平成19年12月10日(月曜日)17時〜19時
東京商工会議所 特別会議室A
天笠委員、青木委員、川名委員、島宮委員、竹原委員、中西委員、檜山委員、松尾委員、山口委員
布村大臣官房審議官、藤野教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他
【委員】
学校の目標設定について、11ページの参考事例部分では、「児童生徒や学校の実態、保護者や地域の意見・要望等を踏まえ、学校としての教育目標等の設定の状況」とある。一方で、1ページ目では学校が一方的に目標や計画を設定するような記述がされている。1ページの該当部分でも、学校は、保護者や地域住民との対話により、ともに目標をつくりあげていくという表現が必要なのではないか。
また、檜山委員にご提案いただいた資料は、評価のカテゴリーに関する概念整理としては非常にわかりやすい。一方で、それぞれの概念のとらえ方は状況によって変化することもあるため、より柔軟な対応ができる構造にするべきではないか。
【委員】
資料2の3ページでは、評価項目・指標等について、成果に着目すべき部分と取組に着目すべき部分があるとされている。成果は一つの指標になりうるが、これをあまりに強調すると、数値ばかりを追ってその過程がないがしろにされる危険性がある。原文だと成果が前面に出すぎているのではないか。
【委員】
児童生徒の人格的発達の状況について、人格的発達の状況そのものについての評定は子どもたちを傷つける恐れもあるので、「人格的発達のための指導の状況」とすべき。
【委員】
8ページのデータ等という部分で、学力調査の結果や運動・体力調査の結果が例示されている。これらは学校が情報提供する際に示すものとしては考えられるが、自己評価で示すものとしては考えにくい。これらのデータの扱いはどうすべきか。
【事務局・発表者】
13ページに解説があるが、この「データ等」とあるのは、例えば教育課程の評価をする際に学力調査の結果を参考にするなど、各学校で自己評価を実施する際にバックデータとして考えられるもののことである。また、あくまで例示として載せているに過ぎない。
【委員】
データの活用は目標設定と関連している。目標設定を行い、その達成度合いをデータで示す、これが自己評価ではないのか。
成果指標と取組指標については、成果指標はできたかできなかったか、取組指標は例えば研修は何回したか、講演会は何回やったか、というようなことが想定される。そうではなくて、研修会を10回開いたけど中身はなかった、というようなプロセスについての評価が大事であり、ガイドラインでもプロセスの評価に関する例示を入れるといいのではないか。
【委員】
教育現場では、1年で成果が出ないこともある。3年や5年という長いスパンで見る必要があり、その中で評価を行う際には、成果ではなくプロセスを評価することが大事。プロセスを見るときの指針など、プロセスを大事にできるような着眼点が必要。
また、学校と地域の連携については、「連携」から一歩進んで、より地域が主体であると感じられる表現が望まれる。
【委員】
現在は、学校間で学校評価の取組状況に差があると思われるため、現行のガイドラインを見ただけで学校評価を実行に移せるとは限らない状況にある。現時点ではボリュームが相当あるため、項目を精選するなど、わかりやすくする工夫が必要。また、生活指導や教員の資質については、保護者の関心も高いので、生活指導や教員の研修に関する部分はもう少し厚くすべき。
現行のガイドラインでは、評価項目を見てこんなにやらないといけないのかという声が校長先生から聞こえる。自分の学校の教員には、これはあくまで例示であると伝えている。
【委員】
自分の学校でも学校評価を行っているが、各項目2,3問程度である。現行のガイドラインだと例示が多すぎて学校でどれを使うかはかなり悩むのではないか。
【委員】
全体の流れとしては、目標設定、評価項目の設定、自己評価の実施と学校運営の改善、自己評価の取組の情報提供、となっておりわかりやすい。しかし、文章を読むと非常に難しい印象があり、整理の仕方に工夫が必要ではないか。
【委員】
あまり長い文章だと教員は読まないというのが現実。ガイドラインは項目化してある方がわかりやすいのではないか。
【委員】
このガイドライン改訂の議論の素案の中では、自己評価、学校関係者評価、第三者評価に加えて、外部アンケートが加わっている。この位置づけはどうなるのか。
