言語力育成協力者会議 (第4回) 議事要旨

1.日時

平成18年8月24日(木曜日) 15時~17時

2.場所

フロラシオン青山 「はごろも」

3.議題

  1. 児童生徒の発達段階に応じた各教科等を横断した言語力の育成について

4.出席者

委員

梶田座長,秋田委員,岩田委員,内田委員,大津委員,尾委員,甲斐委員,角屋委員,三森委員,寺井委員,直山委員,西原委員,松川委員

文部科学省

常盤教育課程課長,田中主任視学官,井上視学官,森友教育課程企画室長補佐,南野専門官,石塚学校教育官

5.議事要旨

(1)事務局より配付資料の確認,説明等が行われた。

(2)論点案に掲げられた視点に基づき,資料2について意見交換が行われた。主な意見等については以下のとおり。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」について,1つ目の○のところに,他者とコミュニケーションを行うために言語を運用するとあるが,この中には自己の部分を含める必要がある。

委員
 自己の部分にかかわり,人間が考えるようになったのは,それが内面化し,内側で自分と自分が対話するようになって,それが考えるということになったという点を踏まえる必要がある。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」について,言語力を養うためには,言語生活とか読書生活の基盤が必要ではないか。言語力を育てるためには,読書量とか生活の中に言語の生活を耕していくという視点がないと言語力は実質的に育たない。書くことの生活を基盤確保されていなければ書く力は育たない。言語生活や読書生活あるいは書くことの生活をキーワードとして,それを基盤にして言語力を向上させていく必要がある。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」について,一番最後の○のところに,非言語を通してとあるが,身体の議論が本当は必要ではないか。体育科も視野に入れ,身体をキーワードとして言語力を考えていく必要があるのではないか。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」のところの一番最後の○のところで音楽科や図画工作・美術科は非言語を通してとあるが,非言語だけでなく,言語及び非言語とすべきではないか。

委員
 以前,ある学校で国語科,音楽科,図画・工作科,美術科,体育科について表現化の指導を行ったとき非言語だけでなく,日本語の問題があった。

委員
 言語と非言語を考えるためには,言語の範囲がどこまでかを考える必要がある。

委員
 「2.思考・論理に関すること」について,思考で区切って考えるのか,思考及び論理として考えるのか分からない。当該項目に掲げられたそれぞれの内容は論理的な思考であるので,社会科の立場では現在案の「2.思考・論理に関すること」の内容は理解ができない。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」について,最終的にどういう日本人を育てたいのかということをもっと明確に示すべきではないか。

委員
 「6.体験と言語,言語体験」は,感性や情緒との関係も踏まえ,「3.感性・情緒に関すること」の方に整理してはどうか。

委員
 資料2‐1の始まりの部分については,社会の変化や子どもの発達の実態や段階に応じて考える言語力と生活の中で考えていく視点を出していく構成にすべきである。

委員
 「4.対話・議論に関すること」の上から4つ目で,あえてこの部分だけで学力を扱っていることに違和感がある。言語力育成と学力格差を結びつけて考えていくのであれば,別の項目で扱うべきではないのか。

委員
 学力と言語力とは,2つの問題がある。1つは,言語力が学力を規定しているのではないかという問題,もう1つは,言語力の育成の中で低学力の子どもをどう取り扱うのかという問題である。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」について,○の順序は羅列されたものであると思うが,3つ目の○については,言語力を考える契機と考えるならば,これは,最初に述べるべき事柄ではないか。また,1つ目の○では,「個人に内在する能力」というように個人が単位になっているが,個人だけではなく社会的な言語力も,言語力の範囲として考えられるべきものではないか。

委員
 資料2‐1の2ページの一番下の○について,「小説」とあるが,小説は小学校では扱わないため,「物語や小説や文学作品」のように,学校段階を限定しない表現に修正する必要があるのではないか。

委員
 書くことについて,ノートについての記述がない。今の子ども達はあまりにも用意されたワークブックが与えられすぎて思考が,受け身になっている。自分でノートをつくる,ノートに記録するなど積極的に書くという言語生活についての要素を入れる必要があるのではないか。

委員
 資料2‐1の3ページ「5.留意点や教材など」について,2つ目の○「生活語彙が乏しい」とあるが,子どもたち同士や家庭における言語生活が乏しくなっている。さらに,学校で身に付ける語彙として社会的な語彙を入れていただきたい。その上で,3つ目の○「論理や情緒に関する高度な語彙」と「各教科で養うべき専門用語」を並立して記述すべきではないか。

