学校施設安全対策部会(第6回) 議事録

1.日時

平成21年1月27日(火曜日)10時~12時

2.場所

旧文部省庁舎 4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 学校施設における事故防止の留意点について
  2. 学校施設整備指針の改訂について(小学校・中学校)
  3. その他

4.出席者

委員

(協力者)石崎一記、海野剛志、杉本裕、長澤悟、福田卓司、矢萩惠一、渡邉正樹(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)岡技術参事官、長坂施設企画課長、森企画調整官、瀬戸専門官、木村指導第一係長、野口専門職
(スポーツ・青少年局)長岡学校健康教育課安全教育調査官

オブザーバー

(文教施設企画部)岡施設助成課長補佐

5.議事録

(1)学校施設における事故防止の留意点について
・ 資料2に沿って、報告書案、利用段階の留意点について説明。
1.第2章について

○ 7ページの「弾力的な集団」という表現は意味が分かりにくい。正確には、「多様な集団による多様な活動」ではないか。

○ 「弾力的な集団編成」という表現ならば違和感が無いのではないか。

○ 現時点の案でも、全く意味が通じないわけではないが、「弾力的な集団」という表現を使うより、「多様な集団による多様な活動」という表現の方が分かりやすい。

● 「弾力的な集団」という表現は整備指針の中で使われており、その意味は、「一斉授業による学習以外に、ティームティーチングによる学習、個別学習、少人数による学習、グループ学習、複数学年による学習等」を示す。集団編制に様々なパターンがあり得るという意味を含む。

○ 整備指針との関連も踏まえ事務局で整理して欲しい。

○ 7ページの計画・設計に「施工」が加えてあるが、安全の確保のためには「施工」段階での配慮も不可欠である。主語と述語がかみ合っていない部分もあるため表現は要検討だが、施工段階まで含め安全性確保のために取り組まなければならない。

○ 計画設計段階の意図が施工者に伝わることが大切である。

● 学校施設整備指針は計画・設計上の留意点を示している。一方、報告書ではそのような制約がないので、計画・設計・施工として示し、指針に反映する際には施工という言葉を削除するという整理にしてはどうか。

● 15ページ、「立ち入りを想定していない場所における転落事故防止のためには・・・教職員が同席し適切に指導」という文章だが、教職員が同席し指導するのは、「立ち入りを想定しない場所で、更に児童生徒等が使用する場合」に限定した場合である。「そのような場所で活動する場合において、児童生徒等の行動によっては転落の危険性があるときには」というように前提をしっかり記述する必要がある。

○ 真意が十分伝わるように表現して欲しい。

○ 14ページから15ページにおいて、「転落」と「墜落」という単語の使われ方に一貫性が無いのではないか。

○ 転落事故には墜落事故を含む広義の転落事故と、墜落事故は含まない狭義の転落事故がある。15ページ以降は広義の意味で使用しているという整理ではないか。

● 読み手の誤解がないように、言葉を補いたい。

○ 利用段階の留意点について議論していく際には、「設計・計画段階の留意点を踏まえて「安全な状況」が実現されているとして、どのようにすればその「安全な状況」を維持することができるのか」という観点がある。また逆に既存施設等をチェックして、「設計・計画段階の留意点を実現できていない状況に対し、どのようにすれば安全性を確保することができるのか」といった視点藻今後の議論の観点の一つである。

2.第3章第1節について

○ 第一次報告に書かれている文章を編集することは可能か。

● 利用段階の留意点については一から議論していただいてかまわない。計画・設計段階についても必要に応じて修正をしていきたい。

○ 学習関係諸室のところに、昇降装置に係る記述があり、「児童生徒がふざけたりしないように」という文章があるが、これは誤動作による事故に対する記述か。それとも周辺で遊んでいる際の事故に対する記述か。

● 昇降装置は危険な装置やワイヤー等により構成されており、その周辺でふざけたりすることによる危険性について、以前委員から指摘があったため、記述を盛り込んでいる。

○ 舞台の周辺でふざけないように指導することとは別に、そもそも児童の手に触れることができないようにしたり、子どもたちが操作出来ないようにしたりすることが重要である。

○ カバーを設置したり、鍵を設けたりすることも有効である。最近新しく建てられた学校ではカバーを設置していることも多い。

○ まず計画・設計段階の留意点を示し、次に利用段階の留意点を示すという2段階に分けて記述する必要がある。既存の学校でも、囲いを設けたり、指導を充実したりすることにより安全が確保できる。
○ 既存の学校には理科室にシャワーが設けられていることは少ない。利用段階の留意点として何か良いアイデアはないか。

○ 実験台の流しに、引き出すことの出来る蛇腹状のシャワーを設置することはどうか。

○ 蛇腹式のシャワーを設置することは有効だが、既存の施設を改修するとなると大規模となる。

○ 事故が起きたときの対処法については報告書に盛り込むのか。

● 事故が起きたときの人的な対応については本報告の範囲外としたい。緊急用シャワーの設置ように施設として対応可能なものについて検討したい。

○ 「面取りやミラーの設置」をすることが優先順位の高い対策例であると誤解される表現になっている。まずは見通しを確保することや余裕を持ったスペースとすることが大切である。「面取りやミラーの設置」は有効な対策例の一つにすぎない。

