資料5 第3期教育課程部会の審議の状況について(関連部分抜粋)

【中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会(平成19年1月26日)】

  1. 教育課程部会の審議の経過
  2. 教育基本法改正を踏まえた検討
  3. 教育内容の改善
    • (1)各学校段階の教育内容の改善
    • (2)各教科等の教育内容の改善
  4. 教育課程の枠組みの改善
    • (1)指導方法の改善
    • (2)授業時数の在り方と学校、家庭及び地域の役割分担と連携
    • (3)高等学校の必履修科目の在り方
  5. 学校教育の質の保証のためのシステムの構築

3.教育内容の改善

(1)各学校段階の教育内容の改善

  • 小・中・高等学校の各部会においては、審議経過報告で指摘した、学習指導要領の改訂の基本的な考え方である言葉と体験などの学習や生活の基盤づくりをそれぞれの学校段階でどのように図るかといった観点のほか、発達の段階に応じた指導の重視などについて検討を行った。
  • 審議経過報告で指摘しているとおり、言葉は、「確かな学力」を形成するための基盤であり、生活にも不可欠である。言葉は、他者を理解し、自分を表現し、社会と対話するための手段であり、家族、友だち、学校、社会と子どもとをつなぐ役割を担っている。言葉は、思考力や感受性を支え、知的活動、感性・情緒、コミュニケーション能力の基盤となる。国語力の育成は、すべての教育活動を通じて重視することが求められる。

小学校

  • 中学年までは体験的な理解や具体物を活用した思考や理解、反復学習などの繰り返し学習といった工夫による読み・書き・計算の能力の育成を重視し、中学年から高学年にかけて以降は、体験と理論の往復による概念や方法の獲得、討論・実験・観察による思考や理解を重視するといった発達の段階に応じた教育課程編成や指導の工夫が必要である。
  • このような工夫の中で、小学校段階では、低・中学年においては、朗読、漢字の読み書き、古典の暗唱などに取り組み、高学年からは読解力の育成などを重視してはどうかとの意見があった。また、規範意識や道徳的な判断の育成についても、小学校の各学年でここまでは育てたいといった系統性や見通しが必要との意見が出された。

中学校

  • 中学校段階については、増加する教育内容に適切に対応するためにはすべての教科等にわたって学習スキル(方法)をしっかりと身に付けさせることが重要である、公の場での説明や討論に必要なコミュニケーション能力の育成は、国語を基礎としながらも国語以外の教科等で取り組むことが有効、社会的自立の基礎を培うためには、最低限のルールとして法があることを認識した上で道徳を学ぶようにすることや働くことの意義や尊さを体験を通じて理解させることが重要といった意見があった。

高等学校

  • 高等学校段階に関しては、生徒の実態は多様化しているが、国民的な教育機関としての共通性は何かという議論が行われた。
    自ら将来の進路を決定させることを目標とする高等学校段階では、生徒の社会的自立を促すという観点を踏まえ、実生活との関連をもって学ぶことや知識・技能を活用すること、 コミュニケーション能力や論理性、想像力の育成、歴史や文化、自然や科学への理解を深めること、人間としての生き方や人生論を議論し考えさせること、キャリア教育(勤労観・職業観を育成する教育)、市民生活や職業生活を営んでいくための基本を学ぶことなどが重要といった議論を行った。

(2)各教科等の教育内容の改善

  • 同時に、これらの知識を活用し、探究型の学習へと発展させる観点から、これまで必ずしも具体的な過程が明確ではなかった思考力や表現力の育成などを各教科等において相互に関連付けながら図る具体的な方法を、例えば次のように検討している。
    1. 日常生活に必要とされる技能としての対話、記録、要約、説明、感想などの言語活動を発達の段階に応じ体系的・継続的に指導、読書活動を充実(国語等)
    2. 言葉や数、式、図、表、グラフなどの相互の関連を理解し、それらを用いて説明・表現する指導の充実(算数・数学)
    3. 科学的な思考力・表現力の育成を図る観点から考察・説明・探究を充実するとともに、観察・実験や自然体験、科学的な体験を一層充実(理科)
  • 小学校段階の英語教育の在り方については、中・高等学校における改善を見通して、教育条件の整備に関する課題も含め検討を進めることが重要である。旧来の読み書きを中心とした中学校の英語教育を前倒しするのではなく、小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーションなどの活動を通じて、言葉への自覚を促し、幅広い言語力や国際感覚の基盤を培うことができるよう各学校で共通に指導する内容を更に具体的・専門的に検討することが求められる。
  • また、言語力の育成や体験活動の充実のための具体的な方途や道筋についても教科等を横断した検討を集中的に行い、各教科等の具体的な改善方策を導くことが必要である。

4.教育課程の枠組みの改善

(2)授業時数の在り方と学校、家庭及び地域の役割分担と連携

  • このように、国語力の育成や理数教育、英語教育の充実の観点から必要な授業時数を確保すべきとの意見が多いことを受けて、具体的にどのように見直すかについては更に検討を深める必要がある。
  • この場合、1週間当たりの授業時数の見直し、朝の10分間などを活用して行われている読書活動、音読、計算といったドリル学習の時間の授業時数への計上、長期休業日の活用などの具体的な方途について、子どもや学校の実態等を踏まえて検討することが求められる。

5.学校教育の質の保証のためのシステムの構築

情報提供その他の基盤整備の充実

  • さらに、主たる教材として重要な役割を果たす教科書については、その質・量両面での充実が求められる。子どもが学習内容について十分に理解を深め、基礎・基本を確実に身に付けられるよう工夫され、かつ、特色ある教科書が提供されるための具体的な検討が必要である。

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