小中一貫教育推進のための学校施設部会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成26年11月27日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 小中一貫教育の施設に関するアンケート調査結果等について
  2. 報告書骨子案について
  3. その他

4.出席者

委員

【委員】伊藤俊介,倉斗綾子,佐藤将之,清水康一,高橋政志,竹内美矢子,長澤悟,樋口直宏,渡辺直樹(敬称略)
【特別協力者】齋藤福栄(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】関文教施設企画部長,新保文教施設企画部技術参事官,山下施設企画課長,小林施設企画課課長補佐,錦施設助成課課長補佐
【初等中等教育局】武藤教育制度改革室室長補佐

5.議事要旨

(○:委員の発言,●:事務局の発言)
・事務局から,資料1に沿って,小中一貫教育の施設に関するアンケ-ト調査の追加集計結果について説明。

○今後の施設一体型校舎を整備する際の課題に関して,「学年間の風通しがよくなるよう教室を配置すべき」とは,通風の問題か,それとも雰囲気的な風通しという趣旨か。雰囲気作りも大切であり,報告書で取り上げるべきだと考える。
●雰囲気という趣旨で解釈している。
○学年の生活圏というかまとまりは作りながら,それぞれが分断された感じにならないよう,一体感,連続感を持たせていくという趣旨ではないか。
○小規模の小中一貫教育校では,音楽,理科,図工等の特別教室が共有される割合が高い。施設をコンパクトにできることや,小学生が中学生レベルの教材へアクセスできるというメリットがあると考えられる。
○一方で,小中一貫教育校に行くと,設備の高さ,大きさの違いについて必ず話しを聞く。特別教室の机の高さ等について規定はあるのか。規定がなければ,踏み台等を必要に応じて使う前提で設計してもよいのではないか。
○共有化に関して,規模が小さければコンパクト化できるのではないかという意見があったが,一方で,整備する際の課題に関して,小・中規模の学校では,特別教室等の共同利用を指摘するところも多い。どのような記述があったのか分かれば教えて欲しい。
●特別教室を共有化することや,9年間分の教材等の備品保管スペ-スの確保といった回答があった。
○特別教室の共同利用を考える際に,どれだけ部屋数がいるのかという小中一貫教育校における計画的な課題と,小中一貫教育校に限らず,常に検討しなければならない家具の寸法や収納スペ-スの確保といった設計上の課題がある。後者の課題は,特別教室の共同利用を進めていくことを妨げる直接的な理由にならないと考える。
○設置の経緯について,小規模の学校では「設置者の長の教育方針」が一番多いことと,特別教室等の共有化が中・大規模の学校と比較し,小規模の学校でより多く進められているという結果が意外である。
○小規模の学校では,統廃合を背景とする学校が多いのではないか。設置の経緯における「教育環境の整備」の集計結果では,大・中規模の学校と比較して小規模の学校の割合が少ないのは意外である。集計結果を再確認すべきではないか。
○共同利用については,中・大規模の学校では時間割を組むことが難しい面が影響していると思われる。準備室については,小中一貫教育において,小学校高学年から教科担任制を取るケ-スがあり,単に教材の収納機能だけではなく,授業の準備のためのスペ-スとして利用しているところもあるのではないか。
○このアンケ-ト調査に関しては,実態を聞いているのであって,評価を聞いてわけではない。実態としてこうなのか,意図して整備したのかについて,直接ヒアリング等をすることも必要である。
○規模の大きい学校においては,小・中学校それぞれに特別教室を整備した結果,教科の連携を阻害する面もあると考えられる。こうした事例を未然に防ぐためにも,学校関係者での話し合いや,規模の大きい学校における特別教室の整備に当たっての留意事項を示す必要がある。
○小規模の学校ほど,学校を維持したいという地域住民の思いが強い。そのため,学校づくりについて地域住民と一緒になって議論しているところが多いと思う。

