参考資料1 本部会におけるこれまでの主な意見

※本部会の報告書骨子案を参考に整理
※点線は前回部会の意見を示す

1.背景
○ 学校は、教育の場であると同時に、地域にとっての学校という面も重要であり、施設の在り方というのは、この両面を考えていくことが非常に重要である。(部会第4回)
○ 小学校と中学校ではシステムが異なるだけでなく、学校文化が大きく異なっており、子供たちの教育や生活に対する考え方に差がある。多数の小中一貫教育を実施する学校において、この差をどのようにしてつなぐかという議論が行われている。(部会第4回)
○ 小学校には、地域の中で地域の人が関わって、将来地域を担う子供たちを育てるという面がある。一方、中学校になると、教育目標として部活などを通してより幅広い体験や集団生活を経験することが重要となる。施設を一体的にする場合、このような違いを理解しておく必要がある。(部会第4回)

2.小中一貫教育を実施する学校施設の現状、課題
○ 一般的に学校というのは、地域の中で、その地域の風景をつくってきた。学校のボリュ-ムが大きなものになると、地域に対して圧迫感があり親しみが持てなくなってしまう。(部会第1回)
○ 視察において、小学校6年から中学校3年へ移行するときの中1ギャップを解消するため、他の学年で区切るなど様々な工夫をしていることが確認できた。(部会第2回)
○ 学年区分4-3-2の校舎のゾ-ニングについて、4年生と5年生の区分はよく考えられているが、7年生と8年生の区分は施設上の特色が余りない場合が多い。(部会第2回)
○ 中学生や小学校高学年の児童はチャイムにより、時間割に沿って行動することができるが、比較的低学年の児童にとっては難しい。そのため、小中共用の特別教室等の受渡しをスム-ズにできるよう、小学生児童には早めに時間に沿って行動できる能力をつけさせる必要がある。(部会第2回)
○ 少子化が進んでいる地域では、小中一貫教育と学校の統廃合を関連付けて考えているところもある。こうした地域では、コミュニティ・スク-ルを考えていくことが必要ではないか。(部会第3回)
○ 学校規模の違いによって、施設整備上の課題や教育内容、地域との関わり方が大きく異なり、施設をどう整備するかということも変わってくる。規模によって情報を分けて提供できると学校設置者が参考にしやすい。小規模校の方がニ-ズは多いと思われる。(部会第4回)

3.小中一貫教育を効果的に実施するための学校施設の在り方
(1)基本的考え方
(小中一貫教育の効果的な実施)
○ 教育課程に校舎が対応していなければ、本来の小中一貫教育はできず、9年間で何を子供たちに学ばせたいのかという大きな基本理念が、どうしても中途半端になる傾向がある。(部会第2回)
○ 小中一貫教育を実施する学校の整備に当たっては、教育目標など基本計画を立て、それに基づいた学校施設の整備が必要であることを明記すべきである。(部会第3回)
○ 小中一貫教育を実施する学校については、9年間の一貫した教育をどのようにするかという教育像を明確にし、それを念頭においた施設造りを行うことが重要である。(部会第4回)
○ 小中一貫教育は、9年間の教育の一貫性や流れを作ることが主目的であり、整備においては一体化した方がよいものと、段階に合わせて区分した方がよいものがあると考えられる。9年間の教育像を踏まえ、どちらを採用する方がよいのか検討することを設計の基本的な考え方として記載した方がよい。(部会第4回)

(地域との連携)
○ いろいろな公共施設の配置を整理せざるを得ない状況において、学校がつくりだす地域のコミュニティの考え方や、コミュニティ単位と学区の関係をどのように考えていくかという視点が重要である。(部会第2回)
○ 保護者や地域住民の意見が学校教育に反映されやすい場として学校運営協議会などを設置することが重要ではないか。(部会第3回)
○ 地域コミュニティの核として、地域ぐるみ、社会全体で子供を育てるという観点から、小中一貫教育を実施する学校を捉えていくことが大変重要である。(部会第4回)

(2)施設の計画・設計上の主な留意事項
(全般)
○ 小中一貫教育を実施する学校の学校施設の在り方については、より詳細に記載する方がよい。例えば、地域の方との結びつきを良くすることで、よりよい環境づくりに繋がることや、9年間同じ場所にあることの利点について示すことができるとよい。(部会第3回)
○ 既存の施設を活用した小中一貫教育を実施する学校が増えていることもあり、施設上の留意点について、何があり、どのようにクリアしたらよいのか、特例的なことを含め示すべき。(部会第4回)

(計画・設計プロセスの構築)
○ 財政的にどのような効果が期待できるのか整理しておくことも有効ではないか。(協力者会議第14回)
○ 検討体制のメンバ-構成ごとの成果や問題点を整理できるとよい。(部会第3回)
○ 広く学校関係者が参画する場の設定について、全体的にどういう傾向にあるか、これらの学校施設が上手く機能しているのかということも確認した方がよい。(部会第3回)
○ 計画段階で心配していたことが、運用段階において心配していたとおりになる場合もあれば、ある対応を取ることでスム-ズになる場合もある。このような施設との関わりについても考えておく必要がある。(部会第4回)
○ どのようなプロセスで整備したか、地域との合意形成の仕方などについての記載があると非常に参考になる。(部会第4回)

