生活安全部会(第1回)・学校施設安全対策部会(第1回)合同会議 議事録

1.日時

平成20年8月6日(水曜日)14時~16時

2.場所

旧文部省庁舎 2階 第2会議室

3.出席者

(協力者)

ざき一記、海野剛志、大堀円、小川和久、杉本裕、長澤悟、西岡伸紀、福田卓司、矢萩惠一、山本美苗、吉村英祐(敬称略)

(事務局)

(スポーツ・青少年局)

松川学校健康教育課長、梶山学校健康教育課長補佐、佐藤学校安全係長、長岡安全教育調査官

(文教施設企画部)

長坂施設企画課長、笠原企画調整官、木村指導第一係長、野口専門職

(オブザーバー)

(文教施設企画部)

森施設助成課企画官、岡施設助成課長補佐、

(国土交通省)

峰嵜公園緑地・景観課防災安全管理係長、楠田建築指導課長補佐

4.資料

資料1
 合同会議の開催について
資料2
 合同会議の公開の扱いについて(案)
資料3
 学校における転落事故の防止に対する文部科学省の対応について
資料4−1
 独立行政法人日本スポーツ振興センターの収集した転落事故事例について
資料4−2
 独立行政法人日本スポーツ振興センター以外の情報源による転落事故事例について
資料5
 安全対策に関する基準等の例について−転落防止を中心として−
資料6
 学校における転落事故事例を踏まえた課題について(案)
資料7
 学校における転落事故防止の留意点(案)
資料8
 今後のスケジュール(案)
参考1−1
 「学校安全教育資料作成協力者会議」設置要綱
参考1−2
 学校施設整備指針策定に関する調査研究について
参考2
 学校における転落事故等の防止について(依頼)
参考3
 建築基準法における安全に関する記述
参考4
 学校保健安全法における安全に関する記述
参考5
 学習指導要領における安全に関する記述
参考6
 学校施設整備指針における安全に関する記述
参考7
 「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育に関する記述
参考8
 安全対策に関する天窓メーカーの取組について−転落防止を中心として−

5.会議概要

  1. 開会、議事内容の公開について
  2. 議事
    • (1)学校における転落事故防止について
    • (2)その他
  3. 閉会

6.議事

  •  資料3に沿って、文部科学省の対応についての説明。
  •  資料4−1、4−2に沿って、事故事例を中心に説明。
  •  資料5に沿って、転落防止の基準、考え方について説明。

【委員】

 資料5について、建築基準法施行令第24条には、けあげ15センチ、踏面30センチより緩い階段を除き、手すりの設置義務の規定があったかと思う。また、同法施行令25条には住宅だと高低差3メートル以内ごと、それ以外は4メートル以内ごとの踊り場の設置義務があり、間接的に関連しているので追加していただきたい。

(1)学校における転落事故防止について(資料6、資料7に沿って)

【委員】

 安全対策を図ることが、学校として目指している教育環境との間で、トレードオフのようになるケースがありうる。良好な学校の教育環境を守りながら、かつ安全も確実にするためにはどうするか、書き方に工夫が必要。

【委員】

 資料7の1「基本的な考え方」上から2つめのまる「学校現場、設置者及び設計者等の関係者間で事故情報を適切に把握し」で学校現場と設計者の間で情報をやりとりするという記述の具体的なイメージがわかない。

【事務局】

 設計者は、学校の中で場所毎にどのような使い方をするか想定し、設計するが、一義的には、設置者である教育委員会とやりとりをするのが基本。そこでの議論を現場に伝える必要があるのではないか。学校を設計するとき、設計者と学校の先生、子ども、地域の方々が入って議論することにより、学校をどう使っていくか意識共有ができる。

【委員】

 学校の取扱説明書というのは、部分毎の寄せ集めになっていて、使いづらい。関係者同士の情報共有は一番大事なことだが、そのためのツールとして、学校の取扱い等についてまとめた資料をつくることが大事。特に公立学校の場合、教職員の入れ替わりが多く、関係者同士で集まったりツールを用いてきちんと伝えていく仕組みをつくることが大事である。

【委員】

 築後20~30年以上経過している学校はマニュアル等が引き継がれていないため、施設等に関する注意書きは残っていない。経験的に危険な場所についてはわかるが、学校とはいかに子どもの立場に立っていない状態でつくられているか感じる。例えば、多くの学校の屋上は通常施錠してあるが、必要に応じて授業で使用している。子どもが30~40人いると、教員も全体を十分に把握しきれない。高いところに登るのが好きな子(ADHDの特徴のひとつでもある)がいるにも関わらず、屋上のフェンスが低かったり、フェンスの下部にコンクリートの足掛かりがあったりする学校が多い。子どもがコンクリートの上に足を掛け、外を見ることを想定しているとは言えない。設計者が子どもの動きがよくわかっていないのではないか。