委員
 「2.思考・論理に関すること」の(論理的な思考力を養うための教育内容)の5つ目の○の「指導方法を明確にするためにワークブックなどの教材や教員の研修が必要である。」と記述されているが,教員にとって必要なのはワークブックを勉強したり利用することではなく自ら開発したり,学校の中で生徒や学校の実態に応じて,授業を軸にしながら研修していくということが重要である。また,指導方法を論理のところだけでなく入れていくのかについて議論する必要があるのではないか。

委員
 資料2‐1の3ページのところで,「学力の低い子ども」と言ったが,ここのところで取り上げるのであれば,「すべての子どもが授業に偏りなく参加できるような配慮すべきである」というようにしてほしい。

委員
 指導方法を始めに記述するのか,後ろの教科のところで記述するのかについて,構成を考えるべきではないか。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」について,下から2番目「外国語科は外国の自然言語を,数学科は記号的な言語を主に対象とする教科である。国語科との連携を視野に入れて,コミュニケーション能力を育成する指導の改善充実を図るため,効果的な連携を図っていく必要がある。」とあるが,ここでうたっていることは外国語科・数学科・国語科との連携を図るためのキーワードはコミュニケーション能力であるというものであるが,実質がない。この記述を実質化するためにはキーワードとして論理やメタレベルでの分析を入れていく必要があるのではないか。

委員
 資料2‐1の2ページ(論理的な思考力を養うための教育内容)のところにかかわり,説得や議論を強化していくため,レトリックの研究成果を生かし,例えば寓話やたとえ話を使いながら物語で説得するというような方法なども取り入れるべきではないか。

委員
 資料2‐1の4ページ「7.子どもの発達の段階を踏まえた改善」について,型で教えこんでいく発想は,子どもたちが柔軟に言語を使っていくことを妨げ,形式的強制的なトレーニングの根拠になってしまう危険性がある。これは第1番目にくるような項目なのか。

委員
 論理の発達を踏まえ,それを磨いていくという視点で教えることは重要である。

委員
 型というよりも約束事という表現が適切である。また,言語生活の中には自由に創造していく面もあるので表現方法には工夫が必要である。

委員
 全体について,項目の並べ方を整理する必要がある。

委員
 3ページ「4.対話・議論に関すること」一つ目の○について,自己と対話することは結論のように読めるので,「自己内対話,他者との対話を通して自己を表現し,考えを明確にし,あるいは他者を理解し,他者と意見を共有する」と改めたほうがよい。

委員
 「クリティカルリーディング」と「批判的な読み」,「言語表現法」と「言語の技術」など,異なる定義で使っているのでなければ用語を統一すべきである。

委員
 4ページの「6.体験と言語,言語体験」について,各学校が,各教科,特別活動,道徳,総合的な学習の時間を通して,学年の段階を踏まえた体験活動を整理・充実し,言語活動との関連を踏まえた指導を考えていくために,「学校全体として,体験と言語,言語体験を統括する」という表現を入れていただきたい。

委員
 「体験と言語」及び「感性と言語」に関係する部分について整理が必要である。

委員
 体験が言語を支えていく部分と,言語からある種の感性や体験などが生じるという場合の両方がある。日本の教育では,体験の言語化が中心となっているため,新しい言葉を覚えることにより,新しい感性が育つ可能性を拓くという面も同様に重視すべきである。

委員
 P.1「2.思考・論理に関すること」について,目的に合わせて筋道を立てるという,目的との関係を表記しておく必要がある。例えば,2つ目の○については,的確に思いを述べること,的確に考えを説明することという,「的確」とか「目的に合わせて」という表現が必要ではないか。また,(筋道・概念・論述)の3つ目の○について,「学習が進むにつれて,クリティカル・リーディングの考え方により」とあるが,与えられた情報や資料を分析・解析して,自らの有する知識と結びつけるため,「目的の意識」を入れておく必要がある。

委員
 P.1「2.思考・論理に関すること」と「4.対話・議論に関すること」の1つ目の○について,「自己との対話」は思考・論理につながっていくため2の方に整理し,4では人間関係の中での対話に関するものを整理してはどうか。

