学校ゼロエネルギー化推進方策検討委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成24年3月16日(金曜日)17時00分~18時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 文部科学省庁舎東館13階13F1、F2会議室

3.議題

  1. シミュレーションの検討状況について 等

4.議事録

学校ゼロエネルギー化推進方策検討委員会(第2回)議事録

【事務局】 それでは、定刻の時間となりましたので、ただいまから学校ゼロエネルギー化推進方策検討委員会の第2回を始めさせていただきます。
 なお、本日の会議時間は17時から18時半ということでさせていただいておりましたけれども、ご議論いただく時間につきましては十分とりたいというふうに考えております。そのため若干の時間の延長も考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の議事次第をごらんください。議事次第のほうに資料一覧というものがございます。本日の配付資料はそちらに書かせていただいております4点でございます。
 資料1、シミュレーションの検討状況ということで、A4判のものでございます。検討状況の報告につきましては、ページ数で行きますと16ページまでとなっておりまして、その次に別紙1、建築・設備の標準仕様・標準運用条件というものがついております。その次に別紙2というもので、ゼロエネ化の検討における建物断面構成を7枚物でつけております。7ページまでのものでございます。資料2でございます。報告書骨子案。こちらにつきましては、A41枚物と、あとそれに補足説明資料ということで、6枚ぐらいのものをつけさせていただいております。それから、資料3でございます。今後のスケジュール案ということで、A41枚物でございます。それから、参考資料ということで、前回、第1回の議事録、こちらはA4で両面印刷のものをつけさせていただいておるところでございます。あと、最後に机上配付という形で、お手元の机の上に東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について緊急提言というものの冊子。それから、自然の恵みを活用したエコスクールというパンフレット。それから、環境教育に活用できる学校づくり実践事例集という冊子を配付させていただいております。欠落等ございましたら、事務局までお申し出ください。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、議事に入らせていただきます。議事運営を委員長、よろしくお願いいたします。

【委員長】 委員の皆様、年度末のお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 それでは、議事次第に従いまして進めさせていただきます。今日のお手元の議事次第にございますように、3つ議事がございます。最初がシミュレーション検討状況、2つ目が報告書骨子案、3つ目が今後のスケジュール案です。この順番で説明して、それぞれの議事について皆様からご意見を承りたいと思います。
 それでは、資料1、シミュレーションの検討状況についてご説明お願いします。

【○○委員】 それでは、資料1につきまして、作業として少し担当させていただきましたので、前半を私のほうから、後半のほうを○○委員のほうからご説明いただきたいと思います。
 資料1、タイトルにゼロエネルギー化の可能性に関するシミュレーション検討と書いておりまして、初めの1ポツの目的のところを読ませていただきます。学校施設(主に小中学校を対象)を対象にゼロエネルギー化の実現可能性について、シミュレーションにより検討を行うとともに、その実現方法と建築・設備計画のあり方について解説を行い、今後の新築、改築、改修設計等に対するあるべき方向性について検討を行うということで、その途中経過としまして、今の段階でできている状況を本日は報告させていただきたいと思います。
 2ポツに、学校施設のエネルギー消費に係る特徴とございまして、これは前回もご説明させていただいたんですが、まず、利用上の特徴としまして、使用時間が他の業務用施設に比べて少し短い。冷房の期間が、児童・生徒が夏休み期間をとるというようなこともあり短い。3番として、児童・生徒の移動に伴い、室の使用時間が多様である。4のスポーツ施設を有する。5の利用者側に設備の技術専門家が少ない場合が多いというようなことがございます。
 また、2)建築的特徴としては、低層建築である場合が多い。延べ床面積に対する窓面積の比率が高い。空間的な連続性が高い。天井が高いなどの特徴がございます。また、3)にエネルギー消費構造上の特徴と書かせていただきまして、その下に図がついてございますが、照明の比率、年間でのエネルギー消費量の内訳を示したものですが、暖房と照明の割合が非常に大きいというのが、特に小中学校の建築におけるエネルギー消費の特徴というふうになってございます。
 次のページ、2ページ目のほうに説明を行かせていただきます。今回の委員会はゼロエネルギー化の推進検討ということですので、単純に計算してということの前に、ゼロエネルギー化を検討する上でどのような手順で考えていくべきかということを少し整理させていただきました。初めに、ゼロエネルギー化の考え方で、一般的な考え方を少し整理させていただきました。建築物のゼロエネルギー化を推進するためには、ここにステップ1からステップ4というような考え方を我々はしておりまして、徹底的にゼロを達成するためには、特にこの1から4までをすべて実行していくということがおおむね必要になると考えてございます。また、ここで、ここの委員会といいますか、私がこの資料の中でゼロエネルギーをどう考えるかということに関しては、(1)の一般的な考え方の2行目の最後のほうから書かせていただいておりますけれども、消費する一次エネルギー消費量と創出するエネルギーの一次エネルギー換算量の差し引きがゼロ以下であるというのを、ここではゼロエネルギーとさせていただいております。
 また、今申し上げましたゼロエネルギー化を達成するための考え方としては、まずステップ1としまして、パッシブ手法による負荷を抑制するということで、まずは設備的なものですとか、機械的なものに頼る前に、建築的にできること。あとは自然エネルギーを取り入れるということ。あとは室内環境の制御です。室内環境を適正に制御する。室内環境を適正に設定するというようなことが、まず第一にあるのではないかと考えてございます。
 続いてステップ2としまして、アクティブ技術による省エネルギーということで、下の図を見ていただきますと、青の丸のところになりますが、未利用エネルギー等の、その立地条件等に従って、使える未利用のエネルギーを使う努力をする。また、ステップ1で最小化しました負荷をできるだけ効率的に処理するということで、照明にしても、冷暖房にしても、換気にしても、できるだけ高効率な設備を導入していくということが次のステップになるかと思います。
 ステップ1で最小化させ、ステップ2でできるだけ効率的に処理したエネルギーを次のステップ3において、創エネルギー、蓄エネルギーによるゼロエネルギー化ということで、ここで言うと、太陽光発電などが主な技術になるんですが、それによる創出されるエネルギーによってゼロまで持っていく。それが建築的に達成できるかどうかということをここでは検討したいと思っております。
 また、最後にステップ4というのがございますが、このように、設備が適切に導入されても運用の段階でそれが適切にマネジメントされなければ、実態としてわからない。実際にゼロが達成できたとしても、本当にそれが適切かどうかみたいなことをきちんと検証していくということが、ゼロエネルギーを担保するということには必要であろうということで、ここでは1から4までという4段階で書かせていただいております。
 ステップ4のところに少し文章でも書かせていただいておりますが、最後の2行目の最後のほうから、様々な見える化手法ということで、今までは学校に太陽光発電が入った場合とかは、その発電量がモニターで見えるというようなことも非常に多くの場面で取り入れられているんですが、ゼロエネルギー化を今後達成するような学校ができる場合には、消費のエネルギーがどうで、創出されているエネルギーがどうで、今学校全体としてはどうだみたいな、そのような見える化があると、非常に児童・生徒もわかりやすい。そういうような見える化というのもあるのではないかと考えてございます。
 続いて、3ページ目のほうになりますが、この一般論を、では学校側で考えるときにどう考えるべきかということを少し整理させていただきました。(2)、学校施設におけるゼロエネルギー化実現の考え方ということで、大きくは2つの視点で整理しております。1番が、学校の平均的なエネルギー使用現状から重点対象を決定するということです。先ほど1ページ目の円グラフでご説明いたしましたとおり、学校の場合には照明と暖房が非常に大きいというような特徴がございますので、重点的にとらえる項目としては、やはり照明と暖冷房だろう。さらにできることをできるだけやっていくということが重要であると思っております。
 また、2番としまして、何でもかんでもやればいいというわけではありませんので、やはり経済性に配慮した対策により、現状のエネルギー消費を最大50%程度減らすということを目指して、技術項目の選択をしてケーススタディをしようという視点で、今回の検討を行ってございます。
 今の1と2の考え方を取り入れまして、3ページ目の後段の2)の以下にケーススタディの考え方を少し説明させていただいてございます。今回ケーススタディとしましては、四角枠で囲われておりますところに書いてございますが、ケース1としまして、まず、標準的なケースというものを考えています。この標準というのは、2000年以降程度の標準的な建築・設備仕様のものをここでは標準と考えてございます。また、ケース2としましては、標準努力ケースということで、今後の施設整備において標準的に導入を推進するような建築・設備仕様。すなわち先ほど経済性にも配慮するという話をいたしましたが、環境技術の中には、光熱水費の削減などにより、期間で見たときにはペイバックする技術というのもたくさんございます。そういうものはもう標準的にどんどん入れていって、できるだけ環境配慮を図るというような視点で、このケース2の標準努力ケースというのは、既に技術的に成熟しておりまして、経済的にも得になるようなものはケース2にどんどん入れるという考え方です。また、ケース3の最大努力ケースというのは、そのケース2を少し超えて、ゼロエネルギー化を実現するための建築・設備仕様ということで今回は考えさせていただきました。
 4ページ目にその各ケースに従った今回の検討ケースの中身について書かせていただいてございます。一番左の列に、構造、地域、空調方式ということがまず書いておりまして、今回検討のケースとしては、一番初めの構造として、RC造の学校と木造の学校。また、地域としては温暖地に建つ学校と寒冷地に建つ学校ということで、大きく4ケース計算の検討をしようと思ってございます。今回は、RC造の温暖地と寒冷地の計算結果をまずお示しさせていただきます。
 続いて、その下の段に、標準ケース、標準努力ケース、最大努力ケースというようなことを書かせていただいておりまして、さらに建築・設備としてどのような対策をしたかということが省エネの項目と再エネの項目とで分けて書かせていただいております。先ほどご説明いたしましたとおり、標準努力ケースとしては、経済的にも十分ペイバックできそうなものをできる限り入れているということで、建築に関しては高断熱化、開口部の複層化、日射遮へい材の採用。あとは、学校の場合は移動中に屋外に出るような空間がございますので、そういう空間と室内の機密性を向上させるという視点です。それを書かせていただいています。また、設備としては、暖冷房、高効率の熱源機器の採用ですとか、全熱交換器の採用。照明ですと、高効率照明器具や初期照度補正等のセンサー制御を入れるというような設定にしています。また、太陽光発電に関しては、現状太陽光発電が導入されている学校程度の20キロワットというのを想定として入れさせていただいております。
 また、最大努力ケースとしては、それらの設備的な対策を超えて、建築の場合は、自然換気を誘発する建築計画や昼光を取り入れやすい開口計画というようなことを書かせていただいておりまして、暖冷房の設備としても、少しコスト的にかかるような内容を書かせていただいてございます。
 また、防災対応については後ほどご説明もありますが、ここでは事例を少し書かせていただいておりまして、これらと組み合わせて防災対応として、ここに書かせていただいているようなものを組み合わせるというようなことが考えられるというふうに思ってございます。
 5ページ目のところから、今回行った計算結果の概要をご説明させていただいております。初めに(1)で試算結果(RC造の場合)ということで書かせていただいておりまして、その下の図3.2に、左側が東京地域における検討結果、右側が寒冷地の代表として仙台地域における検討結果を書いております。左から標準ケース、真ん中が標準努力ケース、その右が最大努力ケースという形で、左側の色が分かれている棒が使ったエネルギー消費量の内訳になっています。標準努力ケースと最大努力ケースの場合には、その横に灰色の棒が立ってございまして、これが太陽光発電により創出されたエネルギーということになります。このケースで言うと、ここでは最大努力ケースとしてできる限り太陽光パネルを乗せるということで、ゼロエネルギー化が物理的にも問題ない状況で達成できているということを確認させていただきました。
 傾向としましては、寒冷地のほうが東京ですとか温暖地に比べて暖房のエネルギー消費量が多いという傾向にありますので、太陽光パネルの量も、その下の表3.2の下から5行目のところにPVのパネル容量というのがございますが、東京地域では160キロワットの量でゼロエネが達成可能、仙台地域の場合には200キロワットということで、2割程度多目の量が入ることで達成可能だというふうに考えてございます。
 また、標準と標準努力においては、最大努力において、省エネルギーでどこまで行けるかという数字については、下の表の左側の項目の白抜きになっているところで、省エネルギー率というような量がございます。これを見ていただくと、東京地域にしても仙台地域にしても標準努力ケースでおおむね20%強程度の省エネが可能でありまして、最大努力ケースにおいても50%程度の省エネルギーは達成できるのではないかと今回のスタディーではそのような試算を行うことができました。
 また、参考といたしまして、6ページのほうに、各月でどのような状況かという時系列のものを少し表現させていただいてございます。これは東京地域における例になっておりますが、一番上が2月、その次が7月、その次が5月の中間期、一番下が夏休み期間の代表的な晴天日の1日におけるエネルギー消費量の時系列の内訳と太陽光発電の量ということを示したグラフになっています。
 暖房期間は、一番上のグラフを見ていただきますと、赤の部分。これは暖房のエネルギー消費量が非常に大きくふくらんでくるというような状況がありまして、また、季節的に太陽光発電の量も少し少なくなるという状況で、1日としてのゼロエネルギー化というのは達成が難しい状況です。また、7月の冷房期間についても、1日ということでのゼロエネルギー化は少し難しいという状況がありますが、その3番目、4番目を見ていただきますと、中間期のような冷暖房がほとんどない期間ですとか、当然学校で児童・生徒が活動されていない夏休み、長期休み期間等は、1日の中でもゼロエネ化というのが達成できますので、この辺がいろいろな対策をさらにとるポテンシャルというようになるのかというふうに考えてございます。
 ここから先は○○委員のほうからお願いいたします。