【委員】

 子どもが屋上から外を見ることも必要な場面もあり、ある程度外も見えるようなものとしつつも、安全性を確保したい。学校現場の声を建築の専門家や、教育委員会の方にしっかりと受けとめていただきたい。

【委員】

 『新建築8月号』で、アクリルドームの耐用年数に関する指摘があった。アクリル自体の強度は、50~60キロの人がその上で跳ねても壊れるものではない。しかし、15年もたつと紫外線により劣化し、もろくなってしまう。転落事故が発生した天窓は、たしか20年以上たっていて、そこについて問題提起されていた。

【委員】

 資料7の2「共通」2ページ目上から4つ目のまるについて、事故の起きたトップライトは、危険性を感じにくいデザインになっている。やわらかくて丸い形、しかも不透明ということから、上部に乗って遊ぶ子は多くいると思う。

【委員】

 手すりを設けたとしても、それを乗り越える子どもが出てくることが予想されるため、定期点検は重要で、経年劣化により安全性が低下しているものを見逃さないことが重要だ。

【委員】

 ある形があるとある行動をとりたくなるということ(アフォーダンス)は特に子どもの場合は、素直に行動として出てくるので、考慮する必要がある。

【委員】

 保護者も含めて子どもに、体験させながら指導していくということが大事だと思う。また、安全に対して取り組める時間が十分確保されておらず、もっと安全に対して時間をとって指導すべきである。

【委員】

 好奇心に基づく行動というのは、子どもの学習活動を支える上では重要なことだ。そのような行動は保証し、かつ安全であるというところを要求水準にすべき。好奇心を持っていろいろな行動をしても、その年齢に応じて、安全性が担保してあるという計画に期待。

【委員】

 資料7、安全対策の基本的な考え方4つ目のまるの「多様な行動」というのが理解しにくい。大人や設計者側が想定もしなかったような使い方をすることは、特に年齢が低い子どもにしてみれば当然のことである。「多様な」と表現した場合には、軽度発達障害の児童による特徴的な行動を想定しているというニュアンスを感じた。障害や衝動的な行動が原因で起こっている事故はあまり報告されていないので、情報があれば教えていただきたい。

【委員】

 1~2年生では、1階の教室の窓から校庭へ飛び出すというのはよくあるが、低い教室で指導されているのが多いので、大きな事故にはあまりつながらない。3~4年生になると落ち着いてきて、教室に入っていられる。学年を問わず興味、関心のある子はどんどん高いところに登ってしまう。例えば格子戸が入った窓では、子どもは外に出てぶら下がる可能性がある。そういう行動が自然であることを踏まえてもよいのではないか。

【委員】

 資料7の「具体的な留意事項」に出てくる「危険箇所」について、ほんとうに危険なところでの事故は少なく、むしろ安全なところでふざけたり、勘違いをし、危険だと思っていなくて事故を起こすことが多い。木に登ったり、高いところで遊んだりするときには、子どもたちは慎重に行動しているため、めったに事故は起きない。

【委員】

 資料7の2「共通」1ページ目上から2つ目のまる「死亡障害事故につながる危険箇所における危険性等について」について、「転落」ということ自体を発達段階に応じて子どもたちに学ばせることも必要。転落事故はほかの事故に比べて重症率や致死率が高いということを教える必要があるのではないか。教職員が安全対策をとる時や、指導を行う時にも、どういう事故がどういう状況で起きたのかという情報も活用する必要があるのではないか。

【委員】

 転落事故は、最悪の場合死亡事故となる場合もあるが、各プロセスで対策がとられることで防止することが可能であり、同様の考え方を安全教育に組み込んでいくことも必要だ。

【委員】

 小学生に限らず高校生なども転落事故にかかわっているので、発達段階を考慮しなければならない。ルールで決められているから守らなくてはいけないというだけでは、教育として不十分。

【委員】

 資料7の2「共通」2ページ目上から2つ目のまる、仮にでも、危険とわかっている場所で児童生徒に活動させるのは、教育委員会としても、学校の立場としてもやってほしくない。「発達段階に応じて教職員が同席することが重要である」とあるが、教員が同席しないで教育活動を行うことはあってはならないので表現の修正が必要。

【委員】

 資料7の2「共通」1ページ目上から2つ目のまる「他の校則違反とは異なり」という記述について、ルールや決まり事に軽重をつけるべきではないので表現の修正が必要。

【委員】

 資料7の2「共通」2ページ目上から3つ目のまるについて、点検は一番大事であり、複数の異なった視点で確認することの重要性を強調したほうがよい。自分の子どもの特性や経験を踏まえた保護者の目も重要である。

