学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(第12回)・老朽化対策検討特別部会(第5回)合同会議 議事要旨

1.日時

平成24年8月27日(月曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 東館3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」中間まとめ案について
  2. 「学校施設整備基本構想の在り方について(仮称)」中間まとめ案について
  3. その他

4.出席者

委員

【委員】相川敬、岩井雄一、上野淳、海野剛志、衛藤隆、工藤和美、杉山武彦、高際伊都子、長澤悟、中澤正人、成田幸夫、坊野美代子、松村和子、山重慎二、山崎茂、安間正伸、伊香賀俊治、木村秀夫、小松幸夫、菅原麻衣子、丹羽範夫、望月伸一、柳原聡、山本康友(敬称略)
【特別協力者】齋藤福栄、屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】清木文教施設企画部長、長坂文教施設企画部技術参事官、新保施設企画課長、串田施設助成課長、富田施設助成課企画官、野口施設企画課企画調整官、深堀施設企画課長補佐、齋藤施設助成課長補佐、高見施設助成課長補佐、中島参事官補佐、廣田施設企画課防災推進室専門官

オブザーバー

【生涯学習政策局】(政策課)黄地課長補佐
【高等教育局】(私学部私学助成課)後藤専門官
【スポーツ・青少年局】(スポーツ・青少年企画課)大石施設係長

5.議事要旨

(○:委員の発言、●:事務局の発言)

・杉山主査より挨拶、事務局より配布資料の説明。

(1)「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」の中間まとめ(案)について

・上野部会長より資料1に基づき「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」中間まとめ案の概要について、事務局より詳細について説明

○17ページの推計について、今後30年間、毎年1兆円の改修・改築の費用が必要だというのは、今の財政状況を考えると非現実的ではないか。限られた予算の中でどうやって進めていくかを考える必要があり、費用を押し下げるような方法も考えなければならない。

○直近の10年で年間8,000億円としているが、これは耐震化の費用がかなり入っており、既に耐震化が90%まで達成されているため、今後その予算が出ないとなると、維持更新に関しては更に予算が減っていく可能性があるということになる。
 したがって、長寿命化は一つの答えだが、長寿命化だけではなくて活用のあり方を柔軟に考えていくことが必要。

○将来の推計について、学校数の過去20年の減少を参考に、30年間で面積が15%減少するとしているが、過去20年は学校数の減少であって、面積はあまり減っていない。例えば学校を統廃合する場合、小さな規模の学校が減って大きな学校が残る傾向があり、あまり面積は減らないため、この推計の条件が適切であるか検討が必要。

○全国の校長協会で調査を毎年行っているが、その中で高等学校の老朽化に対する予算要望が年々増えてきており、当然、小中学校の少し後に子供が増えたときに高等学校を作っているので、次に来るのは高等学校も同じ形と考えられる。
 子供が減るという方向での検討は全国的にはそうかもしれないが、例えば東京都に関しては増えており、公立学校で言えばここ数年ずっと、50学級とか30学級とかの学級増を繰り返して、まだあと10年ぐらいは続くという推計になっており、地域とか社会状況の変化によっては随分変わっていくと思う。ここでは小中学校の問題かと思うが、その先に来る高等学校の課題についても触れてもらえるとよいと思う。

○障害がある児童生徒が非常に増えていて、大規模校化したり、あるいは通常の学校のストックを特別支援学校にコンバージョンしたりするようなケースも増えている。高等学校についても、市町村というよりはむしろ都道府県としてそういう学校のストックをどう考えていただくかということについて検討することも必要。

○時間がたった建物というのは老朽化というマイナスの面だけではなく、一つの価値をため込んだ存在としての捉え方もある。
 例えば昭和57年に新耐震基準が始まり、学校建築については昭和60年ぐらいから新しい、多様な教育方法等に対応する学校施設のあり方ということで施設的な整備が進められ、制度的な支援も作られてきているという背景の中で、それ以前とそれ以後の建物とで若干扱いが違うのではないか。

○老朽校舎の改修ということだが、改築へ向けての的確な判断について示せないか。
 例えば、ある時期に継ぎ足して建設された建物というのは、改修で対応するというのは機能的に不具合を持ち越すことになるケースもあるとか、あるいは、現行の建築基準法等への対応を計画的に考えた時に改築という判断がなされることもあり得ると思うが、その可能性を伺えるような書き方ができないか。

○耐震補強の場合には、補強だけとにかく急いで行われてきて、なかなか質的な整備が伴ってこなかったという現状がある。それに対して今回の老朽化対応というのは、それとは違って、新しく学校づくりをする場合と同様のプロセスや目標設定が必要。

○子供の数に応じて学校の面積、数が減っていくだろうという話があったが、一方で地域の核としての学校の役割ということが現在では議論されており、単に子供の数が減ったから建物をなくそうという話ではなく、学校ではなくなっても、その施設自体が地域の核としての役割を果たし続けていくということを明記することが必要ではないか。

○学校施設整備が急速に進められた40年代というのは、木造建築が禁止されていた時期で、この時期の建物はほとんど木造もなく、木の活用というのが進んでない建物であるため、整備の目指すべき目標の記載の中で、木材の活用についても明記するとよいのではないか。

○新設で新しいものを建てるというと、できてすごくよかったという意見になるが、老朽化のように、実は表はよく見えない、でも配管やその他のところを直すというと、見に来たときに、どこがきれいになったのかと言われ、実施した内容がなかなか伝わりにくい。取組の成果がきちんと見えるということが、いわゆる地域の方々や、一般の方々にとっても重要。

○長寿命化のための大規模な改修をメインで想定していると思うが、実際、自治体では、トイレ改修やプール改修など、目立たない改修もやっている。
 今回改築に替えて長寿命化をやっていくという方針が強く打ち出されれば、それで脚光を浴びるが、その陰で、地味にトイレだけを改修するようなこともやっていくことになる。そうすると、改修工事の予算というのは自治体の中で軽く見られて、予算を削るときには、真っ先に削られてしまうというような側面もある。

○今回の報告の中で、長寿命化ということが、かなり大きなウエートがあると思うが、新たに建てるものがゼロということはない。新しく建てる場合は、百年の計をもって基本の設計をすることが必要。
 ある自治体では、財政的に、40年ごとの改築はできずに、その建物を使いながら全面改修ということで、30年以降に全面改修しながら使い続けているというのが現状。
 したがって、幾つかの方向の中で「長寿命化」と書いているが、老朽化対策の中で、全面改修しながら使い続けるということと、新しく建てる場合は100年もつコンセプトの中で建てるということの2つを分けて考えることが重要。

(2)「学校施設整備基本構想の在り方について(仮称)」中間まとめ(案)について

・  上野部会長により資料2-1に沿って「学校施設基本構想の在り方について(仮称)」中間まとめ(案)の概要説明
・  事務局より資料2-2に沿って「学校施設基本構想の在り方について(仮称)」中間まとめ(案)の前回の会議からの変更点について説明

○基本構想の計画期間はどの程度を想定しているのか。

●基本的には、基本構想を策定する際の基となる教育振興基本計画などの上位計画と連動すると思うので、それら上位の計画の多くの場合と同様、5年程度を想定している。

○事例を収集する際は、都道府県が作る高等学校に関する計画について、私立学校の折り込み方の参考にもなるので取り上げて欲しい。

●いい事例があれば掲載する予定。

○小規模の自治体でも作れるような簡易版の事例についても示して欲しい。 

●現状では幾つか学校を持っている自治体をイメージとして書いているが、そのような小規模自治体の場合の対応について検討してみたい。

○小規模で管理している自治体が多数。この構想に加えて何か示していただきたい。また私学で、幾つかの系列校があっても単位が一つ一つというところもあるため、少し整理すべき。

○計画期間などについて、同時期に公表される「学校施設老朽化対策ビジョン」との整合を取る必要があるのではないか。関係を整理した方がよいのではないか。
 私立学校担当者などにも当事者意識を持ってもらうため、公立小中学校以外の様々な分野もカバーすることが分かるように記述した方がよいのではないか。

●この提言は設置者向けに出しているものであるので、各設置者に当事者意識をもっていただけるよう工夫したい。
 学校施設整備基本構想と学校施設老朽化対策ビジョンは市町村等域内全体を見据えてPDCAサイクルに基づいて点検・評価を行い、中長期的に検討していくという意味で共通している。学校施設基本構想は老朽だけでなく、新築等も含め全体を包含しており、また、点検・評価し検討していくプロセスや地域性等についても説明しているものである。
 学校施設老朽化対策ビジョンも基本的にはこのプロセスに乗っかっているが、劣化状況の現状把握や目標耐用年数等々の老朽化対策特有の課題等を老朽化対策の現状等も含めて専門的に解説いただいているものである。

○中間まとめに「域内において、体育施設や文化施設、図書館等の学校以外の文教施設との連携・複合化」とあるが、学校施設だけで対応困難なものは域内全体で、公共、民間を問わず活用できるものは活用し、学校の高度化・多機能化を図るということか。

●すべからくそうすべきということではなく、学校施設と社会教育施設を組み合わせることにより高度化も図られるという観点もあるだろうという見解。域内の学校を一律に整備するだけではなくて、域内におけるブロック単位の視点というのもあるのではないか。

○そうすると、例えば公共の音楽ホール等があれば、それを活用していくということも考えるということか。

●そのように考えている。

○学校施設整備において、教育活動への適応のために具体的にどのような整備をすべきか示すことは重要。13ページに記述のある多目的スペースの事例などについては、効率性の観点から記述するのではなく、教育活動の観点で記述すべきではないか。

○教育振興基本計画を受けて、域内の学校施設において全体としてどう基本構想を組み立てるかということについてのモデルなりマニュアルを示すことが主である。別表において、ソフトと連携したハードの整備の事例について充実していく予定である。 

○児童・生徒の年齢に応じて、何時の時代にも必要な不易の部分を考えつつ、今の教育のニーズに合わせた流行の部分と両方を押さえていることがわかるような例示があるといい。

○学校施設整備基本構想と、個々の学校施設の整備との関係について、記述すべきではないか。
 特に、公平性の下に、充実した学校施設を整備することが抑制されることがあるが、そのようなことがないよう記述して欲しい。
 10ページの(3)コーディネータの項目について、「必ずしも建築の専門家でなくてもよく」はあえて記述する必要がないのではないか。
 基本構想の検討体制における教育委員の扱いについて検討すべきではないか。

(3)その他

1.東日本大震災における教訓等を踏まえた今後の学校施設の整備に関する検討部会(仮称)について

・事務局より資料3に沿って東日本大震災における教訓等を踏まえた今後の学校施設の整備に関する検討部会(仮称)について説明

2.学校施設における非構造部材の耐震対策の検討状況について

・事務局より学校施設における非構造部材の耐震対策の検討状況について説明

○東日本大震災では、大変強い揺れに多くの小中学校での天井の落下が極めて心配された。
 また体育館が避難所になったが打ち続く余震で天井材の崩落の危険性が高まり、やむを得ず避難所を別の避難所に移したというケースもあった。
 加えて、天井材だけでなく什器備品の移動や落下について、阪神・淡路大震災のときにも大変多くの事例が報告されている。これに関しても検証していただきたい。

・事務局より今後のスケジュールについて説明

以上

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課(会議全般と学校施設整備基本構想について)

指導第一係
電話番号:03-5253-4111(内線2291)

大臣官房文教施設企画部施設助成課(老朽化対策検討特別部会と学校施設老朽化対策ビジョンについて)

調査係
電話番号:03-5253-4111(内線2078)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)