資料1 本部会のこれまでの検討経緯

1.経緯

○平成21年2月、国立教育政策研究所文教施設研究センターは、「小中一貫教育の特色を活かした学校づくり」を取りまとめ、一貫教育特有の学校運営や教育方法にふさわしい施設一体型校舎の計画・設計の留意点を提示。
○平成24年7月、中央教育審議会 初等中等教育分科会 学校段階間の連携・接続等に関する作業部会は、「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」において、「小中連携、一貫教育の効果的な実施に資する学校施設の在り方について、国として検討することが必要」と明記。
○平成25年2月、学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(主査:杉山 武彦 成城大学教授)の下に、小中一貫教育推進のための学校施設部会(部会長:長澤 悟 東洋大学名誉教授)を設置し、これまで部会を3回実施。
○平成26年7月、教育再生実行会議の提言を踏まえ、中央教育審議会に小中一貫教育の制度化などについて諮問。

2.部会の検討状況

○第1回部会(平成25年2月8日)

・小中一貫教育を推進するための学校施設整備の在り方について清水委員からのプレゼンテーション(京都市の小中一貫教育)、自由討議 【現地視察】小中一貫教育校 8校、小中連携校 4校の計12校を視察

○第2回部会(平成25年8月28日)

・現地視察報告
・高橋委員からのプレゼンテーション(飛島学園の施設概要)
・小中一貫教育校の学校施設の在り方に関するアンケートについて 等
【アンケート調査】各教育委員会に調査依頼
●第14回学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(平成25年10月29日)
・部会の検討経緯説明(現地調査)

○第3回部会(平成25年12月20日)

・樋口委員からのプレゼンテーション(小中一貫教育の現状と課題)
・アンケートの集計結果報告 等
●第15回学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(平成26年2月27日)
・部会の検討経緯説明(アンケート集計結果)

本部会等におけるこれまでの主な意見

1.小中連携、一貫教育を実施する学校施設の現状と課題

○ 一般的に学校というのは、地域の中で、その地域の風景をつくってきた。学校のボリュームが大きなものになると、地域に対して圧迫感があり親しみが持てなくなってしまう。(部会第1回)
○ 教育課程に校舎が対応していなければ、本来の小中一貫教育はできない。小中一貫9年間で何を子供たちに学ばせたいのかという大きな基本理念が、どうしても中途半端になる傾向がある。(部会第2回)
○ 視察において、小学校6年から中学校3年へ移行するときの中1ギャップを解消するため、他の学年で区切り、様々な工夫をしていることが確認できた。(部会第2回)
○ 中学生や小学校高学年の児童はチャイムにより、時間割に沿って行動することができるが、比較的低学年の児童にとっては難しい。そのため、小中共用の特別教室等の受渡しをスムーズにできるよう、小学生児童には早めに時間に沿って行動できる能力をつけさせる必要がある。(部会第2回)
○ 少子化が進んでいる地域では、小中一貫教育と学校の統廃合を関連付けて考えているところもある。こうした地域では、コミュニティ・スクールを考えていくことが必要ではないか。(部会第3回)

2.施設一体型校舎の施設整備上の留意点

(1)全般

○ 施設一体型の校舎が、教育機能の向上にどう繫がるのか、あるいは、施設一体型校舎において小中一貫教育が目指すものをよりよく達成し、教育効果を高めることができるようにするために、どういう施設が必要なのか検討することが重要。(部会第1回)
○ いろいろな公共施設の配置を整理せざるを得ない状況において、学校がつくりだす地域のコミュニティの考え方や、コミュニティ単位と学区の関係をどのように考えていくかという視点が重要である。(部会第2回)
○ 小中一貫教育の一つの見方として、地域ぐるみで子供を育てるという見方があるが、学校と地域の関わり方というのは、小学校や中学校の場合とでは少し異なることに留意する必要がある。(部会第2回)
○ 地域ごとの特性に配慮した検討が必要。(協力者会議第14回)
○ 小中一貫教育校の建設に当たっては、教育目標など基本計画を立て、それに基づいた学校施設の整備が必要であることを明記すべきである。(部会第3回)
○ 保護者や地域住民の意見が学校教育に反映されやすい場として学校運営協議会などを設置することが重要ではないか。(部会第3回)

