平成19年6月29日(金曜日)14時〜16時
東京商工会議所502会議室
天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、金子委員、川名委員、久保田委員、竹原委員、長尾委員、中西委員、檜山委員、松尾委員、山口委員
銭谷初等中等教育局長、布村大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、伯井教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他
【委員】
7ページの大臣答弁で「第三者的な八条機関」とあったが、これはどのような機関か。
【事務局】
一番典型的なものとして、審議会などが八条機関にあたる。独立性を持った政府機関には様々な類型があるが、ここでは分かりやすい例として八条機関を例示している。これらの機関では、基本的にはその省の考え方とは別に独立性、中立性を持った中で議論がされ、答申が出されるものである。
【委員】
学校教育法第42条と第43条については、小学校以外の学校種について準用するとあるが、他の学校種でも小学校と同様に適用されると解釈してよいか。
【事務局】
学校教育法第42条と第43条は、直接には小学校のみに適用される規定であるが、改正学校教育法は学校種ごとに条文がまとめられており、他の学校種について書かれた箇所では、「小学校」という部分を他の学校種で読み替えている。
【委員】
「文部科学大臣が定める」という部分については、具体的にどのようなかたちでいつ頃出すかについて、文部科学省内で議論されているのか。
【事務局】
「定め」の内容としては、自己評価、学校関係者評価の実施と公表、あるいは教育委員会との関わり等が本協力者会議においてここまで議論されており、今後も中心的なテーマとしてご議論いただく必要がある。
また、3月に取りまとめた「中間とりまとめ」の中では、今後の自己評価、学校関係者評価の実施・公表の在り方、あるいは教育委員会の関わりといった部分については宙に浮いた状態となっているので、その部分についてこの会議においてご議論いただき、ご報告いただきたいと考えている。
【委員】
学校教育法に規定されたということは、私立学校においても学校評価をしっかりやってくれという趣旨だと考えられるが、文部科学省としては私立学校における学校評価を推進してほしいという希望があると理解してよいか。私立はそれぞれ事情があって公立ほど学校評価の必要性を感じていない場合もあるが、それについてどう考えるか。
【事務局】
今回の学校教育法第42条は特に公立学校等に限定していないので、ご指摘の通り、国公私立を問わず全ての学校に通じて適用される。ただし、具体的な在り方については、例えば私学には私学の事情があるので、引き続きこの会議において、どのように定めていくかについてご議論いただく必要がある。
【事務局】
学校教育法の規定は、幼稚園から高等学校まで、全ての学校で位置づけられたと考えていただきたいのだが、問題は「文部科学大臣が定める」と書かれた部分であり、まさにこの専門家会議でご議論いただいたことを踏まえ、「定め」の内容を決めていきたいと考えている。その際、学校種や設置者による配慮をどうするのか、あるいはそれには関係なく一律に定める代わりに、定める部分は最小限にして、あとはそれぞれにやっていただくなど、方法はいろいろある。
また、国会における議論では、評価項目や指標については一律に定めず、できるだけ各学校・教育委員会が工夫できるような仕組みにすべきであり、項目や指標について定めるとしても、義務教育段階でつくったようなガイドラインにすべきであるとのことであったと理解している。
【委員】
「教育水準の向上に努めなければならない」とある部分は努力義務であり、その前の、「必要な措置を講ずる」までは義務ととらえてよいのか。
また、改正学校教育法第42条、第43条の新設により、これまでの小学校設置基準の扱いはどうなるのか。
【事務局】
教育水準の向上に努めるということ自体は努力義務である。ただし、教育水準の向上に努めるためには何かしらの必要な措置を講ずることになり、その部分は義務となっている。「文部科学大臣の定めるところにより」という文言は、「評価を行い」の前までかかっており、即ち、「当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行う」という部分について定める形となっている。したがって、学校は、何らかの学校評価はしなければならないが、その中身については様々な考え方があることから、文部科学大臣が別途定めるとしている。