(学校規模の設定)
○ 小中一貫教育のための施設の在り方を検討するに当たっては、規模設定が重要である。これまでの経験から、学校の規模により子供同士の交流に差がでるということを感じている。(部会第1回)
○ 将来、少子化で廃校になった時のことを見据え、学校から別の用途に転用することも考えておく必要があるのではないか。(部会第1回)
○ 学校規模による教職員への負担や、授業時間数による特別教室の数についても検討が必要。(協力者会議第14回)
○ 児童生徒数の変動について考慮すべき。(協力者会議第14回)

(校地選定と配置計画)
○ 部活動の円滑な実施のための施設面での工夫について、学校施設の規模によって、小学校と中学校で体育館を分ける必要があったり、共有でも問題が無かったりする。(部会第3回)

(教育課程にふさわしい空間構成、施設機能の確保)
○ 学年段階の区切りの決め方などによって、施設のプランニングの考え方が変わる。(協力者会議第14回)
○ 学年段階の区切りについて、区切りの節を明確にすることで、その節が子供たちの生活におけるアクセントになる。(部会第2回)
○ 1階にある低学年用教室では、入口がベランダ側にあり、そこに教師コ-ナ-があることで、子供たちの動きがよく見える工夫が施されている例がある。(部会第2回)
○ 小学校と中学校の時間割の違いによる音の問題については、ゾ-ニングをしっかり計画することが必要。(部会第2回)
○ 中学校には試験期間があることに配慮して、うまく小学生と分ける工夫が必要。(部会第2回)
○ 施設一体型校舎であることの意義を生かすために、どのような施設・スペ-スが新たに必要なのか検討が必要。(協力者会議第15回)
○ 学年段階の区切りとゾ-ニングが一致していることが重要であるという趣旨のことが書いてあるが、小中一貫教育はまだ試行錯誤の段階であるので、フレキシビリティも同時に大事であることを記載した方がよい。(部会第4回)
○ 特別支援教室の計画について、考え方を示した方がよい。(部会第4回)
○ 児童の放課後の居場所についても記載してはどうか。(部会第4回)

(施設・スペ-スの共同利用)
○  職員室は1箇所にある方がよい。小学校の先生は、なるべく子供たちのそばで見ていたいという意識が強く、職員室に戻らずに教室にいることが多いため、教室を見渡せるような教師コ-ナ-が有効に機能する。一方、中学校の先生は、生徒のいる場所で採点をしたくないという意見がある。そのため、小学校と中学校の運営方式の違いを考慮して計画する必要がある。(部会第2回)
○ 大規模校で職員室が一つしかない場合、先生の目が子供たちに行き届かなくなってしまう。1箇所に先生たちが集まることができる利点と、子供たちと先生との距離感について考慮する必要がある。(部会第2回)
○  保健室に行く子供は、体の調子が悪いという理由だけではなく様々な理由があるため、保健室の計画に当たっては議論を慎重に行う必要がある。(部会第2回)
○ 飛島学園では、2人の養護教諭の要望で、主に体と心のケアで2箇所の保健室を離して設置している。体のケアの部屋には常時どちらかの養護教諭がいるようにしている。(部会第2回)
○ 小・中学校の施設を一体にした場合、教育相談室を整備したところが多く、相談室を利用する子供が増えていることが分かった。(部会第4回)
○ 大規模校と小規模校では、特別教室の必要教室数等に違いが出てくるのではないか。一体化や共有化は、大規模校においては不利な側面があるのではないか。その辺を注意深く見る必要がある。(部会第4回)

(異学年交流の活性化)
○ 施設一体型校舎の整備に当たり、小学生と中学生が交流できるよう考慮して設計しても、危険であるという理由で動線が接触しないよう運用せざるを得ない学校もある。(部会第1回)
○ 小・中学校が一体になることによって、中学生が小さな子供に気を遣うようになったという意見が多く聞かれる。一部のネガティブな意見だけでなく、よい面についても記載した方がよい。(部会第4回)
○ 小・中学生の動線が交わることについて保護者や地域の方が心配していたが、利用されると年長者に思いやりが生まれ、計画時に心配していたことは起きていないという事例がある。(部会第4回)

(地域連携の活性化)
○ 小中一貫教育の一つの見方として、地域ぐるみで子供を育てるという見方があるが、学校と地域の関わり方というのは、小学校や中学校の場合とでは少し異なることに留意する必要がある。(部会第2回)
○ 地域ごとの特性に配慮した検討が必要。(協力者会議第14回)

(安全対策)
○ 吹き抜け空間の活用は、空間としての開放感がある一方、安全面への配慮も必要である。(部会第2回)
○ 大規模の施設一体型校舎は、比較的狭い階段が2、3箇所に設置される場合が多い。避難時の安全性の確保が重要である。(部会第2回)

4.本部会の進め方等
○ 学校施設の良し悪しは設計でほぼ決まってしまうため、地方公共団体が最良の設計者を選定するため、どういう要綱を作成すべきか、評価基準は何かなどについて示すことができればよい。(部会第1回)
○ 統廃合と切り離せないところもある。どういう地域でどういうパタ-ンがあり、合意形成をどのように図ってきたか、今どのような効果を上げているかについて、事例を紹介できるとよい。(部会第4回)

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