学校施設安全対策部会(第3回) 議事録

1.日時

平成20年10月9日(木曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館 5階7会議室

3.出席者

委員

(協力者)石﨑一記、海野剛志、杉本裕、長澤悟、成田幸夫、福田卓司、矢萩惠一、吉村英祐(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)岡技術参事官、長坂施設企画課長、瀬戸専門官、木村指導第一係長、野口専門職

オブザーバー

(スポーツ・青少年局)長岡学校健康教育課安全教育調査官
(文教施設企画部) 森施設助成課企画官
(国土交通省)望月公園緑地・景観課長補佐、楠田住宅局建築指導課長補佐

4.議事録

【資 料】

 資料1   学校施設安全対策部会 議事内容の公開について(案)

 資料2    第2回合同会議議事録

 資料3   災害共済給付事例から見た施設にかかる事故の概要

       -平成19年度医療費支給事例の分析-(杉本委員提出資料)

 資料4   独立行政法人日本スポーツ振興センターの収集した事故事例について

 資料5   都市公園における遊具の安全管理に関する指針の概要

 資料6   今後のスケジュール(案)

 参考1   「学校における転落事故防止の留意点」について(通知)

 参考2   学校施設における転落事故防止のために

 参考3   「建築基準法」における安全に関する記述

 参考4   「学校保健法(学校保健安全法)」における安全に関する記述

 参考5   「学校施設整備指針」における安全に関する記述

 参考6   「「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」における安全に関する記述

 参考7   「都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂版)」

 参考8   その他安全対策に関する基準等について

 参考9   「手摺の安全に関する自主基準策定報告書」

(日本金属工業協同組合技術検討委員会作成資料)

 

【会議概要】

 1 開会、議事内容の公開について

 2 議事

(1)学校における今後の安全対策の視点について

(2)その他

 3 閉会

 

【議 事】(○:委員の発言、●:事務局の発言)

・資料3に沿って、平成19年度の災害給付事例から見た施設にかかわる事故の傾向についての説明。

・資料4に沿って、学校の管理下の死亡重傷事例についての説明。

・資料5に沿って、都市公園における遊具の安全管理に関する指針についての説明。

(1)学校における今後の安全対策の視点について

  

○ ガラスの事故が多いと感じた。日本スポーツ振興センターの分析データから、破損したガラスが強化ガラスかどうか分かるのか。強化ガラスであれば防げた可能性もある。

 

○ 日本スポーツ振興センターが所有するデータからガラスの種類を特定することは難しい。

  

○ 学校施設整備指針では人体及びボール等の衝撃等に対し破損しにくいガラスを選択すること等が重要である旨の記述がある。これらの事故は学校施設整備指針が出される前に建てられた学校で起きているのではないか。

  

○ ガラスが関わる事故は多い。新しい学校ではドアの上部のみにガラスを設置するなど工夫されていることも多いため、事故も少ないのではないか。ガラス事故防止のために、頻繁に指導は行っているが、遊んでいるときにぶつかったり、故意に割ったりする事例もあり防ぎきれない。扉の交換は予算的にも難しい。現在は地震対策も兼ねて、ガラス窓に飛散防止フィルムを貼っている。既存の学校における対策のひとつになるのではないか。

 

○ 既存校の安全対策についてどう取り組むかというのは大事な視点である。

 

○ 昔の学校の窓の桟は細かく分けられており、たとえガラスが割れたとしてもその面積は小さかった。肢体不自由者が在校する養護学校を設計したときも、ガラスの桟については小さくして欲しいと依頼があった。

○ 割れたガラスの代わりにポリカーボネートの板等安全性の高いものを入れるのも一案。

 

○ ポリカーボネートはガラスの倍額程度かかるため導入を検討してみたが、採用は難しい。  

  

○ コストについては、長期的な目線で検討してみることも有効である。

  

○ 子ども同士の衝突事故は事故の発生率も高く無視できない。経験則だが、教室の出入口と廊下が交差する場所で起きる事故は大事故になりにくい。見通しが悪い場所で走りたくなる部分と渡り廊下が交差する場所の事故は大事故になりやすい。最終的には死亡等重大な事故となるケースは少ないかもしれないが、頻度は多い。子どもたちの行動パターンや動線と関連しているのではないか。

  

○ 今回は施設に起因する事故事例ということで分析の対象外としたが、子ども同士の衝突は圧倒的に多い。

  

○ 梅雨時のピータイルの結露による転倒は多い。対策が見つからず、教職員も苦労している。

  

○ 建築の総合的な問題であり、大切な視点である。

  

○ どのような開閉方式の扉において事故が多発しているのか。また、学校を設計するにあたって開き戸、引き戸の適用範囲は決まっているのか。

  

○ 日本スポーツ振興センターの分析データの結果では開き戸で事故が多い。

  

○ 開閉方式については文化的な背景も強い。児童が使う頻度が高い扉や、開いた状態を維持する必要がある扉は引き戸が用いられる。開き戸は主に児童が使わない部屋や、遮音が必要な部屋で用いることが多い。

  

○ 学校では原則開き戸は使わない。外部に面する建具において、扉が風にあおられて閉まり、事故になるケースは学校に限らず多いため、多数の人が出入りする場合通常は、開き戸は使わない。やむを得ず使用する場合は風除室を設けることが多い。

  

