学校等における省エネルギー対策に関する検討会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成30年3月15日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 具体的論点と検討の方向性について
  2. その他

4.出席者

委員

飯塚委員、伊香賀委員、大岡委員、川瀬委員、髙橋委員、高村委員(主査)、鳥本委員、判治委員、山本委員(代理 川上氏)

文部科学省

山下文教施設企画部長、山﨑技術参事官、山川施設企画課長、笠原参事官、渡邉参事官補佐

5.議事要旨

(○:委員、●事務局)

議題1 具体的論点と検討の方向性について

(1)本検討会の対象範囲について
・事務局より資料1に基づき説明
 本検討会における検討の範囲は、管理・運営面を中心とした省エネルギー対策として組織的な省エネ推進方策を検討していただきたい。また、検討する際に想定する対象に関しては、教育委員会の省エネ担当者とし、専門家でない一般事務職員にも活用できるようなものを、今後、手引き及び事例集として作成していきたい。

(2)検討の方向性(案)について
・事務局より資料2に基づき説明
 前回の議論を踏まえて、組織的な省エネルギー推進方策を3つ(省エネルギーPDCAサイクルの推進、管理標準の設定と活用、エネルギー消費原単位の管理)に分類した。この検討の方向性で今後検討会を進めていただきたい。

(3)組織的な省エネルギー推進方策(省エネルギーPDCAサイクルの推進)について
・事務局より資料3-1に基づき説明
 各委員からの事例発表の導入として整理した資料である。教育委員会及び学校は、一般的な省エネルギーPDCAサイクルの推進において、様々な課題を抱えている現状が見られる。

・飯塚委員より資料3-2に基づき事例紹介
 学校数が多く、校種(普通高校、実業高校、商業高校、工業高校、農業高校など)も多様なため、学校毎の省エネの取組を把握できていないのが現状である。良い取組をしている学校の情報等が、教育委員会内で共有ができていない。多種多様な学校があるなかで、教育委員会が一律の目標を設定するのは、県立の学校に対しては困難であると思われる。また、空調に関しては、生徒の健康面を考えると、柔軟な対応を行う必要があると考えている。

・川上氏より資料3-3に基づき事例紹介
 学校現場の多忙化が問題視される中、教育委員会としても学校の事務作業の削減を検討している。そんな中、学校独自の省エネ目標管理という新たな事務負担が増えると、学校から抵抗があるのではないかと懸念している。また、光熱水費の予算執行については、教育委員会が一括で行っており、学校側としては節電へのインセンティブが働きにくい。各学校に配当し、学校毎の予算が決まっていれば、その中でインセンティブが生まれてくるが、現状そのような仕組みにはなっていない。学校のモチベーションをどのようにして上げるかが課題の一つである。

・髙橋委員より資料3-4に基づき事例紹介
 省エネに関する取組については事務局を区長部局が担っていることから、教育委員会及び学校の当事者意識が低くなっている現状がある。また、学校への情報提供や支援を区長部局の環境政策課で行っているため、学校の実態に即した情報提供ができていない。

・鳥本委員より資料3-5に基づき事例紹介
 学校における省エネの課題としては、マネジメントの体制が弱い、課題意識が薄い、省エネに対する知識や理解が不足しているという3点が挙げられる。全国公立小中学校事務職員研究会で把握している学校における省エネ事例としては、省エネをすることで予算に還元する取組事例がある。

・委員による事例紹介の後、以下のような意見があった。
○エネルギー消費の実績としては、地域開放等も含んだ実績で把握をしているのか。また、地域開放に学校施設を用いた場合に、エネルギーを別カウントしているような事例はあるのか。
→○我々の自治体では、エネルギー消費の実績を地域開放等含んだエネルギー量で把握している。地域開放のエネルギーを別計上するには、エネルギーマネジメントシステムなどを導入しないと難しいのではないか。

○人手を掛けないという点においては、近年では、計器が手に入りやすくなっているので、エネルギーの分割管理は、自動記録できるようにすることも有効ではないか。

○地域開放分のエネルギー消費量を分けて考えないと、場合によっては地域開放が制限されてしまうことも懸念される。

○省エネをコストに絡めることが、インセンティブに繋がるのではないか。また、機器をより効率的なものに変えて運用費(ランニングコスト)を減らすことによるインセンティブは、基本的に学校には働かないと考えて良いのか。
→○我々の自治体では、機器を省エネ型に変更するのは、学校側の要望ではなく、教育委員会側の計画により行っている。なお、体育館等をLED化すると非常に省エネ効果も高く、経費の節減効果も大きいことは認識している。また、光熱水費の予算執行については、学校毎に行っているため、学校自身でエネルギー使用量、光熱水費を把握できる。しかしながら、インセンティブに繋がるような仕組みはない。

(4)組織的な省エネルギー推進方策(管理標準の設定と活用)について
・事務局より資料4-1に基づき説明
 省エネ法では、管理標準の設定及び、それに基づく管理が求められており、学校の設備においても、管理標準の設定項目が示されている。一般的に公表されている管理標準の参考例は、専門的な内容が多く含まれているため、一般の事務職員及び学校の教職員には難しい内容であると思われる。

・飯塚委員より資料4-2に基づき事例紹介
 平成22年度に各教育関連施設、23年度に各学校に設定を依頼して、教育委員会が作成したひな形を基に管理標準を設定した。管理標準の運用については、遵守状況チェックリストにより各学校の状況を把握している。課題としては、管理標準の運用状況は学校毎に意識の差が大きいことである。また、管理標準の設定及び運用は、学校事務職員が行っているが、事務職員以外は管理標準の存在自体を認識していない。