委員
 P.1「2.思考・論理に関すること」の中に,判断力や立論,推論能力などの用語を明記する必要があるのではないか。クリティカル・シンキングにつながる相対的な客体化能力の上位概念として,ここで最初に記述しておくべきである。

委員
 P.4「7.子どもの発達の段階を踏まえた改善について」,言語生活の中においても,どの段階でも,子どもたちが自ら学ぶ自己学習の形を教師が作っていくということを学校現場では徹底しなければならない。

委員
 P.5「8.各教科等における改善の考え方」の2つ目の○にかかわり,多様なテクストや非言語という新たな概念を現場で理解ができるように考え方を示しておくべきではないか。

委員
 言語力,国語力,読解力のそれぞれがどのように違いがあるかについて,現場でも理解できるように示しておくべきではないか。

委員
 従来の読解力と新しい読解力の違いについて,1.読解力を読むことの領域の一つという捉え,2.読解力は国語であるという捉え,3.読み,書き,話し,聞くというトータルの活動の中で読解力を考えるという捉え,の3点を現場で認識している。

委員
 P.3「4.対話・議論に関すること」について,伝え合うことと対話・議論は別である。3つ目の○については,伝え合うことに近い考え方が出ているが,このことについて学習指導要領において示していくのであれば,対話・議論でない別の見出しにしておくべきである。

委員
 読む,書く,聞く,話すことについて,現在案ではばらばらに整理されているので,それぞれの言語活動に対応した項目を立てて整理すべきではないか。

委員
 P.2「2.思考・論理に関すること」の(論理的な思考力を養うための教育内容)の3つ目の○について,現在案に加えて物語文や自分の経験や体験などを書く生活文なども含めるべきであり,かつ,それぞれが発達や学年の段階とどう対応しているのかを示す必要がある。

委員
 P.1「1.基本的な考え方及び課題」について,先ず最初の○として,現在案3つ目の○の内容を背景としてもってきた上で,国語力ではなく言語力とした理由も含め,言語力の定義を記述すべきである。

委員
 P.1「1.基本的な考え方及び課題」について,現在案の最初の○では,言語活動の「聞く,話す,読む,書く」と「考える」が同列に扱われており,水準の違うこれらのものは別にすべきではないか。

委員
 体験と経験の関係については,五感を通した体験と擬似的な体験を含めて,上位概念として経験があると考える。これらの水準の異なるものは別にすべきである。

委員
 P.3「4.対話・議論に関すること」1つ目の○について,自己内対話と他者との対話に関しては,自己内対話も他者との対話と同様に,考えの明確化や考えの共有,考えの進化・深めるという捉え方ができるため,「2.思考・論理に関すること」に含めることができるのではないか。

委員
 現在案では委員の意見の例として並べられているが,このような形式は今回までとし,次回会議においては,用語の統一を図り,議論されていない部分を明確にする観点から,事務局において文章を続けたものを素案として御提示いただき,それを検討する必要があるのではないか。

委員
 言語力・国語力・読解力の定義を示すべきである。特に,言語力と国語力については,コンセンサスを得るため一度議論をすべきではないか。

委員
 いわゆる読解力はPISA型のものとして理解できる。一方,国語力と言語力は言い換えか,従来の国語力に加えたものか,ある部分を強調したものかをはっきりさせる必要があるのかもしれない。

委員
 言語力の育成は日本語の力を念頭においているのか外国語の力も含めているのか,また,算数・数学の関係で,言葉としてシンボルやサイン,さらに記号までをどこまで含めて考えるのかについて,現場の混乱をきたさない範囲で,どの程度まで出していくかを考える必要があるのではないか。

委員
 国立国語研究所は,以前,言語○○(まるまる)研究部といういくつかの研究部が総合して国語になるという組織体系であった。

委員
 言語力であって国語力でない部分で,どの言語であっても人間の持つ言語力として普遍的なものは教科横断的と言えるのではないか。

委員
 全体の構造として,P.1「1.基本的な考え方及び課題」では,まず,3つ目の○にあるグローバルな動きの中での問題と,子どもの視点に立って身近な対人関係の希薄化などの問題背景について記述すべきである。

委員
 言語力の定義は,考えること,理解すること,自分で言葉を生み出し作り出す力を身に付けさせたいという背景を明確にしながら,言語の問題のみならず言語を取り巻く生活や身体の問題を記述すべきである。

