ここからサイトの主なメニューです

学校施設の防犯対策について

平成14年11月
学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議

はじめに

  本来、学校は夢を育む安全で楽しい場所でなければならない。しかし、平成11年12月に京都市小学校で、平成13年6月に大阪教育大学附属小学校で起きた事件は、学校施設の安全管理、中でも防犯対策の在り方を改めて問うものであった。
  本調査研究協力者会議は、これらの事件を始めとした近年の学校における犯罪の増加に鑑み、学校施設の防犯対策等の安全管理の在り方を検討するため平成13年11月に設置され、学校建築、防犯、学校安全等の分野を専門とする学識経験者、学校教育や行政の関係者、防犯実務者等が参画した。
  これまで約1年にわたってそれぞれの専門を活かした活発な議論を行い、その間、国内の学校や公共住宅、また、銃乱射事件のあった米国等の学校について、それらの施設の安全管理に係る取組みに関し現地調査を実施し、さらに、大阪教育大学附属小学校事件のご遺族との会合を持つ機会も得た。これらの成果を踏まえて、学校内への侵入犯罪に係る施設・設備面を中心とした防犯対策に焦点をあて、小中学校を中心に他の学校種も視野に入れて検討を行った結果を、今般報告書として取りまとめるに至ったものである。
  第1章では、我が国の各学校施設において考慮すべき防犯対策に係る基本的な考え方を述べ、第2章において、敷地境界、敷地内部、建物の防犯対策、防犯監視システムや通報システムの導入等、学校の設置者が、各地域や各学校の特性に応じて学校施設の防犯対策を具体的に計画・設計する際の留意点を例示した。また、第3章において、学校施設の防犯対策に関する今後の推進方策を述べ、全体として学校施設における防犯対策の在り方について総合的に提言した内容となっている。
  もとより、施設・設備面における対策のみで児童生徒等の安全を守り切ることには限界があり、また、物理的に学校を閉鎖することによって学習環境が損なわれたり、地域との連携が阻害されたりすることは好ましくない。従って、学校の安全管理を推進するためには、施設・設備面における対策とともに、教職員の意識向上を含めた学校の管理運営面での対応や、学校と保護者や地域の関係機関・団体等との協力体制の確立等のソフト面での取組みが不可欠である。さらに、関係者が学校安全について、それぞれの立場、責任において継続的に取組み、不断の努力を重ねることが必要とされる。
  学校の防犯対策を推進するためには、学校設置者をはじめとする学校の計画、設計、管理運営に係る関係者が、本報告書の内容のみならず個々の学校の状況に応じて検討を行い、具体的な対策を講じることが重要である。さらに、文部科学省等で実施しているソフト面での取組みとも有機的に連動させることによって、安全で安心感のある豊かな教育環境としての学校施設づくりが全国で進展することを、本協力者会議としては切に期待するものである。


目  次

第1章  学校施設における防犯対策の方針
  1  背景
    (1)学校を取り巻く社会状況
    (2)学校の安全管理に関するこれまでの取組み
    (3)学校施設における防犯対策の検討の必要性
  2  学校施設の防犯対策を考える上での重要な視点
    (1)設置者等の責務
    (2)ソフト面の防犯対策との連携
    (3)地域との協力体制の確立
  3  学校施設の防犯対策に係る基本的な考え方
    (1)地域に開かれた学校施設とその防犯対策の在り方
    (2)学校施設における防犯対策の視点
    (3)既存学校施設の防犯対策の推進

第2章  学校施設の防犯対策に係る計画・設計上の留意点
  1  学校施設における防犯対策の原則
    (1)全体的な防犯計画
    (2)視認性・領域性の確保
    (3)接近・侵入の制御
    (4)定期的な点検・評価の実施
    (5)防犯設備等の積極的な活用
  2  敷地境界及び敷地内部の防犯対策
    (1)施設配置
    (2)門
    (3)囲障
    (4)外灯
    (5)植栽
    (6)駐車場、駐輪場等
  3  建物の防犯対策
    (1)受付
    (2)窓・出入り口
    (3)避難経路
  4  防犯監視システムの導入
    (1)設置目的・場所
    (2)出入管理
    (3)侵入監視
    (4)監視体制への配慮
    (5)夜間・休日の機械警備
  5  通報システムの導入
    (1)通報装置
    (2)連絡システム
  6  その他の留意点
    (1)学校施設の開放時の留意点
    (2)複合施設の場合の留意点
    (3)通学路の安全性の確保

第3章  学校施設における防犯対策の推進方策
    (1)学校施設整備指針における防犯対策関連規定の改正
    (2)手引書の作成
    (3)研修会の実施
    (4)チェックリストやマニュアル等の作成及び活用
    (5)補助事業等の積極的な活用
    (6)海外の先進事例等の研究
    (7)ソフト面を併せた総合的な防犯対策の推進

参考資料
  1  学校安全及び心のケアの充実  〜子ども安心プロジェクトについて〜
  2  学校施設の安全管理に関する補助事業等
  3  学校で発生した刑法犯認知件数について
  4  学校施設の安全管理に関する調査研究について



第1章  学校施設における防犯対策の方針

1  背景

(1) 学校を取り巻く社会状況
  学校は、教育の場であると同時に、児童生徒等が一日の大半を過ごす生活の場でもあり、児童生徒等の健康と安全に十分留意する必要があることはもちろん、豊かな人間性を育む潤いのある快適な空間として整備し維持される必要がある。
学校施設については、昭和50年代頃から、教育内容の変化や教育方法の多様化等に対応し、例えば、個別学習やグループ学習に対応するための多目的スペースの設置、たくましく心豊かな子に育つ学校を目指した屋外教育環境の整備、コンピュータやLAN等を導入した情報環境の充実、学校の教育活動に家庭や地域の活力を導入するための地域・学校連携施設整備等、学校における学習環境の向上に寄与する整備や地域の学習拠点としての整備がこれまで推進されてきた。
  しかしながら、近年、これまで予測することもできないような児童殺傷事件が、平成11年12月に京都市小学校で、平成13年6月に大阪教育大学附属小学校で発生し、社会的にも大きな衝撃を与え、児童生徒等の安全確保及び学校の安全管理を徹底する必要性が再認識された。また、諸外国の学校においても、児童生徒等の殺傷事件が複数の国で発生し、平成14年2月には学校の安全管理に関する国際会議がアメリカ合衆国ワシントンで開催される等、国際的にも学校の安全確保に関する関心が高まってきている。
  警察庁のデータによると、我が国の学校で発生した刑法犯認知件数*1は、平成8年の29千件から平成13年の42千件へと増加してきており、放火、強盗等の凶悪犯罪も、48件から85件へと増加してきている。また、刑法犯認知件数の総数も増加しており、かつ、全体の検挙件数は減少してきている。学校教育や学校建築の関係者は、こういった現状を的確に認識し、対策を講じることが求められている。

