人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第25回) 議事要旨

1.日時

平成18年9月25日(月曜日) 14時~16時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階 「クレール」

3.議題

  1. 「第3次とりまとめ」の方向性について
  2. その他

4.出席者

委員

 福田委員、有村委員、伊藤委員、梅野委員、神野委員、神山委員、小島委員、菅原委員、志水委員、谷口委員、林委員、増田委員、森委員

文部科学省

 塩原児童生徒課課長補佐、他

5.議事要旨

「第3次とりまとめ」の骨子案について

※ 各WGの骨子案についてWGリーダーより、全体骨子の素案について事務局より説明があった後、意見交換がなされた。

○ 例えば、人権教育のための世界計画の第1フェーズの行動計画の文書などは、意識しないといけないと思うが、他方、そうした時限時限の文書を引用した際に、後で古くさいものになるのではないかといった懸念もある。今年5月に文部科学省・警察庁が公表した「児童生徒の規範意識を育むための教師用指導資料」の中でも、非行防止教室等における指導では、「生徒指導または人権教育と適切な連携を図る」などの言及があるが、「第3次とりまとめ」が「最終取りまとめ」になるのだとしら、こうした経過的な文書をどのように組み入れていくべきか。学習指導要領もそうだが、動きがどんどん変わっていくもをどこまで取り込んでいくのか、もう少し普遍的なものだけに限るのか、それとも一番新しいものを組み入れていくのか等ついて、もう少し議論しておいた方がよい。

○ 人権教育のための世界計画については、「第2次とりまとめ」では、「はじめに」の部分で言及している。人権教育をめぐる世界的な流れについては、「はじめに」の中で押さえており、世界計画については、「最終とりまとめ」の際にも、ここで取り上げればよいのではないか。

○ 「第2次とりまとめ」について話を頼まれたときなどは、四角で囲んである部分についてよく質問されることになる。「効果のある学校」とか、「隠れたカリキュラム」などは、必ずしも全体の中心ではないのだが、やはり四角で囲んであると目立つので、ここを説明してくださいとなる。
 四角で囲んだ部分については、そこがポイントであるかのように見えてしまうので、第2次とりまとめに入れた【参考例】などは、少し整理したらどうかと思うと同時に、各ブランチごとに記述内容の全体像をつかむための図のようなものを、入れていったほうがよいのではないかと思う。

○ 第1節の骨子案では、各ブランチごとに概括図を入れているが、これについては、第2節、第3節も共通の方向で考えていくことになるのか。

○ 第2節については、例えば「『体験的な学習』に関する学習サイクル」のように、特定の指導内容・方法についてであれば、図で示すようなこともできると思うが、「1.」、「2.」のレベルで、全体を表す図を描けるかというとかなり難しい。そうした意味でも、概括図については、各節の方針を合わせることにこだわらなくてもよいのではないか。

○ 「第2次とりまとめ」で掲載した学習指導要領の抜粋(「各教科等における指導内容の例」)は、どちらかというと道徳、社会からのものが中心になっているが、このままでいいのか。

○ 国語や音楽なども、人権教育とかなり重要なかかわりがある。学習指導要領の抜粋を載せるのであれば、総合的な方がよいと思う。

○ 国語については、学習指導要領の中に、コミュニケーション力の育成に関する記述があれば、それも抜粋して入れた方がよい。

○ 人権教育に焦点を合わせていくとき、国語の教材内容がいきなり人権にかかわるような場合でなくても、国語の時間の使い方として、その一部を使って、人権感覚にかかわる技能を特化して育てるといったこともできると思う。教科の時間のこうした使い方のヒントを、例えば「参考」や「参考例」として挙げることも必要ではないかと思う。

○ 現在各地で使われている読本を見ると、物語教材が結構多く、物語を通して人権感覚を育てようという取組が随分ある。そういうのものについても、一つの位置づけを持てるようになればよいと思う。
 また、国語科に限った話ではないかもしれないが、テレビをはじめいろいろなメディアが世の中のことをどのように伝えているか、あるいは、自分自身はそこに向けてどう発信するのかといった、メディアリテラシー的な情報メディア教育みたいなことも、国語科の中で十分位置づくのではないかと思う。

