参考3 第7回会議以降のワーキンググループにおける主な意見

○ワーキンググループ等の開催状況
・第11回ワーキンググループ( 8月6日(火曜日)18時00分~20時00分)
・第12回ワーキンググループ(10月2日(水曜日)18時00分~20時00分)
・サブワーキンググループ※ (10月15日(火曜日)18時00分~20時00分)
 ※非構造部材グループ、構造グループより主要委員が集まり協議
・7月31日~9月19日に事務局にて関係団体へのヒアリング実施(机上資料参照)
・8月~10月にかけて、各グループにおいてデータ入力作業等実施

 

○主な意見
1.調査全体の進め方
(1)全数調査・分析の進捗について(資料1参照)
非構造グループ、RC造グループ、S造グループと役割分担の上、入力作業を実施。

●(非構造グループ)
・システム天井、音楽室の折れ曲がり天井の被害が多い。一方、RC造の普通の平天井が落ちているのは原因不明。今後、被害のタイプ分け、被害のあった室の位置などを整理。

●(S造グループ)
・協力者会議の委員からは「なぜ落ちたのか」との指摘。スパン等の詳細なデータを整理していく。

 ●(RC造グループ)
・新耐震/旧耐震、震度は非構造部材の被害に大きな影響はなさそう。一方、最上階にある図書室、音楽室の被害が多い。
・時間的制約やデータの不整合等に課題。構造被害が極めて大きい場合は天井等の非構造部材の被害が報告されていない可能性もあり、分析には一定の限界がある。

 

(2)対策手法の検討について
・明らかに危険というものは優先的な対策を要請し、はっきりしないが危険というものは注意喚起する必要。
・対策の優先度・危険性については、「直ちに対策」「老朽改修の際に対策」など、記載の仕方で工夫していくことが可能。
・「このサッシの仕様が危険」、「○○の条件だと危険」など、わかりやすく弱点を示すことができればよい。
・外壁は、少しでも危険なものは撤去する方向で記載してしまうと、ほとんどの建物がダメになってしまうので慎重な検討が必要。
・特定の学校にだけ被害のあったパターンであっても、危険なものについては個別調査・分析を実施する。

 ●(スケジュール)
・10月に個別調査・分析の対象校の設計図書・写真等を収集し、順次分析を開始(サブワーキンググループの開催を検討)。12月には関係自治体への現地調査を実施。
・12月協力者会議までに、全数調査・分析、個別調査・分析について一定の方向性を示す(一部、年度内までに整理)。
・耐震化ガイドブック、耐震対策事例集については、1月以降、検討に着手。

 

2.各部材ごとの検討
(1)校舎
 a.天井
●(段差・折れ曲がり天井の脱落)
・RC造の音楽室など折れ曲がりがある天井が落下しているケースが多く、検討課題。
・音響環境を確保するために天井を設置しているため撤去は困難。RC造の音楽室であれば、天井を吊らずに、折れ曲がりに沿った下地を組むという方法が考えられるが、既存のものは撤去・再設置ということが考えられる。
・技術基準の仕様ルートは段差・折れ曲がりを許容していない。計算しても斜め部材の数は仕様ルートとほとんど変わらず厳しい。
・ここまで対策すれば「落ちないかもしれない」と言える程度にするのか、安全レベルの設定が重要。
・天井材のビス留めが重要。脱落しない留付け方法があるのではないか。

 ●(大空間の天井の脱落)
・校舎にある大規模空間の天井も落下。これは体育館等と同様、特定天井に該当すれば技術基準レベルの対策を求めていけばよいのではないか。
・体育館や武道場ではないが、S造の小規模な建物の天井も落下しており課題(幼稚園の遊戯室や工業高校の実験・演習場など)。技術基準まではいかないが対策が必要な施設と認識。

●(システム天井の脱落)
・システム天井の落下被害が多い。中には、教室、職員室、廊下など、校舎全般にわたって落下しているものもある。
・大規模空間ではなく技術基準と同レベルの対策を求めるのは過剰。また、面積が小さいため、クリアランスを設けず拘束していた方が落下しにくい。

●(天井裏の設備の脱落)

