高等学校施設整備指針の改訂の概要

平成16年1月
文部科学省

高等学校施設整備指針の改訂の概要

1.改訂理由

   
○学習指導要領の改訂による新教育課程への対応
 
   ○ 生徒の興味・関心、進路希望等に応じた能力の伸長を一層実現する観点から、選択学習の幅の拡大
観察・実験・調査などの体験的な学習、問題解決的な学習を行う「総合的な学習の時間」の創設
コンピュータ等の情報通信手段を一層活用するなど「情報」の新設
就業体験機会の確保、ガイダンス機能の充実、自己の在り方や生き方の考察に関する学習の充実
 
現行整備指針策定(平成6年)後の学校施設を取り巻く新たな課題への対応
 
   ○ 安全性の向上(大阪教育大学附属池田小学校事件などを踏まえた防犯対策、耐震化の推進)
環境との共生等環境への配慮
室内空気を汚染する化学物質の発生を防ぐなど健康面への配慮(シックハウス対策)
バリアフリー化の推進
地域との連携
中高一貫教育校への配慮


2.改訂のポイント

●第1章   総則
第1節   学校施設整備の基本的方針
選択幅の拡大に伴い、生徒一人一人の学習ニーズにきめ細かく配慮、ゆとりと潤いを実感できる居場所づくり
情報化・外国語学習への対応など、社会の変化に対応する高機能・多機能な学習環境の確保
環境への配慮、防犯性・防災性を備えた安全な施設づくり

    特色ある高等学校づくりの推進
  生徒一人一人の学習ニーズに対応する施設【新設】
  社会の変化に対応する学習環境【新設】
  健康的かつ安全で豊かな施設環境の確保
  地域の生涯学習の場としての役割やまちづくりにも配慮した施設

第2節   学校施設整備の課題への対応【新設】
第1節の基本方針を受けての新たな節の追加
○特色ある高等学校づくりを推進するための施設整備
    新しいタイプの学校の設置等を内容とする高等学校再編整備計画を踏まえた施設整備の推進

○生徒の主体的な学習活動を支援する施設整備
    自主的な学習のための図書室、学習センター、少人数指導・グループ学習に対応できる多様なタイプの講義室、キャリア形成のためのカウンセリング機能の整備・充実

○情報化や国際化の進展に対応できる施設整備
    情報ネットワークの構築、教員の教科研究・学校運営のための情報環境の整備、コンピュータを活用した外国語学習、和室など日本の伝統的な空間の計画

○安全でゆとりと潤いのある施設整備
    コミュニケーションの場としてのラウンジ・談話コーナーの充実(休憩時間や食事に利用し、気分転換を図ることのできる快適な空間)
建材、家具は、室内空気を汚染する化学物質の発生がない又は少ない材料使用
耐震性能、災害発生時の避難場所としての機能の確保
不審者の侵入を抑止し、死角となる場所がなくなるような施設計画
スロープ、手すり、エレベータの設置などバリアフリー対応
省エネルギー・省資源、自然エネルギーの活用など環境への配慮
保健室、教育相談室におけるカウンセリング機能の充実

○地域と連携した施設整備
    地域の大学との協力、高等学校間連携に配慮した施設、地域住民の利用に配慮した快適・安全な施設、地域の防災拠点としての施設

第3節    学校施設整備の基本的留意事項(総合的・長期的な視点、計画的な整備)
長期間有効に使うための計画、企画段階からの関係者の参画が必要


●第2章    施設計画(校地・周辺環境、校舎等配置計画)
安全性への配慮(防犯上見通しの確保)
中高一貫教育校における配慮(中等教育学校は一貫性ある施設とする等)


●第3章    平面計画(学習関係諸室、屋内運動施設、保健室、受付等)
総合的な学習、選択学習に対応した空間計画
安全性への配慮(受付の設置、複数の避難動線の確保、屋内運動施設は地域の防災拠点としての利用に配慮)
カウンセリング機能の充実(保健室を立ち寄りやすい位置に設置)

●第4章    各室計画(図書室・コンピュータ教室、教育相談室、情報管理室)
図書室・コンピュータ教室の機能の充実(生徒の様々な学習を支援する学習・情報・読書センター機能)
カウンセリングの充実(教育相談室は、吸音性に配慮するとともに、養護教諭に相談しやすい空間の確保)
情報化への対応(情報伝達やカリキュラム管理のための情報ネットワークの整備、普通教室でのコンピュータ活用に配慮、情報管理室の設置)
バリアフリー対応(多様な利用者への配慮、スロープの整備)

●第5章   詳細設計(内部仕上げ、学校用家具)
シックハウス対策(室内空気を汚染する化学物質の発生のない又は少ない材料使用)

●第6章   屋外計画(門、囲障)
安全性への配慮(見通しの確保)

●第7章   構造設計(既存施設の耐震化推進)
耐震化の充実(耐震性能の把握、危険度の大きい施設から優先的に耐震化、耐震化推進計画の策定)

●第8章   設備設計
省資源・省エネルギーに配慮(太陽光発電・風力発電の利用、節水型機器の導入、雨水の利用・排水再利用)

●第9章   防犯計画
安全性への配慮(防犯に関する総合的な留意事項を総括)