○ ここだけミラーという英語が出てくるのは若干唐突の気がするが、危険防止の見通しをよくするための鏡は「ミラー」と呼ぶことも多い。

○ 38ページの、「床が濡れることのないように配慮する」という記述について、利用段階ではどのような配慮が可能なのか。

○ 床材を滑りにくい材質のものに工夫することは可能である。

○ 既存の学校では、濡れる場所付近にフック等で雑巾をかけておき、濡れたときにすぐ拭けるように備えている。

○ 濡れる可能性のあるエリアを明示することも有効である。細かく記述しすぎて手取り足取りという形になっても問題である。

3.第3章第2節について

○ 強化ガラスは製法上ごくまれに爆裂する危険性もある。基本的には割れても細かい粒になるので問題ないが、吹抜けのような高い場所に設置されたものは、破片が落下する危険があるため飛散防止フィルムを併用することが望ましい。

● 唐突な感じもするので、表現を工夫したい。

○ 施錠の状態に関する定期点検は今回の報告書の範囲の中なのか。

● 学校保健安全法の中の学校安全計画にて施設設備の点検についても日常点検・定期点検を行っており、そちらで議論するものとしたい。

● 施設的な改善、対応については、第2章の10ページにおいて、施設の安全を確保するための点検についての頭出しを行っている。

4.第3章第3節について

○ 39ページ、「床」の利用段階の留意点として、「応急処置が必要である」と書いてある。早急に修繕するといった意味を含んでいると思うが、応急処置を図った上でさらに恒久的な対応も必要なのではないか。

○ 利用段階の留意点とは、「既存施設における事故防止対策」と、「老朽化した部分への対応」の両方含むという整理でいいか。

● ハード面だけでは事故防止が難しいものについては、安全指導等ソフト面での対応についても言及する可能性もある。

○ 利用段階の留意点は、安全指導面の留意点を中心に書くのであれば、「早急に治すべき」のような既存校の施設の改善についての表現が入るのは、違和感がある。

○ タイルのはがれについては施設的な対応が必要。項目によっては、指導上の注意を呼びかけるものもあると思う。

○ ここでは、まず応急処置の必要性について述べているが、恒久的な対応を否定するものではない。このままの記述でよいのではないか。

5.課題と対応策(例)(案)について
・ 事務局より資料3について説明。

○ 上階の廊下突き当たりにある開口部については、衝突のおそれとともに、転落するおそれもあるので追記すべきである。

○ ■がついている場所が少ないのではないか。窓についても後々の対応は難しい。そう考えると、ほとんどの項目に■がつくことになるが、そうなるとこの記号を入れることに意味があるのか。

○ ■を入れるか入れないかの線引きが難しい。緊急用シャワーについても利用段階で改修することは可能。計画・設計段階で配慮すべき点ということであればもっと印がつくべきだ。

○ 本報告については基本的に計画・設計段階の留意点を主眼として議論してきた。既存校の取組についてここでひとくくりにして取り上げるのは難しいのではないか。例えば、見通しが悪い学校をつくらないように、留意点として示しているのが施設整備指針である。ミラーを付けるならば、見通しが悪い学校を計画しても良いわけではない。逆の解釈をされるおそれがある。

○ まず、計画・設計段階では安全について考慮しなければいけない。その上で、既存の施設について利用段階でも対応できるような問題が認められた場合は、すぐ対応を図る必要がある項目として■を記入するのがよいのではないか。

● 今回の報告書は、既存校にとって参考となる対応策についても積極的に取り入れていきたい。

○ 学校施設評価において、本報告書が点検項目を設定する際の参考になり得る。

○ ■の箇所は「設計段階で配慮すべきもの。既存校においては是正する必要があるもの。」と位置づけると、施設評価を行った際、改善すべき点として設置者に上がってくることが考えられる。それらについて、財政的な担保も含めて、設置者はどう対応していくのか検討が必要である。

(2)学校施設整備指針の改訂について
・ 事務局より資料4に沿って改訂案について説明。

○ 現行の整備指針で、安全と防犯が一緒になっている部分については、防犯の観点を事故防止の観点にも対応させたという方向性に異論はない。

○ 報告書の中の四角囲みの部分以外にもその下の黒点による具体的な記述も積極的に整備指針に盛り込む必要があるのではないか。

○ 「通路等は濡れにくい計画としなければいけない」という旨は平面計画にも反映させるべきではないか。更に、床が濡れにくい場所では床の仕上げについて注意が必要である。

○ 出入口部分はそこを子どもたちが行き来することが前提の場所なので、上部から物が落ちないよう配慮する必要がある。一方、建物周辺は、上部からの落下物による事故を防がないため、周辺に人が立ち入らないようにするという配慮が必要である。

(3)その他
・ 事務局より資料5に沿って今後のスケジュールについて説明。

以上

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