(2) 学校の安全管理に関するこれまでの取組み
  児童生徒等が安全に安心して学校で過ごせるようにするためには、学校のみならず保護者や地域の関係機関・団体等が連携しつつ安全管理を徹底することが重要である。この観点から、文部科学省では、これまで、「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目(例)」を改訂し、平成13年8月に教育委員会等に対して改めて通知するとともに、「子ども安心プロジェクト」*2を平成14年度から開始する等の施策を推進してきている。
  また、学校施設については、その計画・設計上の留意事項を示した学校施設整備指針において、小学校施設整備指針及び中学校施設整備指針は平成13年3月、幼稚園施設整備指針は平成14年3月の改訂時に、学校内への侵入犯罪に係る防犯対策等に関する規定が充実され、さらに、平成13年度からは学校施設の防犯対策に係る整関する規定が充実され、さらに、平成13年度からは学校施設の防犯対策に係る整備が国庫補助や地方交付税措置の対象とされてきているところである。

(3) 学校施設における防犯対策の検討の必要性
  学校において児童生徒等の安全はまず第一に確保される必要がある。学校内への侵入犯罪に係る防犯対策等をはじめとする安全管理の徹底について、これまでの我が国の学校施設整備の経緯をも踏まえ、今回改めて総合的かつ多角的な観点から検討を行うことが要請され、この調査研究協力者会議が設置されることとなった。
  もとより、学校の安全管理は、施設整備のみならずソフト面を含めた全体的な取組みが必要であるし、地震等の災害時の対応や日常的な事故防止をも含むものであるが、本協力者会議では、学校内への侵入犯罪に係る施設・設備面を中心とした防犯対策について、主に小中学校を中心に他の学校種も視野に入れて検討を行った。
  学校施設の防犯対策については、新築や増改築の場合のみならず、既存の学校施設についても必要であり、本報告はその際にも活用されることを前提に検討を行った。
  また、ソフト面の防犯対策については、現在、前述の「子ども安心プロジェクト」の中で、「安全管理取組事例集等の作成」*3や「地域ぐるみの学校安全推進モデル事業」*4等が実施されているところであり、本報告と併せてそうした事業の成果を活用することが望まれる。


2  学校施設の防犯対策を考える上での重要な視点

(1) 設置者等の責務
  学校における児童生徒等の安全を確保するためのソフト面や施設・設備面での防犯対策等は、一義的には地方公共団体や学校法人、国といった学校の設置者、並びに各学校の教職員等が責任を持って実施する必要がある。
  さらに、それらの関係者が危機対応の意識を常に維持していくことや、各設置者が実施する防犯対策に対する国の継続的な支援等が、我が国の学校における防犯対策を効果的に推進していく上で重要である。

(2) ソフト面の防犯対策との連携
  学校の防犯対策については、単に施設・設備面に係る対応のみならず、学校運営等のソフト面の対応をも併せて総合的に実施することが、より安全でかつ豊かな学習環境を実現する上で重要である。
  具体的には、例えば、1日常の防犯や非常時の対応についての各教職員の役割分担、保護者や関係機関への連絡体制等を定めた危機管理マニュアルの作成及びその見直し、2外部からの人の出入りや校内滞在者の確認、3学校設置者、警察や消防等の関係機関、自治会等の関係団体と各学校の連絡体制の整備、4安全管理に関する教職員一人一人の意識の向上とその維持、5教職員や保護者等による校内や通学路の安全パトロールの実施、6休憩時間や校外学習等における児童生徒等の安全の確保、7警備員の学校内への配置、8不安感を抱かせないような教育的配慮の下で児童生徒等も参加する防犯・避難訓練の定期的な実施といったソフト面の防犯対策を、学校や地域の状況等に応じながら、施設・設備面の防犯対策と併せて実施することがとりわけ重要である。

(3) 地域との協力体制の確立
  学校における防犯対策について効果的に取り組むためには、保護者や自治会等の地域の人々の協力を得ることや、地元の警察や消防と密接な連携を図ること等、数多くの人々が学校の安全管理に学校とともに関われるようにすることが重要である。
  また、このためには、学校が地域の人々との協力関係を日常的に構築しておくことが大切である。
  さらに、当該地域の犯罪発生状況を踏まえた防犯対策を検討することや、各学校の防犯対策を当該地域の安全・安心まちづくりの中に位置付けることも有効である。


3  学校施設の防犯対策に係る基本的な考え方

(1) 地域に開かれた学校施設とその防犯対策の在り方
  学校施設については、地域住民にとって身近な公共施設として、様々な学習機会を提供する生涯学習の場や地域のまちづくりの核としての位置付け、災害時の一時的な避難場所としての役割等が期待されてきた。そして、これらの要請に対応するため、例えば、地域住民が休日、夜間等に学校施設を使用することや、平日において地域の様々な人材が学校での教育活動に参加しやすいようにするなど、地域に開かれた施設計画がこれまで推進されてきた。
  このような中で、京都市小学校や大阪教育大学附属小学校の事件が発生し、改めて、地域に開かれた学校施設の在り方を検討することが必要となった。学校が家庭や社会に対し働きかけを行い、家庭や地域社会とともに児童生徒等を育てていくという観点から、保護者、自治会等の地域の様々な人材が学校における諸活動に参加することは大切であり、これを促進するための施設計画は今後も推進する必要がある。
  しかしながら、今回の事件を踏まえ、重要なことは、不審者の侵入を抑止し来訪者が不審者でないことを確認するための施設計画や、万が一不審者が侵入した場合に児童生徒等の安全確保のために即応できるシステムについて、ソフト面での対応を含め十分に検討し対策を講じることであると言える。
  学校における児童生徒等の安全がまず第一に確保される必要があることは論を待たない。また、地域に開かれた学校施設とは、不審者に対して何の備えもなく空間が開かれていることを意味するものではない。学校の設置者、教職員等の学校関係者、学校施設の計画・設計に携わる建築関係者等は、学校施設の防犯について意識を高め、各地域や各学校の特性に応じた具体的な防犯対策を実施し、その安全性を確保した上で、地域住民等が利用しやすく、また、学校の諸活動に対して協力しやすい学校施設づくりを推進するという視点を今後は一層明確に意識する必要がある。
  その際、防犯対策を行うことによって、閉鎖的な学習環境になったり、地域住民が近寄り難い雰囲気にならないようにすることが大切であり、ゆとりや潤いといったデザイン上の工夫をするという視点も大切にする必要がある。

