6.指導改善研修

(1)研修内容等

(研修内容等)

  •  指導改善研修は,法律により指導改善研修を受ける者の能力,適性等に応じて個別に計画書を作成しなければならない。
     特に,指導が不適切な状態を改善するためには,指導改善研修の中で,教諭等本人に自らが指導が不適切な状態にあることを気づかせることが重要であり,個別面接の実施等,「気づき」の機会を設けることが望まれる。
     このような観点から,計画書の作成に当たっては,報告・申請を行った校長及び教育委員会からの情報をもとに,当該教諭等の課題を明確にすることが効果的である。
  •  「指導が不適切である」教諭等にしばしば見られる特徴として人間関係を構築することが不得手な者であることも指摘される。このような特徴がみられる場合には,指導改善研修の中で,人間関係を築くことに資する研修内容を組み込むことが重要である。
  •  指導改善研修の目的を達成するためには,教職員研修についての高度の専門性と,十分なノウハウが求められる。このため,都道府県・指定都市教育委員会等が設置する教育センター等教員の研修を行う機関(以下「教育センター」という。)を活用することが適切である。
  •  指導改善研修は,「指導が不適切である」教諭等の指導を改善させ,児童等の前で単独で授業を実施できるようにすることを目的としていることから,必要に応じて,所属の学校等での実地研修を行うことが重要である。その際には,児童等への影響等について配慮する必要がある。
  •  「指導が不適切である」教諭等が周囲から孤立している場合には,「指導が不適切である」教諭等の悩みや相談を受け止めるためのカウンセリングを実施する体制を整えることも考えられる。
  •  教育センター等における研修を実施するに当たって,それぞれの教諭等に応じた指導体制を構築するため,必要な人員を配置することが重要である。

(関係機関の連携)

  •  指導改善研修を実施するに当たって,認定に至るまでの経緯,指導が不適切な状態等を把握した上で,研修内容を組むことが重要である。
     したがって,指導改善研修に関する計画書を作成するに当たり,認定を担当する部局と研修を担当する部局との間で,「指導が不適切である」教諭等の情報を共有することが重要である。
  •  指導改善研修は,任命権者である教育委員会が研修の実施主体であるが,「指導が不適切である」と認定された教諭等が,所属校を離れ,教育センター等において指導改善研修に参加している期間においても,所属校の校長や服務監督権者である教育委員会の指導主事等が,教育センターにおける当該教諭等の状況を確認することが重要である。

(研修成果の記録)

  •  指導改善研修の実施に当たっては,指導の改善状況を適切に記録する必要がある。この記録は,研修終了時の認定に当たって,当該教諭等の状況を客観的に証明するために必要となるものであり,当該教諭等の当初状態からの指導力の変化等を適切に記録する必要がある。

○教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)(抄)

第二十五条の二  
3  任命権者は、指導改善研修を実施するに当たり、指導改善研修を受ける者の能力、適性等に応じて、その者ごとに指導改善研修に関する計画書を作成しなければならない。

○「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律について(通知)(19文科初第541号)」(平成19年7月31日)(抄)

第二 留意事項

第2 教育公務員特例法の一部改正関係
5 指導改善研修に関する計画書について(第25条の2第3項関係)

 第25条の2第3項の計画書の作成に当たっては、指導が不適切であることの内容や程度等が様々であることから、画一的な研修ではなく、個々の教員が抱えている問題の内容や程度等に応じた研修を実施するようにすること。

(2)研修期間

(研修期間中の分限休職者等の取扱い)

  •  指導改善研修実施中に,分限休職処分や育児休業,介護休暇,産前産後休暇等の承認(以下「処分等」という。)を行う場合には,法律により研修開始の日から原則1年,延長しても2年を超えないこととされている期間(以下「法定研修期間」という。)中に,十分な研修を実施する期間を確保できないこととならないよう,下記のような運用により適切な研修期間を確保することが必要である。
  •  原則として,一定期間の処分等を行う場合には,その時点において指導改善研修を中止し,処分等の期間終了後に,新たに指導が不適切であることの認定を行い,新たな指導改善研修を実施することが適当である(図1)。
     その際,新たに行うこととなる指導が不適切であることの認定は,原則として,当初認定を行った際の情報と処分等を行う時点までの研修成果に基づいて行うものとする。なお,処分等の期間中に,指導の改善を伺わせる事情が見られる場合には,その事情を考慮して認定を行うことができる。
     また,新たな指導改善研修については,研修を開始した日から新たな研修期間が始まることとなるが,法定研修期間が設けられた趣旨を踏まえ,処分等を行うまでに指導改善研修を実施した期間と,新たな指導改善研修の実施期間との合計が原則1年,延長があった場合でも2年を超えない範囲で期間を設定することが適当である。

    (図1)※研修期間を1年とした場合
  •  ただし,処分等を行う時点において,処分等の期間終了後,法定研修期間の範囲内で十分な研修を実施できると判断した場合には,中止の手続を行わず,処分等の期間終了後に研修を継続することとなる。
     この場合において,処分等の期間中に,研修を開始した日から1年を経過することとなる場合には,その前に,法第25条の2第4項の規定に基づき,指導の改善の程度に関する認定を行う必要がある。その結果,指導改善研修の再受講が必要だと判断した場合には,当初指導改善研修を開始した日から引き続き2年を超えない範囲内でこれを延長し,処分等の終了後に研修を実施することとなる。(図2)

    (図2)※研修期間を1年とした場合

○教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)(抄)

第二十五条の二  
2  指導改善研修の期間は、一年を超えてはならない。ただし、特に必要があると認めるときは、任命権者は、指導改善研修を開始した日から引き続き二年を超えない範囲内で、これを延長することができる。

○「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律について(通知)(19文科初第541号)」(平成19年7月31日)(抄)

第二 留意事項

第2 教育公務員特例法の一部改正関係
4 指導改善研修の実施期間について(第25条の2第2項関係)

 第25条の2第2項の「特に必要があると認めるとき」とは、当初に定められた指導改善研修の期間の終了時において、再度研修を行うことにより当該教諭の指導の改善の余地が見込まれる場合を想定していること。なお、指導改善研修の実施期間に関し、必要がある場合には、教育委員会規則等の見直しを行うこと。

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