第1回協力者会議における主な指摘事項

【本会議の検討範囲について】

  • 今回の検討は屋内運動場の天井を優先するということだが、照明や壁、エアコン等の設備の落下も被害が報告されている。他の非構造部材も検討対象とすべきではないか。
  • まずは緊急的に屋内運動場の天井を優先して検討し、その後、他の非構造部材についても検討していく進め方としたい。
  • 吊り天井がない体育館でも照明が落下する危険性はあるし、バスケットゴールも金具が外れて落下したりすると、避難所として使用できない状況になる。是非、天井以外の非構造部材についても加えて検討してもらいたい。

【東日本大震災における天井落下被害状況について】

  • 岩手・宮城内陸地震では、見た目では被害がなさそうに見えても内部の吊り材や枠材などが被害を受けていた。天井は見えない部分の被害がある。
  • 栗原市では複数の体育館で天井材が全面的に崩落した。復旧方法については、天井材を張り直しても再び落下する危険性があると判断し、全面撤去した。また、市役所の議場の天井落下への対策として軽量素材となるガラス繊維幕工法を採用。
  • 今回の被害では、振れ止めをつけていても被害が生じたものがあった。対策の方法が間違っていたのか、想像以上に揺れたのか、原因は不明。
  • 3分の1の天井が落下した施設で、そのまま放置していたらもう3分の1の天井が落下した例がある。被災後に確実に使用できる状況なのか、天井の対策状況について緊急点検することも考えるべき。
  • 今回の震災の被害状況をみると、天井だけが落下しているものもあれば、照明だけが落下しているもの、設備と天井の取り合い部で天井が落下しているもの、様々。

【天井材の必要性について】

  • 映画館や音楽ホールのように学校施設にも天井材は必要か。天井材を設けると、固有の周期が発生し地震の影響を受けてしまう。果たして学校施設に天井が必要か検討すべき。撤去以外にも天井膜や蓄光膜など(軽量な材料)を使うという視点もある。
  • 多くの学校で天井を設けている地域と、そうでない地域があり、地域差がある。
  • 天井について「ないものは落ちない」。安全性を考えた時に、学校施設に天井は必要か。

【点検・対策の実施主体について】

  • 耐震点検の実施主体が曖昧。点検未実施の理由として緊急性が低いなどの理由が挙げられているが、そもそも意識が十分でないのではないか。文部科学省からガイドブックや様々な資料がきても、教育委員会が当事者として受け止めていないのではないか。
  • 点検・対策の主体が誰で何をするのかが大事。点検しているのが学校の教職員だったり専門家だったり様々。誰がどんな点検をするのかをしっかりと整理すべき。

【天井落下の危険性の判断等について】

  • 天井だけでなく、天井の裏に隠れている構造も含めて、現行の性能は無被害に留める設計・診断ではなく、多少の被害は許容されたもの。天井を施工する元の部分の性能がどうなのか、天井だけでなく内側の構造部分も含めて検討する必要があるのではないか。
  • 震災で被害を受けていた施設の中には安全対策を施していた施設もある。対策の信頼性が低かった被害事例もあり、どんな診断方法が有効なのか、限定的に見直すことも必要なのではないかと思う。
  • これまでは構造設計事務所、天井メーカーのいずれも天井の耐震チェックを行ってこなかった。誰が責任をもってこの施設は耐震性がある施設だと判断するか、明確にしていくことが大切。
  • 構造体に関するIs値のような天井向けの指標をつくり、危ないものから補強するという流れになればよいが、メカニズムがわかっていないことが問題。

【屋内運動場等の天井等に関する実態調査について】

  • 設置者、現場の技術者に、実態としてどんな対策が可能か、工法としてどんなアイデアがありうるか、現場のアイデアを吸い上げてみてはどうか。
  • 吊り天井だけでなく直天井も含めた調査にした方がよい。
  • 日頃から天井の点検を十分に実施し対策を講じていたため落下しなかった例を集められないか。被害のあった事例は集まるが、大丈夫だったデータは少ない。
  • 点検して対策を講じていたのに落ちた例もあれば、危ないと思っていたのに落ちていないという例もあり理由がわからない。大丈夫だった例は少ないと感じている。

【今後の被害状況の分析について】 

  • 体育館だけでなく校舎も含め、全体の非構造部材の調査にしてしまってはどうか。どこでどのような被害があったのかという情報も広く集めるような調査も実施できればよい。
  • 学会の調査で体育館を担当したが、構造被害は多数みられるものの、天井が吊られていた件数は少なく、調査対象としてカバーできているものは限られている。また、被害状況についても目視による調査にとどまっており、詳細なものをあらためて調べないといけない。照明器具やバスケットゴール等の被害状況は広く浅くだが情報はある。すでに各種調査で調べているものを取り込んでいく必要がある。

【非構造部材の点検・対策への支援について】 

  • 地方自治体においては建築専門家が不足しており点検等は外部の業者に委託している状況。また、全施設の点検調査・対策を検討するには多大な事業費が課題。これまで以上に国や県等の技術支援や補助制度の拡大が必要。
  • 学校に校医が必ずいるように、建築についても校医が配置され専門家によるバックアップができるとよい。

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