(2) 学校施設における防犯対策の視点
  学校施設における防犯対策については、
  1人口密度、交通条件、犯罪情勢等の各学校が立地する地域の特性、
  2学校種別、学校運営方針、児童生徒数、教職員数、男女構成比率、地域社会との協力関係等の各学校の特性、
  3敷地条件、建物配置、教室構成等の各学校の施設特性、

  等の個々の学校の実情に応じて計画することが重要である。
  さらに、これまでの学校施設については、不審者の侵入防止や侵入時の対応といった観点から十分に検討されてきたとは言えず、また、諸外国の学校施設における防犯に係る対応状況や防犯環境設計*5の考え方をも照らし合わせて考えると、各学校において、まずは次の対策を計画的に講じることが大切であり、その上で第2章で述べる計画・設計上の留意事項にそれぞれ配慮することが望ましい。
  1   来訪者を確認できる施設計画
  外部からの来訪者を確認でき、不審者の侵入を抑止することのできる施設計画が重要である。このためには、門の設置場所や構造に留意すること、正門や通用門を見通せる位置に職員室や事務室等の管理諸室を配置すること、外部からの出入りを的確に管理するために来訪者応対用の受付を設置すること等が大切である。
  2   視認性や領域性を重視した施設計画
  学校施設の防犯性を確保するため、敷地内や建物内及び外部からの見通しが確保され、死角となる場所がなくなるよう計画することが大切である。さらに、どの範囲を何によってどう守るかという領域性に留意した施設計画が必要とされる。門・囲障の設置や防犯監視システムの導入等により、物理的かつ視覚的にも守るべき範囲を明確化する計画が望ましい。
  3   通報システムの各教室等への導入
  児童生徒等や教職員の安全を守るためには、不審者の侵入防止だけではなく、万が一侵入された場合の対応が不可欠である。このため、緊急事態発生時に、校内各教室・スペース、校長室、職員室、事務室相互間や、警察、消防への連絡等を迅速に行うための通報システムを各学校へ導入することが大切である。これは、地震等の災害時にも必要な設備であり、具体的には、普通教室や特別教室等へのインターホンや電話の設置、校内通報システムの整備等が望まれる。


(3) 既存学校施設の防犯対策の推進
  学校施設の防犯対策については、新築、増築、改築、改造等の大規模な施設整備を行う際*6だけではなく、特に既存の学校施設については、施設の現状について点検・評価を行い、必要な予防措置を計画的に講じていくことが大切である。また、このことは、関係者が学校安全に関する意識を維持していく上でも有効である。
  点検・評価は、地方公共団体等の学校の設置者が、各学校の教職員とともに、必要に応じ保護者、地域の関係機関・団体、建築や防犯に関する専門家等の協力の下に実施することが有効であり、その手法としては、次のようなことが考えられる。
    1   図面等による点検・評価
  校舎等の配置図、平面図、防災関係資料、敷地周辺地図等を基に、正門や通用門、校舎等の出入り口、地域住民への開放部分等の位置、児童生徒・教職員・来訪者等の主な動線を確認する。その上で、不審者の侵入口、侵入経路、侵入目的先等を想定するとともに、時間帯にも留意しつつ教職員等の所在場所や児童生徒等の避難経路を確認する。
    2   現場における点検・評価
  上記の図面を基に、現場で、門・囲障等の構造や施錠状況、敷地内や建物内における死角の有無、職員室や事務室等の管理諸室からの見通しの確保、夜間における照度等を確認する。
    3   防犯訓練による点検・評価
  学校内への侵入犯罪を具体的に想定し、不審者の発見・通報、校内の情報伝達、児童生徒等の避難誘導や所在・安全の確認等について、机上又は実地でシミュレーションを行い、防犯対策上の問題点を抽出する。


第2章  学校施設の防犯対策に係る計画・設計上の留意点

1  学校施設における防犯対策の原則

(1) 全体的な防犯計画
  学校施設の防犯対策としては、敷地境界、敷地内、建物内等における建築計画的な対応と、防犯監視システムや通報システム等の建築設備的な対応がある。これらについては、「いつ」「どの範囲を」「どのような手段で」「何を防ぎ、誰を守る」のかを明確にし、ゆとりや潤いといったデザイン面での配慮、他の機能とのバランスや費用面での検討、地域社会との協力関係等を踏まえた上で、個々別々ではなく総合的に計画し、全体として整合性がとれたものとすることが大切である。

(2) 視認性・領域性の確保
  学校施設の防犯性を確保するために、屋外各部及び建物内の共用部分等は周囲からの見通しを確保した上で死角となる場所をなくし、また、どの範囲を何によってどう守るのかが明確になるよう、配置計画、動線計画、建物計画、各部位の設計等について工夫することが大切である。
  さらに、やむを得ず死角となる場所については、囲障や防犯監視システムの設置、定期的な安全パトロールの実施等の配慮が大切である。

(3) 接近・侵入の制御
  犯罪企図者の動きを限定し、学校の敷地内や建物内等、守る範囲への接近・侵入を妨げ、犯罪を抑止するよう、配置計画、動線計画、建物計画、各部位の設計等について工夫することが大切である。

(4) 定期的な点検・評価の実施
  緊急事態が発生した際に機能しないような防犯対策では意味がない。従って、防犯対策に係る施設・設備については、定期的に、また、必要に応じて臨時にそれらの機能について点検・評価することが大切である。さらに、その結果を踏まえ、不都合が生じている場合は、迅速に改修、修理、交換等の改善措置を講じることが大切である。

(5) 防犯設備等の積極的な活用
  防犯設備には、出入管理と侵入監視を目的とする防犯監視システムや、非常時の連絡のための通報システムがある。これらの防犯設備、また、非常時の児童生徒等の避難経路等については、定期的な防犯訓練の実施等を通じて、その具体的な使用方法や使用ルートについて周知徹底を図ることが大切である。


2  敷地境界及び敷地内部の防犯対策

(1) 施設配置
    1   校舎内や周囲からの見通しがよく、敷地内において死角となる場所がなくなるよう各建物、屋外施設、門等の配置に留意する。また、建物等を増築する場合は、新たに死角となる場所をつくらないよう既存建物等との関係に十分に留意する。
    2   職員室、事務室等については、アプローチ部分や屋外運動場等を見渡すことができ、緊急時にも即応できる位置への配置に留意する。また、給食室等についてはサービス車輌の進入頻度も高いことから、その配置や動線計画について配慮が求められる。
    3   特に適切な指示・誘導や介助が必要な低学年の児童や幼児等が活動する施設については、テラスや遊び場等の屋外スペースを含めその活動範囲を明確にしたり、敷地境界からの距離を十分に確保することや、非常時に即応可能なように、教職員等の居場所となる職員室や事務室等の管理諸室から近い位置や見通しのきく位置に配置する等の配慮が大切である。
    4   建物等の配置上、やむを得ず死角となる場所については、防犯監視システムの導入や定期的なパトロールの実施等の対応をとることが大切である。