・脱落した暖房設備の定着状況や設備の種類等について確認が必要。特殊仕様だった場合、撤去してしまうことが考えられる。

 

b.窓ガラス
●(はめ殺し窓の破損)
・はめ殺し窓の被害については、硬化性パテ留めであるか確認が必要。その場合、層間変位追従性の確保が必要で、弾性シーリング材を用いた改修が有効。
・弾性シーリングに変えようとしても、必要なクリアランスがとれない場合は枠ごとアルミサッシ等に交換する必要がある。

●(横連窓の窓障子ごとの脱落)
・建物本体が複雑な形状をしているケースで被害が出ており、構造体との関係に着目した分析が必要。
・合わせガラスなどに変更することや、校舎周囲への植栽の配置などフェールセーフが必要と考えられる。

c.外壁

●(ALCパネルの脱落)
・渡り廊下の外壁ALCパネルの脱落。適切なEXP.Jの配置やクリアランスを確保することなどが考えられる。

●(コンクリートの腰壁の傾斜)
・不十分な取付けになっていないか接合部の点検が必要。鉄骨なら錆び等の有無、コンクリートならコーナーや接合部分を点検。ブロックはそれだけで危険と判断できるのではないか。

d.内壁(コンクリートブロック壁の崩壊)
・コンクリートブロック帳壁の崩落は、梁・スラブとの緊結が不十分だった可能性がある。天井を突き抜けて上部のコンクリートブロックが落下した事例もあり注意喚起が必要。新耐震以前で施工されたコンクリートブロックについては梁等と緊結することを指導。
・コンクリートブロックは遮音を目的としてトイレ周辺に設けられていることもあり、今回も被害が出ている。

e.エキスパンションジョイント(EXP.J)
・EXP.J自体は地震時に脱落してしまうもの。一切脱落させない対策は難しい。今回の被害ではEXP.J周辺の天井まで脱落したケースもあり、そこは課題。
・カバーが外れても下まで落下しないようにする工夫は考えられないか。
・既存施設のEXP.Jが正しく設計されていないケースがよくある。復旧も原状回復で不適切なまま復旧されてしまう。
・正しく設計しても施工管理が十分でないこともある(設計でルーズホールを設けても、施工で固定してしまい、対策が無意味になってしまう)。
・耐震診断時にEXP.Jの評価を行っているので、耐震診断結果を見ればEXP.Jの危険性はわかる(SD指標)。一方、S30年代のEXP.Jはカバーなしでクリアランス不十分。対策を取れと言っても難しい。
・外観からは危険性の評価は難しい。Is値との関係を見るべきではないか。

 

(2)屋内運動場

a.窓ガラス
●(はめ殺し窓の破損)
・はめ殺し窓の被害については、硬化性パテ留めであるか確認が必要。その場合、層間変位追従性の確保が必要で、弾性シーリング材を用いた改修が有効。

●(再掲)
・弾性シーリングに変えようとしても、必要なクリアランスがとれない場合は枠ごとアルミサッシ等に交換する必要がある。(再掲)
・体育館周囲への植栽の配置などフェールセーフも有効と考えられる。
●(横連窓のサッシ枠の外れ)
・上層と下層と異なる構造形式で剛性が異なる上、窓が外に突き出しているケースで被害が発生。構造体と一体的に分析した上で対策手法を検討することが必要。

b.外壁(劣化したラスモルタルの脱落)
・取付部が錆びていれば落下する。30年以上経過し老朽化したものは撤去し他の外装材に改修するなどの対策が考えられる。

c.内壁(内壁ボードの脱落)
・妻面上部の内壁ボードの脱落は典型的な被害事例だが、今回の震災ではそれほど多くみられていない。

d.軒天井
・ボードがのっているだけの軒天で脱落被害。軒天への対策は非常に悩ましい。

 

3.屋内運動場等の事例集
・天井メーカーから対策事例の情報を得られるのではないか。
・現在、天井メーカーでは国交省の新基準に適合するように製品開発を進めている。今年度の後半には撤去以外の事例も出てくるのではないか。
・落下防止ネットを設置する場合は、天井材を外さないとネットを固定する支持材を設置できない場合がある。
・防音仕様で天井裏にダクトがあるために補強の斜め部材が設置できない場合がある。防衛省の国庫補助で設置している場合は仕様を変更できないため、軽量天井等の再設置も難しい。
・10月以降、事例掲載対象校の設計図書・写真等を収集するとともに、現地調査を実施。

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大臣官房文教施設企画部施設企画課防災推進室

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