国立大学等施設の総合的なマネジメントに関する検討会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成25年11月8日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 国立大学等施設の総合的なマネジメントについて
  2. 国立大学等の施設マネジメントの現状について
  3. 検討に際しての論点
  4. その他

4.出席者

委員

佛淵主査,上野委員,小松委員,小山委員,成田委員,古阪委員,水田委員,和田委員,齊藤特別協力者

文部科学省

関文教施設企画部長,長坂技術参事官,山川参事官,阿部監理官,木村計画課課長補佐,中島参事官補佐

5.議事要旨

○主査選出
○事務局より資料について説明
○自由討議

委員:平成14年から今までの国の取組の成果と現在の問題点について,事務局としてどのように認識しているのか。

事務局:トップの考えと実態の認識のずれが見受けられる。国の評価項目がマネジメントの動機付けとなっているようだが,それらが一体となり,経営資源のひとつとして全学的な取組とはなっていないようである。具体的方策の情報提供が必要。

委員:検討会の名称について,名前を変えるのではなく本質的なところを追求すべき。
マネジメントをした結果どうだったか評価がはっきりしていない。評価を行うには具体的な目標が必要であり,この点について議論が必要。
例えば,コストに関して縮減された例はあるのか。

事務局:コストについては必要な予算の取得とコスト縮減の二つの面がある。
 まず,予算の取得については,中長期維持管理計画に基づき必要予算を学内経費から取得し,計画的に保全を実施するという効果例がある。
 また,コスト縮減については,ESCOや包括契約等を行う例など,効果は出ているようである。

委員:省エネについては,導入直後はガクッと下がるが,その後どうするかの方が重要。
 情報管理を行い,情報を基に判断することがマネジメントの基本であるが,その仕組みは施設管理の現場レベルでできているのだろうか。
 大学のトップはもともと先生であったりするので,経営の専門家として経営判断させるのは酷であり,本来はアドバイザーが必要である。
 事務サイドでそういう人材が必要だが,人事異動の関係で難しい。大学では,判断の責任の所在が不明確になっているのが気になっている。

主査:国立大学協会の財務・施設小委員会では,2年くらい前から施設のアウトカム評価の考え方を導入しようということをやった。
 現状として基本情報が執行部まで共有されていないという問題がある。
 施設は教育・研究の基盤であるのに,教育担当理事等にそれらの情報がいっていない。
 そのため,わかりやすいものとしてアウトカム評価が必要。
 大学全体のマネジメントの中で施設をどこに位置づけるかが非常に大事。
 また,アウトプットではなくアウトカムを出してPDCAサイクルを回していかないと,効率的な施設経営にならないのではないか。

委員:国立大学の財務運営の中で前中期目標期間に課題となったのは,支出の平準化である。
 前中期目標期間の国立大学は,資金が不足しないように極端にリスク回避的な財務運営を行っており,単年度予算の弊害を回避するために設けられた中期の経営期間も,単に1年が6年に伸びただけで,期末の駆け込み執行はなくならなかった。
 私立大学を含め,施設の新しさと学生の満足の相関について調査を行ったところ,施設の新しさと満足度は有意な正相関の関係にあった。アウトカムの計測は困難だが,施設に満足して学生がどれだけ生き生きと生活しているかということは,一番わかりやすいアウトカムではないか。

委員:現場は日々の業務で手一杯。どうしたら,現場の方々に大学全体を向いてもらえるのか,この検討会の中で具体的にどうしたらいいのかを考えていく必要があるのではないか。
 経営に根ざした施設マネジメントとするために,大学の方々にやれる方向付けをしてあげないといけないし,実際にそれをやっていくには,学内である程度の経営の権限を持たせる必要がある。(ハーバード大学の例など)

委員:ファシリティマネジメント(FM)は,施設管理の延長で,受け身でやってしまっては楽しくない。FMのデータは,担当者がやったことの説明資料的なデータの蓄積ではなく,経営のためのデータになっていなければいけない。
 学生のため,先生のため,研究のためにFMとして何ができるのかという発想が必要。
 FMは,施設に愛着が必要であり,作業がマニュアル化されていない場合が多いので,担当者次第でレベルが変わってしまうところが問題。
 来年には土木インフラ中心のアセットマネジメントのISO化などがあり,立ち位置によって名称は変わってくるが,ユーザー目線でどれだけ見ることができるかが重要となってくる。
 FM部門から経営層へ分かりやすく(A4 1枚等)説明するようにすることも大切である。

委員:病院は経営と収入が直結しており,毎日の利用者数や稼働率,薬の購入など事細かに分析を行っている。
 これが病院のアウトプットと言えるのかもしれないが,大学のアウトプットは難しいと考える。
 施設系職員は,経営的判断のハード的なアドバイスを求められるが,アカデミックプランに立ち入らないと,有効なアドバイスはできない。
 施設系職員の意識も法人化後大分変わってきており,意識の高い職員もおり,学内のことをいろいろと考えているが,表向きのアピールが下手である。それらをフランクに言える土台を作ってほしい。

委員:これからは,施設は財務・人事と並ぶ権限を持つべきだ。

委員:ヒト・モノ・カネ・時間の配分はこれまで企画・計画や維持管理には余り使われてこなかった。
 企画・計画の一部であるキャンパスマスタープランも,施設担当理事と施設部でしか共有されていないことが多いので,ステークホルダーも含めた大学全体で共有すべきだ。
 そこをサポートする仕組みが必要だが,それには組織を横串的に把握する人材を長いスパンで育てることが重要。
 また,長期修繕計画を立てたとしても,国に対し概算要求をしないと対応ができない現状を,財務的な仕組みでもう少し改善できないか。

委員:財務も建築もわかる人間(ファシリティーマネージャー)の人材育成が,私立国立共通の課題。
 私立大学の施設は生命線。施設が汚いと受験生も来ない。

委員:名称は検討会としてはとりあえずこれでいき,中身をしっかり議論することが大切。
 ファシリティマネジメントなのか,ファシリティ&アセットマネジメントなのか,後で考えればよい。
 欧米では,最近はサスティナビリティという言葉もキーワードとなっており,今後この言葉がいろいろ出てくるのではないか。

委員:国立大学は各法人でありながら予算体系や,基本的な考え方は1つのシステムとして取り扱われる場合もあり,ファシリティマネジメントのような独自の目標を設定しPDCAを回していくのに二の足を踏んでいるのが現状ではないか。
 従来からデータとしてはかなり精緻なものをもっているが,役立つ情報として伝わっていないところが課題。

委員:マネジメントを考える際に基本中の基本が,データを収集,分析し,判断することであり,それがまだ十分できていない現状がある。
 例えば,ベンチマーキング手法を具体的に推進するという目標を決めて,それを推進するために何をすべきかを考え,それができたら次に進む,というように,マネジメントの推進を長期的なプログラムの中で考えっていったらどうか。具体的な目標があった方が,現場は動きやすいのではないか。

委員:ベンチマークは,自分たちの立ち位置を確認し,課題を抽出することが大事。

委員:ベンチマークも含め,施設の情報管理ができていない。財務についてはシステム化が進んだが,施設は進んでいない。情報管理を推進していくことを考えないとマネジメントは進まないのではないか。
   
○今後の予定説明

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大臣官房文教施設企画部参事官付

(大臣官房文教施設企画部参事官付)