(2)
    1   不審者の侵入防止や犯罪防止等の観点から、職員室や事務室等の教職員の居場所から見通しがよく、死角とならない位置に門を設置することが大切である。
    2   不審者の侵入を防ぎ、かつ、登下校時や避難時に児童生徒等が円滑に敷地内外に出入りすることができるよう、門の施錠管理を的確なものとすることが大切である。
    3   登下校の利便性、サービス車輌の進入等のために、見通しのきかない位置に門を設けざるを得なかったり、死角となったりする場合は、門の施錠や開閉による来訪者の出入管理に特に留意する。その際、障害者や高齢者の利用に支障が生じないよう配慮する。
    4   外部からの来訪者を確実に確認できるよう、来訪の際は必ず受付場所へ立ち寄る旨の表示を門等に掲げることが大切である。
    5   外部からの来訪者が建物内の受付場所へ容易に行くことができるよう、誘導のための案内図やサインを必要に応じ門の周辺に計画することも有効である。
    6   外部からの来訪者を確認し不審者の侵入を防ぐため、防犯カメラ*7や赤外線センサー*8、インターホン等の防犯設備を、必要に応じ門の周辺に設置することも有効である。

(3) 囲障
    1   学校の領域性を確保し不審者の侵入を防ぐため、周辺地域の状況や施設の配置に応じて守るべき領域の境界に囲障を計画することが大切である。
    2   囲障を計画する際、特に防犯の面からは、周辺からの見通しを妨げるブロック塀等は避け、視線が通り死角を作らないフェンス等を採用することが大切である。また、周辺環境との調和を図るため、植栽等と組み合わせることも有効である。
    3   学校建物が周辺建物と密接して立地している場合等で、隣接建物等から不審者の侵入が心配される状況では、囲障について十分な高さや形状を確保する。
    4   不審者の侵入や接近を防ぐため、防犯カメラや赤外線センサー等の防犯設備を、必要に応じ囲障の周辺に設置することも有効である。

(4) 外灯
    1   夜間における安全性を確保するため、門やアプローチ、敷地境界、建物周囲等の適切な位置に、人の行動を視認できる程度以上の照度*9を確保できる間隔で外灯を設置することが大切である。その際、省エネルギー対策や近隣の住宅への影響等にも留意する。
    2   不審者が侵入する可能性のある場所や通用門、駐車場等に、外灯の外にセンサー付きライト*10等を、必要に応じ設置することも有効である。

(5) 植栽
  敷地周辺、敷地内の植栽については、環境に潤いを与える等の緑の持つ効果にも留意した上で、校舎内や敷地周囲等からの見通しを確保し死角の原因とならないよう植栽計画を立案することが大切である。また、樹種、樹高等に応じ定期的に剪定する等の維持管理を行うことも大切である。

(6) 駐車場、駐輪場等
    1   自動車や自転車等を使用する来訪者を的確に確認できるよう、駐車場や駐輪場の配置、構造等に留意する。
    2   校舎内や周囲からの見通しを確保し、駐車場や駐輪場等の中に死角を生じないよう配慮する。
    3   夜間における不審者の侵入や犯罪を防止するため、駐車場や駐輪場等に外灯を設置し、人の行動を視認できる程度以上の照度の確保に留意する。


3  建物の防犯対策

(1) 受付
    1   外部からの来訪者を確認し、不審者を識別できるようにするため、来訪者の使用する門に隣接した場所や建物の出入り口付近等の分かりやすい位置に、来訪者応対用の受付を設置することが大切である。
    2   受付では、例えば、外部からの来訪者が住所、名前、来訪目的等を記帳した上で、名札やリボンを着用するなど、不審者を識別できるようにすることが有効であり、これらのことを円滑に実施できる計画とすることに留意する。なお、名札やリボン等を的確に管理することにも留意する。
    3   受付は、職員室や事務室等の管理諸室に隣接した位置や、開放部分の入り口等に設置することが有効である。
    4   学校の防犯対策については、保護者、地域住民、警備会社、警察等の協力の下に実施することが大切であり、これらの人々の学校内での控室を受付に隣接した位置に設置することも有効である。
    5   受付の周辺に、用件が曖昧な来訪者等を案内し一時待機させるためのスペースを設定しておくことも有効である。


(2) 窓・出入り口
    1   接地階に位置する教室、廊下等の窓・出入り口については、容易に破壊されにくいものとするよう留意するとともに、非常時の避難にも配慮しつつ、的確な施錠管理を行うことが大切である。
    2   職員室や事務室等の建具のガラスを透明なものとし、教職員等の視線が常に周囲に行き届き、校内の状況を把握できるようにすることも有効である。

(3) 避難経路
    1   非常時に児童生徒等が迅速に避難できるよう、複数の避難経路を確保する等の配慮が大切である。
    2   通常の施錠管理を確実に行うとともに、火災や地震等の避難時には内側から簡単に解錠できる構造にも留意する。


4  防犯監視システムの導入

(1) 設置目的・場所
    1   防犯監視システムには出入管理と侵入監視の二つの機能がある。システムを設置する際は、外部からの来訪者の確認、見通しが困難な場所や死角となる場所の状況把握、犯罪企図者の侵入防止や犯意の抑制、児童生徒等の安心感の醸成等、学校や地域の状況を踏まえ、その設置目的を明確化した上で適合するシステムを導入することが大切である。
    2   防犯監視システムの設置場所としては、一般的には、見通しが困難な場所や死角となる場所にある門、建物の出入り口付近、敷地境界、また、敷地内や建物内で人目が届かず死角となる場所等が考えられる。さらに、設置する際には、設置場所周辺の夜間の照度の確保に留意する。


(2) 出入管理
    1   外部からの侵入を防ぎ、学校関係者のみが出入りできるように、建物の出入り口等に、必要に応じてテンキーパッド*11、カードリーダー*12等の認証装置や遠隔操作による開閉装置を設置することも有効である。
    2   外部からの来訪者を的確に確認するため、門や受付場所のある建物の出入り口等に音声タイプやテレビタイプのインターホンを設置することも有効である。


