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参考資料5

全国的な学力調査に関する関係団体の意見・見解
− 中央教育審議会 義務教育特別部会 関係団体ヒアリング資料より抜粋 −


団体名 ヒアリング日時 意見・見解の概要
全日本教職員連盟 7月25日(月曜日) 2 審議経過報告その1について
(1)教育内容の改善、制度の見直しについて
(中略)
 児童生徒の学力の実態を正確に把握し、次の指導に活かすために学習の到達度や理解度を調査することは重要である。しかし、学力テストを全国一斉に行うことで、地域や学校間の成績を競い合うような機運の醸成につながってしまうと、学習指導要領本来のねらいから外れてしまう危険性がある。また、調査の在り方も、結果が日々の教育に活かされるものになるよう、慎重に検討する必要がある。決して、いたずらに児童生徒や教職員の負担だけが多くなるような調査になってはならないと考える。
日本教職員組合 7月28日(木曜日) 審議経過報告(その1) 義務教育の在り方に関する意見
[学ぶ意欲を高める教育課程を]
(中略)
 子どもの実態から、制度や施策が適切であるかを見直すための「学力調査」は必要である。
 それは、「学力」の到達度・理解度といったものに限定するのではなく、幅広い教育的基礎資料を収集し、条件整備にも生かすものとすべきである。
 しかしながら、学習意欲を高めるための動機づけにしようとする観点については、学校間の序列化や過度な競争等につながらないような十分な配慮をおこなうのは当然としても、以下のような観点から極めて問題が多いと考える。
 教育の目的は、競争に勝ち抜くことであってはならない。「学力テスト」という手段が点数の向上のみに特化され目的化することは、1960年代の「全国一斉悉皆学力テスト」で実証され、当時の灘尾文部大臣自身がその弊害を認めたところである。能力主義、競争主義の誤った手法で、教育現場が極めて深刻な事態に陥った過ちを繰り返すべきではない。
 教科学力偏重の世論がある現在、「全国一斉悉皆学力テスト」をおこなうことは、子どもたちも教職員も保護者も教育行政関係者におけるそれぞれの関係を乱し、とりわけ子どもたちの多様な未来を保障するために日々がんばっている教職員の意欲を減退させ、ひいては子どもたちにとって不幸な事態が惹起されることが予見される。
 「学力調査」については、かつての「学力テスト」における問題を踏まえ、目的・手法について中教審で慎重に議論されることを要望する。とりわけその規模については、悉皆とするのではなく、調査にふさわしい適正な規模にすべきと考える。
 また、「学力調査」の実施は教員が行うこととなる。現場教職員の理解を得られる目的・手法でなければ、教育現場における様々な歪みが生じることは必至である。行政として、保護者・国民への説明責任を果たすべきである。
社団法人日本経済団体連合会 7月28日(木曜日) 中教審義務教育特別部会における審議経過報告へのコメント
義務教育特別部会審議経過報告(その1)
2.国際的に質の高い教育の実現を目指す
(2) 教育内容の改善
  ウ. 学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施
  学習の到達度を見る上で、全児童・生徒を対象とする学力調査を実施することは非常に重要である。
  1学校ごとの実績評価を保護者に提示する機能を重視し、保護者の教育への参加を促すこと、2各学校が、調査結果を踏まえ、授業方法の改善や学習意欲を高める方向で活用し、切磋琢磨することが望まれること、3同時に体力についても、全国的な調査を実施するなどを記述願いたい。
全国教育管理職員団体協議会 7月28日(木曜日) 審議経過報告(その1)より
2.「国際的に質の高い教育の実現」について(戦略1)
(2) 教育内容の改善
  ウ. 学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施
 基本的には賛成であるが、都道府県間、市区町村間、各学校間の序列化、過当競争、成績至上主義等に起因する差別、偏見、人権侵害の防止策を具体化されたい。
全国連合小学校長会 8月4日(木曜日) 審議経過報告(その1)について
2 義務教育の質の向上のための4つの戦略(国際的な質の高い教育の実現、教師の質の向上、現場の主体性と創意工夫、教育諸条件の整備)は、いずれも大切な視点であり、日本の教育全体の質の向上のためにも、ぜひ推進すべきである。特に重点化したい点について述べたい。
(2) 教育内容の改善について
  (中略)
全国的に学習到達度・理解度を調査する必要性については理解できるが、結果の扱いについては、学校や地域間の序列化や過度な競争心につながらないような工夫・配慮が必要である。
中核市教育長連絡会 8月4日(木曜日) 義務教育制度改革について
(中略)
 最後に「教育は人なり」といわれるように、児童生徒、保護者、地域などから尊敬される教職員の育成とそれを支える教育条件整備は、国の最重要課題であります。今回の義務教育特別委員会がまとめた審議過程報告の改革方針の基本方針については、中核市教育長連絡会として全面的に支持いたします。しかし「全国的な学力調査の実施」「義務教育に関する制度の見直し」「多様な人材の学校教育への登用」等では、私たち中核市でも様々な意見が出されております。今後も議論を深めていかなければならない項目もありますので、細部につきましては、私たちの意見・要望(別紙資料参照)を少しでも参考にしていただき、より良い答申が出されることを願っております。

