別添 教員免許更新講習のカリキュラムイメージ(案)(岩田委員)

1.更新講習の趣旨・ねらい

  • 教育課題とその背景について「10年」を単位として構造的に省察することを通して、教員免許状を持つものが、「最近の10年」-現在-「今後の10年」についての確かな見通しを得る。
  • 上記のねらいに鑑み、講習内容は各領域別に、(1)「最近10年の事例」を素材にしたケース・スタディ、(2)それらの事例の背景に関しての構造的なレクチャー、(3)グループ・ディスカッション、によって構成する。

2.カリキュラムイメージ(含めることが必要な領域・事項)

  1. 使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項 - 学校種・免許種にかかわらず共通内容
  2. 社会性や対人関係能力に関する事項 - 学校種・免許種にかかわらず共通内容
  3. 幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項 - 学校種・免許種にかかわらず共通内容
  4. 教科・保育内容等の指導力に関する事項 - 教科別・領域別の内容
  5. 学校種別の課題に関する事項 - 学校種・免許種別の内容
含めることが必要な領域・事項 左記の事項の趣旨・ねらい 講習内容 到達目標 目標到達の確認指標 授業方法
1.使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項
【教師】
  • 教員・学校の社会的な位置づけの推移を知り、教員の職責の理解を深める。
  • 学校(一条校)の社会的役割の推移
  • 学校教員の役割・職責に関する近年の動向(他との関連を含む)。
  • 当該領域についての近年の課題の特色とその背景を理解する。
  • 当該領域についての様々な事例を知り、それらについての全体的な見通しを持つ。
  • 当該領域についての今後の変化の見通しを持ち、それに関わる
  • 当該領域についての近年の課題の事例を説得的に提示できるか。
  • 上記事例(自らの実践事例)について、他との関連等において相対化する視点を持っているか。
  • 今後の教員生活に際し自己の実践を謙虚に省察し、向上させる姿勢を持っているか。
  • ワークショップ形式が基本
    (1)各領域の問題構造に関する講義
    (2)各領域で扱う課題に即した事例に関するプレゼンテーション(受講者(注))。
    (3)(1)(2)を踏まえての意見交換による課題の共有
  • ロールプレイ等、参加型の授業形式も適宜併用。
  • 約20人規模。
    (注)講習実施者の側で事前に課題を提示。
2.社会性や対人関係能力に関する事項
【コミュニケーション】
  • 教員に求められる社会性やコミュニケーションのありようについて理解し、実践の基盤を育む。
  • 教員に求められる社会性の在り方。
  • 教員を取り巻く対人関係の変化とコミュニケーションの課題
3.幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項
【子ども】
  • 幼児児童生徒の現状についての構造的な理解を得るとともに、人間関係づくりの課題を理解する。
  • 近年の幼児児童生徒および生育環境の変化
  • 幼児児童生徒の集団づくり・生活指導に関する課題
4.教科・保育内容等の指導力に関する事項
【指導・授業】
  • 当該教科等の指導についての同時代的な課題を理解する。
  • 教科・領域ごとの課題(専門的知見の現状、指導法上の課題等)。
  • 当該領域の近年の課題の変化と教育研究の到達点を理解する。
  • 今後の変化に向けての見通しと対処の構えを得る。
  • 当該領域等についての近年の課題を構造的に理解できているか。
  • 当該領域の課題について今後の変化に対処する構えができているか。
  • ワークショップ形式を基本とするが、上記3領域よりは講義の比重を高める。
  • 授業研究・実践事例研究を取り入れる。
  • 約20人規模。
5.学校種別の課題に関する事項
【学校】
  • 当該学校種の抱える近年の課題についての理解を深める。
  • 学校種ごとの課題(発達課題・制度的課題・隣接校種との関係等)

教員免許更新講習のカリキュラムイメージ(案)(狩野委員)