委員
 各教科ではない言語活動を教育するときの対象領域がどこであるかということを基本的な考え方で記述すべきである。また,その具体的な活動や発達の軸を構造化してどう考えるのかという方針を基本的な考え方に入れるべきである。

事務局  P.1「1.基本的な考え方及び課題」の順序性は,現段階で委員より出された意見について,1つ目の○が言語力の定義,2つ目の○では言語についての子どもたちを取り巻くミクロの部分の問題意識,3つ目の○はむしろグローバルなマクロな観点での問題意識,4つ目の○は発達段階の問題,5つ目の○は各教科のかかわりを意識した配列としている。

事務局  言語力の定義に関しては,文化審議会の答申において示された国語力の定義に即して委員より提出された意見を基に記述している。

委員
 言葉の問題を考えるとき,お互い相互理解し合うという対人的なコミュニケーションという捉え方と,学習や認知を考えた場合の自己内対話による自分自身とのコミュニケーションが重要になってくる。

委員
 人と人との相互理解や自分自身の問題解決という二つの面での言葉の力については,国語以外の教科においても育成すべきであり,また,それらを活用していかなければそれぞれの教科の学習が充分にできない。

委員
 言葉の力を考えたとき,多くの語彙を駆使しながら,カテゴリーの体系によって微妙なものを区別しながら,コミュニケーションを図ったり,思考を進展させることが求められる。しかし,現在,結論的なワンセンテンスにより表現することが多くなり,日本の将来の社会の知的水準を高めていくためには,この点を改善していくための方策を考えていく必要がある。

委員
 「8.各教科等における改善の考え方」について,小学校での英語教育がこの項目で整理されていることに違和感がある。ここでは,外国語教育として一般的にまとめておくべきではないか。

委員
 「4.対話・議論に関すること」を「2.思考・論理に関すること」に入れることにかかわっては,「2.」では静的な技能論になってしまっている。論理ももっと対話性やコミュニケーション性を重視して,論理の内実をどう捉えるのかについて記述しておくべきではないか。

委員
 「4.対話・議論に関すること」については,コミュニケーションを考慮して記述すべきである。例えば,意見の対立が生じた時の解決の仕方や,意見の異なる人と協働的に議論する態度などの相互作用的インターアクションの側面を「4.」に記述すべきである。

委員
 「2.思考・論理に関すること」(論理的な思考力を養うための教育内容)の三つ目の○について,メタ認知的なことを子どもたちにも体験させる必要がある。例えば,「論文などを児童生徒の状況に応じて書かせ,また,書いたものを分析することを子どもたちに要求し,その中で自分の考えをフィードバックさせる」という記述をしてはどうか。

委員
 小学校の英語教育の導入により,言語力の向上にどのように資するのか,あるいは,中学校の英語教育にどういう貢献を果たすのか,現行の枠組みではできなくて,導入しなければならない理由をご提示いただけるとありがたい。

委員
 「1.基本的な考え方及び課題」では,教科横断的な言語力の育成という観点から,従来扱われていなかったが,今後問題にすべき点を書き込み,また,国語についてはどうかということも記述しておく必要がある。

委員
 「8.各教科等における改善の考え方」では,教科固有の内容ではなく,各教科の中で今までなかった視点として,改善すべき点を羅列すべきである。その際,小学校と中学校の違いを分けて記述するのかどうか,また,英語については,小学校の英語教育は教科ではないため,中学校の英語と分けて書く必要があるかどうかについて検討を要する。

事務局  「8.各教科等における改善の考え方」では,現状において提出された御意見を記述している。

事務局  日本語とは異なる英語という言語に触れることにより,言語のおもしろさや豊かさ等に気づかせたり,言語に対する関心を高め,これを尊重する態度を身に付けさせることなどを通じて,国語力の向上にも相乗的に資するよう,教育内容等を組み立てる必要がある,という外国語専門部会のレポートも視野に入れて議論を進めていく必要がある。

委員
 外国語を学ぶことで結果として日本語の力が身に付くということにかかわり,特区で英語教育を行っているある小学校での教師の感想で,異なる言語の体系に出会わせ,活動をさせること自体が日本語での活動を促進する要素があるのではないか,ということが言われている。

委員
 国語力の向上への媒介として,メタ言語意識や言語活動の意識化が重要ではないか。つまり,英語を含め,様々な言語音に触れ,コミュニケーションスタイルの違いに触れ,論理の組み立て方の違いに触れることなどを一括してメタ言語意識と呼べるのではないか。