【委員】

 金属疲労や劣化の問題は、専門家でないとわからない。点検の際、保護者、教職員は当然関わるが、専門家のかかわり方についても議論があったほうがよい。

【委員】

 安全な施設であっても、予想外の危険行動によって危険になる。それをハードですべて解決しようとすると、例えば窓は5センチ以上開けないということになりかねない。

【委員】

 危険について学問上はハザードという。ハザードには2種類あり、1つは物としての危険ということと、もう一つはその人の行為により危険となるということ。物としての危険を点検すると同時に、児童生徒たちの行為としての危険についても点検対象になるのではないか。

【委員】

 物の危険と行為の危険を切り分けることは難しく、相互に深く関係している。点検にあたっては、子どもの目の高さで見ることや、子どもの行為について何が危険かということを教職員に示すことが大切である。

【委員】

 意識の高い設計者はまだ少数で、多くの設計者はごく普通の標準設計を行っている。設計の段階で安全について考えようとしても、予算や時間の制約があるのかもしれない。今回議論を有効なものとするためにも、そのあたりも踏まえ検討が必要である。

【委員】

 指針の改訂にあたっては、過去の指針との整合性がとれており、矛盾する点がないかという点も考慮すべき。指針をつくること自体が目的化しないように議論していくべき。

【委員】

 最近は、随分学校は変わってきており、標準設計どおりというのはあまり無いと思うが、安全についての設計者の意識をどうやって喚起していくかというのは大きな課題。

【委員】

 資料7「天窓」のところに「人の体重を支える強度がないものが多いため」とあるが、人が入れるところにそのようなものがあるというのはどうなのか。

【委員】

 製品に問題があったというよりは、製品の持っている特性を把握してメンテナンスすべきであった。天窓についても、点検が重要でしかも複数の異なった視点で行うことが重要。

【委員】

 「人の体重を支える強度がないものが多い」という表現について、天窓は新しいものでも、乗っていいというわけではない。

【委員】

 乗りたくなるような形状のものを設置し、しかも、体重を支える強度は保証されないので、周知徹底しなさいというのは釈然としない。植栽を工夫するとか、上に柵を設置する等して天窓に近づけない、乗れない状況にすることも重要だ。

【委員】

 透明のガラスであれば子どもも乗ろうとしないと思う。事故の天窓のドームは危険性を感じやすいデザインになっていなかったことも問題である。

【委員】

 上部に設置してある窓の総称として「天窓」という言葉を用いることもあるが、表現上の問題はないか。

【委員】

 上のほうにある窓でもトップライトとハイサイドライトという言い方があり、その上に乗る可能性がある形状をとるのはトップライトである。

【委員】

 子どもたちが入る可能性のない屋上に手すりをつける必要はあるのか。危険が想定される場所に児童を出すときには、施設的に必要な対応を講じ、安全確認をしてから利用するという手順を踏むことが必要。

【委員】

 私の知る地域では明らかに人が行動すると思われる屋上のトップライトには覆いがしてあるが、屋根にはだれも出ないという想定の場所では単にトップライトのみがついている。普通は人が行かないところにもフェンスを設けなければいけないのかどうかは議論が必要。

【委員】

 資料7の3ページ目「窓」というところで、上部に乗ることができないように工夫した棚を窓際に沿って設置してあるが、窓際には本来、棚などを設置してはいけない。もしこの上に花瓶が置いてあるような状況だとしても移動すれば子どもは乗れるため、適切ではない。

【委員】

 窓際に観察台を置いたりロッカーを置いたり、窓台を置き、そこで観察をすることもある。しかしそれは乗る場所をつくることにも繋がるため、対策は難しい。

【委員】

 環境を安全にすることと教育は、両方必要だと思う。あわせて行うことによって、事故が減っていく。また、年齢が低い段階では環境整備に負うところが多い。

【委員】

 危険な場所では活動させないことが原則だが、野外活動のように、危険なところに出かけてさまざまな体験をさせることも有効。学校の屋上などを使うのなら、そのための事前指導を行うことが必要。

【委員】

 資料7の3ページ目図の1は植木を別の場所に移動させた後、上部に乗る可能性もあるし、植木が落下物の危険になる。こういう例は載せないほうがいいのではないか。

【委員】

 安全教育については、少しずつ習慣化して継続することで子どもたちもリスクの低い行為をとるようになってくる。野外活動をする時、事前に数分、一日の作業で何が危険か発表させるツールボックスミーティングということをやることがある。これらを通じ、情報共有してから授業に入ることを習慣化すると、子供たちも事前に危険について考えるようになる。

(2)その他

  •  事務局より、資料8に沿って今後のスケジュールの説明。

以上

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)