1.更新講習の趣旨・ねらい

  • 教員がこの講習における相互の学習交流によって優れた教員の実践に触れたり、最新の研究成果に学ぶことを通して、教職への意欲をより一層向上させ、主体的に研究と修養に取り組む態度を形成し、その後教員としての成長を遂げるとともに、実践において子どもの学力や健康、幸福を保障する真に信頼される教員となることを目的とする。
  • 講習の実施においては、教員として必要となる最新の知識や技能の習得はもとより、教員同士が謙虚に学習し合い、相互に切磋琢磨し、主体的に意欲を持って取り組み、その後の教職生活において自ら学び成長する教員としての態度や意欲が真に形成されるよう、単なる知識や技能の教え込みではなく、教員の主体性を生かした学習活動や能動的な取り組みを重視した講習方法の工夫が必要である。

2.カリキュラムイメージ(含めることが必要な事項例)

  1. 最新の情報等に関する事項
  2. 教員としての自覚、職務に対する使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項
  3. 社会性や対人関係能力、学校経営等に関する事項
  4. 幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項
  5. 教育課程や授業に関する事項
更新講習に含めることが必要な事項(案) 左記の事項の趣旨・ねらい 講習内容 到達目標 目標到達の確認指標 授業方法
1.
  • 最新の教育や学問芸術等に関する研究成果を理解し、自己の実践を省察しながらこれからの教育の在り方について考察することにより、教職への意欲や態度をより一層向上させる
  • 今日的な課題に対応した学校や教育の在り方
  • 今日的な課題に対応した学校や教育の在り方について考えることができる
  • 今日的な課題に対応した学校や教育の在り方について深く考え、主体的に討論に参加することができるか
  • 個別課題研究、グループ討論
  • 子どもの心身の発達や学習に関する研究動向と、それを踏まえた指導の在り方
  • 子どもの心身の発達や学習に関する研究動向について理解し、それを踏まえた指導の在り方について考えることができる
  • 子どもの心身の発達や学習に関する研究動向について理解し、それを踏まえた指導の在り方について考察し、主体的に討論に参加することができるか
  • 講義とその確認のための小レポート作成、グループ討論
  • その他、学問や芸術等に関する最新の知見
  • その他、学問や芸術等に関する最新の知見について理解することができる
  • その他、学問や芸術等に関する最新の知見について理解し、小レポート等に表わすことができるか
  • 講義とその確認のための小レポート作成
2.
  • 社会の変化や子ども、保護者、地域の要請に謙虚に耳を傾けながら、教員としての実践を省察し、教職への意欲や態度をより一層向上させる
  • 社会状況の変化に対応する学校教育の在り方
  • 社会状況の変化に対応する学校教育の在り方を考察し、受講生同士で建設的な意見交換ができる
  • 事実に基づいて社会状況の変動に対応する学校教育の在り方を考察するとともに、他者の意見に耳を傾けて、自己の見解をまとめているか
  • 個別学習、小集団討論、講義で示された内容と課題に関する論述試験、口頭試問等
  • 教員に対する地域、保護者等のまなざし、社会的な評価を生かした教員の成長
  • 地域、保護者の教員観等社会的な評価を生かす視点について深く理解し、受講生同士で建設的な意見交換ができる
  • 教員に対する社会的要請等について深く理解し、他者の意見に耳を傾けて、自己の見解をまとめているか
  • 個別学習、小集団討論、講義で示された内容と課題に関する論述試験、口頭試問等
  • 幼児、児童、生徒に関する実際的なかかわり方や教育への見方、考え方に関する実践を踏まえた省察
  • 自己の実践に基づく子ども観、教育観について省察し、受講生同士で建設的な意見交換ができる
  • 自己の実践について省察し、他者の意見に耳を傾けて自己の見解をまとめているか
  • 子どもや教育に対する新しい視点を深く捉えているか
  • 個別学習、小集団討論、ロールプレーイング、講義で示された内容と課題に関するミニレポート等
3.
  • 保護者や地域との円滑な交流の在り方、学校としての組織的対応の在り方等について、自己の実践を省察しながら今後の在り方を考察し、教職への意欲や態度をより一層向上させる
  • 保護者との円滑な交流の在り方
  • 経験に基づいて、様々な保護者とのかかわり方について省察し、受講生同士でさまざまな経験を交流することができる
  • 自己の見解にとらわれずに様々な保護者の教育要求に対して応えるとともに、他者の意見に耳を傾け、協力して見解をまとめているか
  • グループ討論及びグループポスター発表、ロールプレーイング等
  • 子どもの生育環境、社会環境への確かな理解
  • 子どもの人間形成にかかわる地域社会に対して関心を持ち、受講生同士でさまざまな経験を交流することができる
