平成19年11月28日(水曜日)13時〜15時
東京ガーデンパレス「平安の間」
天笠委員、青木委員、今村委員、岡田委員、川名委員、木岡委員、久保田委員、島宮委員、竹原委員、長尾委員、中西委員、橋本委員、檜山委員
藤野教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他
【委員】
高等学校向けの学校評価ガイドラインはあってもよいが、あまり細かく作りすぎると学校の実態に合わなくなる。義務教育諸学校と高等学校の違いは、高等学校の場合、通学区域が広く、保護者が学校に来る機会も少ないため、保護者の関わり方が義務教育と圧倒的に異なること。また、定時制、通信制、専門高校も全日制とかなり異なるので、全日制のガイドラインをそのまま適用するわけにはいかない。
【委員】
高等学校の学校評価については、義務教育のガイドラインを活用しつつ、項目や指標においてかなり配慮することが必要。特に専門高校においては実験・実習が重視されること、地域住民との関わりが深いことに配慮して進めなければならない。例えば農業高校の場合、教員に技術があったり、学校に圃場・農場がある。また、地域の方が学校に来る、教員が公民館活動に参加する等のつながりがある。
【委員】
高校こそ学校評価が必要。中学3年生の高校選びが成績順になってしまっているが、特色ある学校づくりを進め、その特色に応じて高校を選べるようにする必要がある。
【委員】
高等学校に学校評価が必要かという議論と、その学校評価にガイドラインが必要かという議論と、国がそのガイドラインを作る必要があるかという議論はきっちり整理すべき。中教審答申を踏まえても、国の責任という観点からも、義務教育段階のガイドラインは必要と思うが、高校については地方分権の流れの中で多様化を進めており、国によるガイドラインが必要かという議論がされるべき。また、ガイドラインを作るとして、各課程の違いに何処まで踏み込むのか。さらに、特別支援学校についてどのように位置づけることを考えているのか。
【委員】
学校評価の目的は経営の改善と教育の改善であるから、評価によって次年度以降の教育指導や学校経営の在り方について見直しを図ることが必要。よって、ガイドラインを作るにしてもあまり細かく作らない方がよい。
【委員】
全国的には、すでに県立学校についてのガイドラインが作られているのが実態。国でガイドラインを作るなら、もっと鳥瞰的な視点から行うべき。
【委員】
高等学校は多様化しているため、義務教育諸学校の学校評価ガイドラインを活用して自立的に発展させる方がよい。
【委員】
要はガイドラインの性格付けの問題。学校評価ガイドラインを県立学校や高校に適用するとき、あまり細かく対象を絞ると役に立たないものになってしまう。むしろ、どのように適用するかという運用の部分の議論に時間を割くべき。
【委員】
学校運営の改善という立場からは、義務教育も高校も一貫性が必要。内容については、各高校の特色があるため、あまり細かくしない方がよい。
【委員】
高校についてはそうだが、一方で義務教育段階については総論にとどめず、もっと踏み込んだ記述が必要。
【委員】
ガイドラインによって学校評価についての共通認識が示されるのは重要。ただ、専門高校には様々な学科があるため、これを大綱的なものにとどめ、各学校がその大綱を見て自校の特色を加味していけばよい。
【委員】
専門高校では、各分野から学校評議員にお願いした方々からご意見をいただくことで、学校関係者評価と似た機能を果たしている。ただ、特に専門高校では、普通科目における学力差が大きく、ここについてきちんとした物差しで第三者から適切なアドバイスをいただくことも重要と考える。
【委員】
義務教育段階においては、自己評価結果の公表がネックになってきた。中学校では、公表できる項目が何かという詰めを行っているが、結果公表が学校選択の材料になることを懸念する者もあるのではないか。
【委員】
文部科学省ウェブサイトで義務教育段階の第三者評価試行事業の「評価フォーマット」等を見たが、そのままの中身だと高等学校にとっては厳しい。学校の実態と離れ、例えば学力試験の結果等がひとり歩きすることがいちばん心配である。