【○○委員】 続きまして、7ページから、○○のほうからご報告させていただきます。4ポツのところですけれども、それでは、実際にどういうふうに実現していったかということなのですけれども、ゼロエネルギー化を実現する具体的対策例の解説と留意事項といたしまして、ゼロエネルギー化を実現するための具体的対策の代表事例と、それらを学校施設に導入する際の留意事項、特に児童・生徒の発達段階に配慮した留意事項、新築だけでなく既存施設の改修に適用する留意事項についても必要に応じて補足するという形で、一つ一つのものに対して標準努力で何を導入しているか、その場合の留意事項は何かという順番で書いてございます。
 それでは、4.1、照明エネルギーの削減の対策例ですけれども、これは目標として最大59%、60%近くが削減できるのではなかろうかということで始めています。先ほどの標準努力対策ですけれども、照明器具の高効率化、これは実際的には一部の学校で始まっていますけれども、総合効率が100lm/WのHFインバータ蛍光灯ランプを採用し、器具効率が0.6以上、0.75以上、あるいは0.9以上の器具を設置する。教室では500lx、オープンスペースや職員室では300lxほどの照度を確保する。なおかつ初期調光制御機能付きの器具を設置するというふうにしております。ここでの留意事項といたしまして、LED照明等の先端技術についても、室内環境への影響等を勘案しつつ、設計手法や費用対効果等を考慮して、随時導入するものとしてございます。
 A-2ですけれども、照度センサー、人感センサー等の設置になります。教室などにライトシェルフ等の昼光利用装置を取りつけた部分で、昼光利用ができない天候を考慮し、照度センサー等を組み合わせる。共用部あるいは職員室等では人感センサーを設置しスイッチの切り忘れなどを防止することとしています。ここでの留意事項は、照明を積極的に消灯するためには、スイッチの制御や系統の利用パターン、昼光等の状況を勘案して計画される必要があり、設計段階での部屋の利用状況や室内昼光率等を十分に検討する必要があるというふうにしております。
 次に、最大努力対策ですけれども、昼光利用でエネルギーの削減率30%を目指しているわけですけれども、教室などで昼光利用として段階的な照明制御を行って、照明エネルギーを削減する。直射日光によるグレアや冷房効率の低下が生じないよう、天空光や反射光を取り入れる。反射光については、室内の仕上げの反射率を天井70%、床10%、壁面で30%以上とすることを前提としております。その具体的なものとしてライトシェルフということで、次のページの図4.1、4.2を見ながらいくとわかりやすいのですけれども、開口部の上部から天井部に導入して部屋の照度を上げる。開口の下部では夏期日射を遮へいするという形にしております。
 ライトシェルフによる昼光照明の消灯により、南面と北面で30%以上の消費エネルギーを削減する。庇、ライトシェルフの出ですけれども、400、600、900、1200のパターンでシミュレーションを行っております。南面、北面の窓双方に行った照度計算では、窓面のライトシェルフ上の欄間窓、廊下側も含めた自然光の昼光率は30%弱程度の数値となるということで、次のページの図を見ていただきたいのですけれども、上が教室の断面を見ているというふうに思ってください。左側が南側です。右側に廊下があって、その向こう側に開口がある。窓側の上の白くなっているところがライトシェルフからの反射光が入ってくる部分で、ここでは一応すりガラス等でまぶしさや何かを防ぐような形にしております。
 下の部分が直射日光が入ってくる部分ですけれども、窓側から廊下部分に行くにつれて、大体オレンジ色から黄色になる部分。大体そこのところが500lxぐらいの部分なのですけれども、そこまでに対しては照度が十分にあるということで、逆にまぶし過ぎるというようなこともありますので、ブラインド等の制御が当然必要になってくるというふうに言えます。庇の出については、各方面ともに昼光の有効率としては短い方、直射日光がたくさん入る方が有効なんですけれども、ブラインドとの、両方の兼ね合いを見て、どの程度にするかということは勘案する必要があると思います。
 留意事項として、昼光にて机上面が適正な照度を確保できたとしても、視野角内の窓面などの相対輝度差が大きいと、感覚的には暗く感じてしまうため、運用後に適切に昼光を取り入れるためにはまぶしさを除去しつつ、最大限昼光を取り入れる工夫が必要である。先ほどのブラインドのような話であるとか、すりガラスの話になります。窓面は冷暖房の観点から考えると、大きな熱負荷要因となるため、暖冷房と照明とのバランス及び室内環境に十分注意するとしております。
 次に、トップライト、ハイサイドライトの採用です。北面からの導光及び上部換気窓とする。トップサイドライトの設置により、最上階に導光し、人工照明の補助とする。添付しております図は自立循環のガイドラインからの掲載なんですけれども、トップライトの場合は、1,200lxぐらい、かなり大き目な照度が入ってきてしまう。トップサイドライトのときに、600lxぐらいの照度が得られる。留意事項のところにも書いてございますけれども、直下の照度が強いために安全策と兼ね合わせてルーバーであるとか、そういったものをトップライトについてはとっていく必要がある。
 その他の照明としまして、ここには図は記載してございませんけれども、アトリウムや吹き抜け空間あるいはライトウェルみたいなものですけれども、通常昼光を取り入れることが難しい平面形状の場合の中央部分への採光が可能になるなど、計画上設置可能な場合については採光可能な吹き抜けを積極的に採用するというふうにしております。ここでの留意事項ですけれども、アトリウム等の計画を行う場合には、アトリウム上下の温度差を利用した自然換気なども併せて検討を行う。児童・生徒の乗り出し等による危険を回避する落下防止策を講じるというふうにしております。その他として、技術的に存在するものですけれども、反射ミラーであるとか、採光ダクト、光ファイバー・プリズム等が考えられます。
 続きまして、10ページのほうに移ります。冷暖房負荷の削減ですが、冷暖房エネルギーの削減目標を最大36%としております。建築物の年間熱負荷は年間の外部から侵入する熱と内部で発生する熱に対し、建物外周の断熱性能と室温、温度管理を含めた空調の性能により決まるため、断熱性能を向上し、空調機器の効率のよいものを採用する。標準努力目標では、外皮の断熱化としまして、屋根・外壁・基礎の断熱を強化しております。RC造の場合、ヒートブリッジ対策とコンクリートの熱容量を考慮すると、外張断熱が有効な手法となる。下の図ですけれども、図4.4、ここで開口部にどういうものを使ったときに、断熱材の厚さがどのくらいだと総合的な熱損失がどうなるかというものを下の図は表したものです。実線のものが上から単層透明ガラス、緑三角のものが複層透明ガラス、一番下のものが複層Low-Eという形になるわけですけれども、この図で見ていただくと、例えば一番下の複層Low-Eの場合、下が断熱材の厚みを表していますけれども、40ミリをとった場合、大体67ぐらいのW/℃になるわけですけれども、それから先というのはあまり増やしていっても劇的な変化はないというようなことから、ここでは厚みを40ミリというふうに見込んでやっています。また、基礎を断熱化することで、建物全体の温度環境を改善することとしております。
