。

【宮田委員】

 熊本県でも市町村のCIOが課題になっている。教育部門の情報政策担当窓口として機能するためにも市町村教育委員会に教育CIOを置くことは重要だと考える。

【齋藤委員】

 群馬県では、管理職と情報教育担当がうまく連携できるかが課題である。管理職に情報化リーダー養成研修の講義を少し受けてもらうだけでも意識は変わってくる。
 ただ、環境だけを与えられたところでは効果的にICTを使っていない。群馬県内では、独自に統一した校務のシステムを作ろうという動きがある。これは、県の教育長が校務情報化を推奨したためで、各市町村の教育委員会同士で今後の施策を話し合っているところもある。

  • 事務局より、今後の日程について説明があり、次回は12月10日(月曜日)14時から三田共用会議所D・E大会議室で開催することとなった。

(以上)

(初等中等教育局参事官付)