また、第43条は、特段「文部科学大臣の定めるところ」という文言が入っていないので、これだけで完結している条文である。つまり、具体的にどういう情報を提供するかは、基本的に各学校の判断に任されているところである。そこは、一つの目安として文部科学省がガイドラインという形で示すことはあり得ると考えている。
小学校設置基準での規定については、まず第3条は改正学校教育法第43条に拡張して含まれているため、この規定を残すかどうかについて議論がある。第2条については、学校評価の具体の中身であり、引き続き何らかの省令で規定する必要があるが、その書き方や位置づけについては、この会議でのご議論を踏まえた上で検討していきたい。
【委員】
第三者評価について、大臣の第三者的な八条機関というのは、英国の教育水準局のようなことを考えているのか。
また、資料3の8ページの大臣答弁で、教育再生会議の提言は「良い評価結果の学校には例えば予算を集中的に配分して優遇するものではない」と言っているが、一方で、「学校評価の結果も活用して創意工夫のある取組を行なう学校は支援し」とも言っている。このところが非常に曖昧であるが、どう考えるか。
【事務局】
資料3の7ページにおける答弁であるが、大臣は「将来的には文部科学省から独立した第三者的な八条機関」という言い方をしている。これは、英国の教育水準局のようなものが考えられなくはないが、現時点では何も決まったわけではない。第三者評価をどうするかというのは、まさにこれからの課題である。
また、資料3の8ページの部分については、再生会議が、学校評価結果の良い学校を優遇するかのような報道があったことに対し、そういうものではなく、学校評価を行うことで意欲的な取組をする学校には、その取組を助長するような支援を行う。一方、学校評価を通じて課題が明らかになった場合は、教員や指導主事の派遣、あるいは研修を行なうなどして、学校運営の改善が図られるような支援を行っていく。これを国、都道府県、市町村のいずれがやるかは別にして、学校運営の改善に役立つような学校評価を考えていきたいという趣旨の発言である。教育再生会議の報告に、学校評価をやって非常に結果がよかったところに重点投資すると受け取られかねない印象もあったことから、そういう趣旨ではないと大臣はおっしゃりたかったのではないか。
【委員】
教育委員会の結果の報告のところに関わり、学校評価をめぐる学校と教育委員会との関係については、今後、さらに詰めていかなければならないテーマの一つである。その観点からいって、学校教育法だけでなく、地教行法の中で、教育委員会の自己点検評価について規定された部分についても、改正の経緯や中身をご説明いただけないか。
【事務局】
今回の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正の中で、評価に大きく関わる部分としては、教育委員会が、自らの教育委員会の事務局まで含めた活動状況について点検評価を行い、議会に報告しなければいけないというような規定を設けた点が挙げられる。また、その際は、学識経験者の知見を活用することも明記している。
【委員】
我々の意見が法律に定めるものに反映されていくということで、本協力者会議のミッションが非常に重くなったと考えられる。
【委員】
設置者である教育委員会が学校評価の結果を受け取り、それを踏まえて、必要な措置を講ずるように促す方向で検討していきたいということだが、私たちの教育委員会においては、学校評価の様子を各学校から報告いただき、それに対して指導、支援、援助等を行っている。検討の内容に関して、もう少し具体的に教えていただけないか。
【事務局】
この部分については、現在は設置基準の中で自己評価の実施と公表の努力義務のみ規定がされている。そこで、中間とりまとめの内容を踏まえると、今後は、自己評価の在り方や学校関係者評価の在り方に加え、教育委員会の役割をどう考えるかというあたりが大きな論点となってくる。国会の議論の中では、設置者への報告が進んでないことに驚かれていた議員もおり、きちんと委員会が役割を果たせるように学校評価結果について報告するよう促していく必要があるのではないか。また、教育委員会はそれを踏まえて支援・改善を行っていく必要があるのではないか。このようなことについて、今後、省令に書き込むことが考えられ、この会議の場でご議論いただきたいと考えている。