 ここでの留意事項としましては、木造の場合、住宅で培われたグラスウールによる充てん断熱を行い、地域の気候に応じてさらに外張付加断熱とする方法を採用することにおいてコストパフォーマンスの高い学校ができるのではないかということ。もう1つが、外断熱を採用した場合に、内部に蓄熱された熱の除去が困難であるため、通年の室内環境条件を勘案し、適切に自然換気と組み合わせ、冷房負荷が増加しないように注意する。やはりかなり高断熱、高気密になってきますので、オーバーヒートの懸念があるということで、それに十分に配慮しようということです。
 次表、次の11ページの上で断熱材の仕様例といたしまして、標準的な仕様、努力仕様の例を挙げております。開口部ですけれども、学校施設は他の建築用途と比べても外壁面積に対する開口部面積の比率が多い。大体住宅などに比べて2.5倍ぐらいの開口部があるという形になります。そういったものの開口部の性能が与える影響が大きい。そのために、地域の温熱環境と日射取得の特性を踏まえて開口部の仕様を決定する。
 これも次のページになってしまいますけれども、表4.2、どういうものを採用してシミュレーションを行ったかというのが書いてございます。その場合の留意事項ですけれども、昼光利用を行うことから、4地域の南面窓以外、低放射ガラスは使用しない。逆に、日射侵入率の低くなるものについては、北側では、寒冷地では使用しないほうが得策ではないかということを検討しなければならないということです。渡り廊下などの屋外空間と直結する廊下、居室等については季節に応じて自然換気と機密性の確保を両立できるようなサッシの仕様に留意する。児童・生徒の活動を勘案して、開口部の外側に落下防止フィルム、内側に強化ガラスを用いるなどの安全面に留意する。これも用い方に関しては一例です。既存施設では建具の総改修などは費用、工期等の観点から実施は難しい。改修の場合には、日射反射フィルム、断熱フィルムなどの採用についてもメンテナンスの容易性であるとか、費用対効果を勘案して採用するという方向としております。
 続きまして12ページです。ここでは空調機器の効率化、高効率熱源機器の採用。熱源機器を採用する場合においては、定格域で高い効率の機器、ここではグリーン調達基準、東京都の環境物品等調達方針等を参考にして選択することはもちろんのこと、年間を通じた負荷の発生状況を勘案して、部分負荷発生時の効率向上に考慮することとしています。隣のページですけれども、図4.5、モデル校―RC造における場合ですが―における標準仕様と努力仕様の断熱性能による年間熱負荷降順図を示しております。この図を見ていただきますと、左側が4地域で、上が標準、下が努力、右側が2地域の標準、下が努力ですけれども、断熱性能が標準仕様と比べて、標準努力仕様の場合は暖房負荷ピーク、一番立ち上がり時、右側が高くなっているのがおわかりになると思うのですけれども、そこが高くなっているが大きく低減してくる。それで、2地域のほうが4地域よりも負荷が大きくて、努力仕様にした方がその差も大きくなる。一方で、冷房についてはあまり大差がないというシミュレーションの結果が出ました。
 空調熱源機器は、学校の場合、おおむね暖房能力で決定されるため、冷房負荷と暖房負荷に大きな乖離があると冷房時の部分負荷効率が低下してしまう可能性がある。そのために適正な断熱化により暖房負荷を低減することは熱源機器の容量の低減、コストの低減、通年を通した空調の効率的な運用に資することになります。ここでの留意事項ですけれども、空調の熱源系統を考慮する際には、時間における使用パターンが類似する部屋を同系列にすること。個別熱源方式において、屋外機の熱源容量を選定する際は、屋内機器容量の積み上げだけでなく、熱負荷計算による熱負荷発生の同時発生について考慮し、過剰に大きな機械が入らないように留意する。空調熱源機器の選定においては、対象学校施設の熱負荷パターンを勘案し、年間の平均的な負荷においても最も効率が高くなる機器を選定することとしています。
 13ページに移ります。全熱交換器の採用。
 ここでは全熱交換器を採用して外気の負荷の低減を図るということにしております。留意事項としては、使わない時にできるだけとめて、全熱交換を行わずに換気をする方向にしております。
 次の14ページに行きます。最大努力目標においては、開口部の工夫によっての冷暖房の向上をここでは挙げております。1として、自然換気によるもの及びナイトパージを挙げております。直接換気であるとか、温度差換気を推奨しているとともに、ナイトパージ、夜間外気を取り入れるガラリ等を採用して、躯体を冷却していこうという方向を出しております。2として、空気集熱式太陽熱利用システムを挙げております。これによるエネルギー削減率は、シミュレーションの結果として36%から67%、体育館が100%となっているのは、体育館にもともと暖房が入っていないという意味での100%です。これで行きますと、冬期温度が3地域で12℃から14℃。体育館に空気集熱式の太陽光利用システムのみの暖房を設置した場合、12℃から14℃。4地域で16℃から18℃になるという見込みが出てきております。あと、3として、冬期暖房区画として、オープンスペースや別棟の接続棟の部分を建具で区画して断熱効率を上げることを推奨しております。
 B―2として、空調機器のエネルギーマネジメント等を挙げております。
 15ページですけれども、その他の対策。パッシブ対策として未利用エネルギーの利用、陸屋根の緑化、地中熱、発電機の排熱等も考慮することとしております。また、ペレットストーブやペレットボイラーによる熱供給も考えられる。C―2、付属部材の設置ですけれども、カーテン、ブラインド等を必要に応じて設置するということにしております。
 換気エネルギーの削減として、シックスクール対策を考えて24時間換気を採用しているわけですけれども、中間期は通常の換気に切りかえ、自然風の取り入れを行う。その場合には、圧力損失の低減はダクト等を短くして行う。あと機密性の確保を行うということ。
 最後に、換気機器のエネルギーマネジメントとして、コントロールパネルなどの見える化のルールによって、不在時の切り忘れ等を防止する。同時に、取り組みの見える化によって省エネの普及を考慮することとしております。
 16ページの創エネルギーといたしまして、太陽光パネルがどの程度必要かというものをここで挙げております。
 それ以降の資料1については、標準的なシミュレーションのときに運用をどう考えたかというペーパーです。次からが、どういうふうな建物を想定して、どのような機器を入れていったかということで、1ページ目は、今までの説明を簡単にまとめて、こういう照明エネルギー、冷房と分けて表記したものです。次がRC造校舎の場合の、すべてのものを取り入れた場合で、右上に空気集熱式の太陽熱利用システムを入れた場合の絵が書いてございます。それがRC造の校舎、体育館、木造の校舎、体育館となっていまして最後の表組みになっていますのが各々の図に入っています1、2、3、4という技術あるいは断熱の技術ですけれども、それぞれについての仕様並びに、ここで試設計における床面積当たりの目安としての価格を載せております。これをどういうふうに採用するかということで、一つ一つの方向を標準仕様、あるいは標準仕様と最大努力仕様だけがあるのではなくて、それプラスアルファも採用できるような考え方をとっていければというふうに思います。
 以上です。

