資料2 前回会議(第4回)における主な意見

前回会議(第4回)における主な意見について、資料3-1「検討の方向性・課題の整理に関する中間まとめ」(案)の構成に沿って整理すると以下のとおり。

■「3.国立大学等施設整備をめぐる環境の変化-現行計画策定時からの変化」に係る意見

〇「2.現行5か年計画について」においては、これまで、Strategy、Sustainability、Safetyの3つのSを掲げて、この観点から施設整備を進めてきていると書かれている。「ローマ数字3.国立大学等施設整備をめぐる環境の変化-現行計画策定時からの変化」においても、スタンスを明確にする上で、3つのSのスキームに沿って説明した方が、分かりやすいのではないか。

■「4.基本的な考え方-検討の方向性」に係る意見

(全般)
○我々は日本の財政状況、さらに少子化という現実があって、その中で5か年の計画を立てているが、もっと長期的なスパンで見ないといけない。特に経営に関する人・物・金の3つについては長期的な30年程度のマスタープランが必要であり、建物については特に60年でも考えている。一つ一つ建物を大規模改修や、建て替えしていく検討をするときに考慮しなければいけないのは、人口減少により社会全体としてダウンサイジングのフェーズに入っているということ。それを今のレベルでやるかということも考える必要があるのではないか。
 計画期間については、どんどん環境は変わるので5年ぐらいでサイクルを回すが、その先の30年を見越した中の5年で設計するべき。右肩上がりの社会ではないことを踏まえて検討すべき。
〇Safety、Sustainability、Strategyと3つ章立てをすれば、「1.安全・安心な教育研究環境の基盤の確保」の「(1)耐震対策、防災機能強化、老朽改善整備等の推進」がSafety、「(2)地球環境に配慮したキャンパス形成」がSustainability、「2.国立大学等の機能強化への対応」がStrategyと整理でき、今までの流れからすると分かりやすいのではないか。
〇今回、報告書の中で、「交流」が大きなキーワードになっている。オープンラボや留学生との交流、オープンスペースなども、研究や教育において全て交流を生み出す施設や空間を整備、充実させることが盛んに議論され、我々の議論のイノベーティブなところだと思う。この辺りを、目指すべき方向性のキーワードとして入れると分かりやすいのではないか。
〇建物や空間の整備の際、それを利用する学生あるいは教員に加えて、空間の有効利用を促すファシリテーターのような存在も重要ではないか。つまりオープンスペースがあって、そこに異分野の人たちが数名いても、何かが起こるわけではなく、誰かが何かをしないといけない。

1.安全・安心な教育研究環境の基盤の確保

〇築25年以上で改修を要する老朽施設は全国で「893万平方メートル」、老朽改善整備「約400万平方メートル」は、パーセントではなく絶対値で書かれている。そうすると893万平方メートルが、これから減るのか増えるのか、また5か年計画にこの数字をどのように入れていくのか、半分の400万平方メートルしか対象にしないのかなど、少し分かりにくい。
また、老朽施設の面積に加えて、建物の修繕履歴が合わせて示されると、ベースのデータとして非常に良いと思う。このようなものが積み重なって、単にこれだけあるというのではなくて、これをどうするかを示し、絶対値で表示したことが、もう少し分かるといいと思う。

2.サステイナブル・キャンパスの形成

〇「(2)地球環境に配慮したキャンパス形成」について、地球環境配慮というのは、安全・安心の中に含まれるものなのか。地球環境に配慮することは大きな課題だとは思うが、もっと積極的な意味で、自前で電力を作るような、安全・安心だけではない意味合いもあると思う。
〇お金をどうやって節約するか、あるいはどうやって稼げるキャンパスをつくるかという発想も興味深い。地球環境への配慮と、財源の問題が構成上全く離れたところに書かれていていいのかという問題もあると思うので、構成について再検討が必要ではないか。
〇人口減少、高齢者の増加、あるいは若年者が減少していく中で、日本的な環境に配慮する取組を大学で行って、それを社会に還元していく必要がある。そういったことを踏まえて、地球環境に関して大学や国がどのように取り組むのかを意識して書く必要があるのではないか。
〇地球環境に配慮したキャンパス形成は、一種のUSR(University Social Responsibility)の話であって、ここで財源や費用対効果ということを持ち出すのはいかがか。これは大学の姿勢、あるいは社会に対して我々の責任としての話である。
〇サステイナビリティについて、今までは地球のサステイナビリティだけを考えていたが、日本のサステイナビリティや、特に地方においては地域のサステイナビリティが課題であり、「交流」に限定して考えると、大学と地域との交流を通じてサステイナブルな社会を作っていくことも一つの興味深い視点ではないか。交流のキーワードとして学生の交流、教員の交流だけではなく、地域との交流を大学でも考えていく必要があり、そのための施設や空間の整備も、今後課題になるのではないか。
〇大学の資源を活用して研究の成果の発信していくようなものを加えてはどうか。古い施設を改築などしてうまく利用し、発信することも可能ではないか。また、歴史的な建物なども、大学では保存し、国民に公開したり、そこを使って発信するなど活用していると思う。そのような内容を入れることで、有効にリノベーションが進むのではないか。

3.国立大学等の機能強化への対応

〇諸外国などで留学生や外国人研究者を呼び込む際の大事な視点の一つに、異文化や多文化への対応がある。様々な宗教の留学生が来た場合に、礼拝や、体を清めるためのスペース、あるいは食事などが非常に重要な視点になってくる。
 特に地方にある国立大学の場合、アクセスがなく、恐らくキャンパスの中でそのようなことが必要になるので、何らかの形でそれをカバーできる視点が必要ではないか。
〇国立大学は、技術的にも我が国の最先端で、民間よりも積極的にチャレンジできると思う。これから5年間は随分先の話なので、少ない財政の中でも、最先端技術を使ってエネルギー問題にチャレンジすることや、5年も経てば教育の形態もずいぶん変わると思うので、1年ですごく進むIT技術などの新しいものを取り入れ、国立大学だからチャレンジできるという視点がほしい。

4.計画的な施設整備推進のための方策

〇「3.財源の確保等」については、施設整備を計画的に進めるための方策として整理し、その中の一つとして財源の確保や、トップマネジメントによる施設マネジメントを並べていく方が、構成としては分かりやすいのではないか。
〇保有面積が増え、メンテナンスを行うにあたり、目的積立金の繰り越しなどが大学担当者は気になるので、規制緩和等についても別添などでコメントがあるとありがたい。

■「5.今後の検討、分析の進め方」に係る意見(資料3-2「次期5か年計画の整備の指標、期待される効果等の検討イメージ(案)」)

〇成果指標の検討例に、スペースの増加に関する記載が多くある。これは全てを増やすのではなく、出し入れがあるということだと感じるが、講義室のようにスペースの稼働率も有効に使われているかどうかの目標値や指標と関係してくると思う。稼働率も指標として入ってくるのか。
〇成果というのは、国立大学等の機能強化で言うと、戸数の増加やスペースの増加ではなく、これらの増加により、留学生が増えることや学生が勉強するようになることではないか。
〇目標の設定の仕方などは、階層があると思うが、資料上の成果指標は、アウトカムでなくアウトプットだと思う。大学は概算要求するときに、数を増やせばいいのかと誤解されることを懸念。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)