ウ. 学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施
  − 基本的に賛成:21、基本的に反対:1、どちらとも言えない:6 −
実施後の情報公開により都道府県・市町村の格差、学校間の序列化等いたずらに競争意識につながる恐れがあり、慎重に考えるべきである。
本市でも小学校6年生と中学校1年生を対象として抽出して学力調査を行っているので、とりたてて全国的な調査の必要性は感じてはいない。
全国の水準をデータとして出すことには賛成するが、競争をあおるような序列化につながらないことと、学力テストの中身や取組方法については慎重に対応すべきである。
各自治体が学力調査など独自の取組を行っており、全国的学力調査の実施やそのあり方については、十分な検討が必要である。
学力低下が叫ばれている中、必要である。
指導と評価を一体化させるという観点は賛成するが、市町、学校へ知らせることで競争の視点がでることは望ましくない。
指導方法の改善を進めていくために客観的データは重要であるが、学校の序列化や過度の競争にならないような配慮が必要である。
個々の子どもの到達度、理解度を把握し、その後の指導支援に役立てることは重要であるが、全国的な学力テストの結果が公表されると学校教育がテスト結果をあげることに偏重していくことが懸念される。
何を尺度として「学力状況」を把握するのか、単なる知識を問うことにならないような方策の検討が必要である。
地域の実情に合わせた取組を行っており、今までに積み上げてきたものがある。それを活かすような方策はないものかということで、どちらとも言えないにしている。
全国的な調査を必要とする根拠が不十分であり、安易な実施が過度の競争につながる恐れがある。国が示したナショナルスタンダードに合わせた到達度、理解度の検証は指導する現場において実施すべきである。
日本労働組合総連合会 8月4日(木曜日) 中央教育審議会 義務教育特別部会 部会ヒアリング意見
1.義務教育の使命の明確化と教育内容の改善について
【義務教育の使命の明確化/教育内容の改善/義務教育制度の見直し等】

(5) 全国的な学力調査については、目的を明確にした上で、学校の序列化につながらないよう留意
日本高等学校教職員組合 8月4日(木曜日) 中教審義務教育特別部会審議に関する意見
2 国際的に質の高い教育の実現を目指す
(2) 教育内容の改善
   ウ.学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施
 学習到達度については全国的な調査を実施する事は必要であるというのは理解できるが、学校間の序列化や過度な競争等につながらないように十分配慮する必要がある。また、受検者抽出や実施時期などの問題等も考えられる。
全国都道府県教育長協議会 8月4日(木曜日) 審議経過報告(その1)についての意見
2 国際的に質の高い教育の実現を目指す
− 義務教育の使命の明確化及び教育内容の改善 −
(2)教育内容の改善
   ウ.学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施
 現在、ほとんどの都道府県で継続して学力調査を実施しており、悉皆で実施する自治体も増えている。今後、国が大規模な学力テストを継続的に実施することによって、子どもや学校の負担が重なることが懸念される。国が実施する学力調査については、その点を十分考慮し、都道府県や市町村が実施している学力調査との役割分担を明らかにして、調査の時期、規模や方法を検討していただきたい。
 自治体や学校がそれぞれの学力状況を把握することが教育の充実への取組の動機付けとなることは御指摘のとおりである。自治体や学校別の調査結果を一律に公表しなくとも、各自治体や各学校が、全国平均と比較して自らの調査結果を把握することができれば、それぞれの学力向上の取組を促すことはできる。自治体別の公表を求める意見もあるが、国においては、都道府県レベルの公表にとどめるべきであるとの意見もあるので、今後とも、十分に検討していただきたい。
 指導方法・指導形態との関係を分析するためには、教員(学校)対象の質問紙調査とも併せて実施することが必要である。地域性との関係については、自治体別の調査結果の公表の在り方との関連で慎重な検討が必要である。地域による学力差には、学校の指導の在り方だけでなく、学校を取り巻く様々な社会的・経済的な要因も考慮すべきと考える。


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