【委員長】 はい、ありがとうございました。それでは、委員の先生方、ただいまの○○委員、○○委員のご説明に関しましてご意見、ご質問あるいはアドバイス等があったらお願いします。
 ないようですので、私のほうから。○○委員の説明で、まず、いずれこれはあくまでも年間で行くわけですね。

【○○委員】 はい、年間です。

【委員長】 それで、その余ったやつは蓄エネするという前提ですか。売ってしまうんですか。

【○○委員】 明確に売る、売らないというふうにはここでは定義しておりませんが。

【委員長】 はい、わかりました。
 それから、2ページの下の図3.1で、ステップ2とステップ3で、未利用エネルギーと創エネルギーを分けているんですけれども、未利用エネルギー利用と創エネルギーというのはこういうふうに分けられるものですか。

【○○委員】 ここで挙げている未利用エネルギーは機械設備の効率を上げるために活用する部分という形にしていまして、例えば太陽熱を入れて、ファンで暖かい空気を下に下ろすとか、あとは地中熱を使ってヒートポンプの効率を上げるとか、そういうものをここでは未利用エネルギーと読んでおりまして、ステップ3の創エネルギーは……。

【委員長】 わかりました。では、ステップ2というのは限りなくパッシブに近いという感じですか。

【○○委員】 はい、そうです。

【委員長】 わかりました。
 先生方、ご自由にご発言ください。

【○○委員】 照明の割合が高いわけです。そのときに、特に小学校をモデルケースにしていますが、実際の小学校というのは、壁面はほとんど出ていないんです。というのは、お子さんたちの作品で埋められていて、それこそ研究授業のときは窓ガラスにまで張られているという状況なんですが、そういった場合の削減率とか、そういうものもシミュレーションのパラメータに入れていかないといけないのではないかという、ついこの間研究授業で行ってきた小学校の実態を見ると、ほとんど壁面はどこの教室も空いていないと思いますが。その辺のところのご意見というのか、今後どう対応していくのかというあたりが必要かとも思いました。

【委員長】 ガラス窓にも張っているわけですか。そうですか。

【○○委員】 そう。そうしないと、壁面が足りない。

【委員長】 では、ご検討ください。

【○○委員】 現状では考慮しておりませんので、考えたいと思います。

【委員長】 いつも張っているわけじゃないでしょう。年がら年中張っているんですか。

【○○委員】 そうです。3学期間それぞれ作品が入れ替わって。それから書道について言えば、1人お子さんの作品をそれに重ねていくわけです。同じ人のがどうなったとかです。もうびっしりです。
 ですから、新聞社からちょっと電話がかかってきて、問い合わせが。その作品の張り方というんでしょうか、教室のそういったものをどういうふうに張るのがいいのかという問合せが私の研究室に電話がかかってきたこともあるぐらいです。ですから、ちょっと違和感を覚えたんです。44%って照明は非常に高い割合です。そのときに反射率を計算しても、本当に反射するのかどうかというあたりが、私の実感とちょっと違うかなと思います。

【○○委員】 実際やってみたときにかなり照度が高いので、反射率を下げてもう1回シミュレーションしてみたいと思います。

【委員長】 ライトシェルフなど有効かもわからないですね。

【○○委員】 うん。

【委員長】 どうぞ。

【○○委員】 ちょっとお伺いしたいんですけれども、今の光の関係なんでございますけれども、このシミュレーションはあくまでも教室に関しては南面を向いている。真南を向いているという形での考えなんでしょうか。

【○○委員】 はい。

【○○委員】 そうした場合、自然採光率30%の数字というのは、イコール、要するに消費エネルギー30%というふうに置きかえて考えてよろしいんですか。

【○○委員】 適正に制御できれば、ほぼそういうことになります。

【○○委員】 一致するということですか。

【○○委員】 はい。

【○○委員】 そうした場合は、8ページの下にグラフがございますけれども、例えば敷地の関係で建物が南東を向いた場合は、およそ15%程度の省エネルギーというふうに考えてよろしいわけですね。

【○○委員】 はい。今回モデルケースで一応建物を想定しますので、おっしゃるとおり、北側を向いている場所に関しては、この8ページの図のその方位側の比率で照明が削減できるというような前提で計算のほうも行っています。

【○○委員】 はい。

【○○委員】 今南面のお話がありましたけれども、一般に学校では南向きの教室というのは極めて厳しい教育環境条件である。要するに、南にびっしり机を並べると、そこはまぶしくて暑いからカーテンを閉める。カーテンを閉めると暗くなるから照明をつける、あるいは通風がとれなくなるから非常に熱環境が悪くなるというか。そういったトータルなところでちょっと考えないと、無人の場合はいいけれども、それはプランニング全体にかかわってくることだと思います。南面をどうするか。それから日照調整をどうするか。あるいは、南側が廊下とかオープンスペースで、北向きの教室のほうがむしろ生活環境としてはいいというようなことが一般的に観察していると言えるわけです。その辺の学校の実態みたいなものも、まず基本を計算した後で反映するような仕組みというのを考えていただけるといいと思います。

