人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第24回) 議事録

1.日時

平成18年7月25日(火曜日) 10時~12時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 2階 「芙蓉西の間」

3.議題

  1. 「第3次とりまとめ」の方向性について
  2. 「第3次とりまとめ」に向けた作業手順等について
  3. その他

4.出席者

委員

 福田委員、有村委員、梅野委員、神野委員、神山委員、小島委員、菅原委員、谷口委員、林委員、増田委員、森委員

文部科学省

 塩原児童生徒課課長補佐、他

5.議事録

W・Gの割り振りについて

 ※ 「W・Gの割り振り」の「改訂」に関し、事務局より、前回会議での議論を踏まえた見直し案についての説明があり、了承された。

「第3次とりまとめ」に向けた作業の進め方について

 ※ 「第3次とりまとめ」に向けた作業の進め方について、事務局より「進め方」(案)の説明があり、了承された。

個別人権課題の取扱いについて

 ※ 個別人権課題の取扱いについて、事務局より案の説明があった後、意見交換がなされた。

 個別人権課題の取り扱いについては、基本的には第3ワーキングで扱うことでよい。

 個別人権課題の扱い方については、第2章とは切り離し、独立した形で取り扱うことでよい。

 「第3次とりまとめ」で取り上げる個別課題の範囲については、「その他」分野の内容については、時局的に流動的なところがあるので、これを取り扱うことは見送るとしても、「その他」分野を除く11分野については、一定取り扱うものとし、基本的には漏れなく取り扱うのがよいと考えている。

 人権感覚なり知的理解を進めるときに、個別課題が登場する場合があるということだと思うが、現代の日本において公式に取り上げられている12の人権課題のすべてか、そのまま、子どもを対象とした人権教育で取り上げられるべき課題になるとは限らないと思う。両者は、少し区別しておいたほうがいいのではないか。

 学校教育の中で個別人権課題を取り上げていく際には、様々な人権課題のうち、どの課題から人権教育に迫るべきかということを、各学校ごとに、自校の実態と特色を踏まえて考えていくことが大切である。第3次とりまとめでは、こうしたことを発信していく方がいいのではないか。バランスよく何でもやると人権教育の窓口が広過ぎて、学校の特色に合った取り組みができないのではないか。

 個別の人権課題を取り上げて実践資料をまとめる以上、全体のバランスを考える必要がある。抜けた課題があったり、極端に掲載事例が多い課題があるということになっては、おかしい。

 12課題については、政府がその解決に向けた取組みの成果を国連に報告する、報告対象ともなっているが、だからといって、直ちに12課題を教えなさいというような位置付けになるのかどうかというあたりについては、確認をとっておいてもいいのではないか。

 地域ごとの特色を生かして、実質的に人権実現を可能にするのが全体の目的であるから、それを阻害するようなことは避けなければいけない。

 独立にして11又は12課題の内容を一応カバーする格好にしておいて、各課題に取り組む、そこの自由度を残しながらも、そこにヒントを与えるような書き方にするのがよいのではないか。

 個別人権課題に関する章の位置づけに関して、何のためにその章を置くかということも話し合っておいたほうがいいのではないか。11の課題があることを意識していただきたいとか、そのためには、11課題の全体を見渡せるような資料を置きましょうといったような、11課題全部をやるための章にする考え方もあるが、それよりは、それぞれの地域で行われている個別課題を学習する場合の留意点とか、そのために見ておいてほしい資料とかを紹介するといったような、そういう位置付けの章としてまとめることもできるのではないか。

 「その他」分野に関して、同性愛者もしくは性的マイノリティーにかかわるようなものを入れる可能性はあるぐらいの含みを残しておいていただいて、あとは第3WGにお任せいただくぐらいにしてもらえるとありがたい。

 差別・人権のことを考えていくときに、個人の意識とか行為レベルでのとらえ方と、それから差別や人権侵害を許容するシステムに対する視点を持って、それを許さないシステムづくりをどうするかという視点の2つがあると思う。この個別の人権課題については、許容するシステムを阻止する人権システムがここまで進んでいるんだということを示すという意味で、客観資料、法令であるとかいうものが載っているというレベルのほうが誤解がないように思う。あまり個別の人権課題への取り組みの実践例をここの資料の部分に載せるということは避けたほうがいい。