○ 事務局案では、第2節の「2.(人権感覚等を育てる指導方法の工夫・改善)」と「3.(児童生徒一人ひとりを大切にする視点に立った指導内容・方法の改善)」の関係がすっきりこない。「2.」と「3.」は、相互に背反的・対立的なものではないので、両者をまとめてしまってもよいのではないか。

○ 教材に関する議論は指導方法の議論の一環としてあるものであるから、教材に関しては1項目を立て記述するよりも、「児童生徒の自主性を尊重した指導」、「発達段階等を踏まえた指導」、「『協力』『参加』『体験』を取り入れた指導」のそれぞれの指導方法の記述の中に、溶け込ませて書いた方がよいのではないか。

○ 「自主性を尊重した指導」等の中のそれぞれに、教材に関する記述を入れるというのはとても難しいと思う。1つの教材の中に、自主性尊重の視点や、発達段階への考慮の視点、協力・参加・体験の視点がどれも入ってくるであろうし、1つの教材をそれぞれの視点で活かすといった示し方で示す方が、現場は使いやすいのではないか。

○ 「第2次とりまとめ」では、第2節の「指導内容の構成」に関し、知的理解と人権感覚という2つの大きな柱を、「ア」と「イ」で説明する一方、「ウ」の「総合的な指導プログラムに基づく指導」の中では、知識と感覚の総合という観点に止まらず、各教科ごとの内容といったものについてまで記述している。
 理念としては、知識と感覚という2つの分け方が非常にわかりやすいのだが、具体的な授業指導や授業計画に関する留意点を語る場合には、今度は、この区分ではなく、教科ごと・活動ごとに述べることになるという、ここのつながりを、どこかで説明する必要があると思う。

○ 「第2次とりまとめ」では、「指導方法の工夫・改善」の項の中で、「学習指導の事例の提示」がなされているが、これは、人権教育だけにかかわる事例の提示ではなくて、各教科等の指導一般において配慮すべきポイントを示したものでもある旨の説明を入れておいた方がよい。各教科・領域のねらいの効果的な達成等には、人権教育推進の視点に立った方法的な配慮が有効であるという、そういう感じでとらえてもらうような書き方にするのがよいのではないか。
 第1節で「各教科等の指導を通じた人権教育の推進」というときに、学習指導要領の中から人権教育の内容にひっかかるところを拾い出してくるだけでは、人権教育が非常に利用主義的なものになるような、そんなにおいがしてくる。
 第2節の指導方法の部分については、全教科・全領域で、人権の視点に立った指導を心がけてほしいということに当然なっているのだと思うが、その点についてはっきりと書いてあるところが1カ所もない。人権教育の視点に立った方法的な配慮が、各教科等のねらいの達成にとっても有効であるという記述を、ここに入れておかないと、教科で人権教育をやるときは生命尊重に関する物語教材をどんどん入れていこういったことになっていきかねず、望ましくない。

○ 第3節では、学校における研修内容に関する事項として、授業研究等に関する記述を入れることになっている。この部分の記述については、授業研究等を行う際の留意点として、各教科等の指導に人権教育の視点を取り入れるべき旨を書けばよいのかと考えていたが、こうした点については、第1節・第2節の中でも記述されるとなると、第3節では何を書けばよいのかということになる。この場合、第3節は、第1、2節の内容を踏まえて授業研究をしましょうというだけで終わってしまうような気もするが、このあたりの関連性はどうなるのか。第1、2節と、第3節とで違う役割があるのだとしたら、どこにあるのか、理解したいと思っている。

○ 各節の間の記述の重複については、事前にある程度まで調整できればよいが、調整してから書くというのも、またなかなか難しい。ある程度のむだは出るかもしれないが、まずは、各WGで書いてみて、最後に切っていくしかないと思うし、最終的に、若干のダブりは残っても仕方ないかもしれないと思う。

※ 「第3次とりまとめ」の構成については、骨子素案に対し出された意見等を踏まえつつ、各WGごとに具体の執筆作業を進め、その上で、さらに調整することとなった。

今後の進め方について

※ 事務局より、資料6(「第3次とりまとめに向けた作業の進め方(案)」)に基づき、今後の作業の進め方案について説明があり、了承された。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課