資料3 木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)に係る検討課題(案)

1.基本的な視点

木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)(以下「本JIS規格」という。)については、
 ・昭和58年改正以降、大幅な見直しを行っていない
 ・公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の施行
などの状況を踏まえ、次の基本的な視点に基づき検討する。 

視点1:現在の学校施設づくりに対応しているか。

 ・平面形状等は、本JIS規格制定時(昭和31年)より変更されておらず、現在の教育活動等の実態に即しているか。

視点2:現在の木造技術に対応しているか。

 ・本JIS規格の木質構造に係る考え方が、現在木造建築に用いられている構法や材料等に対応しているか。

視点3:関係法令等の動向に対応しているか。

 ・関係法令や各種基準等の昭和58年改正以降の動向と整合が取れているか。また、今後の動向を踏まえた対応をどのように考えるか。

視点4:学校施設での木材利用の促進に資するか。

 ・木造校舎の設計上の課題である構造計画について、課題解決の方策を示すことにより、木造校舎に取組みやすい環境を作ることはできないか。

 なお、検討に際しては、本JIS規格が建築基準法施行令第48条第2項第2号により、同条第1項の規定が適用されないことに留意する。

2.検討すべき課題

 基本的な視点に基づき、本JIS規格に係る検討すべき課題は次のとおり。
 (  四角囲み  は、本JIS規格における規定や解説等)

(1)本JIS規格のねらい

 ○木造校舎に取組みやすい環境づくり
  公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の施行

昭和58年6月10日改正時解説(抄)
 1.1 規格のねらい
 そこで学校建物の構造標準を定めて、これによって設計することにすれば、建築技術者の不足している地方でも建設に際しての困難さが取り除かれ、設計が簡単で早くなり、施工も確実に行われ、資材を合理的に節約できるので、工費も安く、しかも丈夫な安全度の高い、かつ比較的質の良い学校が建設されることになる。

 

(2)階数

 ○3階建て校舎への対応
  3階建ての木造の校舎に係る防火規制の見直しの検討のため、国土交通省において実証実験を実施中

JIS A 3301(抄)
 1.適用範囲
 この規格は、2階建て及び平屋建ての木造校舎の構造設計標準に規定する。

 

(3)形状及び大きさ

 ○多様な学習形態、弾力的な集団による活動への対応
  一斉指導による学習以外に、ティームティーチングによる学習、個別学習、少人数指導による学習、グループ学習などの学習形態
  多様な教育活動に柔軟に対応できる多目的教室等
   (昭和59年度から多目的スペースの国庫補助開始)
  多様な計画・設計の学校施設の増加

JIS A 3301(抄)
 2.形状及び大きさ
 室及び廊下の形状及び大きさは、表1に示す甲、乙、丙及び丁とする。(表1略)

昭和58年6月10日改正時解説(抄)
2.4.1 木造校舎の構造計画
 一般に教室のあり方は、けた行方向の片側に廊下が付いた一定面積の長方形を有し、平屋建て又は2階建てのいずれかの形式に属する。特別教室などの大形教室の必要に対しては、教室と廊下の間仕切壁を除いて拡大された長方形とし、これをむねの端部に配置する。校舎の完成された平面形式は、これら教室群のほかに、昇降口、階段室、更には教員室、校長室、応接室その他管理関係の諸室があり、むねが長いと防火壁が設けられる。

2.5 本文の解説
(2) 2.形状及び大きさ
 (c) 形状甲 この形状は、昔のJES*1で規定した室の大きさ6×10mを基礎にしたものである。(略)
    廊下の幅は、建築基準法で有効幅1.80mが必要なので、最低を壁心2.00mとり、ロッカーなどを廊下に設けることを考慮し、最高2.50mまで広げることができるようにしてある。
 (d) 形状乙 甲の幅の室が廊下で連結され、一むねになっているとき、そのむねの端部の室(突き当たりの室)は廊下がなくてもよいので、この乙の形式になる。そのほか特別教室、実習室などで幅の広い室が欲しいときに、この形式が使える。(略)
 (e) 形状丙 この形状は、4×5間の大きさの室を基礎にしたものである。(略)
    廊下の幅は、有効幅1.80mを確保するため、最低壁心2.00mとし、約1間半まで広げられるように最高2.70mとした(昭和31年6月20日制定の規格では2.75m)。
 (f) 形状丁 丁の丙に対する関係は、乙の甲に対する関係と同じである。(略)

(事務局注釈)
*1 日本建築規格

 

 ○階高設定
  平成17年11月の建築基準法施行令改正により、学校の教室の天井高さに係る基準(3.0m以上)が撤廃
  夏の暑さ対策等による教室等への冷暖房設備の設置
  コンピュータ、プロジェクタ等の情報機器の利用

昭和58年6月10日改正時解説(抄)
 2.5 本文の解説
(2) 2.形状及び大きさ
 (g) 床高と階高 (略)
    階高は、平家建てにあっては3.50mを、2階建てにあっては1階、2階共に3.65mを最高とし、各形状に応じ階高の最大値を定めている。

 

(4)構造計算の方法と部材断面の決定

 ○現行の関連する各種基準等との関係
  日本建築学会「木質構造設計基準(2006年版)」
  日本農林規格「製材の日本農林規格(平成19年8月)」他

昭和58年6月10日改正時解説(抄)
 2.4.2 この規格における構造計画
(4) 構造計算の方法と部材断面の決定 構造計算及び断面算定の方針は、日本建築学会“木構造設計基準”の示すところによったものである。
  断面算定の際に用いた木材の許容応力度の値は、すべて建築基準法施行令に示すつぎのそれによった。部材断面決定に当たっては、次のような方針をとり、又は考慮を払った。
 (a) 使用断面寸法は、原則として用材の日本農林規格中の“針葉樹の製材の建築用標準寸法”によったが、一部柱材のように同寸法のものを数多く用いるものでは、経済的観点から上記標準寸法以外のものも用いた。
 (以下略)

 

(5)その他

 ○木質構造に係る各種事項との関係
  国土交通省「木造計画・設計基準」の制定
  構法
  材料
  混合構造 など

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