【委員】
学校種間の違いは基本的に学力や学術面に係る部分で、例えば生徒指導の問題はどの校種でも共通して意識されているのではないかと思う。ただ、ガイドラインを教育内容に併せて細かく規定してしまうと記述が膨大になり、例外が必要になるなど、役に立たないものになるので、評価対象が変わってもだいたい当てはまるような内容にとどめた方がよい。国の責任については、義務教育段階では改善を支援する責任は国が持つべきであり、ガイドラインにもうたうべきだが、義務教育諸学校以外の学校種については、この部分をしっかり書き分けることが必要ではないか。
【委員】
各都道府県において県立学校向けのマニュアルが整備されているなら、今回の法改正を踏まえた改訂がされればよい話。国として高校に対して積極的に何かしようという志向がない中、国として高校について積極的にガイドラインを作る必要はないのではないか。基本的には、設置者管理主義を念頭に国のスタンスを定めるべき。市町村に対しては、設置者管理主義が不徹底な中で国の責任が前面に出てガイドライン策定に至ったが、都道府県教委についてはその能力をもっと評価すべきで、県立学校向けガイドラインは必要ないのではないか。一方で、私学については学校評価が整備されていないのが実態なので、私学向けのガイドラインは必要ではないかと考える。
【委員】
私学については極めて多様であり、各学校における独自の評価システムや、私学法に基づく理事会の評価、学校法人の評議員会の評価などを尊重する必要がある。また、保護者会も公立のPTAよりも厳しいし、入学の段階で児童生徒をはじめその保護者、塾関係者やマスコミに第三者評価されているようなもの。
【委員】
議論を先に進めるなら、高校向けガイドラインの要否について明確にすべき。
【委員】
ガイドラインには、いい実践事例を国の立場で集約し、共有財産として各地にフィードバックすべく発信する役割がありうるのではないか。
【委員】
国がガイドラインを策定することについては、地方自治のモデルの観点からも不自然ではないと思うし、法令とガイドラインを比べて高校の件が浮いているのであれば、高校のガイドラインについて検討することは一つの考え方。ただ、既存の各県のガイドラインを踏まえる必要がある。
【事務局・発表者】
従前、幼稚園から高校まで自己評価の努力義務が規定されていたのに対し、義務教育諸学校についてのみガイドラインを策定し、学校評価の参考例を示してきたが、今般、学校教育法が改正され、学校評価が明確に法的義務とされるとともに、省令改正により、自己評価に留まらず、学校関係者評価の実施・公表や設置者への報告、さらには設置者による支援・改善が強調される流れが出てきた。その中で、現在、幼稚園についてはガイドラインの整備が進んでいることから、高校の部分のみが浮いた形になっている。
たしかに、高校については各地の取組があり、また、学科や課程による違いもあるがガイドラインそのものがひとつの参考例を示すものであることも考えると、法令改正で義務を課しておきながら国が何もしないのが妥当かどうかは検討すべき課題。
【委員】
特別支援学校については、現行ガイドラインを翻訳して適用するのが難しい。ぜひ、特別支援学校という視点が抜け落ちないよう認識してほしい。
【委員】
中高一貫校についてのガイドラインはどうなるのか。
【事務局・発表者】
中等教育学校は前期と後期に分けられているが、特別支援学校ほどの特性はなく、それぞれ中学、高校のガイドラインを翻訳して用いることが可能ではないか。
【委員】
ガイドラインの作り方として、義務教育諸学校も高校も含めてすべて包括するものも考えられるし、一方で、個別校種ごとにひとつずつ策定することもありうる。この両極の間をどうやっておさめていくかはひとつの検討の観点であると考えている。
【委員】
学校評価で大事なのは、問題が大きく、学校だけで解決できない場合であり、そのときに必要なのは学校をどのように支援するかということ。支援についてしっかりガイドラインに書き込まないと、学校評価が評価そのものを目的とするものなってしまう。
【委員】