委員
 メタ言語認知が子どもの言葉の力をはぐくみ,総合的に日本語の学習に資する。例えば,子どもが外国語に触れることで言葉がどういうものかということを子ども自身が意識化し,言語が文化や社会と結びついているということに気付き,また,スキルではなくどのように学んでいくかという工夫について目を向けさせるということが重要ではないか。社会や文化,自分のコミュニティとのかかわりの中で意識化をすることが大切である。

委員
 メタ言語意識あるいはメタ認知を育成する際,母語だけではなく外国語を窓口とすることが育成に効果的である。但し,育成のためのきっかけとしては個別言語としての母語でメタを形成し,その後に母語以外の個別言語である外国語を導入することにより,メタ言語意識の育成の流れが効果的に進んでいく。

委員
 論理的に分析し,類推・比較し,まとめる抽象的な思考能力や文章構造や文章の流れをつかむメタ言語能力を母語でつくる土台として考慮しておくべきである。

委員
 小学校で母語の土台をしっかりと身に付けておかないと,中学校で英語の学習をやってもうまくいかない。言語活動に向かう姿勢として,日本語で他者とかかわり合い,伝え合い,協働することが苦手な生徒は英語でも同様である。また,語彙の習得における反復練習の習慣付けも英語以前に日本語での積み上げが重要である。

委員
 外国語学習は,話したり聞いたりができるようになって国際性が身に付くということばかりではなく,早期に外国語をやることにより,母語の運用能力やメタ言語能力の育成に資するということも含め,外国語専門部会で提言してみてはどうか。

委員
 「8.各教科等における改善の考え方」の小学校段階での英語教育については,英語教育の中で何をしなければならないかということやそれをどう国語教育とリンクさせるのかということを記述しなければならないのではないか。

委員
 説明の方法や批判的に読むということを日本語できちっと教えて,その上で英語に転用していくことが,日本人の英語を現場で使えるものとするために必要ではないか。

委員
 美術教育に関して,絵をどう読むのかということについて,子どもたちから年齢に応じて引き出す教育を進める必要がある。

委員
 音楽教育に関して,詩と音の関係やなぜその楽器を使って演奏しているかについて,子どもたちが考えることを言い合いながら音楽そのものを深く鑑賞するというように,音楽教育にも言葉を入れていただきたい。

委員
 社会科や理科と同様に,他の教科に関しても,「8.各教科等における改善の考え方」について,具体的に記述していただきたい。

委員
 各教科の教師が事実と意見を書き分け,論述するということを意識しておく必要があるのではないか。

委員
 算数・数学について,数量的なデータを解釈してグラフに表し,仮説を立てて論証するとともに,その過程を適切な言葉で記述することが重要である。また,クリティカル・リーディングは,批評し評価することを重視すべきである。

委員
 言語力をすべての教科活動の基本として意識し,感性と理性のバランスをとるためや情緒や感性のイメージをどう言葉で記述し,対象化するかということに言語力を使っていくべきではないか。

委員
 算数・数学教育の視点として,言葉を支える仕組みと数の体系を支えている仕組みが根本的に共通であることについて,論理の点だけでなく,人だけに固有のものであるということに関しても教育の場で強調しておく必要がある。

委員
 各教科の中で読書活動は重要であり,読書を強化し,授業自体を変えていかなければならない。「8.各教科等における改善の考え方」の中に,読書をキーワードとして各教科の教育内容を論じるような項目を入れておく必要がある。

委員
 「8.各教科等における改善の考え方」の6番目の○について,「言語力や教科が求める思考力の育成のため」というのは,社会科だけではなくその他の教科でも共通のねらいであり,教科の基礎・基本をしっかりやっていれば身に付くものではないか。

委員
 「8.」に小学校の英語教育の記述があることに関しては,外国語教育や国語教育は言葉を意識する教科であり,その中での括りとするならば違和感はない。

委員
 言語の操作をする力として温かい気持ちを言葉に乗せるという情感を子どもの8~9歳の時期には身に付けて欲しい。子どもが音声による母語でのコミュニケーションを図ることに不自由がなくなるといわれている8~9歳の時期にあえて外国語という負荷を与えることにより,言葉に対する感性を付けさせたり,言葉で気付かせたりすることが重要である。

(3)最後に事務局から次回の日程について説明があり閉会となった。

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(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)