  • 様々な地域で育つ子どもの実情に関して自己の課題として引きつけて理解し、受講生同士でさまざまな経験を交流することができるか
  • 事例研究、グループ討論
  • 地域に根ざした学校運営の在り方
  • 学校の独自性と地域の役割について深く理解することができる
  • 学校の独自性を生かしつつ地域社会と連携する在り方について理解しているか
  • 講義で示された内容と課題に関するミニレポート等
  • 子どもをめぐる諸問題への確かな理解と組織的対応
  • 子どもの問題を教員自身の課題として引きつけて考えるとともに、受講生同士でさまざまな経験を交流することができる
  • 子どもをめぐる諸問題を教育の課題として真摯に受けとめるとともに、受講生同士でさまざまな経験を交流することができるか
  • 事例研究、グループ討論
  • 自己評価サイクルを生かした学校経営に関する理解
  • 学校や関連諸機関との連携、組織的対応について深く理解することができる
  • 子どもの示す事実に基づいて反省的に実践する学校の在り方について深く理解することができる
  • 組織的な対応の意味や役割について確かに理解することができるか
  • 子どもの示す事実に基づき、実践を見直し、受講生同士でさまざまな経験を交流することができるか
  • 講義で示された内容と課題に関するミニレポート、事例研究、グループ討論等
  • 学校としての組織的対応の在り方
  • 教職員が一丸となって取り組むこと、学校としての組織的対応の在り方について深く理解することができる
  • 自己の実践を深く省察し、教職員の協働の意味について深く理解するとともに、受講生同士でさまざまな経験を交流することができるか
  • 事例研究、グループ討論
4.
  • 多様かつ複雑な子どもの実情に対応した生徒指導や進路指導、学級経営等の在り方を考察し、教職への意欲や態度をより一層向上させる
  • 子どもの変化や特性についての理解に基づいた学級経営の在り方
  • 子どもの変化や特性について深く理解することができる
  • 子どもの変化や特性について独善的にならずに理解するとともに、受講生同士でさまざまな経験を交流することができるか
  • 事例研究、ロールプレーイング、グループ討論
  • 多様な子どもに対応する学級経営の在り方
  • 子どもの実情に応じて、学級経営を展開することができる
  • 子どもの実情に対応し、場当たり的ではなく、意図的、計画的な学級経営の計画をたてることができるか
  • 個別研究、学級経営案の作成、発表
  • 生活習慣の変化に伴う子どもの変容と生徒指導の在り方
  • 子どもの変容の原因を探り、共感的な対応をすることができる
  • 実態に応じて毅然とした生徒指導を展開することができる
  • 子どもをめぐるより複雑化する生活の変化を理解するとともに、子どもとラポートをとることができるか
  • 子ども集団の長所を生かした指導、時宜を逃さない指導が行なえるか
  • 場面指導、ロールプレーイング
  • 社会の変化に対応した進路指導の在り方
  • 人間として生きていくことの原初的な意味を追究し、主体的に生き方を選択する指導を展開することができる
  • 子ども自身が真に自己の幸福を追求できるような進路指導を展開することができるか
  • カウンセリングの理論と技法
  • カウンセリングの理論と技法を身に付けることができる
  • カウンセリングの理論や技法を身に付けているか
  • 講義、実技と小レポート作成
5.
  • 社会の変化に対応した教育政策の動向を視野に入れながら、確かな学力を育む学習指導の在り方を考察し、実際的に検証し、教職への意欲や態度をより一層向上させる
  • 学習指導要領の改定に対応した教育課程の編成・実施
  • 学習指導に示された内容や目標について理解し、勤務する学校の教育課程の在り方について省察することができる
  • 地域・保護者の要求、子どもの実態、教育政策の動向等を踏まえ、学校における教育目標や全体計画を構想することができるか
  • 学校経営計画案(骨子)の作成
  • 学習意欲を喚起し、学習習慣を身に付けさせる指導の在り方
  • 集団で学ぶことの長所を生かした指導、思考や生活の訓練を生かした指導を行なうことができる
  • 子どもの意欲を喚起する指導ができるか、集団思考を組織することができるか
  • 指導案作成、模擬授業
  • 道徳的実践力を育む指導の在り方
  • 多様な価値観との関係において自己の生き方を主体的に選び取る指導を行なうことができる
  • 人間としての多様な生き方、考え方を踏まえ、個人及び集団としての在り方を深く考察する指導を行なうとともに、受講生同士でさまざまな経験を交流することができるか
  • 場面指導、指導案作成、グループ討論
  • 子どもとの対応、教材解釈、集団思考等、教育的な指導の在り方
  • 子どもの反応を生かした指導、子ども同士が相互に学び合う授業、集団思考を組織する授業が行なえる
  • 子どもの反応を生かした指導、子ども同士が相互に学び合う授業、集団思考を組織する授業が行なえるか
  • 勤務校(園)や開設者の協力校(園)における研究授業(もしくは受講者の授業実践記録作成)