○ 当校では引き戸が中心である。新しい学校では校長室職員室では開き戸が使われることがあるものの、教室はゴムつきの引き戸になっているため、事故は少ない。またオープンスペース型の教室の場合も従来の教室と比較すると事故が少ないだろう。

  

○ 扉は、子どもたちの手が届く範囲はゴムにしたり、隙間を有効に設けたりすることにより事故に対する対応が可能。

  

○ クローザーなどが設置されたドアは、急激に閉じることがないよう制御する機能があるはずだ。それを超える力が発生することにより事故が生じているとわかっているならば、工夫することで防ぐことができるのではないか。

  

○ 階段では、手すりの上を滑っていて落下する事例は多い。駅やデパートでは下を覗くこともできない工夫がしてある。これらの対策が、予算的にどの程度かかるか分からないが、凸凹を作って滑りにくくしたり、二重に手すりを設置して乗り越えにくくするといった工夫だけでは、防ぎきれないのではないか。

○ 安全な指導が頻繁に行われなければ、遊具の危険性は高い。学校では日常的な管理・点検はできていると思う。遊具の事故は予測不可能なところで起こっている。

 

○ 以前は、遊具は決まった形であったが、最近では波形のうんていなど様々なデザインの遊具があり、子どもたちが遊び慣れていないデザインの遊具に適応できないこともある。

  

○ 4年程前に、遊具の使われ方について調査を行ったが、遊具において子どもたちは想定外の遊び方をすることが多い。子どもたちが想定外の遊び方することを念頭に、事故が起きても重大化しないよう対策をしっかりとっておかなければならない。遊具があることによってその周辺一帯が、遊びの空間になる。

  

○ 子どもたちは学年や身体能力に応じて遊びを考えている。

○ 遊具の修理や点検の履歴をはっきりすべきだ。学校は異動による教職員の入れ替わりが多いため、履歴をもとに遊具を交換する時期を判断できるようにするのが良いのではないか。

  

○ 車に車検証が張られているように、遊具にもいつ交換が必要なのかというラベルが貼ってあるくらいでいいのではないか。

  

○ 滑り台は、子どもが逆さに登っている姿をよく見るが、事故は少ない。これは子どもたちはこれらの行為の危険性を認識した上で遊んでいるから事故も少ないのではないか。波型のうんていは危険であるという感覚が無いから事故が発生したのかもしれない。

  

○ 滑り台には様々なタイプがあり、幅が広い滑り台は人気がある。幼稚園、保育園には避難用のすべり台も設置してある。

 

○ 滑り台について国土交通省の遊具に関する有識者会議にて特段の意見は無かったか。

  

○ 滑り台についての議論は特に無い。

  

○ 今回は小中学校だからこそ注意しなくてはいけないことや、学校というタイムスケジュールの中での注意点について議論していければと思う。

  

○ 子どもは、サッカーゴール・野球バックネット・バスケットゴールに登って遊ぶことがある。これらの行為は行わないよう指導しているが、杭を打って固定すれば安全だが、移動式が多いため難しい。登るのを防ぐにはどうすればいいか問題だ。

  

○ サッカーゴール等が倒れてきて、事故となった事例はあるのか。

  

○ ある。特に小型のハンドボールのゴールなどは倒れやすい。

 

○ 高齢者施設との複合施設での問題点として、子どもたちが走っているときに、高齢者とぶつかって怪我をさせてしまうという心配がある。

  

○ 医療費等の給付事例は休日、学校に遊びに来て事故にあったときも対象となるのか。日曜日などに制服以外の服装で学校に来て、パーカーのフードの紐の結び目が遊具に引っかかることが原因で事故が起きる場合もある。

  

○ 児童生徒が休日に遊びに来て事故にあったような事例は給付対象外。ただし、幼稚園も含めると同様の事例や、かばんのロープが引っかかることに起因する事例もある。

 

○ 欧米の学校では、理科の実験中に薬品を浴びた際の緊急用のシャワーが設置されていることが多いにも関わらず、日本では同様の対応ができていない。

  

○ 理科実験中の薬品の取り違えやアルコールランプへの引火による、爆発事故は多い。

  

○ 外国に行くと、子どもたちが走らないように「廊下を走るな」「廊下はゆっくり走ろう」と書いて注意喚起したり、真ん中に花や植物を置いて走りにくい環境をつくる等の対応をしている事例もある。既存の施設の安全対策についても検討対象としていきたい。

○ 遊具は危険だからといって撤去されたのでは意味が無い。ガラスを一切使わなければ安全性は向上するが、閉鎖的な空間になる。総合的にとらえ、幅広い議論をしていただければと思う。

 

○ 最近運動会では、紫外線対策として児童席に全てテントを張ることがある。いろいろなところからテントを借りてくれば、様々な状態のテントが共存することになる。また、突風が吹いたとき等、危険な状況になることが考えられる。

  

○ 幅広い議論をしていただきたい。最終的に学校施設整備指針に反映することが可能な項目は限られるが、報告書の中で触れていただくのはかまわない。施設整備指針に盛り込めない部分について、その意見をどう反映させるかは事務局に任せてほしい。

 

(2)その他

・事務局より、今後のスケジュールの説明。

・長澤部会長より閉会のあいさつ。                         以上

 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

電話番号:03-6734-4111(代表)、03-6734-2291(直通)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)