【委員長】 はい、適切なご指摘ありがとうございます。ご検討ください。

【○○委員】 13ページのところで、冷暖房の熱負荷の降順図が出ておると思うのですけれども、ここのところで、やはり暖房のごく一部のところが非常に高いというところで、これで合わせた機器選定がされて大きな機械というものが入ってしまうと思います。学校の場合がそのまま適用できるかどうかというのは、無人であるとか、運転員がおられないとかということで、検討が必要だと思うのですが、例えば事務所などですと、ウォーミングアップをすることによって負荷を抑える。総合的に効率を上げて省エネルギーを図るというふうな方策もあるかと思うので、そういうところも考慮すると、もう少しでも効率が上がるではないかというふうに思いました。

【委員長】 ありがとうございます。

【○○委員】 創エネルギー、つくるエネルギーという意味では、やはり今の段階では具体的には太陽光発電、ワン・アンド・オンリーというふうなイメージなんですけれども、ほかに別途創エネルギーとしての題材というか、素材みたいなものはどうなんでしょうかというのをちょっとお聞きしたいんです。

【○○委員】 実際には風力発電ですとか、バイオマス発電とか、いろいろなコンテンツというのはあるのかと思っているんですけれども、ここでは一応確実で量がそれなりに稼げるものとして太陽光発電でまずやらせていただいております。今回も最後のほうの説明でA、B、Cとありまして、Cというところに関しては今回入れていないけれども、場所によっては検討すべき内容という技術を書かせていただいているので、その辺にもう少し盛り込める技術があるかないかを、留意事項も含めてちょっと検討したいと思います。

【○○委員】 9ページに学校の屋根の形態で、どういうふうに天空からとるかというのがあるんですが、この「環境教育に活用できる学校づくり実践事例集」の黒松内中学校、56、57ページのところに真ん中に廊下に光りをとるためにちょっと屋根の形を変えた事例があるんですが、実際の冬場はここに雪が積もってしまっているんです。だから地域特性をどう考えるのかというあたりが、ちょっと厳しいかという。私も実際に黒松内の中学校を見たときにそれを感じたんですが、そういった地域特性との絡みも少し考えていく必要があり、かつ今年度のように異常に雪が多いときにはどうするのかというあたり。
 ご説明の児童・生徒の安全の配慮はあったと思うんです。実際外部的な要因により遮断されてしまうあたりも少し検討しておかないといけないかと思いました。

【○○委員】 5ページの今後検討予定とある部分なんですが、今回のケースはあくまで運用時点でのゼロエネルギーを達成するために、太陽光パネルが東京だと160キロワットで仙台だと100キロワットで作成できるという意味で大変わかりやすくまとまっていてよいと思いました。
 その今後予定の中にLCCO2の話があって、一方でペレットボイラーとか、いわゆるカーボンニュートラルな燃料のメニューが入っているんですが、ゼロエネルギーの検討までですと、実は関係なくて、CO2の計算をするときに初めて意味があります。そういう意味で、少しゼロエネルギーの話であれば、そのペレットのところは少し注釈をつけるとかをしておいたほうが誤解がないのかというふうに思いました。
 ただ、全体には大変よくまとまっていて、非常に参考になる事例だと思いました。
 それとあともう1点、今回はRC造の校舎ということですが、照明の反射率との関係もあって、内装木質化というケースは少し意識してもいいかと思っていまして、床とか腰壁、あと、場合によっては天井。要は反射率が当然悪くなるわけで、そういうケースだとどのぐらいの昼光利用の仕掛けをしておいて成り立つかみたいな話は少し興味があるところであります。

【委員長】 ありがとうございます。両方とも大変大事で、前半の話はかなりプロフェッショナルな話ですけれども、誠にそのとおりでございます。それから、今の日本国全体としても、いわゆる木材活用ということを言っていますので、今の内装の話はぜひ検討の対象に。
 先生方、ありがとうございます。
 それで、3ページの上に(2)でゼロエネルギー化実現の考え方とございます。ここに経済性も勘案した上ということで、これは大変結構でございまして、多分経済性を無視してやっても長続きしないと思いますので、十分にここのところは経済的に実現可能な技術ということを留意していただきたいと思います。
 それでは、次の話題に移らせていただきます。報告書の骨子案ということで、資料2でございますが、よろしくお願いします。

【事務局】 はい。そうしましたら、お手元の配付資料2をご覧ください。報告書骨子案ということで、第1回の検討委員会におきましてご審議お認めいただきました検討事項につきまして、報告書として今後取りまとめる際の骨子案を作成いたしました。こちらのほうの表をご覧いただけますでしょうか。
 構成は2章で整理したらどうかというふうに考えております。まず、はじめにというところで、趣旨と目的を明確にした上で、第1章におきましては、学校におけるゼロエネルギー化の実施手法の検討ということで、目次としては1から4までで、ただいま○○委員、○○委員のほうからご報告いただきました学校施設における基本情報の整理や学校のゼロエネルギー化の実施手法のシミュレーション、それからゼロエネ化の対策技術の導入における留意点を記述のポイントというところに掲げさせていただいている内容で整理したいというふうに考えているところでございます。
 4につきましては、学校ゼロエネ化の対策技術による学校の防災機能の維持ということで、こちらにつきましては、防災機能の面として、今回ゼロエネ化で検討した技術がどのような形で活用できるかというようなところについて少し整理したいというふうに考えているところでございます。
 第2章につきましては、環境教育、普及・啓発活動についてということで、こちらのほうについては目次としては2つ考えております。1といたしまして、学校施設を活用した環境教育ということと、普及・啓発活動というふうに考えているところでございます。学校施設を活用した環境教育につきましては、今回検討いたしましたゼロエネルギー化の学校施設の特色を環境教育にどのように生かせるかというような点と、学校施設を利用した環境教育の考え方や効果というようなものを整理したいというふうに思っております。あと、普及・啓発活動につきましては、今後資料を配布したり、またはホームページに掲載する。それから各種講演会、セミナーというものを開催することによって技術的な支援をどのような形でやっていくかというようなところを整理したいと思っております。
 また、財政的な面の支援という観点からは、エコスクールパイロット・モデル事業や住宅・建築物省CO2先導事業というようなものをどのような形で活用していくか。また、ガイドラインの作成というようなところに触れていきたいというふうに思っております。
 最後にまとめという形で本委員会の成果を整理したいというふうに考えているところでございます。
 このうち、第1章の1、2、3につきましては、ただいま○○委員、○○委員のほうからご報告いただき、かつ先生方のほうから種々ご議論いただいた内容をいただいておりますので、今後その内容については整理していきたいというふうに考えております。あと、4につきましては、若干この内容を補足させていただきたいと思っております。また、第2章の1、2につきましてもあわせてこの後ご報告させていただきたいと思っております。
 まず、第1章4の学校の防災機能について若干補足させていただきます。

【事務局】 はい、それでは、4の防災機能の維持について、その後ろについております補足説明資料でご説明させていただきます。ただいま事務局のほうからもお話がありましたけれども、今回シミュレーションを行った際に検討した技術が、災害拠点である学校の防災機能の維持にどれだけ貢献するかという観点でこの節を整理したいというふうに思っております。学校がいくら災害拠点だからといって、特別の設備を講じて、普段は使わないというオーバースペックを期待するものではなくて、今回導入した技術がいかに災害時にも貢献するかということの整理をしたいということでございます。
 災害時の防災機能の維持ということで言いますと、今回参考としたいと思っております資料は、1つは、席上配付させていただきました東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備についての緊急提言ということが文科省の委員会、検討会で報告されております。この中で、災害時における室内環境の向上など、防災機能の強化にも資するということでの省エネ対策という紹介がされているところでございます。
 これと併せて、参考の1、資料の下の方に書かせていただいておりますが、国交省の方の関係で、サステナブルタウン調査というのを以前させていただいております。このときに災害時にどの程度の防災機能の維持に必要な電力需要量があるかということを少し検証していただいた実績がございます。レベル1、レベル2という概念で、表の方にレベル1ということで、防災機能の維持に必要な電力量として、まず数時間、災害が起きてすぐから1日程度の以内においてはどのようなエネルギーが必要になるかということ。それから、もう少し長期にわたって、震災等においてエネルギー供給が停止したときにどのような負荷が必要になるかということで、この研究成果を見ますと、裏にまいりまして、数時間の間であれば、通常時の12%程度、それから、数日間にわたるような場合には通常時の62%程度のエネルギー供給がなされると機能確保がなされるということでございます。これについてこの調査においては、エネルギー自立度という指標を掲げていて、災害時に必要なエネルギー需要量を災害時に供給可能なエネルギー供給量で割る数字というようなものを指標として示しているところでございます。
 これら文科省、国交省でこれまで検討してきた成果を踏まえて、この4章の中では、2ポツにございますように、シミュレーションで使った通常努力あるいは最大努力ケースの技術がどのようなエネルギー自立度に貢献するかという計算をしてみまして、この取りまとめイメージにあるような整理をして報告してみたいということを考えているところでございます。これは次回までにお示ししたいと思っております。