教員免許更新講習のカリキュラムイメージ(案)(千々布委員)

1.更新講習の趣旨・ねらい

  • その時々で求められる教員としての資質力量に刷新すること
  • 教師として一定水準の力量を保持していることの確認(教職実践演習で教授されている力量を身につけていること)

2. カリキュラムイメージ

含めることが必要な事項 左記の事項の趣旨・ねらい 講習内容 到達目標 目標到達の確認指標 授業方法
1.教科等の指導力
  • 学習指導の基本的知識と指導方法を確認
  • 社会の変化に対応した教育課題に対応した指導方法を獲得
  • 教科教育法
  • 学習指導要領の改訂に対応した教育課程の編成と指導法
  • 現代的な教育課題の指導法
  • その他最新の事項
  • 学習指導の基本的事項を身につけている
  • 現代的な教育課題を教育課程や授業に反映できる
到達目標と同じ
  • 講義
  • 先進的な授業の参観
  • 教科内容に関する研究発表、論文提出(学会や教育委員会等の審査)
2.幼児児童生徒理解と学級経営
  • 幼児児童生徒を理解するための知識と方法を確認
  • 幼児児童生徒理解や学級経営に関する最新知識の獲得
  • 生徒指導、教育相談の理論と方法
  • 学級経営
  • 脳科学、メンタルヘルスの最新情報
  • 特別支援教育
  • カウンセリング、ソーシャルスキル等
  • その他最新の事項
  • 子どもに対して公平かつ受容的な態度で接し、豊かな人間的交流を行うことができる
  • 子どもの発達や心身の状況に応じて、抱える課題を理解し、適切な指導を行うことができる
  • 規律ある学級経営を行うことができる
到達目標と同じ
  • 講義
  • 演習
  • 授業観察とレポート提出
  • カウンセリング等のスキルを身につける演習
  • 生徒指導に関する研究発表、論文提出(学会や教育委員会等の審査)
3.学校経営
  • 他の教師と協働すると同時に、保護者や地域と連携しながら職務を遂行する力量を獲得
  • 学校における組織的対応
  • 学校間連携
  • 地域社会との連携
  • 危機管理、安全管理
  • その他最新の事項
  • 他の教職員と協力して職務を遂行できる
  • 保護者や地域の関係者と良好な人間関係を築くことができる
到達目標と同じ
  • 講義
  • 自校の環境分析と経営戦略作成の演習
  • 学校経営に関する研究発表、論文提出(学会や教育委員会等の審査)
4.子どもを把握した授業の実施
  • 受講者が行う授業を観察し、教師としての使命感や責任感、子ども理解、社会性、授業力を確認
  • 研究授業
  • 模擬授業
  • 教育に対する使命感や情熱を持っている
  • 高い倫理観と規範意識を持っている
  • 授業を行う上での基本的な表現力を身につけている
  • 子どもの反応や学習の定着状況に応じた授業を行える
到達目標と同じ
  • 指導案作成
  • 研究授業
  • 模擬授業
  • 優秀教員としての表彰(いずれも大学や教育委員会関係者が査定)

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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --