学校施設と他の公共施設等との複合化検討部会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成27年2月16日(月曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 学校施設と他の公共施設等の複合化に係る多様な観点からの検討(委員からのプレゼンテーション)
  2. 本部会の取りまとめの方向性について
  3. その他

4.議事要旨

(○:委員の発言,●:事務局の発言)

・事務局より,参考2に沿って,公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引における複合化関係の記載内容について説明。
・萩本委員より,資料1に沿って,京都御池創生館における取組を踏まえた複合施設の可能性と課題について説明。
・小野田教授より,資料2に沿って,震災復興における学校再生の取組について説明。
・倉斗助教より,資料3に沿って,学校施設を生かした公共施設複合化について説明。

○新たに御池中に着任した先生は,どのようにしてこのような特徴のある中学校施設になじめるのか。

○御池中のことは市内の他の学校の先生にもよく知られるようになってきたので,なじみやすい部分はあると思う。しかし,御池中においては普通の先生は聞いたことのないような用語が出てくることが多いので,着任した先生には本日のプレゼンテーションのような内容を伝えるようにしている。
 また,中学校であり,小学6年生もいる学校でもあり,また,保育園の園庭からすぐにグラウンドに出てこられるようになっている。つまり,中学生だけでないのが日常の光景となっていて,先生も生徒も当たり前のこととして受け入れているのではないかと思う。

○複合化した学校施設において動線の厳格な区分が必要かどうかについては,今後,本部会で議論する必要があると思うが,校長としてこの点についてどのように考えるか。

○グラウンドを誰がどの時間使うかといったことは,かなり綿密に調整を行っている。

○復興まちづくりの中で学校再建をしていく際,想定したほど元の住民が戻ってこない可能性がある一方で,学校の再建をしなければ人が戻ってきにくい状況がある。計画想定よりも児童生徒が戻ってこない、または想定以上に戻って来る、その後の高齢化で学校施設に余裕が生じる等,学校の規模想定は難しい側面があると思う。そのような中、将来的に学校と他の公共施設との複合化はどのように想定していけばよいか。

○将来的には,児童生徒数の減少により,教室が余る場合も想定されるため,なるべく効率的で効果的な施設となるよう施設規模の調整をしている。一方で,複合施設を建てる場合のプロセスとして,それぞれの管理予定者の意見を聴いた結果,共用スペースを定めずに,各々のスペースを別々に確保する傾向にある。その結果として、規模の大きい施設となりやすいというのが正直な印象である。
 今後,復興が一段落した後には,整備した施設をどのように維持管理していくのかという議論が起きるのではないかと考えている。

○東日本大震災被災地における複合化した学校施設の整備などにより,社会的なコストなども含む中長期的なコストは削減されると考えられるか。

○教育委員会が管理している施設と,首長部局が管理している施設が別系統になっていることが多く,全体でどのようにマネジメントしていくのかという戦略を立てることが難しく,全体的なコスト削減ができているとは言い難い。
 また,学校施設の場合は,廃校活用の際も学区内の地域住民の意見を聴きながら進めていく必要があり,民間にとってはリスクが多いため参入しにくいという面がある。まちづくり会社などがリスクを調整して配分するような形でないと,うまく活用が進まないのではないかと考える。このような取組を進めるためには,行政財産としての学校施設の活用方法について,教育委員会と首長部局が一体となって考えることが重要である。

○地域の学びの拠点として,教育の質の向上を伴う学校施設の複合化が実現するための共通解はあるのだろうか。

○基本的に,共通解はなく,個別解だと考える。豊北中学校などでは,地域住民が学びの拠点として集まれるようなところをつくろうという純粋な思いで,学校施設が作られている印象を持っている。一方で,ニュータウンで複合化した芦原小学校については,動線が分離できるよう設計された学校施設を,校長先生が地域住民と話し合いながら,地域に開くようにしている。いずれの事例からも,複合化には地域の力が重要だと感じる。

