人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第40回) 議事要旨

1.日時

平成23年2月22日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館7階「7階第1会議室」

3.議題

  1. 人権教育先進校視察の報告
  2. 人権教育に関する先進的な実践事例について
  3. その他

4.出席者

委員

福田委員、有村委員、梅野委員、神野委員、金子委員、桒原委員、谷口委員、林委員、平沢委員

文部科学省

永井視学官、太田視学官、三好視学官、磯谷児童生徒課長、大月児童生徒課課長補佐、小林指導調査係長 他

5.議事要旨

[○:委員、●:事務局]

 ※ 事務局より、人権教育先進校視察について報告があり、意見交換を行う。その後、先進事例の収集について議論を行った。

【人権教育先進校視察の報告】

<A小学校>

● 低学年における学力の基礎づくりを行い、『仲間』『学び』『出会い』を切り口にしての授業づくりや、各教科・各領域の日常の授業づくりにおいて、人権が尊重される授業づくりの視点『自己存在感をもたせる支援を工夫する』『自己選択・自己決定の場を工夫して設定する』を意識した学習活動を行うことを通して、コミュニケーション能力の育成・自尊感情の高揚を図っていた。

○ 人権教育で求める学力の保障を丁寧に行い、子供の学ぶ意欲、学ぶ権利を保障している教育実践を見ることができた。

○ 学力格差の要因の一つとして、就学前の体験の質と量の格差と仮説し、入門期にその欠落体験を補ってスタートをそろえるという取り組みを大切にしていた。これまでの同和教育の実践の歴史を踏まえた取り組みを見せていただいた。

<B中学校>

● 人権教育を土台に学校づくりを進めており、地域の資源を活用して、地域と一体となって学校文化の構築に努めているというところが非常に印象的であった。

○ 小学校の経験のある校長先生が、子供たちの発達の中での人権保障を具体的に実践されており、先生方の意気込みを学ばせていただいた。

<C小学校>

● 生活科や総合的な学習の時間における人権学習についても、年間の学習計画、指導計画がつくられ、思考力や実践力を養うような取り組みがされ、保護者にも積極的に取り組みの内容を公開していた。また、教職員の研修では、男女平等教育、特別支援教育、同和教育、外国人教育の四つの課題に焦点を当てていた。

○ 担任の先生の子供理解、子供との関係の深さが授業の場面の中でうかがえた。

○ 毎月1日を心の日とし道徳の時間を活用。入り口近くの掲示板に「心の日」のコーナーを設けていることで、児童、教師、保護者にも人権感覚を大切にしていこうというきっかけになる。こうした工夫が子供たちへの安心感、教師も含めた学校運営の安定につながり、極端に突出した事件が起きにくくなる予防的な働きがあると思う。これは比較的コストのかからない工夫なので、多くの学校で導入していただければ有り難いと思いながら見ていた。

<D中学校>

● 特別支援学級では、いろいろなコミュニケーションツールを使った支援が実践されており、それぞれの特性に合った支援が行われていた。

○ その子の進路をどのように保障していくかという点での視点がしっかり持たれていて中学3年間で生徒が自分の進路に向かって歩んでいけるような取り組みであり、我々が一番目指すところを示してもらえていた。

○ 実態に応じて必然的に人権への配慮が行われていた。第三次とりまとめを受け取った側が、うちの学校でどう取り組むかを学校の実態から出発して実践した成果が出ている学校。

○ 人権の具体的中身というものと、様々な活動を通して学んだものを、いわば概念を定義していく、言語化していくことは、ある程度意識的にやらないといけない。今後の課題である。

 

【人権教育に関する先進的な実践事例について】

○ 第三次とりまとめに即した先進的事例という観点でいくのか、人権教育としてすぐれた、グッド・プラクティスと呼べるような事例を挙げていくのかを議論しても良いのではないか。

○ 継続的に特徴的成果を上げていると思われるものに着目し、一たん整理してみる。それをブロックごとに出し合って、全体としての整理整頓の仕方としてどうか議論すると良い。

○ 組織的な取り組みと切り離れない継続的な特色として蓄積されているというのが大事。

○ 分析の視点というところで一致、共通理解できれば良い。

【まとめ】

・ 先進的な実践事例については、全国5ブロックごとに担当委員を決定し事例を分析。分析案と先進事例の基準を決定し、都道府県教育委員会に照会。分析結果をつけて、都道府県名のみを明らかにし、学校名は公開しないで文部科学省のホームページに公表の予定とする。

・ 事務局から、今後の日程等について説明した後、閉会。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

電話番号:03-5253-4111(代表)