(3) 侵入監視
    1   センサーには、検知エリアが立体的なものや線状のものがある。目の届かない場所への外部からの人の出入りや人の存在の有無を把握するといった設置目的を明確化した上で、室内や敷地境界等にセンサーを導入することも有効である。
    2   防犯カメラを導入する場合は、モニター、記録装置等が必要であり、その設置目的に応じて、設置場所、監視・運用体制等を総合的に勘案する。


(4) 監視体制への配慮
  防犯監視システムの導入に際しては、モニター等による監視体制を併せて考慮することが大切である。学校の教職員等が常時その場で監視する必要がないようにするため、例えば、出入り口に取り付けたセンサーが来訪者を検知した場合に、防犯カメラが当該場所を撮影し、同時にチャイム音で注意を喚起するという組み合わせによるシステムの導入も有効である。

(5) 夜間・休日の機械警備
  警備会社と連携した防犯監視システムを導入し、夜間や休日における建物内への侵入犯罪等の発生を把握し、適切に対応することで防犯対策をより確実なものとすることも有効である。


5  通報システムの導入


(1) 通報装置
    1   緊急事態発生時に、校内各教室・スペース、校長室、職員室、事務室相互間や、警察、消防への連絡等が迅速に行えるよう、普通教室、特別教室、体育館等の児童生徒等が常時活動する場所に、インターホンや電話等の通報装置を設置することが大切である。
    2   緊急事態の発生を関係者に迅速かつ的確に伝達するため、防犯ベル・ブザーや非常押しボタン等を校内の適切な場所に設置したり、ペンダント型押しボタン*13等を教職員に配布することも有効である。


(2) 連絡システム
    1   校内の児童生徒、教職員等に緊急事態の発生とその具体的内容、とるべき処置等を迅速に伝達するため、校内連絡システムを整備することが大切である。
    2   緊急事態発生時に、各学校から直接警察や消防等に通報できるホットラインを設けることも有効である。
    3   緊急事態の発生とその後の処置状況等を、児童生徒等の保護者等に迅速に伝達する必要があり、携帯電話や電子メールの活用等も考慮に入れた緊急時の連絡先リストや情報伝達網を日頃から整備しておくことが大切である。なお、この場合、個人情報の取り扱いに十分留意する。
    4   緊急時の通報装置や連絡システムの使用については、不安や混乱を引き起こさず、また、使用者が判断に迷うことのないように、使用や運用のルールを確立しておくことが大切である。例えば、緊急時の校内一斉連絡のための暗号文言*14の事前決定や、また、通報や放送に対して校内一斉に教室等の扉や窓の施錠を行うロックダウン*15方式等も有効である。
    5   緊急事態発生時の学校内外の連絡、情報管理、報道対応等を的確に行うための対策本部を設置する場所を決め、通信機器等の設備や打ち合わせスペース等を確保しておくことも有効である。
    6   緊急事態発生時に、児童生徒等の避難誘導、安全確認等を迅速に行うことができるよう、各学校の危機管理マニュアル、児童生徒等の名簿や顔写真、緊急連絡先リスト、拡声器、通信機器等をまとめ、適切な場所を定め保管し、直ちに持ち出せるようにしておくことも有効である。


6  その他の留意点

(1) 学校施設の開放時の留意点
    1   一般的に学校施設を地域住民等に開放する際、非開放部分に部外者が入らないよう施設面での措置を講じることが大切である。必要に応じて、開放部分と非開放部分の境界に相互に見通しのきくパイプシャッター*16や扉を設置し、施錠もできるようにすること等が考えられる。
    2   管理者を置かない場合の学校施設の開放に際しては、使用団体等への錠の授受方法や保管方法等について検討し、万一紛失等があった場合の対応方法を明確にしておくことが望ましい。


(2) 複合施設の場合の留意点
    1   学校施設及び複合化する施設のそれぞれの専用部分、共用部分について、それらの領域を明確化するとともに、その防犯対策に関する責任の所在や役割分担について明確にしておくことが大切である。
    2   防犯監視システムや通報システム等の導入に際しては、効果的かつ効率的な防犯対策とするため、学校施設及び複合化する施設の双方を総合的かつ全体的に計画することが望ましい。


(3) 通学路の安全性の確保
    1   児童生徒等の通学路については、周囲からの見通しの確保や、防犯灯、街路灯等の設置による夜間照度の確保が大切であり、国、都道府県、市町村といった道路管理者や、地域の自治会等と連携をとりつつ適切に対応を進めることが大切である。
    2   地下道等の危険や不安の多い通学路については、警察等の関係機関や地域団体と連携し、地域の状況等に応じて、防犯ベル、防犯カメラ、警察に対する通報装置等を設置することも有効である。
    3   保護者や自治会、警察等による安全パトロールの実施や、緊急時の避難先となる「子ども110番の家」*17がある場合には、それとの連携等の地域ぐるみの取組みが大切である。また、保護者、教職員、自治会等が連携協力し、通学路における緊急事態発生時の連絡体制を整備することや、地域の各学校の通学路の安全性を調査した上で危険箇所等をマップ化し必要な対策をとるといった活動も有効である。


第3章  学校施設における防犯対策の推進方策

(1) 学校施設整備指針における防犯対策関連規定の改正
  文部科学省は、学校施設の計画・設計上の留意事項を規定した学校施設整備指針を各学校種別に取りまとめ、地方公共団体等に対して提示しており、学校施設の防犯対策に係る事項についてもその中で示されている。
  とりわけ、小学校施設整備指針及び中学校施設整備指針については、平成13年3月の改訂時、幼稚園施設整備指針については、平成14年3月の改訂時に、それぞれ学校施設の防犯対策に関する規定が充実された。
  今回の調査研究は、近年の社会状況を踏まえ、その規定内容についてより検討を深めたものである。本協力者会議としては、学校施設整備指針における学校施設の防犯対策に係る規定内容について、本報告を踏まえ、さらに一層充実させる必要があると考える。

(2) 手引書の作成
  本報告書は学校施設の防犯対策に関する基本的な方針や一般的な留意事項を取りまとめたものであり、さらに関係者の理解を深めるために、文部科学省等は、その内容を踏まえた具体的な対応方法や効果的な運用方法についての手引書を作成する必要がある。
  学校施設の防犯対策については、各学校の様々な特性や、新築、増築、改築、改造等の整備種別等に応じて個々に検討される必要があることから、手引書には多様な学校の条件に応じたケーススタディが求められる。
  さらに、学校の教職員を対象とする手引書については、開かれた学校づくりの中で児童生徒等の安全を確保するため、安全管理に関するソフト面の内容も含めた総合的なものとすることが大切である。