○都市部では防犯面を重視し,動線が分離できるよう整備することが求められる一方,地方では,学校と地域が交流する場所とすることを重視することが多いという傾向があるが,実際に地域の実態を踏まえて検討することが重要ということか。

○その通りである。施設の設計や管理運営の検討に地域住民を巻き込むことにより,地域住民が,安全面なども含めて,学校施設との複合化をどのようにすると良いか考えてくれるような状況を作っていくことが重要である。

○これまで議論のあったとおり,学校の規模や地域性によって,学校施設の複合化の計画・設計上の留意事項が異なると考えられる。この辺りをうまく報告書に表現していく必要がある。

・事務局より,資料4,5に沿って,本部会の取りまとめの方向性及び報告書目次(たたき台)について説明。

○プレゼンテーションの中でも,学校づくりはまちづくり,地域力が学校づくりと示されていたとおりで,コミュニティ形成を考えて学校づくりを進めるべきである。そのため,取りまとめの方向性について,コミュニティ形成と防犯の記述で文を分けた方が良いと思う。

○報告書の事例紹介の中では,視察の事例だけでなく,各委員からのプレゼンテーションの事例も含めて紹介できないか。

○事例については,別冊で事例集を作っても良いかもしれない。

○取りまとめの方向性について,社会教育の立場からすると,地域と学校が一緒に活動し,地域住民に学校教育への関心を持ってもらうことが重要であり,そこまで踏み込んで記載していただきたい。
 また,複合化している学校において,学校支援地域本部のような地域連携の活動に深みが出てくるとすればそれは非常に良いことだと思う。

○複合化した施設における地域との連携は非常に重要であると考える。下関市の豊北中学校は,中学校校舎の中心に公立図書館があり,また,志木小学校は地域の図書館分館の脇に広めの児童書コーナーがある。各施設の配置によって地域との連携のしやすさが変わると考えられるが,一方で,防犯や動線上の問題も併せて考える必要がある。
○学校施設と社会教育施設との複合化の場合に,社会教育施設の利用に必要な手続と,家庭教室などの学校開放の利用に必要な手続が異なるというのは,一つの課題であると感じている。このようなことにも気を遣いながら報告書を作ると良いのではないか。

○報告書本文には,通学区域や学校施設と複合化する施設の利用圏域についても記載すると良いと考える。
○効率的な施設運営の観点に,民間を活用した施設運営についても追加してはどうか。

○複合化の効果として,地域の拠点施設となることや,まちづくりへの貢献などについて記載していく必要があると考える。
○各自治体が資金難の中でも学校施設を整備していくためには,学校施設の利用効率をいかに上げていくかが重要であり,そのため,民間資金を入れていくことも重要と考える。

○取りまとめの方向性について,「設置者の判断で複合化」という表現が多く,文部科学省としては複合化をあまりお勧めしないように見えてしまう。もう少し複合化の取組を前進させるニュアンスを出した方が良いと考える。

●学校施設の複合化は,直ちに国が推進するということではなく,地域の実情に応じて,各学校設置者が効果的で効率的な施設整備を行うための一つの選択肢であるという趣旨を含ませて「取りまとめの方向性(案)」を提示させていただいた。

○都市部における複合化の背景やその取組と,地方における背景やその取組はかなり違うと感じるので,読む側の立場に立つと,都市部と地方のことを分けて記載できると良いのではないかと考える。
○都市部では,学校施設と複合化した保育所などを,高齢者施設に転用する需要も出てくるのではないかと思う。そのため,将来転用しやすいように計画することについても記載した方が良いと考える。
○動線の分離について考える際に,例えば,物理的に動線を分けられるようにしておくが,実際に使う際は分離せずに一体的に使うというような対応方法もあると考えることから,ハードとソフトはある程度分けて議論できれば良いのではないかと考える。

・事務局より,資料6に沿って,今後のスケジュールについて説明。

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