人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第27回) 議事録

1.日時

平成18年12月20日(月曜日) 10時~12時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階 「クレール」

3.議題

  1. 「第3次とりまとめ」について
  2. その他

4.出席者

委員

 福田委員、伊藤委員、梅野委員、神野委員、神山委員、小島委員、菅原委員、志水委員、谷口委員、林委員、増田委員、森委員

文部科学省

 塩原児童生徒課課長補佐、他

5.議事録

(1)指導等の在り方編について

※ 各WGリーダーより、資料3に基づき「指導の在り方編」の各WG作成原稿について、事務局より、資料1、2に基づき「指導の在り方編」の全体原案について、説明があった後、意見交換がなされた。

「はじめに」関係

 「はじめに」において、「人権教育のための世界計画」について記述するのであれば、同時に「持続可能な改革のための教育の10年」にも触れなくてよいのか。

 「人権教育・啓発白書」には、個別の人権課題として、北朝鮮当局によって拉致された被害者等や矯正施設の人権、性的指向、ホームレスなども入れられているが、第3次まとめでは、こうした課題に触れないでよいかどうか、今後、検討してほしい。

 基本的な部分にとどめておかなかったら、そこから踏み外したら、あれもこれもということで、特に人権は幅広いですので、基本的な部分にとどめておいたほうがいいのではないかなと思います。

 「はじめに」の2ページのところで、第1次とりまとめについては、「人権についての知的理解を深めると共に人権感覚を十分に身に付けることを目指して」とりまとめを行った旨が記述してあるが、第2次とりまとめについては、中身の概要が、第2次も書かれてれていない。第1次よりも第2次できっちり人権教育の理念とか目標とか、それから学校における指導の在り方とか文章化していろいろ言っているのであるから、そのようなことを入れて、第2次とりまとめを公表したといった趣旨の文補足したほうがよい。
 また、第3次とりまとめ(最終取りまとめ)については、さらに、実践資料を加えて取りまとめた旨の説明を入れておかないと、実践資料は第3次とりまとめに含まれるのか否かがわからなくなるので、この点も補った方がよい。

第1章関係

 6ページの「人権教育を通じて育てたい資質・能力」の図では、「他者の痛みや感情を共感的に受容できるための想像力や感受性」が、「技能的側面」の要素として整理されているが、これが、「技能的側面」よりも「価値的・態度的側面」に入るのではないか、という見方もある。

 想像力とか感受性というものは、ある意味では客観的なものでもある。中身が何を想像するかということになると価値的・態度的になるけれども、技能としてとらえるのは、やはり想像力をどうやって伸ばすかという、他人の身になって考える、そういう技能として見るべきではないかというのがこの図の考えである。

 6ページの図については、第2次まとめでの反響も大きかった。より明確できる点は、第3次まとめの中で整理して、明確にしていきたい。

第2章関係

 9ページの「『生きる力』を育む人権教育」の図と、6ページの「人権教育を通じて育てたい資質・能力」の図との関係はどのようになるのか。
 最近では、生きる力以外にも、人間力とか学校力とか教師力とか、「力」がついた言葉が次々出てきている。「生きる力」を求めているということについては、変わらないということもわかっているが、9ページでは、なぜ、「生きる力」を使っているのか。

 第1次・第2次とりまとめでは、知的理解、人権感覚とそれに基づく実践力とを合わせて人権教育の目標にしているが、広くこれらの総体を含めて「生きる力」なのか、それとも、より狭く、人権の問題を解決する実践力がイコールなのか。

 第1WGでも、その点については議論になったが、いろいろな言葉を入れることについては、今回少し慎重になろうということで、「生きる力」だけにし、さらに、「生きる力」を「豊かな人間性」や「確かな学力」、「健康・体力」で説明するにとどめた。
 生きる力と人権感覚との関係、6ページの図と整合性を持たせることは確かに必要なことのように思うが、その点は、まだ、あまり議論してない。
 9ページの図は、要するに、人権教育は、今言われている「生きる力」というものを支えていますよということ、これは最終とりまとめとかなり密接につながっているんですというイメージだけをあらわしたものであり、もともとの作成の趣旨はそういうところである。

 矢印がいろいろ解釈される可能性がある。文章では、人権教育がすべての基礎だということを書いてあるわけだが、これを矢印であらわし得るのか、「何とか力」という言葉で表現できるのかと言った当たりは、気になるところではある。

 9ページの図では、図の中心の、「人権感覚」、「知的理解」→「生きる力」の部分が次が小さくなっているが、せっかくこのように書くのであれば、遠慮せず、逆にもっと大きい字で、目立つように書いた方がよい。