(3) 研修会の実施
  学校施設の防犯対策については、近年の社会情勢の変化により新たに対応すべき課題となってきている事柄であり、その基本的な対応方針、具体的な計画方法、防犯システム・設備の選定方法等について、学校関係者等に対して広く周知することが大切である。
  従って、本報告や手引書等を踏まえ、学校関係者が防犯対策に関する知識や技術を習得することができるよう、文部科学省や地方公共団体等が、学校施設の防犯対策についてソフト面の内容も含めた研修会を企画することや、広報誌やインターネット等を利用して情報提供・交換を行うことが望まれる。

(4) チェックリストやマニュアル等の作成及び活用
  各教育委員会や各学校は、本報告や手引書、さらにはソフト面での安全管理取組事例集等の成果を踏まえ、個々の地域や各学校の特性に応じ、ソフト面の防犯対策も含めたチェックリスト、マニュアル等を作成することが大切である。
  また、それに基づいた定期的な点検や不審者の侵入及び被害発生を想定した訓練等を行い、関係者の安全管理意識の徹底及び維持を図るとともに、改善すべき点は早急に対応するというように、実効性のある検証システムを確立することが求められる。

(5) 補助事業等の積極的な活用
  学校施設の防犯対策については、平成13年度より国による財政面における支援のための仕組みの整備が進んでいる。
  具体的には、公立学校施設整備国庫補助において、管理諸室の配置換えや囲障の設置等の防犯対策に係る整備が大規模改造事業の補助対象に追加されたこと、安全管理対策として実施する防犯カメラや非常通報装置の設置等に係る経費が新たに地方交付税により措置されたこと、私立学校においても公立学校と同様の安全対策が実施できるよう補助制度が拡充されたこと、地域ぐるみの学校安全推進モデル事業が各地域で実施できるよう予算措置されたこと等がある*18。今後予定される学校施設整備指針の規定内容の改正等をも踏まえ、学校施設の安全管理に係る事業内容の一層の整備充実が望まれる。
  また、地方公共団体等の学校の設置者は、国によるこれらの措置を十分に検討し活用することが大切である。さらに、耐震補強やバリアフリー対策等、他の学校施設整備のための補助事業と併せて防犯対策に係る整備を実施することも考えられる。

(6) 海外の先進事例等の研究
  学校施設の防犯対策等の安全管理については、アメリカ、イギリス等においてもこれまで積極的に取り組まれてきており、本調査研究においてもそれらの状況について現地調査を実施した。
  文部科学省では、さらに引き続き、諸外国の先進事例や関連施策等の調査や分析を行い、我が国の学校施設の防犯対策に関する施策や具体的な学校の施設計画に反映させていくことが大切である。また、この場合、海外の研究者や専門家、行政担当者等と、学校施設の防犯対策に関する情報交換や意見交換を行うことも有効である。

(7) ソフト面を併せた総合的な防犯対策の推進
  本報告は、学校の防犯対策の中で主に施設・設備面を中心として取りまとめたものである。もとより、学校施設の防犯対策等の安全管理は、運営体制等のソフト面での取組みと一体的に行われてはじめて効果を発揮するものであり、施設・設備面での対応のみでは万全とは言えない。
  現在、文部科学省では、本調査研究とも連携した「不審者侵入時の危機管理マニュアル(仮称)」や「非常災害時における子どもの心のケアのために」等の作成や改訂作業が進められているところであり、それらの成果をも踏まえ、関係者の協力のもと、学校の防犯対策を総合的かつ継続的に推進していくことが求められる。



*1   刑法に規定する犯罪であって、被害の届出等を受けて警察においてその発生を確認したものの件数。

*2   安全で安心できる学校の確立を目指し、学校安全や心のケアの充実に総合的に取り組むという文部科学省の施策。概要は15頁参照。

*3   学校の安全管理に関する取組事例を収集し事例集を作成・配布するとともに、不審者侵入時の危機管理マニュアル(仮称)を作成し配布するもの。

*4   地域との連携を重視した学校安全に関するモデル地域を各都道府県に指定し、実践的な調査研究を行うもの。

*5   物理的環境設計による犯罪防止の手法。諸外国では、CPTED:Crime Prevention Through EnvironmentalDesign  と呼ばれており、次の3点が主な基本原則とされる。   
  接近・侵入の制御: 配置計画や動線計画の工夫等により、犯罪企図者の動きを限定し、敷地内や建物内等への接近・侵入を妨げ犯罪の機会を減少させること。
  視認性の確保: 周囲からの見えやすさを確保すること。多くの人の目や見通しの確保等により、離れたところからでも不審者等が識別できる性能。監視性や可視性ともいう。
  領域性の強化: 敷地や建物等における守るべき範囲についての視覚性・知覚性を強化すること。囲障や扉等により、守るべき範囲が物理的に画定されていることだけでなく、デザイン上の工夫や維持管理活動等により守るべき範囲が心理的に知覚できる性能も含む。後者については、関係者の帰属意識や共同意識を促す面もある。

*6   大規模な施設整備を行う際の補助制度等については、参考資料2を参照のこと。

*7   「監視による犯意の抑制」、「異常事態の早期発見」及び「映像の記録」の三つの機能がある。センサーを内蔵するものや旋回するもの、デジタル方式の記録装置等、様々な性能のものがあり、また、技術的な進歩も著しいので、設置目的等に応じて適切に選択する必要がある。

*8   人体等の移動物体と背景との温度差を検知する受動赤外線検知器と、投光機と受光機から構成され赤外線を遮断する物を検知する赤外線遮断検知器がある。前者は立体的な検知エリアを構成できることが特徴。後者は線状の警戒エリアで、主に外周部の警戒に用いられる。

*9   「人の行動を視認できる程度以上の照度」とは、4m先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね3ルクス以上のものをいう。(出典:「共同住宅に係る防犯上の留意事項」平成13年3月  警察庁・国土交通省)

*10   一定の立体エリア内に人が入ると受動赤外線検知器がそれを感知し、自動的に点灯するライトのこと。

*11   電気錠を解錠する際の認証装置の一つで、4桁から10桁の暗証番号を入力するもの。最近は、スリーキー(キーの数が3つのもの)等の簡便なタイプもある。

*12   電気錠を解錠する際の認証装置の一つで、磁気カード等を用いるもの。最近は、非接触式カードも多く使われている。テンキーとの組み合わせ型もある。

*13   不審者が侵入したとき、職員室等の受信機に電波を送信する送信機の一種で携帯が可能。省電力タイプのものは一般的に100m程度の送信距離がある。

*14   予め暗号となる文言を決定しておけば、不審者が侵入したときには、侵入者に気づかれることなく、かつ児童生徒等のパニックを抑制しながら全校に連絡することが可能となる。