【事務局・発表者】
現行の学校評価ガイドラインでも書かれているが、本来の外部評価は、一般の児童生徒や保護者を対象としたアンケートではなく、評価者が委員会等を組織して行うものである。従来、アンケートのみをもって外部評価としていたところが多かったが、それは自己評価を行う際の一つの資料として活用する、自己評価のうちの一つである考えている。
【委員】
学校関係者評価については、授業や学校行事の参観を「必要に応じ」としてあるが、日頃から学校行事や教職員とのコミュニケーションを行っている者でないと評価を行うのは難しいのではないか。年に数回の説明会や参観日、行事への招待だけではかなり難しいと思うので、その点について丁寧な記述が求められる。
【委員】
いわゆるアンケートは学校関係者評価ではないということを明確に書いた方がよい。学校現場ではまだ誤解が多い。
【委員】
報告書の作成について書かれている部分において、報告書の設置者への提出についても明確に書く必要があるのではないか。
学校関係者評価については、どこがポイントであるかを強調すべき。学校関係者評価は自己評価を評価するということでゼロからの評価ではない。ゼロからの評価だと負担感が大きいがそうではないということを強調した上で、学校関係者がすることの例示を加えるとよい。
学校では、評価項目の設定の適切性や分析の仕方など、せっかく外部アンケートでいいデータを集めているのに、それを翌年度の目標にうまくつなぎきれていないという事例もある。
【委員】
全体的に文章が多いイメージがあるため、表やグラフを多用して見やすくする必要があるのではないか。
【委員】
なるべく、どこを読めば内容がわかるかということがわかりやすくなるように、フローチャートや構造図などを多く取り入れていただけるとありがたい。例えば、学校評価のパンフレットのようなものが必要になってくるのではないか。
【委員】
今、その段階にあるかは別として、やはり最終的にはフローチャートのようなものが必要。
学校関係者評価については、学校の実情をつかんでいる人から、学校の内情については必ずしも詳しくない人まで、様々なレベルの人が対象となり得る。学校と一生懸命接している人も必要であり、一方で、評価の適切性を判断する人も必要。評価委員の構成にバラエティがあってもいいというような記述が必要ではないのか。
【委員】
表現の問題だが、「なお」とされている部分が多い。特に、成果への着目と取組への着目というプロセスの部分について「なお」でいいのか。
【委員】
学校関係者評価委員の構成については、様々な人がいていいと思う。その際、評価委員の構成メンバーの指針というようなものがないと、学校によって相当ばらつきが出てくるのではないか。また、メンバーになったからには、評価についての知識や視点を養うための研修が必要である。
【委員】
学校評価の結果の公表については、例えば、「学校評価」と銘打って必ず出しなさいというふうにしないと、結局アンケートを学校評価と考えてしまう学校や保護者が多い。学校評価結果の公表についてはもう少し踏み込んだ書き方が必要ではないか。
【委員】
23ページの図については、主語を明示し、その下に自己評価や学校関係者評価の流れを書くという構造にするとわかりやすいのではないか。評価の並びで児童生徒・一般の保護者が書かれていると、別の評価がそこにあるのではないかと誤解を受ける。
学校評価を行っていく上では、学校の内情に必ずしも詳しくない方も評価者になり得るので、ガイドラインはできるだけシンプルにするべき。
【委員】
評価結果の設置者への報告について、そのフォーマットのようなものを示す必要があるか、あるいは差し控えるべきか。示す場合、どのような示し方があると考えるか。
【委員】
学校評価の目的については、高く評価している。ただし、学校評価の目的について書かれている24ページでの部分については、「開かれた学校づくり」だけでなく、保護者と学校の関係をこの評価を通じて結び付けていくという、関係の構築に関する文言を追加すべき。
目的のについては、達成状況の把握や取組の適切さについて、その過程をおさえた上での達成状況の把握が必要である旨の記述を、目的に加えるべきではないか。
【委員】