【委員】
資料3の5ページで、「設置者である教育委員会が学校評価の結果を受け取り」とあり、資料4の12ページでも、「各学校が行った自己評価や学校関係者評価(外部評価)の結果を、当該学校の設置者に報告する」とある。私学の場合の設置者は学校法人となるので、理事会や評議員会に提出すればいいという理解でいいのか。一方で、今回の地教行法改正で、知事部局の要請があれば、教育委員会が私学に対して相談や改善を図ることになった。私学にとっては設置者が二つ想定されると思うのだがどう考えればよいか。
【事務局】
中間とりまとめの中では、学校単体では予算や人員の裁量にも限りがあるため、設置者がきちんとその責任を負って改善の支援を行わなければならないという趣旨で教育委員会の関与について記述したと思う。基本的には公立の小中学校であれば教育委員会、私立学校であれば学校法人が設置者であると考えているが、教育委員会の関与のあり方については、今後この会議でも議論していただくテーマになるのではないか。
【委員】
どのような場合に、都道府県の教育委員会が私立学校に関与できることになるのか。その点についてもこの会議で議論することになるのか。
【事務局】
設置者以外の者による何らかの評価や関与は、公立の学校であれば、議論の途中となっている第三者評価のようなものとの関連で議論になる可能性はある。ただし、私学に対する都道府県の教育委員会の関与についてはこれまでこの会議で直接の議論としては出てきていないものと考えている。
【委員】
この会議の最初の頃に比べて、学校現場では学校評価の考えが相当定着してきたと感じる。ただし、そのとらえ方はまだ統一されていない。
また、現状を踏まえるための方策の中で、「学力・体力調査の結果など」とあるが、この「など」の中に、施設設備の結果などを含めていくのか。これについてもこの会議でご議論いただきたい。
【委員】
学校評価を行う上では、評価の結果も大切だが、プロセスをより一層重視することが重要。学校の教育活動の経過を見られるような工夫が、今後、学校評価ガイドラインが改訂される際には記述されるべきである。
学校の第三者評価については、評価を通じて自己評価や学校関係者評価の状況についてヒアリングを行うことで、設置者も管理職も非常に意識が高まったと感じた。
【委員】
法技術上の関係で改正学校教育法第42条には公表という文言がないことを踏まえて、本協力者会議において、公表について整理していく必要がある。
また、学校教育法にも小学校設置基準においても、「改善」の文言が書かれており、指標についての議論では、改善の前提となることを意識する必要がある。例えば、評価結果に対して対処方策をチェックリストにしたような指標について考えることが重要である。
また、改善を行うには学校が改善の能力を有する必要があり、そのためには教員に対する研修が必要である。
教育委員会との関係についても議論の余地がある。特に予算面などについては、教育委員会が学校に対して何ができるかについて、この場で議論すべき。
【委員】
学校現場では、自己評価の結果公表が今後最大の課題である。東京都の全中学校対象に実施したアンケートでは、外部評価の公表率は高いが、自己評価の公表に関しては、5割以上の学校が公表予定はないと回答している。平成18年度の時点で公表予定はないと言っている学校に対して、これからは公表義務があるとなった場合に、どう指導すればいいのか、当事者としては頭が痛い。
外部評価や第三者評価に比べて、自己評価は一律に行うことはできず、学校任せにしていることが、逆に公表のしにくさにつながっているのではないか。自己評価についても、今後、モデルプランのようなものを示していくべき。
【委員】
わたしの町では、公表を前提として自己評価を1年間取り組むことを教育委員会から伝えた。その中で、児童生徒のアンケート結果や外部評価結果、そしてホームページの作成を行ってもらった。
児童生徒の立場からこの学校評価をとらえると、子供たちは学校生活に対して目当てを持つようになった。また、保護者・地域住民の立場からこの学校評価をとらえると、学校評価の中に項目を立てることで、断片的ではなく、系統的、継続的に学校とつながっていくということを、保護者や地域住民も次第に自覚してこられたと受け止めている。
学校評価を主体的に受け止め、これが役立つものであるという信頼のもとに取り組むことが肝要である。
【委員】