*15   不審者が侵入したとき、予め定められた教室に児童生徒等を誘導し、開口部を施錠することにより教室への侵入を防ぎ、被害を食い止める方式のことで、アメリカ等の学校で実施されている。避難訓練による周知徹底や連絡体制の整備等が必要である。

*16   パイプとリンクを格子状に組み合わせたシャッターで、店舗のショーウィンドウ等に使われる。

*17   子どもが不審者から声をかけられたり、追いかけられたりした場合に、助けを求めて避難できるよう、あらかじめ協力を依頼してある民家や商店等のこと。プレートやステッカー等でその旨が表示され、避難してきた子どもを保護し、警察への連絡等の措置を講じる役割を担う。なお、地域によりその名称、プレートやステッカー等の表示は異なる。

*18   参考資料1及び2を参照のこと。




参考資料1

学校安全及び心のケアの充実  〜 子ども安心プロジェクトについて 〜

平成14年度予算額  447,771千円 (文教施設部施設企画課)

1. 施策の概要
  昨年6月には、大阪教育大学附属池田小学校で多数の死傷者を出す事件が発生する等、学校の管理下での事件・事故などが大きな問題になっている。
  文部科学省においては、このような近年の状況に鑑み、学校の安全管理や子どもたちの安全確保及び事件・事故時の子どもたちの心のケアの充実に資するための各種事業を実施する。

2. 施策の内容
(1) 安全管理取組事例集等の作成       60,077千円
  学校の安全管理に関する取組事例を収集した事例集及び不審者侵入時の危機管理マニュアル(仮称)を作成し、配布する。
○不審者侵入時の危機管理マニュアル(仮称)
○安全管理取組事例集
 
各国公私立幼、小、中、高
各都道府県教育委員会  等

 

(2) 地域ぐるみの学校安全推進モデル事業      102,094千円
  地域との連携を重視した学校安全に関するモデル地域を指定し、実践的な調査研究を行う。

(3) PTSD等に対する心のケアパンフレット等の作成      79,881千円
  事件・事故時におけるPTSD等の対策として、教職員向け手引き及び保護者向け心のケアのパンフレットを作成し配布する。
○教職員向け手引き
○保護者向けパンフレット
 
各国公私立小、中、高
各都道府県教育委員会  等

(4) 健康相談活動支援体制整備事業      201,438千円
  専門医等を活用した健康相談活動に対する支援体制の整備事業を引き続き実施するとともに、事件・事故発生地域での心のケアを行う際に活用できる人材に関するデータベースを作成する。

(5) 学校施設の安全対策推進事業      4,281千円
  学校施設の防犯対策に関する調査研究等を実施する。



参考資料2
学校施設の安全管理に関する補助事業等

○公立学校施設整備補助事業    大規模改造事業(安全管理対策施設整備)

(1) 趣旨
  学校施設における防犯対策の徹底を図る観点から、安全対策に資する工事に対して、平成14年度より国庫補助の対象として整備を推進する。

(2) 補助対象
  公立の幼稚園、小学校、中学校、中等教育学校(前期課程)、特殊教育諸学校

(3) 補助率
  1/3(財政力指数1.00超の地方公共団体は2/7)

(4) 補助対象経費
  1,000万円〜2億円

(5) 補助対象事業
      学校において安全対策上必要な次のような工事
    ・管理諸室の配置換え及びそれに伴う改造工事
    ・普通教室、特別教室を含む安全管理上必要な部屋の配置換え及びそれに伴う改造工事
    ・門やフェンス等の設置・改修工事
    ・上記と一体として行われる、防犯監視システムや通報設備等の安全対策設備の整備


○公立学校の安全管理関係経費の交付税措置

    公立学校における学校安全管理関係経費
            (単位費用積算内訳    標準規模学校当たり  330千円)

  公立学校の安全管理対策として実施する監視カメラや非常通報装置の設置等に係る経費が恒常的な経費として認められ、平成14年度より新たに普通交付税により措置された。対象は、公立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特殊教育諸学校。
  なお、私立の専修学校における学校の安全管理対策については、専修学校補助(その他補助)の経費が標準規模都道府県当たり1,000千円増額(2,500千円→3,500千円)され、その中で実施することが可能となった。


s_01   s_03
b_1   標準学校の児童等の数
幼稚園          105人
小学校          720人
中学校          600人
高等学校        600人
特殊教育諸学校  171人

  b_1
s_02   s_04

○私立高等学校等経常費助成費補助金
              (単価上乗せ総額  2,248百万円)

(1) 趣旨
  私立学校の安全対策を推進するために、防犯監視システムの設置や警備員の配置に係る経費が、私立高等学校等経常費助成費補助金の生徒等一人当たりの補助単価に平成14年度より盛り込まれた。

(2) 補助対象
  私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校


○私立高等学校等施設高機能化整備費補助金(防災機能強化施設整備費補助)
              (900百万円の内数)

(1) 趣旨
  私立学校における防犯対策の徹底を図る観点から、安全対策のための施設整備に要する経費を平成14年度より補助対象とする。

(2) 補助対象
  私立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特殊教育諸学校

(3) 補助率
  1/3

(4) 補助対象経費
  400万円〜2億円

(5) 補助対象事業
    学校において安全対策上必要な次のような工事
    ・管理諸室の配置換え及びそれに伴う改造工事
    ・普通教室、特別教室を含む安全管理上必要な部屋の配置換え及びそれに伴う改造工事
    ・門やフェンス等の設置・改修工事
    ・上記と一体として行われる、防犯監視システムや通報設備等の安全対策設備の整備



参考資料3

学校で発生した刑法犯認知件数について


1.学校で発生した刑法犯認知件数
      平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年
凶悪犯 殺人 3 4 8 5 9 3
強盗 4 7 11 11 8 16
放火 32 46 37 46 31 36
強姦 9 20 25 30 27 30
            小計 48 77 81 92 75 85
凶悪犯罪以外 粗暴犯 1,124 1,393 1,374 1,530 1,952 1,930
窃盗犯 侵入盗 7,270 7,608 7,081 7,329 7,491 7,438
乗物盗 10,804 10,761 10,269 10,058 10,758 12,065
非侵入盗 6,680 6,272 7,436 8,399 9,942 10,704
知能犯 104 182 191 75 264 70
風俗犯 62 132 170 81 141 142
その他刑法犯 2,836 3,184 3,499 4,121 5,965 9,172
            小計 28,880 29,532 30,020 31,593 36,513 41,521
合計 28,928 29,609 30,101 31,685 36,588 41,606
  学校には、学校教育法第1条に掲げる学校(小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、幼稚園)、同法第82条の各種学校のほか、その実態が幼稚園と同視されるような保育所を含む
出典:警視庁