【事務局】 そうしましたら、引き続き、第2章の環境教育の普及・啓発の補足をさせていただきます。同じくお手元の資料のところでホチキス留めした資料がございます。こちらをご覧ください。
 これまで文部科学省におきましては、環境を考慮した学校施設の整備推進、いわゆるエコスクールの整備推進というものに努めてきたところでございます。また、それらの検討に際しましては、当然省エネ効果の見える化というようなものは重要なことであるとの観点から、学校施設における総合的な環境性能評価手法であるCASBEE学校という検討ツールを開発して、学校施設の整備に携わる方々に対する支援についても力を入れてまいりました。
 学校施設づくりの見える化と同様に、環境教育におきましても見える化は有効な手法であるというふうに考えております。特に今回のゼロエネ化の検討においても、その点について記述することにしております。
 まず、(1)学校施設を活用した環境教育ということで、この括弧の中に大きく丸を2つ示しております。1つは、ゼロエネ化した学校施設の特色を環境教育に活かせるつくり方ということで、当然ながらエネルギーの消費や創エネの状況、これはいわゆるデータの見える化というようなことで、これらのデータを子供たちに見てもらうことで環境教育の教材として活用することができるのではないかというふうに考えているところでございます。
 (2)仕組みや効果を見せ、体感させるということで、これは当然仕組み、効果が見える仕掛けをするということで、例えば導入した環境技術の仕組みや原理をどういう形で児童・生徒に見てもらうのか。例えば触れてもらったりすることでその効果がわかるようなつくりを工夫するというようなところをこの章の中では書いていきたいというふうに思っております。特に具体的な事例紹介というようなもの、今回は写真等はつけておりませんが、既にエコスクール等でも幾つかこのような取り組みをしております。そういうものをわかりやすいような形で写真をあわせてご紹介できればというふうに考えております。
 もう1つの丸といたしましては、ゼロエネ化した学校施設を活用した環境教育ということで、当然ながら児童・生徒等の興味や関心を高めるということと理解を深めていただくことが重要だというふうに考えております。また、学校は地域の環境教育の拠点であるというところでの役割が期待されているということもございます。学校施設を活用して取り組む環境教育の考え方や効果というものを整理したいということで、授業に活かすというような観点でまとめたいという部分と、当然その授業によって学んだことを家庭や地域に広げるような事例等を踏まえてご紹介したい。ということと、あとは大きな意味での地球環境も含めた活動をつなげるということで、この3つの部分について少し整理したいというふうに考えているところでございます。
 裏面のほうをごらんいただきたいと思います。2つ目の普及・啓発活動でございます。こちらは同じく丸として2つ。1つは情報提供ということで技術的支援の分野。それから財政支援というような分野で分けております。情報提供としては、当然ながら学校施設のエコスクール化ということでこれまでも取り組んでまいりましたが、それらの取り組みも含めて、今回ゼロエネ化した施設の検証ということもございますので、それらを普及するために各地方自治体の学校設置者のご理解をいただくということは欠かせないことだというふうに考えております。こういう学校設置者を対象にした積極的な情報提供というようなものもこの技術的支援の分野の中でやっていきたいというふうに考えております。当然そのシミュレーション結果というようなものをわかりやすくしたパンフレット、それからそれらのものを活用した各種会議の場での普及・啓発。それから計画・建設等につながる、また適切な運用・維持管理につながるというような分野での、今度は学校設置者内の施設担当者を対象とした、若干専門的な分野になるかもしれませんが、実践的な講習会みたいなものも企画できればというふうに考えております。このあたりを少し整理したいというふうに思っております。
 もう1点、財政支援でございます。学校施設をゼロエネ化という形で検証する場合には、種々環境技術を組み合わせるということで、当然ながら高性能な設備の導入というようなものも必要になります。当然ながらそれにあわせてコストの縮減というものも考えていかなければ現実性がございませんので、こういう観点につきましては、国や地方公共団体等が行う補助事業を積極的に活用していただくということで、その財政負担を軽減できるのではないかというふうに考えております。それらの具体的なメニューとして幾つかのものをご報告しておきたいと思っております。
 1つは、次のページにございますが、これまでも当省のほうでやってまいりましたエコスクールのパイロット・モデル事業。これらのフレームについて、24年度からは国土交通省様のほうにも省CO2対策という分野でお入りいただくということで、この分野は当然ながらこのゼロエネ化の1つの大きな前進につながるのではないかというふうに考えている部分でございます。その次のページは、そのCO2先導事業の概要ということで、こちらをあわせてご紹介できればというふうに思っております。最後に、スーパーエコスクール実証事業ということで、こちらにつきましても24年度の新規事業として現在考えている事業でございます。これはエコスクールをさらに創エネや蓄エネというものを組み合わせることで、実質ゼロ・エミッションの実現を目指すというような効果のある事業をしていきたいということで、現在3年計画で進めているものでございます。今回まずこの実証事業の初年度ということで、幾つかの地域の自治体において、これらのワークショップというようなもの等も立ち上げていただいて基本計画を策定していただくような事業をしたい。これは初年度でそういうものを立ち上げたいというふうに考えているところでございます。あと2年目、3年目という流れで具現化していって、このスーパーエコスクールの実証事業を進めたいというようなところもまさにゼロ・エミッションということで今この会議等でご議論いただいているようなものにつながるというふうに考えているところでございます。
 これらの内容を整理した上で、次回の会議におきましては、報告書案という形で委員の先生方にご報告できればというふうに考えているところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

【委員長】 はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの資料2の1章の4と2章1、2、先生方、ご意見、ご発言お願いします。

【○○委員】 2章のほうで私が今までかかわってきていたことを踏まえて言いますと、2点あるんですが、1つは、建物を改善しているときには子供たちに見えやすいんです。遊び場も時間計算しているし、我慢しなさいと言えるんですが、卒業した学生、児童・生徒にこの建物がエコスクールだというのがなかなか示しづらいんです。そのためには、できたもので学ぶということができないというのか。児童・生徒は教えたからといって学ぶとは限らないという前提条件があるんです。そのために、1つはどう気づきを促すかなんです。そのためには子供たちが実験したり、このパイロット・モデルのところではペットボトルを家に見立て、熱を吸収するとか、そういったところの実験も踏まえていますけれども、探究活動をどう仕掛けるか。教育は、あるいは学ぶということはやはりその企みがないと。先生たちは日常そういうことをやっているわけです。だから、きれいにでき上がったものでは学ばないということを。それが1つ。
 それから、普及活動の2番目の、情報提供も特に中学・高校生でやはり原理をどう理解するか。よく私は太陽工作の審査員をやっていますけれども、そういった原理をどう理解するかをきちんとしないと、次の先ほどのエネルギーを創エネする発想をしていく。でも、子供たちには次の技術者として、どう発想していくかとか、仕掛けをどう使っていくかということが教育には必要になってくるわけです。その辺のポイントがないと、ああ、でき上がったね、きれいになったね、それで家庭に普及しようと思っても、これは何だろうという。
 ですから、来週、21日に豊田市の学校が改善してでき上がるんですけれども、その過程では一緒に地域の家庭も巻き込みながら学習していくというプロセスが大事なんです。それから、比較検討するとか。だから、グリーンカーテンをやったときには、単につくったって比較にならないんです。だから、グリーンカーテンのないところと温度の条件をどう測定する。継続してどう測定して、そして子供たちが発見していく。そういう探究的な活動をやっていかないと、いくら電子盤で今エネルギーがどれだけつくられて、どれだけ消費している。スルーするだけだと思いますので、そういうところも配慮していただければありがたいと思います。