学校教育法第43条の中に、学校の情報を積極的に提供するという項目ができたことは非常によい。
中間とりまとめの21ページのところで、単に結果を積極的に公表するだけではなく、プロセスを重視する、あるいはプロセスを評価するということを書き加えられたらよりよい。評価結果の情報を公開する前に、情報をつくるプロセスで子供や地域住民も入ることが重要である。
【委員】
学校教育法第42条をどう教職員が受け入れるかがポイント。広島では学校評価を4年前から義務規定で行っているが、学校評価の実施に反対するのは初期条件の悪い学校の先生である。評価を行うとどうしても比較の視点が入り、全ての学校でやろうとすると、初期条件の悪い学校の先生は、どうしても損だと考える。
したがって、教職員の頑張り方を見て、初期条件が悪くても、例えば学力が10パーセントアップした点を評価したり、逆に優良校でも1パーセントも改善しなかった場合は必ずしも高い評価は得られないなど、不公平感がなくなるような学校評価の実施方法を文部科学大臣の定めるところで仕組みとして入れられれば、教職員の支持を得られるのではないか。
【委員】
学校の第三者評価については、今後、どのようなスケジュールで考えているのか。
【事務局】
学校の第三者評価については昨年124校で試行的に実施したが、協力者会議での議論と平行して、教育再生会議でも議論が行われているところであり、第一次報告の中で、「教育水準保障機構」といった在り方について検討すべき旨の提言がされた。再生会議では引き続き議論を続けていく予定であり、教育再生会議の最終報告に向けてさらに議論が深められる見込みである。
文部科学省としては、第三者評価の試行事業を今年度も引き続き行うとともに、昨年度の試行事業の状況についても早いうちにとりまとめを行い、この会議でも結果について報告させていただく。
現在、様々なものが同時並行で動いており、今の段階では来年度の状況について申し上げられる状況ではない。本会議では、その状況等も見ながらご議論いただき、在り方を探っていきたいと考えている。
【委員】
企業のCSR担当による会議で、企業の教育へのかかわりに関する議論があった。その中で、一つは各地域によって置かれている状況が随分違うこと、もう一つは産業界と教育界にものすごい距離感があること、この2点が強く感じられた。特に2点目に関しては、外部との関わりといったものをガイドラインの中に位置づけて、それをうまくやっている学校が評価されるような公表の仕方を考えていく必要があるのではないか。
【委員】
自己評価の中身に関してある程度確立させる必要がある。自己評価をする上では、学校はまずしっかりと目標を立て、その目標に基づいて検証していくということがきっちりとイメージされないといけない。
また、各学校の目標や特色ある学校づくりは、設置者によるトータルな教育目標との関係性において行う必要がある。それとも関連して、実は整理されていないのが、義務教育学校と市区町村教委、都道府県教委の権限関係。市区町村教委からすれば、自分たちの力ではどうしようもない人事権について評価されても困る。
第三者評価については、文部科学省主体型以外に都道府県主体型と研究機関主体型を新しくスタートすることとなっており、研究機関主体型については、国立教育政策研究所において引き受けることとなった。国立教育政策研究所の場合は、学校に対して何の責任も持っていないので、学校を伺うときに不信感を持たれかねないと言った懸念がある一方、相対的に独立性を保てるということと、様々な分野の専門家がいることから専門性を保てるという点が挙げられる。また、専門家が多く集まっていることから、学校に対してコンサルティング的なことを行いながら評価をしていくことも考えている。
評価結果に基づく学校への支援に関しては、成果が上がった学校に対して括弧つきの支援を行うことはあってもいいのではないか。厳しい状況で良い取組を行なった学校に対してご褒美の意味も込めた支援を行う一方、課題のある学校に対して文字通りの支援を行うということが重要である。
学校関係者評価については、保護者・地域住民の方に過度な期待をすることはできないので、早く第三者評価にシフトした方がいいのではないか。PTAの人たちはあくまでPTAとしてのかかわりであり、よほどこの人たちに対して学校評価に関するトレーニングをしない限りは、学校関係者評価を確立するのは難しいのではないか。顧客満足度の高い学校イコール素晴らしい学校なのかどうかはわからない。
(初等中等教育局学校評価室)