(2)学校規模

○ 小中一貫教育のための施設の在り方を検討するに当たっては、規模設定が重要である。これまでの経験から、学校の規模により子供同士の交流に差がでるということを感じている。(部会第1回)
○ 将来、少子化で廃校になった時のことを見据え、学校から別の用途に転用することも考えておく必要があるのではないか。(部会第1回)
○ 学校規模による教職員への負担や、授業時間数による特別教室の数の変動についても検討が必要。(協力者会議第14回)
○ 児童生徒数の変動について考慮すべき。(協力者会議第14回)
○ 部活動の円滑な実施のための施設面での工夫について、学校施設の規模によって、小学校と中学校で体育館を分ける必要があったり、共有でも問題が無かったりする。(部会第3回)

(3)学年区分

○ 学年区分の決め方などによって、施設のプランニングの考え方が変わる。(協力者会議第14回)
○ 学年区分4-3-2の校舎のゾーニングについて、4年生と5年生の区分はよく考えられているが、7年生と8年生の区分は施設上の特色が余りない場合が多い。(部会第2回)
○ 学年区分について、区切りの節を明確にすることで、その節が子供たちの生活におけるアクセントになる。(部会第2回)
○ 小学校と中学校の時間割の違いによる音の問題については、ゾーニングをしっかり計画することが必要。(部会第2回)
○ 中学校には試験期間があることに配慮して、うまく小学生と分ける工夫が必要。(部会第2回)

(4)各室計画

○  職員室は1箇所にある方がよい。小学校の先生は、なるべく子供たちのそばで見ていたいという意識が強く、職員室に戻らずに教室にいることが多いため、教室を見渡せるような教師コーナーが有効に機能する。一方、中学校の先生は、生徒のいる場所で採点をしたくないという意見がある。そのため、小学校と中学校の運営方式の違いを考慮して計画する必要がある。(部会第2回)
○ 大規模校で職員室が一つしかない場合、先生の目が子供たちに行き届かなくなってしまう。1箇所に先生たちが集まることができる利点と、子供たちと先生との距離感について考慮する必要がある。(部会第2回)
○ 1階にある低学年用教室では、入口がベランダ側にあり、そこに教師コーナーがあることで、子供たちの動きがよく見える工夫が施されている例がある。(部会第2回)
○  保健室に行く子供は、体の調子が悪いという理由だけではなく様々な理由があるため、保健室の計画に当たっては議論を慎重に行う必要がある。(部会第2回)
○ 飛島学園では、2人の養護教諭の要望で、主に体と心のケアで2箇所の保健室を離して設置している。体のケアの部屋には常時どちらかの養護教諭がいるようにしている。(部会第2回)

(5)安全対策

○ 施設一体型校舎の整備に当たり、小学生と中学生が交流できるよう考慮して設計しても、危険であるという理由で動線が接触しないよう運用せざるを得ない学校もある。(部会第1回)
○ 吹き抜け空間の活用は、空間としての開放感がある一方、安全面への配慮も必要である。(部会第2回)
○ 大規模の施設一体型校舎は、比較的狭い階段が2、3箇所に設置される場合が多い。避難時の安全性の確保が重要である。(部会第2回)

3.本部会の進め方等

○ 学校施設の良し悪しは設計でほぼ決まってしまうため、地方公共団体が最良の設計者を選定するため、どういう要綱を作成すべきか、評価基準は何かなどについて示すことができればよい。(部会第1回)
○ 財政的にどのような効果が期待できるのか整理しておくことも有効ではないか。(協力者会議第14回)
○ 施設一体型の小中一貫教育校と小中連携校の間でどのような違いが出てくるのか、様々な観点から分析した方がよい。(部会第3回)
○ 特別支援教室の計画についても検討が必要。(部会第3回)
○ 小中一貫教育校の学校施設の在り方について、より詳細に記載する方がよい。例えば、地域の方との結びつきを良くすることで、よりよい環境づくりに繋がることや、9年間同じ場所にあることの利点について示すことができるとよい。(部会第3回)
○ 検討体制のメンバー構成ごとの成果や問題点を整理できるとよい。(部会第3回)
○ 広く学校関係者が参画する場の設定について、全体的にどういう傾向にあるか、これらの学校施設が上手く機能しているのかということも確認した方がよい。(部会第3回)
○ 小中連携校でありながら、学年区分を4-3-2としている学校を分析に含めるかどうかについて検討が必要。(協力者会議第15回)
○ 小中連携、小中一貫教育校の施設一体型校舎であることの意義を生かすために、どのような施設が新たに必要となるか、検討が必要。(協力者会議第15回)

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