 図については、また、時間をかけて検討した方がよいだろう。

 11ページの「人権尊重の視点に立った学級経営の循環的な関係性」の図については、循環というよりは、互いに双方向の矢印で関係づけた方がよいのではないか。
 また、言葉遣いとしては、「学級集団の経営」でなく、「学級集団づくり」であろうし、「教育課程の編成・実施」については、例えば「指導計画」とか「授業計画」とか「授業づくり」とか、もっと身近な言葉に替えた方がよい。

 本文でも使われている言葉をつかって、学習活動づくり、人間関係づくり、環境づくりといった言い方にするのがよいかもしれない。また、そうなると、循環なのかどうかも問題が出てくる。学習活動づくりと人間関係づくりを支えるのが環境づくりということになるから、循環とするのが妥当かどうか、もうちょっと考えたいと思う。

 11ページ【参考】中の「尊敬の念を培う」は、「尊敬」でなく「尊重」の方適切だろう。
 では、25ページからの第2ワーキンググループ関係はよろしいですか。

 37ページの「【参考例】学校に対する『推進状況調査項目の例』」と16ページの「【参考例】各学校における校内推進組織図」との整合性は、きちっととれているのか、確認が必要かもしれない。

(2)実践編(資料編)について

※ 各WGリーダーより、資料3に基づき、「実践編(資料編)」の各WG作成原稿について説明があった後、意見交換がなされた。

 「実践編」に載せる指導事例等については、「指導の在り方編」の本文の内容を理解してもらうために、本文の構成に沿った形で取り出していくのが建前だが、「総合的な指導」や、「自主性を尊重した指導」の部分については、およそ人権教育であれば、どんな指導であっても「総合的な指導」や「自主性の尊重」の要素を持つことになるので、これだけ取り出すというのをどういうふうにすればよいのか。本文に合わせて出そうとすると、かなり特定のものになってしまうおそれがあって、そのあたりがもう一方で問題というふうな面もある。

 本文と資料編をリンクさせるかというのは十分研究しないと、読む人にとってみれば、同じようなものが、あっちにもあった、こっちにもあったということになるので、それをきちんと議論してどちらか1つに統一するなら統一するとか何かして、とにかくそれが本文とどうリンクするかというのをうまく構成的には考えたほうがよいかと思う。

 第3ワーキンググループで提案された、小見出しの右に、資料編の参照部分を明記するやり方は非常に有効だと思う。それで全部ぱっと見られると、忙しい先生方も比較的抵抗なく活用していただけるのではないかという気がする。

 指導案のようなものについては、第2WGでは指導内容・方法の実践事例として、第3WGでは研修としての授業研究の材料として、双方で取り上げられているが、置き方としては、壁をつくって第2節の資料、第3節の資料というふうにするのか、それともそのあたりを少し取り払うようなパートもつくっておくのか、何かそういう話も少し検討できないものかと思う。

 本文の方に、矢印で資料編のどこを参照というふうに明記しておけば、まとめる方は、戸棚は1つであってもアクセスが複数できる形になり、仕事の量としては楽になる。これを全部組みかえるというと、しっちゃかめっちゃかになる可能性もある。索引的な感じで本文でやっておけば実際にも使いやすいのではないかと思う。

 6ページの図からいくのであれば、学校の先生方からすると、知識的側面と価値的・態度的側面、技能的側面、それぞれの実践例がどれなんだということが、はっきりしているとよいと思う。

 6ページの図との関連で言えば、実践事例とかアクティビティーとか、教育委員会が示す事例とかを並べていったとき、例えば技能的側面に非常に偏っている事例ばかり集まっていて価値的なところは少ないとか、あまりに偏りがあるとよくないので、全体が集まったところでのバランスも一度見てみないといけないと思う。

 第3節の関係では、この実践例を使って研修をすると、例えば教師側にどういう資質・能力が高まるのか、地域にどういう意識が高まっていくのかというところをもっと枠囲みか何かできちんと書けばいいのかなと思う。

 資料編をつくる際に、いろいろな国際的な文章を入れる云々という議論があったかと思うが、どういうものを入れるのかという議論も、別途また必要かと思う。

 資料やら実践例をつけると急に具体的になり、学校の先生方はそれを参考にして授業を組み立てよう、あるいは学級経営をしようとする。学年とか教科とか時間とかを示せば示するほど非常にマニュアル化してきて、どこのコマに当てはめようかというような、非常に技術的な話になるおそれがある。この調査研究会議全体としては、やはり環境づくりとか集団づくりとかも含めてトータルに人権教育を考えているわけで、型にはめてどこかに落とし込んでいくのではなくて、できるところからやるというのが基本コンセプトだと思う。そういうことを明示的に打ち出すというか、この本はこういうふうに利用してくださいよ、みたいなものを言葉として何かうたっておいた方がよいかとも思う。

(3)今後の作業手順等について

※ 事務局より、資料4に基づき、今後のスケジュール(案)について説明があり、了承された。

─了─

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初等中等教育局児童生徒課