平成19年3月28日(水曜日)14時〜16時
学術総合センター 2階 中会議場3、4
天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、川名委員、木岡委員、久保田委員、竹原委員、千々布委員、長尾委員、中西委員、檜山委員、本部委員、松尾委員、山口委員
合田大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、伯井教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他
【委員】
中間とりまとめの中では、学校運営、学校全体のマネジメント、学校評価システム、学校経営システム、等の言葉が併用されているが、その違いが明確でない。
3種類の学校評価に関する整理は今回明確になったが、相互の連携など、これらの混合形態については今後も議論していく必要がある。
【委員】
教育委員会が学校に支援した内容や結果に関しても、公表が必要ではないか。学校から教育委員会への報告だけを強調すると、教育行政の役割はチェックだけとなってしまう。
【委員】
学校評価結果の報告が、教育委員会の中でどのように整理され、改善につながっているのか。このシステムやルートを明確にすることが重要。評価結果の報告については必ず教育委員会会議にかけるなど、評価結果が中途半端な形にとどまってしまわないようにするべき。
【委員】
学校評価の目的自体は正しいが、一方で学校現場では、また新たな仕事が増えるという認識を持つ方は多い。今後新しいことをやるだけでなく、捨てることを通して取捨選択していく必要がある。
【委員】
第三者評価の具体化が課題。特に、国と教育委員会の役割分担については、来年度の第三者評価試行事業で様々なケースを試行し、教育委員会とも相談して国の行う第三者評価が役立つ形を見つけなければならない。
保護者や地域住民に関しては、地域に信頼される学校をつくるための能動的・主体的な存在である。広島市では学校評価票の中に「まちぐるみによる教育の推進」という項目を全校で入れており、中には地域住民とともに目標を立てる学校もある。このように、授業満足度評価にとどまらず、目標設定にも、保護者・地域住民や児童生徒が参画できる仕組みが望ましい。
【委員】
保護者・地域住民は教育の担い手でもあることを強調して書いてほしい。
「学校の情報の公開の促進」という項目では、公開と公表が混同しており、整理または統一が必要。
【委員】
住民代表性の保証は非常に難しい問題。欧米では選挙制度を前提として代表性が担保されているが、日本では校長の推薦や地元での影響力が判断基準となり、保護者・地域住民を代表しているかという点に関して疑問がある。学校評議員制度もこの問題をクリアできず、うまく機能していかないのではないか。したがって、評価において参画・参加という場合には慎重でなければならない。
【委員】
コミュニティ・スクールの設置状況について、小・中・高別の設置状況はわかるか。
【事務局】
2月現在で学校運営協議会が設置されている142校の学校種別は、幼稚園が3園、小学校が101校、中学校が32校、高等学校が2校、盲・ろう・養護学校は4校である。
【委員】
この中に、公設民営は入っているのか。
【事務局】
学校運営協議会制度は、公設民営とは異なり、学校の設置者のような位置づけではない。
【委員】
評価結果を設置者へ提出した私立学校の割合について、その分母は何か。
学校運営協議会制度の設置状況については、自治体や地域によって特徴があるか。
自己評価結果の公表率が、平成16年度から17年度にかけて大幅に向上しているのが興味深い。自己評価を行なう上で何が必要かは、このような調査項目に答えることで浸透してくる。
【事務局】
評価結果の公表について、その割合の分母はいずれも評価実施校である。公立学校の場合は全体の3分の1、私立学校の場合は全体の半分程度が評価結果を設置者へ提出しているが、その差が生まれるか原因については調査していない。
学校運営協議会設置状況の分布については、京都市や島根県において非常に取組が進んでいる一方、取組が進んでいない地域もあり、地域によって取組に差が見られる。
【委員】
自己評価結果の公表方法の中に「学校評議員に説明」という項目があるが、これだけで自己評価結果の公表ととらえられてしまうのは危険。実際に、保護者の7割は学校評価について知らないというデータもある。
できれば、保護者への説明と、地域住民への説明という大きなジャンルにより中身を精査し、単に評議員に説明するという内容は、自己評価結果の公表方法の選択肢からは除外できないか。
高校生など、発達段階によっては生徒をコミュニティ委員にしても良いと思う。
【事務局】
学校評議員に関しては、「中間とりまとめ」の中で、学校関係者評価(外部評価)の実施主体として、学校評議員が果たしている役割は非常に大きいと整理している。一方で、学校評議員だけで外部評価を行うことが適切かどうか、評価の公表に関しては学校評議員だけに説明をするという形でよいのか等について、更に検討を深めていくことが重要である。
【委員】
学校評議員に説明しただけで公表とするのは適切ではない。説明された評議員が実際に何をしているかが重要である。評議員にのみ説明を行っている学校を除くと自己評価結果の公表はどのくらいの数字となるのか。