 とりまとめ方については、既存の法令等資料の掲載を基本とするが、単に資料を載せるだけというわけもいかないので、掲載についての基本的な考え方や、指導するに当たっての留意点とかいうのを、補足的に記載するというやり方を考えている。

 個別人権課題に関する資料に関しては、その活用のあり方については言及する必要はあるが、あとは、当該資料に書かれてある基本的な考えとか留意点を解説するコメントを、それぞれの資料に付すくらいの形でいいのではないか。

 資料編で扱う場合においても、全体の関連の中でこの資料がどういう位置づけを実際持っているのかということを、まず文章化しなければならないし、それが2章の1節とか2節にも生かされるような流れの中で位置付けをしなければならない。

 個別人権課題については、既存のオーソライズ済み資料を掲載するだけにしたとしても、なぜその資料(だけ)を入れるのかということを、一般的意義も含めて説明できるようにしておかなければならない。また、そのような資料の取り上げ方についての考え方等を、本文中に規定していくべきかどうかも、判断になる。

 個別人権課題ということについては、第3WGでは、基本的に条約とか法令、政府決定、審議会の答申、意識調査等を資料編(実践編)で扱う形にしたいと考えているが、第3W・G以外のW・Gで個別の人権課題を扱わざるを得ない状況になった場合に、任意の資料を使われるのはきついと思う。そのような場合であっても、例えば、都道府県の教育委員会が紹介しているような資料から引用するといったような一定の基準を決めて、取り入れていくことがいいのではないか。

 第1、2のW・Gで、個別課題に全く触れないで書くことは難しいだろうというのは予想できる。普遍的アプローチをしなければ、個別課題も根本的には解決しないだろうというのが基本的な考え方であるので、一般化して書ける部分もあるし、ある場合には個別課題にかかわって出てくる場合もある。しかし、それもある個別課題にかかわるだけの問題ではないということを強調していかないと、現場の先生のほんとうのプラスにならないという面がある。
 こうした面も踏まえつつ、基本的には第2次とりまとめで「参考」とか「参考例」として挙げたものを膨らませたり、イメージ化したりという方向で進めるべきではないだろうか。これを確認しておけば、第1、第2の具体的な作業の場合にも、基本方針として共有できるのではないか。

 第1ワーキング、第2ワーキングにかかわるところでは、「参考」ないし「参考例」を中心にしながら、個別人権課題にかかわるものをどうしても入れるべきであるということであれば、拒否するものではないが、最終的には全体との調整ということもあり得るということだろう。

 個別人権課題については独立の章で扱う。取り上げる課題の範囲は11又は12分野、それから扱い方としては、基本的には資料として、それに説明を加えてという形態になる。

都道府県の指導資料等の収集について

 都道府県レベルの指導資料等を悉皆調査的に集めて、第3次とりまとめのリソースとしたい。

 第2次とりまとめを普及させることをかなり意識してつくられた冊子が都道府県レベルにもあるが、一方、独自に各都道府県内で人権教育を広げるために、それぞれの都道府県内の実践事例だとかをもとにつくったような資料もある。こうした県独自の資料を、参考に使うのもいいのではないか。各都道府県内の実践事例も基にしたという両方の面で、資料を集めるというふうにしたほうがいいのではないか。

 個別人権課題に関する参考資料に関して、全国規模、いわゆる国としてどういうふうに取り上げるかというのは、非常によく議論しないと難しい。

 資料を整理する上でそのまま使えるかどうかはいろいろ議論をすればいいと思う。

 第3WGのみに限定するのではなく、第2・第1WGでも、都道府県で作った資料というのは大いに使えるのではないか。

 事務局には、ここ3年か5年以内のもので構わないので、都道府県に依頼して、都道府県が出している個別人権課題を扱った啓発資料などを提供してもらい、収集してただきたい。

 ※ 事務局にて、各都道府県の作成した指導資料等を収集することとなった。

その他

 一般理念のところをもっとわかっていただくためには、もうちょっと「参考」なり「参考例」を挙げる必要がある。

 実践事例については、「第2次とりまとめ」でも、「参考」とか「参考例」という形で、綿密に分析して、かなり精選して挙げていただいているので、「第3次取りまとめ」の実践編についても、基本的には、すでに挙げられている「参考」なり「参考例」を主にして、これに肉付けしたり、一部足りないものを補ったりする形でまとめるのがよい。

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初等中等教育局児童生徒課