学校評価の目的として、コミュニケーションツールというのがやはり重要になってくる。そこは強調して記述するべきではないか。
【委員】
評価結果に基づく支援策や、設置者への報告について議論しているが、教育委員会はどの程度の認識でいればいいのか。
【委員】
かつては壁の厚かった人事部門と指導部門が、最近は相当協力するようになってきている。例えば、指導主事訪問をするときに学校経営計画に基づいて評価を行い、その際の報告書を基に、関係管理職と人事配置について話し合うことが最近では随分されるようになってきた。
一方、市町村レベルについては、学校の情報が県教育委員会に上がってきて人事配置に生かすということはまだされていないのが現状。まだ学校評価の効用が見られないため、やらされているという意識が強いかもしれない。
【委員】
教育環境整備については、学校だけでの対策は不可能であり、設置者との連携が重要であることには異論はない。しかし、設置者の予算措置という制約を学校があまりにも認識しすぎ、自助努力が弱くなっている傾向があるのも事実。設置者に対してどういうところは要望すべきかを知っているのは学校だけであり、予算要望をする前提の情報収集は学校の責任である旨をどこかに明記してもよい。
【委員】
教員評価に関連して、外部アンケート等の結果について、優秀な教職員を見出したり、いわゆる指導力不足教員など大きな課題のある教職員について適切な措置をとる際に活用することも考えられるとある。国のガイドラインでこのように書くと、現場では学校評価と教員評価の関係について混乱が生じるのではないだろうか。
【委員】
学校評価の目的としては、「児童生徒がより良い教育活動等を享受できる」ようにすることが重要だと考えられるが、これが24ページの3つの目的の中には1度も出てこない。学校は子どもたちを良くするために評価を行うのであり、どこかに「子ども」や「児童生徒」という文言を入れるべき。
また、高等学校の特性について、高等学校段階になると、生徒を評価委員会の中に入れるべきではないかという意見がある。本県ではまだ難しいということで検討課題としている。
【委員】
地域運営学校の評価については、まだ地域運営学校のモデルとして統一したものができていないため、一くくりには考えられないのではないか。
【委員】
教員評価部分について書かれた27ページの部分で、外部アンケート等を教員評価に活用するという例示が残ったとき、現場に混乱や反発がおこるのではないだろうか。「しかし」の部分で、教員評価と学校評価はきちんと切り離すべきであると述べてあるので、その部分を強調すべきではないだろうか。学校評価は大切なので、現場にスムーズに導入するためにはいたずらに反発を招くような表現は避けるべき。
【委員】
教員評価についての記述においては、学校評価と教員評価は切り離すということを明示すべき。全国の中学校の校長先生にアンケートをした際に、自己評価が賃金に影響すると誤解している校長先生が多かったので、それは違うということを明確に打ち出すべき。
【委員】
教育の受け手の意見としては、外部評価で教員の評価をしたことが、何らかの教員の評価に結び付つかないのはおかしいというのが素朴な疑問。生徒や保護者の評価が、そのまま教員の評価にはならなくとも、その一要素にはなるのではないだろうか。
【委員】
27ページの部分で、「課題のある教職員について適切な措置をとる」に代わり「教職員の指導に活用する」または「指導育成に活用する」というようなかたちにすると、反発なくすんなりいくのではないか。
【委員】
学校評価はあくまで組織の質を評価するもの。したがって、個人にはなるべく影響を及ぼさずに、組織の持っているいいところと悪いところを見つめるというのが経営ではないのか。
教員を評価していくのも確かに重要だが、学校評価はあくまで学校経営、学校運営の質をどう高めていくかということ。一方で教員評価は、教員の能力開発や資質向上のため、個人と組織の両方に光を当てたらいいのではないか。だからこそ、学校評価は組織論に立つべき。
【委員】
学校関係者評価に関する14ページについて、学校関係者評価は「自己評価の結果を評価することを通じて」と書いてあるが、学校関係者評価は、データの評価だけでなく、どう自分たちが学校に関われるかという点が強調されるべきであり、自己評価結果の評価だけでないという点を表現できればと思う。
(初等中等教育局学校評価室)