・川上氏より資料4-3に基づき事例紹介
 学校独自の管理標準はないが、それに準じるものとして地球温暖化対策実行計画に基づき省エネに取り組んでいる。目標の達成状況については、報告書を各学校に作成してもらい、首長部局の環境部に提出し、確認している。また、年2回環境行動チェックを実施しており、独自に目標を設定して、その達成度合いについて点検をしている。ただし、報告義務はなく、職員一人一人の気付きと意識啓発を促す目的で行われている。環境行動チェックの結果を学校へのフィードバックできていないことが、課題である。

・髙橋委員より資料4-4に基づき事例紹介
 管理標準の作成については、平成23年度から25年度までの3年を掛けて、全ての施設に対して行ったが、管理標準が周知されていないという状況があった。そのため、平成26年度からは、管理標準のひな形を基に、各学校のエネルギー管理担当者が管理の基準を自ら考えながら記入してもらう方針に変更した。課題としては、管理標準に基づいた運用状況の把握ができていないこと、及び管理標準の存在が教職員に知られていないことである。このような状況を鑑み、管理標準を見なくても、その中の大切な情報をいつでも目にできるように工夫(設定温度を各教室に掲示する等)を行っている。

・委員による事例紹介の後、以下のような意見があった。
○設備管理会社に管理を外注するような場合もあるのか。また、その場合何校かまとめて設備管理を外注する場合もあるのか。
→○ボイラーを使用している学校では、管理を外注していると思われる。現状、我々の自治体では冷房機器としては、ビル用マルチエアコンを導入しているため、管理を外注していない。また、空調等の保守点検は、全て業者に委託している。

○管理標準は、学校で予算を扱っている場合と、扱っていない場合によって文言が変わってくるのではないか。また、省エネだけを考えた管理標準を作ると、空気環境を悪化させる可能性があるのではないか。全国の保健所の立ち入り検査結果によると、平成8年度は学校のCO2濃度の不適率が10%だったが、平成27年度は37%になっている。この結果は、省エネに関係している可能性があるため、CO2の項目を管理標準に入れておく必要があると思われる。
○我々の管理標準には、CO2濃度の記述はある。また、全熱交換器についての適切な使用方法がユーザーに周知されていない状況も見受けられるので、管理標準などを使いながら周知していきたい。

○事例紹介のあった管理標準は、児童生徒の健康を考慮した温度の設定をしており、感心した。特に教室の夏、冬の温熱環境及び空気環境については、注視しないと、学習環境の悪化に繋がる。

○事例紹介のあった管理標準は、非常に分かりやすいと思うが、現場の教員の方には、更に簡単にしたものがあった方がいいと思われる。全体を管理する人は、管理標準で管理をし、教職員には、更にかみ砕いたものがあった方がよい。

○管理標準自体は、日頃目に付かないので、この中から大切なものを抽出して張り出しておくことが必要であると思われる。学校側からも、同意見が挙げられている。また、温度設定に関しては、そもそも現状の温度が分からないという話もあるので、温度計を各教室に設置することも必要だと感じている。

(5)組織的な省エネルギー推進方策(学校等のエネルギー消費原単位管理)について
・事務局より資料5-1に基づき説明
 原単位管理とは、エネルギー消費効率を知るための指標である。省エネルギーとは、エネルギー量の削減を求めるものではなく、エネルギー効率を上げることの理解が必要である。教育委員会における原単位の設定状況を見ると、様々な業務形態、運用形態がある中で、一律で延床面積に設定しているところが多い。延床面積以外にも省エネ努力の成果を適切に評価できるような指標の項目を、幅広に情報提供いただきながら、学校に適したエネルギー消費原単位の設定が、どのようなものかについて御議論いただきたい。

・判治委員より資料5-2に基づき事例紹介
 大学は約90%、病院(一般病院、大学病院含む)は約85%が原単位に延床面積を採用している。以前、原単位の変化要因にどのようなものがあるのかを、製造分野及び業務分野において整理したが、学校においても、変化要因を整理することが重要と考えている。
 原単位管理には、まずエネルギーの使用実態を把握することが大事であり、複雑な原単位計算式にしてしまうと、原単位の変化要因が不明瞭になるため、できるだけシンプルな方が管理しやすい印象を持っている。

・委員による事例紹介の後、以下のような意見があった。
○学校内の特殊要因(給食室、屋外運動場の照明、体育館など)を外した上で、分析することも必要であると思われる。

○定期報告書の特定第3表(特定事業者全体としての原単位の報告)では、様々な事業が展開されている場合には、業種毎に区分けをして原単位を設定できるので、それを有効に活用することも必要であると思われる。

○原単位を考えるときには、エネルギー消費の内訳が分かるデータがあれば、分析がしやすくなるのではないか。

○既にある取引メーターレベルでも、ある程度のエネルギー使用分類の識別はできると思われる。 

○現状、学校毎にエネルギーの種類別内訳を整理しているが、電気の使用用途(照明、空調等)の分別は難しいと思われる。

・高村主査より、本日の議論を踏まえ、組織的な省エネルギー推進方策を3つ(省エネルギーPDCAサイクルの推進、管理標準の設定と活用、エネルギー消費原単位の管理)の柱で今後検討を進めることについて確認、了承


議題2 その他

・事務局より資料6に基づき今後のスケジュール(案)について説明


お問合せ先

大臣官房文教施設企画部参事官(技術担当)付

エネルギー対策企画係
電話番号:03-5253-4111(内線)2324

(大臣官房文教施設企画部参事官(技術担当)付)