学校評価と教員評価は、目標管理という手法を用いる点で共通点があるが、その結果の用い方が異なる点で、両者は峻別できると考える。また、「個々の教職員の取組の改善を促す」云々との記述があるが、この部分には学校全体として当該教員に組織的な支援を行うといった趣旨の文言を補うべき。
【委員】
「学校評価により期待される役割」とあるのは「学校評価により期待される効果(機能)」と修正し、その記載順もより工夫すべき。また、学校評価と教員評価は区別されるべきで、それを強調することが必要。
【委員】
教員評価を勤務評定のみに限るか否かという問題はあるが、教員評価の際、資質向上と能力開発という観点は踏まえるべき。マイナスだけで評価しても仕方ない。教員の意欲向上のためにも慎重な検討を期待したい。
【委員】
教員評価は各教員の資質向上やキャリア形成の視点を有し、学校評価の枠外にあることを明確にしないと、誤解を生じるおそれがある。
【委員】
学校による情報提供一般について幅広に取り扱われ、むしろ学校評価関係の情報をどう取り扱うかが薄くなっている。実際に学校が困るのは、評価結果等をどのように、また、どこまで公表すればよいかという問題であり、それらに一定の指針が与えられるとよいと思う。医者がカルテを公表しないのと同様、専門的な診断は公表に向かないことを自覚しつつ、学校またはその関係者にとって必要な情報を公表するのだというニュアンスが表現されるとよい。
【委員】
評価結果の公表というと、とにかく何でも出さないといけないと考える学校も生じる。アンケートによると、学校評価結果について校長が配慮しているのは、公表内容の精査であり、公表結果の分析であり、公表を躊躇する意識の払拭、改善策の提示である。単なる公表では意味がないので、改善につなげるというところまで盛り込んで公表するという方向をガイドラインに示してはどうか。
【委員】
PTAでは、教員採用試験の難しい地域ほど4月の学力調査成績がよかったというような、不正確な情報が流れている。情報提供についてはきっちりした指針がないと、保護者が混乱するのではないか。
【委員】
学校の情報提供が自己満足になってはならない。詳細でなくても、分かりやすく、ポイントを押さえて、地域の方に分かるようにということが大事。内容としては、保護者や地域が力を合わせて取り組めるものが最優先。学校として改善策を示しつつ、地域も教育のオーナーであることが伝えられるようなメッセージ性を示せればよい。
【委員】
情報提供は学校評価を効果的に行うために重要。ステップとしては3つあり、ひとつは学校がどんな状況にあるかという情報。次に現在の取組に関する情報がきて、その次に取組の結果についての情報があると思う。そういった情報を、分かりやすく誤解なきように、重点化しつつ提供することが必要。
【委員】
学校では、知育・徳育・体育に加え、食育にも取り組んでいる。そのような内容が標記されれば、従来の学校の取組とも合致する。
【委員】
学力調査の結果をどのように活かすのか、前向きな表現が盛り込まれた方がよい。
【委員】
学校施設の評価についても会議が動いており、極めて膨大な量を伴って行われようとしている。関連づけをどうするのか記載すべき。
【委員】
評価項目や指標については参考であると冒頭で断っているので、項目や指標はある程度の分量があっても、総花的でもよいと思う。また、現在の記述は教育内容とそれを実現するための条件整備をすっきりと整理できているが、「施設・設備」の中に「教材・教具」の話を整理することについては、もう少し文言を考えるべき。
【委員】
成果目標と取組指標の混在は整理できないか。また「効果的な」とか「活用」とかいう用語が多用されているが、これらの指し示す意味について解説するのか、曖昧なままにするのかは大きなポイント。
【委員】
小学校について、進路指導という取組が弱い気がする。キャリア教育という観点から取り組むことの可能性や、これが評価対象となることについては強調してもよい。また、打ち出されてから日が浅い「学校関係者評価」という語が「外部アンケート」と混同されるおそれがあるため、違いを強調する表現を工夫すべき。
(初等中等教育局学校評価室)