2.刑法犯認知件数

年次 認知件数 指数
H4年=100
検挙件数 検挙人員 犯罪率
(10万人当)
  平成8年 1,812,119 104 735,881 295,584 1,439.8
      9年 1,899,564 109 759,609 313,573 1,505.2
   10年 2,033,546 117 772,282 324,263 1,607.5
   11年 2,165,625 124 731,284 315,355 1,709.3
   12年 2,443,470 140 576,771 309,649 1,925.5
   13年 2,735,612 157 542,115 325,292 2,150.6
  交通業過を除く。犯罪率とは、人口10万人当たりの犯罪認知件数をいう。犯罪率算出に用いた人口は、各年10月1日現在の推計人口(旧総務庁統計局)又は国勢調査人口である。
出典:警視庁


3.平成13年の主な罪種別犯罪件数と指数(%)

平成13年の主な罪種別犯罪件数と指数(%)



参考資料4
学校施設の安全管理に関する調査研究について

平成13年11月13日
官房長決定
平成14年 7月24日一部改正

  趣旨
  近年の学校施設における犯罪の増加に鑑み,学校施設の防犯対策等の安全管理の在り方について調査研究を行う。

  調査研究事項
(1)今後の学校施設における防犯対策の方針について
(2)防犯対策に係る計画・設計上の留意点について
(3)学校施設整備指針における防犯対策等の規定について
(4)その他

  実施方法
別紙の学識経験者等の協力を得て,2に掲げる事項について調査研究を行う。
なお,必要に応じて,その他の関係者の協力を求めることができる。

  実施期間
  平成13年11月13日から平成15年3月31日までとする。

  その他
  この調査研究に関する庶務は,大臣官房文教施設部施設企画課において行う。



別紙

学校施設の安全管理に関する調査研究協力者名簿
(五十音順,敬称略)
氏      名   職               名
    伊藤    智        警察庁生活安全局生活安全企画課理事官
(平成13年11月19日〜平成14年8月22日)
  宇佐美絢子        愛知県半田市立亀崎幼稚園元園長
  生越  詔二        東京都中央区立常盤小学校長
  工藤  和美        シーラカンスK&H代表
  斎藤          横浜国立大学教育人間科学部名誉教授
  定行まり子        日本女子大学家政学部助教授
  佐野  康廣        国立音楽大学附属小学校長
  首藤  祐司        警察庁生活安全局生活安全企画課都市防犯対策官
(平成14年8月23日〜平成15年3月31日)
  瀬渡  章子        奈良女子大学生活環境学部助教授
  谷口  賢司        京都市教育委員会教育企画監
  長澤    悟        東洋大学工学部教授
  野村  晶三        社団法人全国警備業協会研修センター長
  増谷  信一        社団法人日本PTA全国協議会監事
  安井  義和        大阪教育大学教育学部教授・附属学校部長
  山本  俊哉        マヌ都市建築研究所取締役・主席研究員
  吉澤  晴行        群馬工業高等専門学校長
  吉村  英祐        大阪大学大学院工学研究科助教授
    (○:主査)
(16名)



「学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議」の検討経緯

●第1回委員会    <平成13年12月4日>
      ○主査選出
        ・  長澤悟東洋大学工学部教授を主査に選出
      ○自由討議

●第2回委員会    <平成14年1月31日>
      ○学校施設等の防犯対策について

        ・  委員(建築設計、行政関係等)からの報告
      ○自由討議

●現地調査(国内)<2〜3月>
      ○学校施設等の防犯対策に関する現地調査
名  称 区  分 所在地
杉並区立第十小学校 公立小 東京都杉並区
都営蓮根3丁目第3アパート 公営住宅 東京都板橋区
春日井市内全小学校等 小学校と地域の連携まちづくり 愛知県春日井市
福岡市立博多小学校 公立小 福岡県福岡市
私立トキワ松学園 私立小・中・高 東京都目黒区
アミティ大森東 公団住宅 東京都大田区
千葉市立打瀬小学校 公立小 千葉県千葉市
千葉市立海浜打瀬小学校 公立小 千葉県千葉市
葛西クリーンタウン 公団住宅 東京都江戸川区
私立帝塚山学院 私立 大阪府大阪市
大阪教育大学教育学部附属
池田小学校
国立小 大阪府池田市
京都市立日野小学校 公立小 京都府京都市

●第3回委員会    <4月3日>
      ○学校施設等の防犯対策について

        ・  委員(防犯環境、学校安全等)からの報告
      ○現地調査(国内)報告

●現地調査(海外)<4月>
      ○学校施設等の防犯対策に関する現地調査
名  称 区  分 所在地
Jefferson County School District
Administration
管理機関 コロラド州
Charles Semper Elementary School 小学校 コロラド州
Mandalay Middle School 中学校 コロラド州
Warren Tech High School 高等学校 コロラド州
National Resource Center For Safe Schools 管理機関 オレゴン州
Springfield School District 管理機関 オレゴン州
Centennial Elementary School 小学校 オレゴン州
Agnes Stewart Middle School 中学校 オレゴン州
Safe School And Violence Prevention Office, Carifornia Department Of Education 管理機関 カリフォルニア州
Arthur Butler Elementary School 小学校 カリフォルニア州
T.R.Smedberg Middle School 中学校 カリフォルニア州
Sheldon High School 高等学校 カリフォルニア州

●第4回委員会    <5月17日>
      ○論点整理(報告書のフレーム検討)

        ・  報告書の構成や論点について討議
      ○現地調査(海外)報告

●第5回委員会    <6月25日>
      ○報告書案の検討
        ・  報告書の構成や内容について討議

●第6回委員会    <7月12日>
      ○報告書案の検討

        ・  報告書の構成や内容について討議

●大阪教育大学附属小学校事件のご遺族との会合  <7月27日>

●第7回委員会    <8月20日>
      ○報告書案の検討

        ・  報告書の構成や内容について討議

●第8回委員会    <9月25日>
      ○報告書案の検討

        ・  報告書の構成や内容について討議

●第9回委員会    <10月21日>
      ○報告書案の検討

        ・  報告書の構成や内容について討議

●第10回委員会    <10月30日>
      ○報告書案の確定

(大臣官房文教施設部施設企画課)

-- 登録:平成21年以前 --