【委員長】 はい、ありがとうございます。体験に基づく大変貴重なご意見、ありがとうございます。

【○○委員】 2点ございます。まず、第1章の4のペーパーの中に出てくるところなんですが、まずはゼロエネルギー化の技術によって、当然エネルギーのほうのメリットがあるわけですけれども、室内環境の質の向上が図られるというものを明示的にあらわせるのが多分CASBEE学校のグラフだと思うので、ざっくりでもいいので、先ほどご説明いただいた比較係数、基準に対して最大努力までで、CASBEE学校におけるランクがここまで上がるという。要は、Lも減るしクオリティーも上がるというのが合ってくれるといいというのが、少し仕事が増えますけれども、それが注文です。
 それから2点目ですが、第1章の4の防災時の機能維持に貢献するという視点が非常に重要だと常々思っております。それで、1つは、例えばゼロエネルギー化するために、先ほど東京だと160キロワットのPVとか、相当お金のかかるお話でありまして、ゼロエネルギーのためだけにやはりそこまで自治体もなかなかお金を出しにくい。結局めったにないけれども、災害時にどれだけ貢献するかという側の説得力が今回のまとめの中により強く出てくれないかというのが気持ちです。
 それと、もう1つは、めったにないことではありますが、避難所としてかなりの長期間ここで寝泊まりをするということを考えたケースとして、例えば冬場に暖房をとめた状態で室温低下がどのぐらいで抑えられるかという自然室温のケースがあると、要は断熱をしっかりしていろいろ工夫をすると、仮に燃料がなくても室温が、例えば10℃以上はキープできるとか、そういうのもワンポイントで入っているとわかりやすいかというふうに思いました。
 少し長くなりましたが、以上です。

【委員長】 はい。いずれも大変ごもっともなご指摘でございます。
 ちょっと関連しまして、スーパーエコスクールの実証事業とございますね。これは大変結構でございまして、ゼロエネというのは大変だと思うんですけれども、今○○委員が言いましたけれども、やはりもう少しクオリティーを向上させて負荷を減らすという、学校を含めて大きな建物をつくるという、その中の流れでどうゼロエネを達成するかという、その辺を十分踏まえていただけるとありがたいと思います。
 例えば住宅で言いますように、ブリキでバラックをたくさんつくってそれで太陽光、PVをたくさんつけて、これでゼロエネだというようなものは基本的に生活の基盤を提供するという意味でやはり欠陥建築だと思うのでございます。だから、いいクオリティーを提供しながら負荷も減らすというような中の流れでのゼロエネと。
 それと、小さなことですけれども、ゼロ・エミッションという言葉を使っているんです。その中で縦軸は消費エネルギー、ゼロエネもゼロ・エミッションもあまり区別なくお使いになっているのでございますか。あとでご検討を。

【事務局】 はい。

【委員長】 何となく役所の名前ではゼロエネは経産省で、環境省はゼロ・エミッションと。これは確認しましたら、どちらかというと、ゼロCO2という感じでございまして。これはどう使ってもいいんですけれども、ご確認の上お使いいただければありがたいと思います。

【事務局】 ありがとうございます。

【委員長】 それからまた別件で、このプロジェクトは改修も含めているんですか。

【事務局】 はい、基本的にはここの前段で少し書かせていただいていますように、老朽した学校施設が7割というところもございますので、当然改修。それから、場合によっては増改築というようなものも対象に考えています。

【委員長】 はい、わかりました。
 それから、先ほどの○○委員の断熱に関連して、前回も言ったか、被災地ではやはり床に寝るから、床の断熱が必要だそうです。大変貴重だそうです。ぜひそれをシミュレーションをやられるときにご検討ください。体育館の。

【○○委員】 はい、現状でも体育館は断熱を。

【委員長】 していますか。ありがとうございます。
 それから、先ほどの○○先生の話に関連して、環境教育といいますと、やはり地方性といいますか、立地条件といいますか、そういったものがやはり結びつきやすいと思うんです。山間地の学校ではバイオ燃料を使えるとか。それも経済効率性の範囲でございますけれども。大体過去でいうと、風が回る風力発電は大体全部失敗しているんです。多分例外なく失敗していると思います。ですから、そういう経済効率性を無視した環境教育といったら、かえって反面教師かもしれませんけれども、そういう枠の中で地方性を踏まえた環境教育というのが可能であればお願いできればと思います。
 どうぞ、では、○○委員、それから○○委員。

【○○委員】 ありがとうございます。報告書の第1章の4についてなんですけれども、こうした観点の議論が入ることは大変よいことと考えております。初めにご説明がありましたとおり、防災機能のためにオーバースペックにするのではなくて、ゼロエネルギー化を目的として導入した技術がどこまで防災面でも貢献するかという観点での整理ということで非常によいと思います。そのときに、1つだけ気をつけるべき点として、参考2のエネルギー自立度の数式で、太陽光発電というのは実は天候によって発電のキロワットが左右されるため、どこまで当てになるかというのはこの評価のときに気をつけるべきかと思います。蓄電池を入れれば発電で貯めた電気はすべて使い切れるという形で評価できると思いますが、ただ、そのために蓄電池を学校に置くのかというところがオーバースペックの観点から検討項目の1つと考えております。
 以上です。

【委員長】 どうぞ。

【○○委員】 先ほど気づきを促すというふうに申し上げた。すごい装置をつくる必要はないんです。例えば外断熱を荒川の小学生に理解させるためにダウンウェアを着せたんです。わかりますでしょうか。それぐらいの簡単なことで子供は気づいていくんです。そして、この建物にはこういう発泡スチロールのこの厚さが外に張られているんです。それだけで子供は理解できるんです。皆さんとても難しいことを考えますけれども、本当にシンプルに原理というものはわからせることができますので、一度児童・生徒の立場になって考えていただくと、気づきを促すためにそんなにたくさんお金を使う必要はないということなんです。
 そして探究活動を先生たちが校内で確かめていく。そしてそれが児童・生徒の能力育成につながっていくという視点で考えていただき、それが家庭にも波及するということだと思いますので。

【○○委員】 これまで学校施設についてはエコスクールということで取り組みをずっと継続してきているわけですけれども、今回はそれと何が違うかという、次のステップということをきちんと伝わるようにしていくということが大事だと思います。特に最初にご説明があったゼロエネルギーというのが消費と創出、一次エネルギー消費を差し引きゼロにするというか、その辺明確な目標を示して、それに取り組んでいくというところが次のステップなのかというふうに思います。
 エコスクールというのは教育に資するというのが1つの大きな柱なわけですけれども、でも、いろいろ現実に見ていると、教育に資するというのがあるレベルで、要するにこれは教育的なことだからというので、例えば太陽光発電は3キロでも5キロでもいいから、実効性はなくてもそういう仕組みがあるんだということを見せるということで良しとしていたところがなくもないというか。今度はそういう実効性のある形できちんと考えていくんだというのがきちんと伝わるようにしていくといいと思いました。
 そのときに、いろいろ書かれていますけれども、特に見える化というところで、エネルギーの使用状況、生成状況を画面で見せるとか、そういう記述がありましたけれども、やはりデータを蓄積して次に活かしていくというような、そういう意味でのモデル校というものをこの中に、地域性とか、それから個別の条件とか、そういうものを設定して、さらに収集を図って、次の段階のこういう取り組みに活かせるようなものも少し入れ込んでおけるといいというふうに思いました。

【委員長】 ありがとうございます。大変大事なご指摘かと思います。

【○○委員】 1点言い忘れたことがありまして、ゼロエネルギー化のこの技術を導入することで、夏の節電、特にピークカットに非常に貢献するという面があると思います。1つは、夏休み中であれば、実は屋根に乗った太陽光発電は回りに配れるという点も含めて、供給力が足りなくなった電源側に非常に助けになるという面があると思いますし、その辺は文科省のこの緊急提言の最後の3番目の骨子にも含まれていることでもありますので、少しそういう観点も言及していただけるとよいかと思います。