【事務局】
各学校の回答までは把握していないため、「評議員への説明」のみ行うことで自評価結果の公表としている学校がどの程度あるかは把握できていない。来年度の調査では、そのような数値も把握できるようにしていきたい。
【委員】
学校評価の実施状況の数字については、これだけ手間をかけて調査を行ったにもかかわらず、現場の実態が正確に現れていないように感じる。学校評価の委託研究を受けている自治体でも、ガイドラインの趣旨がほとんど理解されていない場合がある。例えば目標の重点化や、外部評価を自己評価の点検と認識しているところはほとんどない。
【委員】
学校評価に限らず、政策の趣旨や目的はいいのだが、それを現場で実行するための具体策については課題が見られる。
【委員】
筑波の教員研修センターなどでの学校評価向け講座に、ガイドラインや中間とりまとめをしっかり読むという研修という内容を組み込む必要がある。
【委員】
自己評価結果の公表を保護者への説明会で行っている学校は45パーセントであったが、保護者説明会に出席する保護者の数は多くない。
例えば保護者会や説明会であれば、それがどの程度効果があるか説明することが重要。
保護者、地域住民の参加に関しては、校長だけでなく、保護者にも責任をとってもらうような仕組みが重要であり、学校評価の中でもそのような表現を加えたい。
【委員】
保護者や地域住民の参加には、情報の共有や共同作業が大切。日頃から参画していないと、突然、評価をしろと言われてもなかなかできない。評価の前に、日頃から学校に参画できる工夫を考えていきたい。
【委員】
学校評価は、学校関係者がそのシステムの中心でいるべきであると思う一方、地域住民や保護者がこの先の鍵を握っているのではないかと思う。
【委員】
学校だけでなく、保護者・地域住民も責任を持つべき。市民性を高めることが、評価を行っていく上で重要。
【委員】
学校へ地域の人が関わったり、地域の人が自律的に学校運営への関わりを展開することは重要であるが、それを学校評価の文脈にいきなり持ち込むのには慎重にならないといけない。
【委員】
自己評価結果の公表に関して、学校便りの配付だけではなく、自己評価をテーマとした懇談会等を行うだけで、その認知度は大幅に上がる。地域住民への説明会の開催は、かつては行われていたのが今はなくなってきている。今後は、安全管理や危機管理が主要課題であり、学校の情報提供と地域参加が不可欠。そのため、地域の方々をどう巻き込んでいくかが重要であり、大きな仕掛けつくりが必要。
【委員】
保護者に学校のことをもっと知ってもらうにはどうするかが大きな課題。今後は、評価内容の精選と同時に、評価者としての意識を高めていくことも必要である。例えばアンケートの中で、評価者が評価者自身も内省するような項目も対でつくっていくことが考えられる。また保護者が、自分たちの意見が学校を変えていくという意識を持てるよう、学校として工夫すべき。
【委員】
1年間学校評価を行ってきて、学校の教職員が変わってきているという印象がある。具体的には、保護者・地域住民の意見を教員が素直に受け入れる機会が多くなり、学校の改善につながった。また、視野が広がったという意見もある。
2年目は、外部評価が明確に学校関係者による評価と位置づけられたことから、評価委員会の構成メンバーも変えつつ、違った視点からの意見も反映させて一層の充実を図ってまいりたい。
【委員】
情報を出すことで自分たちの立場もわかり、他の学校との比較もできる。企業は競争することで徐々に改善していくもの。学校も同様で、自分で評価して、その結果を表に出し、他の学校と比べることで改善していく。これが学校評価の目指しているところではないかと思う。
【委員】
評価するということに関しては責任の問題が出てくるが、そのベースとなるのが情報の共有化である。また、学校も外部の意見を聞いていくという姿勢が学校評価の基本であり、これを通じて学校も地域も成熟していく。
【委員】
平成18年3月にガイドラインが策定されて以降、教育委員会や学校は一生懸命勉強し、研修をしているので、今後、その成果が実現する。その点で言えば、今後はかなり質の高い調査結果が出てくるのではないか。
3つの評価の中では学校関係者評価が最も難しい。学校が行なう自己評価の質が高まらない限りは、関係者評価も充実しない。つまり、情報提供がしっかり行われないと、保護者、地域住民による評価は難しい。
重要なことは、保護者・地域住民が、学校に協力をする、参加するということに意味を見出せること。評価を行ったことに対して校長が何かしてくれるのかといった問いに対して答えられることが必要となってくる。
学校評価の中で、児童生徒の位置づけに関しては議論の余地がある。保護者・地域の参画については、初期段階は啓蒙型で良いと思うが、将来的には、評価に参加することで、評価者としての責任と権限を確立してもらわなければならない。
自己評価を行うことで自分たちの仕事、自分たちの学校の質が向上するようなシステムの開発が必要。
【委員】
学校評価に関する新しい手法の導入は非常に重要であると考えられるが、これに伴って学校の対応や様々な事務的負担が増えていくことも補足する必要がある。また、学校評価が安定軌道に乗った場合に、これがどのように収束していくかも見極めていかなければならない。
(初等中等教育局学校評価室)