・事務局から,資料2,3に沿って,小中一貫教育等についての実態調査の結果及び施設分離型の学校施設視察報告について説明。

○新潟県三条市の事例について,校舎は6-3で分かれているが,教育課程は4-3-2を採用している。5,6,7年生の授業はどのような工夫が行われているのか。
●中学校の先生が小学校に行って,国語,算数,外国語活動,体育,音楽を教える乗り入れ授業の実施や,小学校の先生が中学生に行って,夏季の補習授業を実施している。
○京都市の事例について,施設が分離していることがプラスになる教育システムを構築することが大切であるという記載があるが,具体的には何であるか。
●5-4の区切りごとの狙いを明確にできることや,授業時間(45分・50分)の違いによる支障が生じないことがメリットとなっている。
○この学校においては,2つのステ-ジの区切りを付け,小中一貫教育を実施している。京都市では,同形態の取組を京都御池中学校が先行して実施しており,その成果も踏まえての実践である。
○国に期待する取組に関して,先導的な取組を行うモデル事業の実施とあるが,具体的に何か考えているのか。
●これまで実施してきた研究開発学校の仕組みを使った,学習指導要領によらないカリキュラムの開発や,概算要求中である,全国的に小中一貫を広げていくためのモデル事業を検討している。
○適正規模の小・中学校に対して,中学校区を前提に一体型の一貫校を作ると,元の適正規模の3倍の規模の学校ができてしまう。中学校を分割あるいは分校形式にして,地域とのつながりが強い小学校区を単位として,適正規模の一体型校舎を数校設置するという考え方もあるのではないか。地域の単位としては,小学校区を意識している地域が多く,中学校区は広すぎると考えている。中学校区を小学校区規模に分割し一体化することで,小中両方のメリットが生かされると思う。
○学校の規模,施設の状況等ケ-スに応じた施設の在り方をまとめていけるよう,工夫が必要である。
○義務教育9年間のスパンをどう捉えて教育していくかをしっかりと考えた上で,その内容に合わせた施設整備を行っていくことが重要である。
○自治体の中で,異なる施設形態,学年段階の区切りにより特色ある教育が行われているが,学校選択制ではなく学区制の場合には,そこに住んだ人しかそこの学校の教育は受けられないといった住民の不公平感というのはないか。
○京都市には,約70の中学校があり,小中一貫教育を全市的に進めるため,現実問題として全て一体型の施設で行うのは不可能であり,施設分離型がベ-スになっている。
○全市的な取組として,学力面で小・中をつなぐ自学自習プラステスト形式の学習確認プログラムというものを実施しており,学力デ-タや生活状況に関するデ-タを小・中で共有している。
○加えて,中学校単位での地域ぐるみの教育を推進しており,学校運営協議会を小・中一体で組織して,地域の課題や成果を共有していく取組も進めている。各地域の特徴や各施設の特徴を生かした優れた取組を地域全体に還元していきたいと考えている。

・事務局から,資料4-1,4-2に沿って,小中一貫教育の制度設計(案),子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について(答申)(案)について説明。
・事務局から,資料5に沿って,本部会の報告書骨子(案)について説明。

○小中一貫型小学校・中学校が小中一貫教育学校に移行する場合や,学年段階の区切りの変更などを想定し,フレキシビリティや柔軟性については,全体に関わることとして記載が必要である。
○報告書について,計画・設計プロセスの構築や,学校規模の設定等のキ-ワ-ドと,掲載事例の関係を整理した方がよい。また,ある小中一貫教育校では,いじめが減ったという話を聞いた。どのような効果が上がっているのか紹介できるとよい。
○施設一体型・分離型の選択に当たっての留意点を示す項目があってもよいのではないか。
○校地選定と配置計画における体格差に配慮した安全性の確保について,動線計画についても記載した方がよい。
○先進的な設置者の先進事例に右へ倣えとならないように気を付けながら報告書をまとめるべきである。
○特別教室の共同利用について,教員同士の連携の観点からも記述できるとよい。
○アンケ-ト調査の検討体制に関して,検討していないところが2,3割ある。「検討委員会等を設置することが望ましい」ことについて,強調して記載した方がよい。
 
・事務局から,資料6に沿って,今後のスケジュ-ル(案)について説明。
―― 了 ――

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