【委員長】 ほかには。では、○○委員。

【○○委員】 先ほど蓄電池の話が出ましたけれども、やはり太陽光発電に関しましては、夜間は機能しないわけですから、避難所等の機能を果たすためには蓄電池は必須のアイテムになると考えております。
 それと、熱に関しては、サステナブルタウン調査によりますと、これは未検討となっていますけれども、今回の大震災で仙台は3月11日に地震が来たわけですけれども、夜間はあの時期はまだ寒かったんです。そうすると、熱というのは非常に大事なエネルギーになりますので、できれば蓄熱の観点でも検討をお願いできればと思います。

【委員長】 本日の資料2第1章②のエネルギー自立度にある「熱は未検討」というのは、サステナブルタウン調査で検討したはずですよね。

【○○委員】 引用されているサステナブルタウン調査では、空調需要は考慮してカウントしておりますが、給湯温水需要の熱については、そこはまだ入っていなかったです。

【委員長】 そうですか。これはぜひ。○○委員のご指摘はごもっともで。それで、緊急時に電力は情報系で必要なわけです。それで、生活のライフラインという意味では熱のほうが大事なこともあるわけなんです。ですから、暖房、給湯で。エネルギー自立度を多少熱に関しては、先ほど○○委員も言いましたけれども、自然室温が十分になる断熱をすれば、通常のやつに比べてある程度暖房したと同じ程度の室内気温を得られるわけです。だから、それは熱的には自立度を向上させているわけで、多少そういう幅の広い視点からの自立度を言っていただいて、だから、今の○○委員のご指摘も受けて、自立度は電力系の自立度と熱系の自立度と2つ分けて定義して説明されたほうが学校の防災機能等の向上という意味ではより受け入れられやすいと思います。
 いかがでしょうか。
 最初の資料の前半も含めて、ご意見ございましたら、どうぞご自由にご発言ください。
 ちょっと私のほうからお聞きしたいんですが、先ほどの前半の話で、外断熱と内断熱のシミュレーション、あれは年間シミュレーションをやったわけでございますか。

【○○委員】 はい。

【委員長】 学校の場合、オフィスなどに比べるとわりあい運転時間が短いですね。その場合でもやはり外断熱のほうがああいうふうに有利になりますか。

【○○委員】 はい、内断熱よりはやはり外断熱のほうが。

【委員長】 そうですか。

【○○委員】 ただガラス窓が多いということも1つの理由なので、外断熱でも窓の部分というのは関係ないので、そういう事務所ビルよりも影響度が少し下がってしまうというのがどうしてもあります。

【委員長】 そうですか。はい。

【○○委員】 済みません、もう1個。室内環境の質の向上といいますか、そのメリット、便益というんでしょうか、例えば断熱や日射遮へいがきちんとして教室の環境がいいと、1つは児童・生徒の病気で休む割合、欠席率が減るとか、あるいは授業に集中できて学習効率が上がるとか、実はまだエビデンスが十分でないところはあるんですが、以前愛媛の学校でエコ改修前後の比較とか、それをしなかった同じ教育委員会内のほかの既存の学校の10校の比較をした結果というのが、今後建築学会の論文集に掲載される予定なので、多少そういうもので使えるところがあれば、要は、ゼロエネルギー化を図ることで室内環境がよくなると、学習効率としてどのぐらいの向上が見込めるかとか、児童・生徒の健康に対してもどのぐらいいいかというのが少し使える材料になり得るかと思っていますので、参考までに。

【委員長】 ありがとうございました。大変貴重なご意見です。
 経済性ということをきちんと考えるということでございましたけれども、今の、いわゆるクオリティーの向上がやはり金額換算できて、それはエビデンスも多少あるんですけれども、そういう意味で経済性を各段に有利にするわけです。そういう側面も記述的でもいいから入れておいていただけるとありがたいと思います。
 よろしゅうございますか。
 それでは、あと、今後のスケジュールがございますね。それをご説明ください。

【事務局】 はい。そうしましたら、お手元の配付資料3でございます。今後のスケジュール案をご覧ください。本日の会議では、先ほどのシミュレーションの検討状況及び報告書骨子案のご審議をいただいたところでございますが、次回、第3回では、本日のご意見を踏まえて検討いたしました内容、いわゆる加筆・修正を加えさせていただいたものと、それからシミュレーション結果及び報告書案をご提示させていただければというふうに思っております。その際、報告書に基づきまして、今後作成を考えておりますガイドラインの構成案的なものにつきましてもご報告できればというふうに考えているところでございます。
 なお、開催時期につきましては、後日日程調整をさせていただきたいというふうに考えておりますが、おおむね4月中旬から下旬を予定させていただいております。その後、報告書の作成を5月上旬から中旬、ガイドラインの作成を5月中旬から下旬という形で進めてまいりまして、整いましたら公表させていただきたいというふうに考えております。ガイドラインの公表後は両省におきまして、今後開催する各種会議や講習会などで普及・啓発に努めていければというふうに考えているところでございます。
 今後のスケジュール案につきましては以上でございます。

【委員長】 ありがとうございます。これに関しまして先生方、何かご意見、ご質問ございますでしょうか。

【事務局】 事務局から補足させていただきます。
 今日もご審議いただきました中でCASBEEの話も出ました。エネルギーというタイトルをつけているものですから、どうしてもエネルギー重視にとられるんですが、やはり環境全般のことについても、少なくとも報告書あるいは普及資料の中では示していきたいと思っています。また、事務局には、例えば節水の技術の話などについてご提案も届いておりますので、そういったものも盛り込んで最終案をお示ししたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【○○委員】 あと、これは今回の枠組とは違うのかもしれませんけれども、学校を構成する施設として、例えばあと給食室とか、それはかなり熱を使う施設があります。それから、個別の件としては、例えばプールを温水化しよう。都市部で立体的につくろうとするときに地下にプールを入れるとか、そういう場合には、ではどのぐらいのエネルギー消費があって、どういうふうにまた運営的に対応していけばいいか。そういうオプショナルというか、そういうケースについても、ある学校は例外とするということではなくて、それを包含できるような形の取りまとめができるといいと思います。あるいは、もう少し特殊な例では、例えば防音校舎のようなものがあります。それはちょっと違うということかもしれませんけれども、それについてこういう姿勢でこの報告書はとらえているというようなあたりのことが説明できるような形にはしておく必要があるかと思います。

【委員長】 はい、ありがとうございます。
 ちょっと思い出したんですけれども、○○委員に聞きたいんですけれども、このエネルギーの話、需要と供給があって、主に需要の話だと思うんですけれども、太陽光発電は供給かと思うんですけれども、分散型エネルギーの話があまり出なかったんですけれども、それはどんなふうな位置づけでございますか。

【○○委員】 今○○先生からご指摘がありましたとおり、今回は標準的なケースという設定にして、熱があまり需要がない学校を検討したのでこうなっているんですけれども、今ご指摘があったとおり、給食室がある場合ですとかということを考えたときに、そういうようなものというのは当然1つのアイテムとして考えられますので、次回までには省エネルギー的な視点も含めて何かしらの1ケースがお示しできればと思っています。電源供給側ということも、同時になりますけれども。

【委員長】 ありがとうございます。どうぞ。

【○○委員】 済みません。もう一言だけ申し上げますと、今度のこの中でもそうですが、新しく学校を復興するときに複合してつくる。複合して地域の核とするというような考え方が示されていますけれども、そういう場合に単体の施設の計画とどういう違いがあるか、あるいはどういう設計的な工夫が必要かという、その辺も押さえておいていただけるといいと思います。

【委員長】 そうですか。複合施設の学校というのはこれからできるんですか。

【○○委員】 この緊急提言の中では、要するに地域生活を支える基盤が全部失われているということで、それを学校を核にして複合するというイメージが1つのタイプとして示されています。

【委員長】 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、先生方、大変貴重なご意見、実に多様なご意見だと思いますが、○○委員と○○委員、幾つか宿題が出たかと思いますけれども、よろしくご検討お願いします。
 それでは事務局に進行を返します。よろしくお願いします。

【事務局】 はい、そうしましたら、特に何かございますでしょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。
 ございませんようでしたら、本日の会議はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。
 
── 了 ──

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