平成19年8月27日(月曜日)17時〜19時
学術総合センター 中会議室3、4
天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、岡田委員、金子委員、川名委員、久保田委員、竹原委員、千々布委員、長尾委員、中西委員、檜山委員、山口委員
前川大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、藤野教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他
【委員】
第三者評価の報告書については、教育委員会や学校に対するアンケート結果に基づいているとのことだが、学校評価委員を対象としたアンケートの結果は、本報告書に反映されているのか。
【事務局・発表者】
学校評価委員の方々からいただいたご意見は、その内容を参考に記述している部分もあるが、教育委員会、学校からのアンケートと異なり、集計は行っていない。これについては、別途、民間機関による研究委託の中で研究を行っていただく予定である。
【委員】
学校は、課題があるからこそ学校評価を行っているため、評定2の中学校が全体で2校だけというのは信じがたい。現在の方法だと、大半の学校の評定が3となってしまうのではないか。むしろ、評定が2となった学校の方が学校らしいと感じる。
第三者評価対象校を各教育委員会が推薦しているということは、モデル校が選ばれていることが考えられる。また、子どもの立場からの評価がされないと正しい評価はできないのではないか。
【委員】
第三者評価の目的がよくわからないうちに始まり、よくわからないうちに2年目を迎えたという印象がある。第三者評価の目的は何か、誰に対して何を提示するのかということを我々評価委員もわからずに行ってしまい、この報告書が出てもまだわからない。
目的が明確であれば、それに対して方法は適切か、評価者は適切か、という視点から議論できる。最大の問題は、実現可能性と、これを国としてコストをかける、全校で行う必要があるのかということ。何を目指してやるのかということを2年目はもう少ししっかり考えてやらなければならないのではないか。
第三者評価は、学校関係者評価とどう違うのか。また、これだけのコストとエネルギーをかけて、専門家といわれる人が全国に行って何か気づきが得られたという感想のみをいただいても意味がない。また、第三者評価が学校選択の基準になりうるのかということも、本来は議論になってもよい。今年度事業を行う前に、昨年度を踏まえて今年度はどのようなことを行うのかについてもう少しはっきりさせないと、単に学校数を増やしてもちょっと難しい。
また今年度は、教育委員会の評価を行ってもいいのではないか。あるいは、本当に専門性の高い少数を派遣するなど、何か工夫しないと去年の課題が解決されないままに、同じようなものが数だけ増えてしまうのではないか。
【事務局・発表者】
学校の第三者評価の調査対象校については、各都道府県にあくまでも任意にご協力いただいており、初年度ということもあって、各都道府県とも、課題のあるところはなかなか推薦しにくいという状況があったのではないか。様々な学校を評価するという視点は大事であり、できるだけそのようなものは反映していく方向である。できるだけ、今の現実に即した学校の評価をやっていくよう心がけていきたい。
また、現段階では、どのような目的で、またどのような主体で第三者評価を行うかということが必ずしも整理がなされていない。その点についてはまさにこの協力者会議でご議論いただきたいと考えているが、主体に関しては、今年度、国主体型に加えて、都道府県主体型、研究機関主体型の3通りで行っている。それぞれプラスとマイナスがあると思うので、どのような方法が我が国で実施した場合には一番有効で、どのようなメリットがあるのか、また、その実現可能性やコスト面についても、検討していく必要がある。
教育委員会との関連でいえば、第三者評価の報告書は学校だけでなく設置者にも送付されているので、例えば平成18年度間の試行について、教育委員会がそれをどう活用したかについては、フォローアップをしていきたいと考えている。
【委員】
第三者評価試行の対象となった学校については、それなりに課題を抱えた学校もあるという説明を受けた記憶があるが、その結果として評定2の学校が2校だけというのは納得できない。
都道府県、指定都市が主体となって行う評価についてはその内容を把握しているのか。もともと都道府県独自で第三者評価を行っている自治体もあるのではないか。
第三者評価試行の47ページ、48ページにある、報告書を送付するのに時間がかかったとのことだが、本当のところでは何が一番ネックになったのか。
【事務局・発表者】
第三者評価の対象校は、各教育委員会から推薦を受けた学校であり、どの学校も共通して教職員の皆様が頑張っている「よい」学校であったのではないかと思う。評価者の実感としても、評定2をつけにくいという意見もあったところであり、評定が3に集中したのではないかと考えられる。
都道府県型については、既に政令指定都市などにおいて独自に取り組んでいるところもあり、今年度の第三者評価試行事業では、それら意欲のあるところには手を挙げていただきたいということでお願いをしてきた。現段階では、具体策について構想中の地域もあるが、規模の違いはあっても13県・指定都市で、都道府県/政令指定都市主体の第三者評価を行っている。
報告書の作成に時間がかかるという点については、評価チームのメンバーは第三者評価が主たる業務として行っているわけではないので、どうしても本来業務を優先する必要があることから、第三者評価の業務が後手後手に回るという傾向があると考えられる。
【委員】
第三者評価試行報告書のp47の部分で、評価者の中立について記述がある。同一都道府県内の評価者が評価を行うことも考えられるが、なるべく地域的なしがらみがない評価者を派遣することが望ましい、とあるが、例えば、これは栃木県の教育委員会が県内の学校を第三者評価するということなのか、あるいは、隣の県同士でやるということなのか。
【事務局・発表者】
文部科学省が主体となって行う場合は、国レベルで行う以上は都道府県にしがらみのない方を派遣する。
それとは別に、主体の在り方としては、今年度3類型で行っているが、都道府県や政令指定都市でも別途第三者評価に取り組もうという動きがある。このような状況の中で、第三者性、中立性をどのように確保するのかということを是非研究していただきたい。
今回、都道府県・指定都市主体の第三者評価を受けていただいている地域の中では、例えば隣の県や市で、評価書を融通しあってやるということも考えられないのか、といったご意見もいただいている。
【委員】
研究機関主体型の第三者評価についての質問だが、ここでは「具体的な協力活動の把握のために職員会議の参観」と記述されているが、これは何を見ようとしているのか。
また、保護者や地域住民からのヒアリングに、管理職や教育委員会が同席しないのはなぜか。
学校教育は信頼関係で成り立っており、この方法だと児童生徒、学校、保護者が疑心暗鬼にはならないか。
【事務局・発表者】
職員会議等の参観については、学校における意思決定や意見交換の様子について観察するという趣旨。学校の教職員がどのように議論をし、意思決定を行っているかについて、学校という組織のマネジメントの問題として、意思決定の方法について観察したいという意味であり、全ての学校の職員会議を見せてほしいということではない。
学校の管理職が同席するか否かについては、できる限り意見の言いやすい環境でのヒアリングを意図しているものであり、信頼していないからということではない。
【委員】
第三者評価をする上では資料提供が大事だが、その資料が実際にはどの程度認識されているかは、行って話してみないとわからない。文書でわかるものと人が行ってわかるもの、エネルギーや費用をかけて行ってわかるものと、もう少し整理をして試行していくと、これからの参考になるのではないか。
(初等中等教育局学校評価室)